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メリー・白衣・クリスマスwith人体模型

にんじん帝国Ⅱ Advent Calendar 2025に寄稿した記事です。

アドベントカレンダーっつったらクリスマスの話題じゃなきゃサマにならねえ、というごく当たり前すぎる事実に、ここまで来てようやく脳が追いつきました。遅刻魔の脳みそにも程がある。

というわけで、今日はクリスマスの話をしようじゃないか。

これはむかしむかし……と言っても、まあ2年くらい前の話だ。
2年つったらな、おめえ、れっきとした昔だろうが。
日数でいうなら365日×2だぞ? ざっくり700日だ。700日ってお前……大昔だよ。俺は3よりデカい数字を正面から見ると目がかすむ生き物だから、700日前なんて象徴的に言えば昭和だと認識してるよ。
あるいは2年っつーのは、ほぼ2世紀と等価交換なんじゃないの。

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友達のころくま氏もそう言っている

細かい時間感覚の話はどうでもいい。
とにかく2年前のクリスマスの話だ。

当時の俺は、白衣が欲しかった。
そう、あの白衣だ。医者とか科学者とかが着るアレだよ。
「なんでだよ?」って聞こえる気がするけど、まあ落ち着け。俺だってちょっとは考えたんだ。俺は「マッドサイエンティストになりたい」という、どうかしてる夢に取り憑かれてたわけ。
人生で化学薬品触る機会なんざ、漂白剤くらいしかねえのに。
それで白衣欲しがるって完全に格好から入るタイプの輩じゃねえか。

でも当時の俺はキマってたんだよ。「ロマン」ってやつに。
ロマンってのは厄介でさ、こっちが求めてねえのにドア蹴破って入ってきて、勝手に椅子座ってジュース飲み出すような厚かましさがあるわけ。
そんで俺はそいつに肩掴まれて「白衣いっとけ」って言われた気がして、はいそうします、って白衣欲しがることになった。

もちろん白衣買ったからといって、俺の部屋が研究所になるわけじゃない。ただ、白衣さえあれば何かが始まる気がしたんだよ。


俺が生まれついてのSF狂人って話は前に散々したし、ついでに日常的にも疑似科学に頭ん中こんがり焼かれてるオタクだって話も、たぶんしてる。人間の脳は三回同じことを聞くと記憶に刻まれるらしいが、俺の場合は遺伝子に刻まれている、筋金入りのやつだ。

で、マッドサイエンティストってのは、SF界隈じゃもう草木より生えてる存在なのさ。
砂漠にサボテン、湿地にカエル、SFにはマッドサイエンティスト。
自然の摂理。

ここで読者諸氏はある仮説に至るだろう。
「もしかしてお前、SFという世界に憧れて、マッドサイエンティストになろうとしてたんじゃねえの?」
って。

聞け。驚け。

たぶんそうなんだよ。

俺は、白衣の袖をばさっと払って「ククク……実験の時間だ……」って言ってみたかった。

そういうわけで、猛烈にヤバい科学者になりたくて仕方なかった俺は、今から2年前のクリスマス、なんやかんやあって白衣を入手した。
「なんやかんやって何だよ、説明しろよ」って声も聞こえてくる気がするがとにかく、俺のもとに白衣が来た。
白衣を手にした俺はもう嬉しくて仕方ねぇ。それはもうアホみたいに嬉しかったね。
念願のマッドサイエンティストだぞ?ありがとう、サンタさん。

そんときの俺は髪の毛も今より長くてさ、自動的にボサ髪マッドサイエンティストになる便利仕様だったわけ。

でさ、勢いそのままに弟の部屋に乗り込んだ。
部屋のドア開けて「写真撮ってくれ!」だよ。

頼んだってより、ほぼ命令形。年上の威厳とはこういう形でしか出ないのかもしれん。弟は弟で、なんだかんだ撮ってくれるんだよ。そこで俺は小道具が必要と思って、分厚い本を持ったり、人体模型を抱えたりして、一人でコスプレ撮影会を始めたわけ。よく我慢してくれたもんだ。

そう、人体模型。
これな、何年か前に弟本人がクリスマスに欲しがったやつなんだよ。
普通の家ならクリスマスにゲームとかが玩具が来るところ、うちの弟ときたら人体模型だ。兄弟揃って頭のネジが二、三本どこかへ旅行に出てるんだと思う。親はどういう顔して育てたんだろう。

で、まあ弟の部屋でひとしきりマッドサイエンティストごっこして遊んだんだよ。白衣ひらひらさせて、ボサ髪揺らして、意味の分からんポーズ取りながら笑ってさ。


あれから2年経って、その白衣がどうなったかって?
あるよ。そりゃある。消えるわけねえだろ、大変現実的にクローゼットに掛かってる

使い道は皆無だ。
そりゃ実験はしないし、爆発も起こさないんだから。
外出用の服でもない。あれ着てコンビニ行ったら通報される未来しか見えねえ。残念ながらご近所に「お、あそこの家、研究施設かな?」って思わせる勇気もねえ。

せいぜい実用される場面つったら、晩飯作るときだ。油跳ね防止で白衣を羽織る。
マッドサイエンティストがフライパン振ってハンバーグ作ってる光景だぞ。

もうこの時点で察してくれ。
白衣ってのはな、場所と人が揃って初めて白衣なんだ。普通に必要としてる職業の人は別として、一般人が着る白衣は所詮ただの服だ。

ハァ、実験室も無ェ。機材も無ェ。狂気もそれほど残って無ェ。そりゃただの服になるわ。

そんなわけで、今の俺には足りないものがある。
ヤバい科学者用の実験室。
あと隣に並んでくれる相棒兼実験台も募集してます。

今年のクリスマスプレゼントの希望はそれかな。
サンタさん、よろしくな。



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