小説:ballad.(バラード)⑩
居酒屋『よっちゃえ』は経営していた。夜逃げをするかと思っていた――いや、まだ警察は犯人を断定した訳では無い。それにしても…店名を思わず二度見してしまう。何が『よってこ』だよ、金木大吾の奴…店の名前くらいちゃんと憶えろよな。店内の明かりがついている。俺はスマートフォンで時刻の確認をした。17時半。玄関には貸切札が吊るされている。俺は息を飲んで扉を横に引いた。ベルの音がした。
「あら、中村さん、ひとり?」並木さんはカウンターを挟んで、人と話し込んでいた。山田との忘年会の日、金木大吾と会話をする前に話し込んでいた同じ人が座っていた。頭はハゲでつるぴかだ。改めてみると顔はだいぶ年寄りで頑固そうな目付きをしている。この人が、居酒屋兼並木さんの家と、山田の家を含めたビルの管理人の高田さんか…。
「もうじき山田も三木田も来ます。あと、警察の方も。」ほら、ベルの音。俺は入り口近くの丸椅子に座り込んだ。丸椅子の軋む音。並木さんはいつも通りだが、高田さんは不思議そうな顔つきで俺に視線を向けている。
「今日スタッフさんはいらっしゃらないんですね。」俺は並木さんに問う。「今日は『貸切』で忙しくないし――。」と、並木さんは優しく答えた。俺は並木さんの表情を見つめた。俯き気味な優しそうな顔をしていても…でも…その腹の内までは読めない。
この中の二人のどちらか――
――あるいは共犯か。星野を殺した。
「こんにちは」
俺は…一応、高田さんに軽く挨拶をする。店の一番奥に座っている高田さんは、お酒の入ったコップを片手にあげて、にやりとしながらお酒を口に運んだ。
並木さんはうっすらと笑いながら「何にしますか?」と俺に聞いてきた。「――とりあえずお水で。」俺が答えると同時に、神田刑事と、山田、三木田もわらわらとお店に入ってきた。
神田刑事以外は各々と挨拶し、俺の隣に三木田。三木田の隣に山田と腰掛けた。俺は入口のレジの近くにいると言ってもよい。
この集まりは事件に関与した、または関与している人達が集まされている。俺はとっくに高田さんか並木さん――または両方が共犯者だという考察をしている。集まる前、俺と三木田、山田が聞かされているのは、防犯カメラの内容と調査結果だけだ。もっと踏み込んだ内容はこれから明らかになるんだろうなと、妙に他人事めいた気持ちになっていた。神田刑事は警察手帳で並木さん、高田さんの二人に丁寧に挨拶をしている。
「それでは、」神田刑事は警察手帳を内ポケットに入れた。しっかりとした気前の良い感じの声が俺の背中に響いた。一斉に皆が振り向いた――並木さんだけがそのまままっすぐ、神田刑事に視線を向けている。「金木大吾を襲った事件。」「新宿刺殺事件。」「二つの事件についてお話したいと思います。」誰かの息を飲む音がした。
【新宿刺殺事件の概要】
事件発生日 12月×日(×曜日)
事件発生時間 深夜1時49分。
監視カメラは星野が終電の時間に〇田急線の電車から降りて、新宿駅〇方面の改札口から慌てて出ていくとこを捉えているが、その星野の姿を走って追いかける人物は見当たらず。映像から容疑者の特定は不可。
星野の死亡周りの監視カメラからの映像や、実際の殺害現場の映像から、容疑者は集団だが、みな黒い帽子の上に黒いパーカーを着ているため、顔が不明。
星野は心臓をふた突き刺されて死亡した模様。
狂気は刃物。頭部に鈍器による痣が複数あり、星野は初めに後頭部を棍棒で何度も殴られて、意識朦朧になった瞬間に刺されている。
駐在警官がパトロール時に星野を発見。既に死亡していたとのこと。ほぼ即死。
「以上が初期捜査で判明したことです。」
神田刑事は続けた。
「事件明け、次の日に、高田さんからビル外、店前、ビル内の防犯カメラの映像をいただきましたが、事件発生後、1時49分後から3時までの間――3時にはお店の明かりは消えていましたから2時半頃ですね。居酒屋から出ていく――おそらくお客様かスタッフもでしょうね。正面玄関から時々流れ出てくる映像が続きました。裏口から出てきた人はいません。全員の住所を特定後、マンションやら団地やらの管理人やご本人から承諾を得たりして、事件の調査に協力をしていただきました。住居の防犯カメラ、又は周囲の防犯カメラから、全員の裏取りできています。事件に関係はありませんでした。少し気がかりがあるとしたら、スタッフがわざわざ表の玄関から出たことくらいですね。」
改めて聞いても、すごい仕事ができる人だなと俺は思った。事件が起きて1ヶ月も満たない内によくまあそこまで。防犯カメラは白黒かカラーかだけでも映り方は変わるし、特定できなきければ証拠不十分になる。新宿のあの人混みを念入りにチェックするのは難しいと知ったのは俺もつい最近だ。
神田刑事は腕を前に組み、ネクタイがたゆんだ――が、一旦、間を置いて、俺たちを見渡した。「それは――」並木さんが神田刑事に応えた。「それは。業務が終わりに近づいた頃ですわ――裏手がやけに騒がしいって話になったんです――スタッフの皆さん気まずそうでしたので、それなら表から出たらどう?という話になったはずですが、お聞きになりませんでしたの?」「はい、それは他のスタッフさんとの証言通りで辻褄が合いますね。」並木さんがかすかに笑ったような――あるいはほっとしたのかもしれない――どちらでも受け止める表情をした。犯人じゃないのか…?
「事件前の防犯カメラの映像に関してですが、先程の店から出た方々はお店に入るまでの不審な足取りはなかったです――で、山田さんの仕事が終わったのは18時、自宅への戻りは早くて40分くらい――でしたよね?」山田は頷いた。三木田も俺も黙って先を促す。
「で――、実は奇妙なことにですね。三つの映像から山田さんが帰宅した姿はどこにも無く、淡々と現場の状況だけが流されていきました。つまり事件当日、山田さんは家に帰ってきていないという状況になります。これでは山田さんの証言に辻褄が合わないんです。ここまでは理解されましたか?」
あの…と、また並木さんが手を少し上げて神田刑事の言葉を遮った。並木さんは続けた。さっきからよく喋るな…。
「防犯カメラの映像やらの特定作業は――刑事さんひとりで見られたんですか?途方もない作業だと思うのですが…見落としたとかはありませんの?」それは…俺も思った。多分誰しもが疑問に思うことだ。こんな短期間で?どうやって?『山田の髪色は赤で特殊だからわかりやすくない?』三木田が俺に耳打ちしたけど、特に触れないでおこう。今は神田刑事の推理をしっかり聞くべきだ。
「さすがに一人じゃ見切れませんよ。」神田刑事は苦笑した。そりゃそうか。
「何人か手伝ってもらいました。それでこの結果を得ました。」とはいえ数人だろ?あっさりと言ってのける東京の警察ってすげえ。もしかしたら、ボロを出してもらうためのハッタリな可能性だってある。並木さんは納得したのかよくわからない表情で、カウンターから出てくると、俺達の前を横切って高田さんの隣、空いている丸椅子に腰掛けた。ため息を小さく吐いた。ずっと立っているのは疲れるよな。いや、そんな非現実的なみたいなことをできたことに対し、脳裏に描きすぎて理解をするのに疲れたのかもしれない。
「えっとそちらにいる――三木田さんと中村さんですよね。お二人の証言では、山田さんも含めて、三人とも丸1日会社にいて、徹夜で検品作業をしたとはありますが、山田さんの証言とも矛盾しますし、私の部下――木ノ内が、三人が勤務されている会社の社長とお話して、上司等の関係者の方に話を伺い、三木田さんと中村さんの口合わせで嘘だと言うことまで調べてくれました。」「めちゃくちゃ心配されたんだよな…」三木田が呟く。俺達は上司や、特に坂本警部にはめちゃくちゃ怒られた。それもそうだ。捜査を撹乱させるのは立派な犯罪なわけで、名目上は情報提供者として免除していただけたわけだ。
「つまり、防犯カメラの映像を高田さん。貴方が改ざんした可能性が浮上してくるんですよ。」しん…と、静まり返る。
「なるほど」低く、しゃがれた声に、俺は少し驚いた――高田さんだ。高田さんはコップを傾けながら、飲み干して氷だけになった中身をもて遊んでいた。「――しかしあくまで可能性…だな?」
「そうなんですよね。改ざんした証拠を抑えてこそ、初めて疑いが確定的になります。」神田刑事は軽く笑いながら、あっさりと状況推理であることを認めた。
「つまり、確定的なものを見つけたから、こうして話に来てくださったんですよね。」並木さんは神田刑事にすがるようなニュアンスで言っているが、神田刑事は頭を横に振り、言葉を続けた。「証拠は殺人現場にはないんです。あるのは被害者が殺されたという事だけです。」はは。高田さんは短く笑った。
「山田さんが防犯カメラに映っていないのは、高田さんが防犯カメラを触ったわけではなく、山田さんが犯人の可能性だってあるんじゃないんですか?」並木さんが訝しげに山田に話題を変えた。山田は信じられないという顔で並木さんを見上げた。三木田が舌打ちして前に出ようとしたのを俺は腕で制した。「確かに」神田刑事は認めた。「たとえば、コンビニ等の建物に寄り道していたとするならば、やはり防犯カメラで特定は可能ではあります。個性的な髪色ですし。ただ、そこまで捜査できるほどの時間は足りなかったのは事実です。申し訳ありません。一応山田さん宅は先程、数人で調べましたが、事件に繋がるものはありませんでした。」並木さんはこれ以上は追求しなかった。
「なので、これは高田さんと並木さんの疑いを晴らす目的もある提案なのですが、今一度、お二人の仕事オフィス、自宅を見させていただけないでしょうか?」
家宅捜索。確かにそうすれば結果がどちらにせよ、確証は得られる。しかしあくまで今の提案は任意だ。断ったって構わないわけで――俺は高田さんをチラっと見てすぐに視線をはずした。他の皆の顔色を伺う。三木田は真剣な顔で話を聞こうとしているし、山田はずっと床を見つめている――顔色、悪いか?並木さんはカウンターをじっと見つめて、何かに耐えているように見える。どちらにせよ、今は明らかに警察の方が部は悪い。高田さんは…。
「――刑事殿。犯人は複数と聞いてはいたが、まるでそこに私達が関わっているとでもおっしゃる口ぶりだ。」高田さんはまだ言い逃れようとしているのか?いや、どことなく並木さんを庇っている感じに見えるのは俺の気のせいだろうか?
神田刑事は目を深く瞑り、また目を開いた――少し息遣いながらも無言で両手に白いゴム製の手袋をすると、左胸のポケットからビニールに入った青いスマートフォンを取り出した。所々血が付着して、傷だらけだ。画面は割れかけだ。その携帯には見覚えがある。アイツは中学の頃から、ずっと使っていた。そう。
「…悠星君の携帯…」と並木さんは呟いた。
「LINEで並木さんと星野さんはいつも通話していましたね。星野さんは並木さんとの連絡を取り合う時には、画面録画録音機能を使っていたようで、残ってるんですよ。事件当日、並木さんの携帯から星野さんを呼び出した徹底的な証拠です。」神田刑事は俺達に見せながら動作をし、録音を再生した。
『星野悠星くんですか』あれ、この声?並木さんじゃない。皆が一斉に高田さんを見た。並木さんもだ。高田さんは険しい顔で携帯を睨んでいた。
『はい、高田です。いつぞやはどうも。くみ――並木さんが知らない人達に絡まれているため、急いで助けに来てあげてください。ビルの裏手です。はい、はい。警察には連絡入れてあります。はい、――はい。それでは。』録音はそこで終了した。
神田刑事はまた俺達に見せるように画面を上下にスワイプしていく。「随分と並木さんは星野さんと親しくされていたようですね?この録音はもうずっと。10年前からずっとです――続いています。毎日とは言えども週に1回――か、多くて3回も。」それくらい星野は並木さんが好きだったのか…ってそういう話をしてるわけではないか。神田刑事はスワイプする指を止め、電源をオフにして、また胸ポケットにスマートフォンをしまった。
「高田が犯人だ!」山田が叫んだ。三木田も強く頷いている…。いや、でも待てよ?俺は考えてみる。
確かに星野を呼び出したのは高田さんなのは揺るぎようのない事実だとする。しかし、並木さんの携帯をいつ利用した?二人が共犯じゃないと成り立たないんじゃないのか?忘年会の日。並木さんが仕事中にスマートフォンを触る光景なんてなかった。たまたまだったというのか?
「高田さん、どうして…いや、どうやって並木さんの携帯を使ったのか説明できませんか?」神田刑事が同じ考えを口にした。
「――毎週、ほぼ常連さんしかいない曜日。くみちゃんは星野と通話をしながら仕事をしている。」高田さんは続けた。「事件当日、通話を終えたくみちゃんがお手洗いに行った。その時に携帯を置きっぱなしにしていた。パスワードは指でスライドする式だ。指紋なんてもんはいらんよ。くみちゃんが残したスライドの指紋か油の跡で容易に解けた。そして、連絡を入れて星野を呼び出した。」観念した口ぶりで高田さんは言い切ると、コップを静かに平坦に置いた。
「ひとつわからないことがあるんすけど」三木田だ。「被害者の――星野サン?――すよね。その人が襲われた時、映像は5人組の集団だったって話は確実なんすよね?」神田刑事に問う。「そうですね。」三木田は続けた。「――じゃあ、その中に高田さんがいたってことですか?ただ呼び出しただけならそれは犯罪になるんすか?」俺は三木田の言葉に補足を入れてみた。「首謀者が高田さんの場合は、高田さんが一番罪が重くなるんじゃないか?」神田刑事は頷いた。あくまで高田さんだけが首謀者だったらの話だけど。
「そもそも」並木さんが声を荒げて顔を横に振った。「――すみません…その集団の人相は割れたんですか?」「一人は星野さんが中学生の頃に同じ学校に通っていた元生徒さんでした。その人は郷田組に所属していて、あとの四人は全員ちんぴらで無所属でした。五人の部屋からは星野さんを襲った時に着ていた服が見つかっています。中にはパールとか残していたバカもいましてね…パールに付着していた血液から星野さんの血であることは断定済みです。」並木さんは何も言わなかった。小さなため息だけこぼした。「高田さん。共謀を企てたのは貴方ですか?それとも実際に計画を遂行した五人のうちの誰かですか?」神田刑事は高田さんに問う。高田さんは無言で俯いたまま答えない時間が続いた。
「うう~~~…っ、わけ――わかんねえぇ…」山田が頭を抱えている。普段はセットした髪の毛はだいぶ掻きむしったのか荒れていた。三木田が山田の事を心配そうに見つめている。山田のためにも、今一度、まとめるべきだな。「三木田、席交代して。」三木田はすぐに椅子から離れた。俺は山田の隣に移動して山田に説明をはじめる。
●星野を呼び出したのは高田さん。
●星野を殺すことを実行したのは五人の集団。
→刑法的には共謀を企てただけとしても、助言的な(山田にはこれくらいがわかりやすい)事をしただけでも共犯となる。状況推理だけだと高田さんはグレー。星野の携帯に電話をかけて呼び出しただけは、証拠としてはまだ弱いということ。
「――てわけで、事件当日までの間に高田さんと、集団達にどんなやり取りがあったのか。刑事さんが高田さんに聞いてるんだよ。」山田は理解したのかしてないのか…しっかりしろよな。ホント。
「でも、みんな並木さんに関しては特に気にしなくなりつつあるんだよなあ…」と山田に聞こえないように、独りごちる。三木田が反応した。「共犯じゃないのか的な、か?並木さんはありえないっしょ。ずっと店内にいたんでしょ?」と、ボソボソ耳打ちする。
「あくまで事件当日はな。その前の日までには既に計画は知っていて、わざと携帯を置いて、高田さんを利用した線もあるってこと。」この疑問を神田刑事に聞いてみるか、否かも考えてみたが、話がまとまってからじゃないと、山田がうるさくなる可能性がある。引っ掻き回されてしまったら、未解決事件になりかねない。三木田はそれ以上触れにこず、顎を指で挟みながら何か考えている。
再び静まると、唐突に並木さんが俺達に話しかけてきた。「――みなさん、暖かいお茶でも飲みませんか?刑事さんも縁台に腰掛けていただいて良いですからね。」神田刑事はふ、と気づいて、縁台に腰掛けて高田さんの返事を待った。並木さんは丸椅子から立ち上がるとまた、俺達の前を横切って、レジとカウンターの仕切り台を上げて、裏手に回り始めた。食器音が背中に響き始めた。俺は天井を見上げた。オレンジの暖かい光。
「――久美子さん、私にはいつもの、最後の1杯。頼むよ。」低く優しい声がした。「高田さん――」並木さんは目を開いてびっくりしてる。高田さんはグラスに手をつけ――ず、神田刑事に体を向けて、真顔で口を開いた。「私が計画を企てました。」「――そうですか。」神田刑事も真顔で応えた。「共犯者の方々とはどういう関係ですか?」高田さんは目を瞑り天を仰ぐ。「どうもこうもない――赤の他人だ。私はただ大好きな人とお店を守りたかっただけだよ。」
並木さんがすすり泣く。高田さんは続けた。「星野は随分前から久美子さんに求婚の話をしていてね。久美子さんは求婚に対し断りを入れていたんだよ。特にこのことに関しては金木さんがしつこくてね…最近の久美子さんの悩みの種はそのことばかりだった。ついには精神科に通い、薬を処方する程に…これは話すことではなかったな。すまないね久美子さん。」並木さんは首を横に振りながら、高田さんのためにお酒を用意しているのだろう。
「金木を襲ったのも私だ。久美子さんの家に入ろうとしたのを阻止したかった。まさか死なずに済むとはな。悪運強い男だよ。相変わらずな。」並木さんがお酒の入ったグラスを高田さんの前に置き、高田さんは一気に飲み干して、「美味い」と囁いた。
「でも、」思わず口に出してしまった。皆が一斉に俺に視線を向けた。「どうして殺さなきゃ――いけなかったんですか?星野を――」金木に関してはなんとも擁護はしにくい。並木さんの下着を盗む常習犯。都度困らせた。並木さんだけじゃなくても、周囲は金木に良い顔なんてするはずはない。
でも、星野は違うはずだ。
星野はずっと麻薬もタバコも山本組に入って触ってないことは金木から聞いた。坂本警部からは表で報道された事件や事故に星野が関わったことは無いとも聞いた。いや、どちらも他人の主観だから、警察に知れ渡っていない裏社会があるかもしれない――真実味が薄いのは事実ではある。
それでも、俺は星野を信じたかった。中学の卒業式に約束したからだ。今はまだ子供だから、俺はまだ星野を許せない。けど、大人になったらまた会おうって俺が言った時の、星野のあの笑顔。忘れてしまっていた後悔の分、星野が過ごしてきた人生が、例え、それが他人の言葉からの印象でも、星野はもう思い出でしか存在はできない。だから信じたいと強く、想った。
高田さんは言おうか言わないか決めかねている表情をした。それもそうだ…高田さんからしたらなんで俺?って感じだろう。出すぎた事を後悔した。人に関わることも苦手で、死にたがりな俺が人の生死にとやかく言う権利も、説得力を持ち合わせているわけでもない。だけどもう聞かないとわからない。
他人の命を奪っていいはずがない。
そんなごく当たり前なことから、
高田さんは道を外した。
その理由が知りたかった。
すみません 続きます。
次回最終回です。


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