設備設計の仕事は、
図面を描くことではなく、
「起きうる未来を先に引き受けること」だと思っている。
設計段階では問題なく見えることが、
現場では簡単に問題になる。
ワークのばらつき、姿勢の崩れ、
ほんのわずかな角の処理、
ガイドの逃げ量、
メンテナンス時の手の入り方。
どれも図面上では些細な差だ。
でも現場では、その“些細さ”が
停止、傷、不良、クレームとして表に出る。
20年以上設計をやってきて思うのは、
トラブルの多くは
「知らなかった」ではなく
「見ていたのに、軽く見た」ことから起きている。
設計者は、
今この瞬間の図面だけを見てはいけない。
・量産が始まったとき
・ワークが変わったとき
・現場担当者が入れ替わったとき
・10年後にオーバーホールするとき
そのとき、この設計は
“ちゃんと耐えるか”を考える必要がある。
コストダウン検討でも同じだ。
部品単価を下げる判断が、
在庫管理や保全性を悪化させることはよくある。
目先の数字より、
設備全体・製品シリーズ全体で
効いているかどうかを見る。
設計の良し悪しは、
完成時点では分からない。
何事も起きずに動き続けた時間の長さが、
静かに答えを出す。
派手さはない。
評価もされにくい。
でも、現場が止まらないのは、
誰かが事前に“面倒な想像”をしていたからだ。
設備設計は、
問題を起こさないための仕事。
だからこそ、
細部に宿るものを、
今日も拾い続けている。