ルーブル美術館“160億円窃盗”のツケは日本人観光客に? 実行犯は“闇バイト”集団か…露呈した「甘い管理体制」
フランス・パリにあるルーブル美術館の入館料が2026年1月から一部、値上げされる。日本人を含むヨーロッパ域外からの訪問客が対象で、値上げ幅は45%。その裏には“見栄え”優先の美術館の管理不全があった。25年10月に発生した窃盗事件で、実行犯はプロではなく、素人の“闇バイト”集団だった可能性も浮上。事件後の行政調査から“世界最高峰の美術館”のずさんな実態が見えてきた。(NNNパリ支局 佐藤篤志)
■「世紀の窃盗」実行犯は“サッカー審判とインフルエンサー”
2025年10月、パリの中心にあるルーブル美術館で起きた窃盗事件。フランス王室の至宝がわずか数分で奪われたこの事件は、世界中に衝撃を与えた。しかし、逮捕された実行犯4人の「素顔」が明らかになるにつれ、事件は別の意味で人々を驚愕させている。彼らは『怪盗ルパン』のようなプロの窃盗団ではなく、単なる“使い捨ての駒”とみられることが分かったのだ。
フランス紙パリジャンによると、実行犯の1人は地域のアマチュアサッカーの審判。別の1人は、SNSでバイクスタント動画を投稿するインフルエンサーで、地元では有名な人物だ。子供たちと交流する様子も見られるなど、地域の兄貴的な存在だった。実行犯4人は互いに面識があったという。
■報酬は270万円?「偽名の男」と“闇バイト”契約
では、なぜ窃盗に至ったのか。容疑者の1人は「偽名しか知らない男から雇われた」と供述。また別の1人は「スラブなまりのある男たちから1万5000ユーロ(約270万円)で仕事を請け負った」と話したという。推定8800万ユーロ(約160億円)相当の宝石を盗む対価が、270万円。しかも男らは「ルーブル美術館だとは知らなかった」「『日曜で休みの会社に入って盗むだけの仕事』だと思っていた」と、およそ周到な計画とは無縁の供述をしている。
男らは高所作業車を使って美術館の窓から侵入し、電動工具でショーケースを破壊した。しかし現場にはDNAの痕跡がいくつも残されており、王冠1点を落として逃走している。その手口は手慣れた犯行とは言えず、フランスメディアでは彼らを「petites mains(プティット・マン=小さな手)」と呼んでいる。これは黒幕がその場限りの実行部隊を雇う「使い捨て要員」という意味で、まさに日本で問題になっている“闇バイト”と同じ構図だ。