女将「こんな形で終わるとは」 小松・全焼の老舗「丸屋楼」 1962年、高松宮ご夫妻も来訪
「まさかこんな形で終わるなんて」。18日昼に小松市大文字町の木造2階建て住宅から出火、家屋計3棟を焼いた火事で、延焼した明治創業の料理店「丸屋楼」の3代目女将、中澤眞喜枝さん(82)は、小松の産業発展と共に歩んできた老舗の無残な姿に言葉を失った。 【写真】実況見分が行われた火事現場=小松市大文字町 丸屋楼の建物は、昭和初期の橋北・橋南大火を経て、1933(昭和8)年に建てられた。62(昭和37)年の小松博では、開会式に臨席した高松宮ご夫妻が丸屋楼に来訪。まだ嫁入り前だった眞喜枝さんが、ご夫妻をもてなしたのが丸屋楼での初仕事だったという。 2階に72畳の大広間を備え、婚礼や各種会合の場として親しまれた。おせちや玉子巻きが評判で、北陸三県の強豪アマ棋士が一堂に集まる北國王将杯争奪将棋大会の会場にもなった。 出火当時は隣家から煙が入り、初代徳田八十吉さんの硯箱をはじめ、屏風やお膳などを納めた土蔵を気にしながら、着の身着のまま飛び出した。現在は、市内の娘家族の元に身を寄せる。松の植わる広い庭が、町への延焼を防いでくれたのではないかという。 能登半島地震で被災した建物を修繕し、再起を図ろうとしていた矢先の火災だった。思い出の詰まった店を失い、眞喜枝さんは「皆さんにかわいがって頂いた。本当に残念だ」と話した。 ●電気系統トラブルか 小松市消防本部と小松署は19日、実況見分し、住宅1階の居間付近が火元と特定した。署などは電気系統のトラブルが出火原因の可能性があるとみて調べる。焼失面積は計約1120平方メートルだった。