マーベル展 時代が創造したヒーローの世界
2017/08/26(土) 〜 2017/10/01(日)
10:00 〜 20:00
福岡アジア美術館
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大迫章代 2017/09/15 |
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映画『スパイダーマン:ホームカミング』のコラボレーション・アートを、熊本県出身の漫画家、イラストレーターの村田雄介氏が手かげたことをご存知だろうか?“ダイナミックなフレーミングでキャラクターデザインも素晴らしい”と、海外メディアで大絶賛されている。「アイシールド 21」(週刊少年ジャンプ)、「ワンパンマン」(となりのヤングジャンプ)の作画家として、海外のアニメファンにもその名を知られる村田氏は、『スパイダーバース』の日本版カバーも手掛け、福岡アジア美術館で開催中の『マーベル展 時代が創造したヒーローの世界』にも記念アートを提供している。村田氏に、漫画家として観たマーベル展の魅力、そしてマーベル・ヒーローの魅力について聞いた。
ー村田さんのマーベルとの出会いは?
ネットで見ると、“村田はアメコミ・フリーク”みたいに言われていますが、昔からアメコミを読んでいたわけではないんです。マーベル作品を意識して見始めたのは、サム・ライミ監督の映画『スパイダーマン』です。アシスタント時代の先輩から薦められて1作目を観て、本格的にハマったのは『スパイダーマン2』。その頃は『アイシールド 21』(週刊少年ジャンプ)というアメフト漫画を描いていて、アイシールドで自分の素性を隠してプレイするというヒーローの設定や、“自分の正体をいかに周囲にばらすか”というテーマが似ていたこともあり、すっかり夢中になりました。周りにも面白い面白いと言っていたら、知り合いの編集さんが、マーベルのスタン・リー原作の漫画トリビュート企画にアートを寄稿しないかと声をかけてくれて。大好きな『スパイダーマン2』の絵を寄稿したのがきっかけでマーベルに関連したいろんな依頼が来るようになりました。
ー 漫画家としてマーベルから受けた影響は?
作画家は、もらった原作を絵としてブラッシュアップしていくのが仕事です。マーベル映画も基本的にはマーベル・コミックのデザインを、イメージは変えずにバージョンアップしたもの。例えば、『スパイダーマン:ホームカミング』のヴィラン(悪役)のバルチャーは、原作ではハゲワシみたいな体でオジサンの顔をしたキャラクターですが、首元のフワフワしたところをフライングジャケットのファーという解釈にして、ミリタリーチックな見せ方をしている。アレンジにひねりが効いていて面白いんです。しかも機能的で動きやすいデザインで説得力がある。そんなキャラクターのリアリティの高め方も、作画をする上で参考になりますね。また「村田の絵はアメコミっぽい」とよく言われるのですが、それはきっとデッサン力やベタの使い方のせいです。中学・高校時代に、夢中になって模写した『ストリートファイターⅡ』のキーアートや、好きな漫画家たちの影響が強く、僕が直接アメコミを読んでいたわけでないのですが、今思えば、アメコミ好きのクリエイターさんたちから、間接的な影響を受けていたのかもしれませんね。
ー 『スパイダーマン:ホームカミング』コラボレーション・アートの海外での評判について
自分でもびっくりです。ポスターみたいな位置づけで出回っていますが、もともとサイトのバナーとして依頼を受け、サイズも縦長だったのですが、せっかくなら街のパノラマも描きたいと思い、あのサイズで描かせてもらいまいた。それをアメリカのプロデューサーが気に入り、ポスタービジュアルとして使ってくれたんです。光栄なことですね。
ー マーベル人気は、日本の漫画にも影響を及ぼしているか?
日本でもヒーローものが流行っているのは、マーベルの影響ではないかと思います。先にちょっと触れましたが、アメコミではデッサン重視の絵が主流です。デッサン力というのは、人や物を正確に描けるかではなく、観たものをその印象のままに描ける力のこと。アメコミの絵がデッサン重視なのはアメリカが多民族国家だからで、どんな人種や民族でも理解しやすい上手さの絵が求められるからだと思います。一方、日本は国民全体が共有する文化や価値観の分母が大きいので、キャラクターやドラマに共感さえできれば、さほど絵のデッサン力は重視されない。ただ、これからは日本も多文化社会になると言われています。そうなると、漫画の内容に共感してくれる読者の間口の広さを支えてきた、日本人の共通した価値観も細分化されていき、アメリカの漫画のような誰にでも分かりやすい良さのある作品の方が共感を受けやすくなる。現在、日本でもマーベル人気が高まっているのは、そんな背景もあるのではないでしょうか。日本の漫画界というより、観る側の感性がマーベル作品を受け入れ易い方向に変化していってるのでは、という気がします。
ー マーベルで他に好きなキャラクターは?今後のマーベル・シネマティック・ユニバースMCUに期待することは?
『ファンタスティック・フォー』や最近の『アベンジャーズ』シリーズは好きでよく見ています。『アベンジャーズ』が最高だなと思うのは、互いが互いのキャラクターを際立たせるようにできていること。ハルクもキャプテン・アメリカもソーも好きだけど、みんなが一緒になって一つの色を奏でるところがいいなと思いますね。そして、ああいうことができるアメリカの文化もいいなと思います。作家ではなく、会社が権利を持つことで、作品やキャラクターの寿命が延びる。日本の方式だと、作家が亡くなるとシリーズもそこで終わり、人気のキャラが残っていきませんから。また、どんどん才能のある作家が加わっていって、時代にあったヒーロー作品が作られていくのもいいですね。MCUが毎作どう驚かせてくれるのか、純粋にファンとして楽しみです。
ー 最後に、村田さんの眼から見たマーベル展の見どころを教えてください。
映画で使われた衣装や小道具と、コミックの原画などを見比べられるところですね。オリジナルからどうアレンジされているのか、他では見られない劇的なビフォーアフターは、作画家としてとても参考になります。また、アイアンマンのバージョンの多さにも改めて驚きました。誰がどうみてもアイアンマンの形なのに、あれだけバリエーションが作れるとは。アレンジャーの引き出しの多さや、メカデザインのすばらしさも見どころです。
もともと鳥山明の漫画が好きで絵を描き始めたという村田氏。「考えてみれば、鳥山先生の初期の作品もアメコミタッチで、自分の仕事がこうしてアメコミに繋がってきたのも偶然ではない気がする」と語る。また「絵にはどうしても描く側の内面が反映される、だからこそいくつになってもパワフルな絵を描けるような描き手でありたい」と作画家としての抱負も聞かせてくれた。世界が認める村田雄介氏のマーベル・コラボアートも楽しめる『マーベル展 時代が創造したヒーローの世界』は10月1日(日)まで福岡アジア美術館で好評開催中。他にも多くの漫画家たちがマーベル・ヒーローとコラボしたカバー画の数々も見どころだ。
※画像はすべて©2017 MARVEL
| 2025/12/24 |
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大迫力の映像と音響でディズニー作品の世界にいるような体験ができる「ディズニー・アニメーション・イマーシブ・エクスペリエンス」が福岡市早良区の市博物館で開催中です。ディズニーの大ファンで、イベントのオフィシャルサポーターである俳優風間俊介さんに、見どころや「ディズニー愛」を語ってもらいました。
-会場では巨大な3面スクリーンに囲まれ、初期から最新作までの名場面を見ることができます。体験してみた感想は?
★風間 ディズニー・アニメーション(アニメ)の世界に入り、キャラクターの横で一緒に同じ世界を見つめている。「これが没入体験か」と感じると思います。ディズニーの根源はアニメだと思うので、その世界にダイブすることは特別ですてきな体験です。
-映像には「ライオン・キング」や「アナと雪の女王」などの名作が次々と登場します。
★風間 空を飛んで海に行って、次は大都会、と場面がパン、パン、パンって切り替わって、濃密な世界旅行をしているみたいです。知る人ぞ知る作品も山ほど入っています。音楽も素晴らしい。名作が連続して浮かび上がるシーンに「星に願いを」が流れていてグッときました。ディズニー作品を愛している人はもちろん、ディズニーに触れたことがない人にも自信を持ってお薦めできます。
-印象に残っている映像は?
★風間 「ポカホンタス」のシーンですね。川のせせらぎだけが響く静寂の中、ボートがゆっくりと進んでいく。映像なのに森林浴でマイナスイオンを浴びるような体験で、感動しました。
-お気に入りのコーナーは?
★風間 これまで上映された、アメリカ版62作品のオリジナルポスターによる年表です。ディズニーへの敬意と愛をこんなに感じる展示を、初めて見ました。アニメの歴史や、そこに込められた意思にも没入できる。すっごく面白くて、4時間ぐらい話をしたい。本当に素晴らしいですね。
-ディズニーは2023年に100周年を迎えました。今後、期待することは?
★風間 「絶対に失敗する」と言われても挑戦し続けてきたのがディズニーの歴史です。例えば「白雪姫」。製作時は世界初の長編アニメ映画ということで世論は散々でしたが、いつしか名作と呼ばれるようになった。新しいことをやり続けたから100年続いたと思うし、次の100年も挑戦し続けると思う。その思いをしっかり受け止めたいです。
-ディズニーを好きになったきっかけは?
★風間 幼いころから家でビデオを見たり、パークに行ったりして、気がついたら好きになっていました。芸能界に入ってからは、畏怖(いふ)を込めたような、尊敬する存在になりました。エンターテインメントをつくるのがどれだけ大変か。「人の心を動かす」ことは数値化できず、簡単ではない。ディズニーが好きだと「ファンタジーな人」だと思われがちですが、僕はリアリスト。そしてよく「ディズニーの魔法」と言いますが、魔法ではない。クリエーターの努力の結晶が人の心を動かし続けていると思います。
ディズニーは、僕がエンターテインメントの世界で頑張ることができる理由。「もうこれぐらいで」と怠けそうになる時、とんでもないことを成し遂げたクリエーターたちを思うと、鼓舞して叱ってくれているように感じます。
-好きな作品は?
★風間 挙げるとすれば「ノートルダムの鐘」。僕は福祉関係の番組(NHKEテレ「ハートネットTV」)に長く出演していますが、この作品に出合っていなかったら、そのテーマに向き合いたいと思わなかったかもしれない。作品には差別や偏見のない世界への願いが込められている。それをきれいごとと感じ、敬遠する人がいるかもしれない。きれいごとを言うには責任を伴うので難しい。僕は説得力のあるきれいごとを語れる人間になりたいです。
-読者にメッセージを。
★風間 このイベントは各国を巡回していて、世界中のファンが見たいと願っています。ディズニーの100年間が詰まった、〝お寺のご開帳〟みたいなもの。ぜひ見てほしいです。
(文・鶴智雄、写真・中村太一)
▼かざま・しゅんすけ 1983年、東京都出身。97年芸能界入り。ドラマや映画、舞台のほか、情報番組の司会など幅広く活躍。2025年の実写版ディズニー映画「白雪姫」などで声優を務めたほか、東京ディズニーリゾートのガイド本(講談社)の特別編集にも携わった。
▼ディズニー・アニメーション・イマーシブ・エクスペリエンス 来年2月1日まで、福岡市早良区百道浜の福岡市博物館。西日本新聞社など主催。一般2700円、中高生1900円、4歳~小学生1000円(いずれも平日200円引き)。毎週月曜(祝日の場合は翌日)と28日~1月5日休館。実行委員会(西日本新聞イベントサービス内)=092(711)5491。
=(11月20日付西日本新聞朝刊に掲載)=