福岡市「天神地下街」開業した50年前、大賀薬局の会長は異世界に心ときめいた「出店できたことは誇り」
九州最大の繁華街、福岡市・天神にある天神地下街が開業から50年となる。地上で大規模な再開発が進む中、変わらない街並みが愛され続けてきた。半世紀の節目を機に、県内各地で地域を下支えしてきた商店街が時代とともに変わりゆく姿、そして変わらない魅力を見つめ直したい。(大森祐輔、堀美緒) 【フロア図】天神地下街1~12番街
「こんなおしゃれな地下街は初めて見た。この街に見合う店にしなければ」。1902年に創業し、調剤薬局など約120店を展開する大賀薬局(福岡市)会長の大賀研一さん(77)は50年前、異世界のような地下空間に心をときめかせた。
地下街開業と同時に店を出し、薬に加えて化粧品や雑貨も扱った。当時は珍しい業態だったが、若者や女性に「必需品がそろう」と受け入れられた。当初は「薬屋には」と非協力的だった化粧品メーカーも、こぞって販売スタッフを派遣するようになった。
2021年に店を改装し、レンガ張りをイメージした床や暖色の照明などにした。大賀さんは「ここに出店できたことは、当時も今も社の誇りだ」と語る。
天神地下街は全長約590メートルで、約150の店が連なる。暗い通路を客席、明るい店内を舞台に見立て、「19世紀のヨーロッパの街並み」「劇場」を演出する。運営会社の福岡地下街開発によると、石畳の床は欠けると入れ替え、天井一面の鋳物は年に1度、ほこりを落とす。05年に地下鉄七隈線とともに開業した延伸区間(新天神地下街)でも、同様の基本デザインを貫いた。
次の世代も育っている。同社総務企画部の森高凌平(りょうへい)さん(29)は小学生の頃に新地下街に目を奪われ、憧れた仕事に就いた。「時代に合わせて進化しつつも、変わらない良さを継承したい」と意気込む。