ラブホがダイナミックプライシングをやらない理由
ラブホテルって、ダイナミックプライシング(混んでくるほど値段を上げる仕組み)と相性が良さそうに見えます。満室に近づくほど単価を上げられれば、売上は伸びやすい。
でも現実には、ほとんどのホテルが導入していません。理由はかなり現実的です。
まず最大の壁は「システム」。ラブホの多くは、業界で広く使われているフロントの基幹システムに強く依存しています。料金も、基本は曜日(平日/週末/祝前など)で“営業モード”を切り替えて運用する前提のものが多い。年末年始モードなども含めて、登録できる料金パターン数にも上限があります。
ちなみに多くのホテルでは、途中で営業モードが切り替わっても、精算は「チェックインした瞬間の価格」を拾う仕様にはなっています。なので“切り替え自体が不可能”という話ではありません。
ただ、混雑に合わせて価格をこまめに動かし始めると話が変わる。フロントスタッフに「いま適用すべき条件」を判断させるには相当な教育が必要になります。さらに、価格を動かすほど看板表示・館内表示・電話問い合わせ(今いくら?)の整合を取り続けないといけない。無人精算機前提のオペレーションだと、この運用コストが一気に重くなります。
そしてもう一つ大きいのが、「リピーター商売」との相性です。ラブホテルは“常連”が多い業態。前回すごく良かったから来たのに、同じ時間帯・同じ使い方でも「今日は急に高い」と感じると、安心感が揺らぎます。たとえば「先週は8,900円だったのに今日は14,900円?」みたいな体験が起きると、品質は同じでも“損した感”だけが残りやすい。これはブランドの信頼を削ります。
だから長期で見ると、価格を細かく動かして取りにいくよりも、「どのホテルも空いている日でも、うちだけは選ばれている」状態を作る方が強い。混雑時に値上げして儲けるのではなく、接客・オペ品質(人と仕組み)を磨いて、いつ来ても安心して選ばれる店になる。
弊社が目指しているのは、まさにその“閑散期でも安定して選ばれるホテル”。目先の価格調整より、ブランドと現場力の積み上げを大切にしています