アプリ限定 2025/12/14 (日) 18:00 21
12月15日に5周年を迎えるnetkeirinは、読者の皆様への感謝を込めて、この5年間を総括する記念企画をお届けする。コロナ禍という“逆風”が、なぜ競輪にとっては“追い風”となったのか。無観客開催や取材制限といった制約が生まれる一方で、ミッドナイト競輪の台頭や配信文化の定着が進み、競輪界の売上はこの5年で約2倍に拡大した。その一方で、誘導ルール変更によって強まった「車番競輪」への懸念、検車場取材の在り方など、新たな課題も浮上している。激変の時代に競輪はどこへ向かうのか。現場を知る3人の競輪記者が“コロナ禍の5年間”を振り返り、売上急伸の背景と新時代に突きつけられた課題を語る。(取材日:11月30日)
松本直記者(デイリースポーツ、以下松本) この5年(2020年〜24年)を振り返っていきましょう。競輪界にとっても大きい新型コロナウイルスによる、取材体制の変更、車券の買い方、無観客、競輪の在り方が変わったと思うんですけど、変化、影響はどうでしたか?
松井律記者(日刊スポーツ、以下松井) 言い方が難しいけど、“災い転じて…”じゃないけど、やっぱりネット投票層の裾野がすごく広がった。それはもう民間ポータルサイトの頑張りだと思う。
松本 それこそ巣ごもり需要で、お家で競輪、やっぱりネット投票、YouTube配信番組、ミッドナイト競輪がドハマりしたのかなって。
松井 競輪って覚えるまでに割と時間がかかるし、ちゃんと理解できるまでハードルが高いじゃん? でも時間ができて家でゆっくり見られるようになったことで、競輪配信番組も増えたじゃない。『ぺーちゃんねる』もそうだけど、配信番組でも初心者の人が増えたなっていうのは、こっちも体感してるじゃない? もちろん素っ頓狂なことを言う人もいるし、俺みたいに老害の意見を言う人もいるし(笑)、その辺のぶつかり合いが出てきたっていうのは、今回コロナという期間が競輪界を活性化するための良い時間になったのかなとは思う。
松本 今まで通りのCS放送だとそういうユーザー参加型の配信はなかったですし、一方向の放送だったじゃないですか。今はユーザーの声が届くしね。SNSにしろ、YouTube のチャット欄にしろ。
前田睦生記者(東京スポーツ、以下前田) インタラクティブ(双方向)ね。
松本 インタラクティブ? ごめん意味教えて(笑)。
前田 意味は公開日に記事が括弧付きで出てるはずだから、それを確認して(笑)。
松本 ファンと双方のやり取りができるっていうのが今の YouTube で、それがあることによってみんなの競輪力が上がったというか、競輪を知りたい気持ちが高まりましたよね。
前田 新規ファンになる入り口と、そのなり方と、なってからみたいなのがね、ネットの力でこんなに分かりやすくなるとは。いや想像もしていなかったです。
松本 コロナが2020年の春。慎太郎さんが19年の立川でグランプリ勝ってその後からじゃないですか。まあうちら記者も取材ができなくなりそうだと、大きな環境の変化の中にいたじゃないですか?
松井 いやー、コロナで仕事が減ると思ったら増えたからね。やっぱりネットメディア系も増えたし、配信とかも増えたし、記者の仕事が増えたじゃない?
前田 川崎の全日本選抜競輪(2021年)が無観客ですっけ? 豊橋の全日本選抜(2020年)は盛り上がってましたよね。
松本 2020年2月末の奈良記念から無観客開催になって、4月8日に緊急事態宣言が出て、5月の静岡ダービーが中止になったんだよね。
前田 川崎全日本選抜競輪は翌年21年の2月か。それでも無観客だったんですよね。
松井 そうそう。G1を無観客っていう、あの時の取材ゾーンはやばかったよな。
前田 松井さんが下から選手を見上げて話を聞いていた姿が印象に残っています(笑)。
松井 足場を組まれてさ、シールドで覆われちゃってて、記者は鳥小屋みたいなところに行かされたよね。選手はこっち(記者の方に)来ないからさ、その足場の隙間から俺たちが寝っ転がって「武田くん! 武田くん!」って呼んでたよね(笑)。
松本 よくやってましたよね、あんなところで(笑)。
松井 選手がニヤニヤしながら「何やってんすか〜」ってやってきて(笑)。
前田 各種コロナ対策があったけど、マスクしてフェイスシールドして、その上にフェイスシールドが風で飛ばされないようにタオルを巻いてね(笑)。
松井 フェイスシールドをめぐって現場で喧嘩も起きてたもんね。する、しないで。
松本 不毛な争いをしてましたね。
松井 いたよね、不毛な人が言ってたね。
前田 毛のない人か(笑)。
松本 でも本当にそのコロナ禍を経て、取材そのものが変わりましたよね。検車場が自由に取材ができる環境ではなくなった。
松井 昔の選手は当時を知ってるから。でも新しい選手ってもう記者が控え室に来ないとか、検車場に入らないのが当たり前になってるじゃない? だからといって開放してこっちが行ったら逆に戸惑うだろうし。なんかまた取材するうえで、一から関係を構築してくっていうのも難しいところがあるよね。
前田 だからもう大きくいうと“時代”。何が合うのかっていうことなんでしょうけど。松井さんもさっき“老害”という言葉を使ってましたけど、もうさすがにもう我々みんな年取ってるからもう、20代の人に聞いたほうがいいでしょう(笑)?
松井 なんだろう、公平という名の不公平が生まれているよね。一生懸命取材したい人、とりあえずなんとなくこうポイントだけおさえればいい人とかって色々いる中で、ミックスゾーンの取材だとみんな(取材内容が)平らみたいになっちゃうから。
松本 ファンが見たいものって『東スポ』の全コメだと思うんですね。それをじゃあ今『東スポ』がやってるけど、もうその大本営の『JKA』がやりましょうとか民間ポータルさんがやりましょうとかってなるとしたらば、聞く人聞かない人が出てくる。(松井)律さんが言うように。でもお客さんのことだけ考えれば情報は多いに越したことはないんですよ。
前田 だから私はね、全部“AIコメント”になると思っています。
松本 AIコメント(笑)?
前田 敢闘門があるでしょう? レース後、選手が敢闘門に戻ってそこを通ると、その選手の思っていることがコメントになって現れるんです。
松本 だいぶ競輪の偏差値高いAIだね(笑)。
前田 たとえば郡司(浩平)が1番車で、1着とってラインのワンツースリーで帰ってきたとするじゃないですか。「2コーナーから仕掛けられてラインワンツースリーで良かったです。ただ、4角からの踏み直しが甘かったので」みたいなコメントを、郡司のレースを解析することによってAIは分かる。うん。でそれについて選手が何を感じているか分かる。そして、敢闘門をくぐった瞬間に9人分のレース後コメントがバーンと出る。で、次のレースの番組が発表になった瞬間には、次のレース用のコメントがバーンと出る。
松本 AI進化してるね(笑)。
前田 すぐですよ、もう2年後だと思う。
松井 もう無理だよ俺(笑)。メンコとベーゴマで遊んでた世代なんだから。無理だよ。ついていけねえよそんなの。
松本 でも情報は多いに越したことはないから。AIでもいいし。
松井 AI予想なんかに負けるわけないじゃん。AIって借金してないだろ? 苦労してないだろ?
前田 だから松本さんがいう“ファンが見たいもの”は検車場の中に多くあります。それが今見られなくなってるのは事実。前回か前々回か忘れたけど、WBCのバックヤードで選手たちが話をしていたようなもの。
松井 いいよね。あの大谷がみんなを鼓舞してるシーンとか。
前田 今は見られなくなったけどが、あれが競輪にもあって。そこに関しては記者クラブじゃないけどしっかり話したほうがいい時期かなとも思います。でも私はAI論者だから、2年後全てが必要なくなります。
松本 確かにね。バックヤードが一番熱いですよね。そのレースを終えて上がってきた選手の表情や声。
松井 そうだね。競輪祭で菅田壱道が阿部拓真を称えてる姿とか、荒井(崇博)ちゃんが悔しがってる姿とかさ、そういうところで“おお”と思うし、感じるものあるだろうしね。みんな一生懸命やってるっていうのが分かるからさ。
松本 コロナ禍は競輪界にとって逆風にはなりませんでした。ミッドナイト競輪の売り上げが上がりました。
前田 ミッドは車券妙味がないと思われていたけど、分かりやすくて、買いやすいという、見えないところから始まって、そこから9車立てレースを覚えるファンが増えていくという流れが斬新でしたね。
松井 ミッドナイトとモーニングの功績もでかいよね。いや、すごいよね、売り上げが。
松本 ミッドナイトで競輪を覚えたファンの人たちが競輪場へ行ってみようと思ってくれて、G1レースに来てくれる。
松井 だってほら、FIIレースが売れなくて、もうやばい、経営が成り立たないよっていったところの起爆剤で始めたのがミッドナイトだったけど、それがもう今は一番の優良コンテンツになっちゃったからね。
前田 しかもやっぱり時間帯もあってか、酒飲んでる飲まないはともかく、楽しいもんね。あの時間にフラフラ車券買うのが。
松本 うちらも飲むタイプだからね。夜9時以降に車券を買えるのは、1人でも楽しいし、ワイワイみんなで飲んでいても楽しめる。
松井 おかげで趣味が減ったよね。野球を見なくなった。サッカーを見なくなった。朝から晩まで競輪をやっちゃってる。
前田 うん、だから新しい音楽を探して聴かなくなった。いまだにボブ・マーリーを聴いてます。
松井 いや、俺はまだモテたいから…。
前田 そうか。松井さんは常に探しているのか新しい音楽を(笑)。
松井 ただ映画を見る時間も本を読む時間もなくなったな。競輪のおかげで(笑)。
松本 23時30分まで走ってるからね。
松井 スマホで競輪を見てるもんね。移動中も。
松本 7車立て、9車立て。車立てに関して持論はありますか?
松井・前田 S級は9車。A級は7車がいいなとは思う。
前田 最初に浅井康太が指摘したんですよね。「7車立てのレースばかりだと、G1で通用するような若手が育たない。選手のレベルも上がらない。いろいろマイナスの弊害が出る」と。その“浅井が早い段階で言っていたこと”を、今になって本当に痛切に感じています。だから僕としては、S級はやっぱり9車が理想なんですよ。もちろん“今すぐに全部9車に戻せ”という話ではなくて、あくまで理想としては、ね。
松本 S級を全部9車立てにしちゃうと選手数が足りなくなっちゃう。開催数を確保できなくなる。それがあることも要因かもしれませんね。
前田 協賛G3が何個増えてんのっていう状態になっていますからね。選手が足りません。
松井 各競輪場に“ミャクミャク”がいたもんな。何体いるんだよってぐらいいたよね。どこへ行っても(笑)。
松本 この5年での大きな転換というと、ルール、とくに誘導(先頭員早期追い抜き禁止)のルールが変わりました。あれは2019年か。
前田 そう、あれは競輪界にとってものすごく大きい出来事でした。
松井 一番はやっぱり、前受け有利というか、車番の重要度が上がったんだよね。スタートけん制は減ったけど。
前田 “車番競輪”という側面がちょっと出てるのは良いことか悪いことかはわからないんですけど、そのレースの形の枠組みが狭まったことは間違いない。
松井 初手の予想が、1枠、2枠に強い人がいちゃうと、そっちで決まりやすくなっちゃった分、初手の並び予想が違っただけで、みんなの予想が全部崩れる。頼りすぎると怖いよね。あれもね。
松本 普通の開催だと番組編成が意志を持って車番を入れるけど、ミッドナイトには点数順車番があって、やっぱり有利不利が出ちゃう。車番のあり方について、もう少し考えたいですよね。
松井 だから車番とスタートが速い選手を知ることで、予想力がアップする時代にはなったね。
前田 オートレースはスタート欄にスタートがはやいかどうかが書いてあったりしますしね。
松本 ガールズケイリンとかボートレース(SG戦)もそうだけど、準決勝で良い着を取った選手が1枠をもらえるみたいなルールが、男子の競輪でもあってもいいのかな。どうしても競輪は地元とホームバンクが重要視されてるけど、G1では興行性もあるんでしょうけど、もう少し公平性があってもいい。頑張った選手が報われるためにも。
松井 難しいよね。例えば、毎年G1を開催している岸和田とか小倉とかあるじゃん? だけど、もう何年に1回しか開催されないところがあるじゃん。だからG1の舞台で、地元びいき枠だったり、組み方というのはちょっとね。記念、G3はそういうもんだと思ってるけど、G1レースはもっと公平がいいな。
松本 グランプリ覇者の1枠っていうのが競輪の場合は決まっちゃってるからね。僕、G1の準決勝の1着選手1、2、3枠で、1、2、3の序列はそこまでの2次予選なり2日目のレース格とかでいいと思うんですよ。明文化されたものじゃなくて、番組編成の意図でそう入れても、誰も文句言わないんじゃないのかなと思うんですよ。
松井 文句言うやつは何やっても文句言うよ。いるよ、そういう人は(笑)。なんで俺、地元でこうなんだってさ。おまえ点数ないんだからしょうがねえだろうとは思うけど、全員は可愛がれないからね、たとえ地元であっても。
松本 競輪界のルール変更はね色々あるから、それにいち早く対応した選手が結果を出してますね。
松井 でも“大ギア”。あん時ほどはレースは変わってないと思う。
前田 大ギアのときは一気にいろんなものが変わっちゃった。パワーのある自力が全盛。追い込み屋はほぼ出番なしみたいなね。私としてはもうちょっと“コク”のある戦い。もう一手、レースが動く方がいいのかなと思いますけど。
松井 間違いないね。9車立ては特にね。A級の7車立てはしょうがないと思う。行ったっきりで。もう引いたら無理だなとか。予想もシンプルだしね。
前田 今、明らかにスピードを競いましょうという流れは確かに建前としてあります。でも頭と技術と意地を競うようになってほしい。たとえば400バンクでいったら、赤板の残り2周で誘導員退避ですけど、それを2周半にしちゃう。そうしたらこの半周を埋める動きを、頭と脚と意地で埋めないといけなくなる。その時誰が強いのか。気になります。
松本 競輪力の強い選手。あとは度胸のある選手かな。
前田 例えば、この半周延びるだけで、違う競技になるんです。あくまで好みですけど。
松本 ギャンブルという面で考えたら、すごく今の“車番競輪”はわかりやすく買えるというか。
前田 サイコロ2個振るのか3個振るのかみたいなね。
松井 ボートの真似事にも見えるしね。でも、もう競輪が売り上げ回復してるんだから、今度はまた競輪独自のしっかりハマってくれる新しいものをつくっていけるといいんだけどね。でもルール作ってる人も昔の競輪を知らない世代になってくるからさ。やっぱ変わってっちゃうんだと思うけどね。
前田 そう、我々は取り残されていくんですよ。
松井 懐古主義はね(笑)。
松本 あとは、養成所ですね。2019年4月に「日本競輪学校」が「日本競輪養成所」になりました。
前田 候補生の髪型が緩やかになったとかね。
松本 養成所になってからいいところ、悪いところありますか?
松井 うん。でもなんか休みの日だけ携帯電話の使用がオッケーだったりとかさ。1年ぐらい我慢しろと思っちゃうんだよね。老害(笑)?
前田 競馬の方ではスマホ持ち込み問題がだいぶ話題になりました。
松井 そうならないためにも叩き込んだ方がいいと思うけどな。iQOS取り締まってる場合じゃねえだろうと思う。どうやって通信すんだよ(笑)。
松本 周りから隔離された環境で、携帯電話もなく、髪型の自由もなく、ちょっと理不尽なところで、訓練、訓練、訓練。それを乗り越えた先に競輪選手があるんじゃないのかなっていう。養成所の卒業記念へ取材に行くと、髪が長かったり、違和感ありませんか?
前田 坊主の候補生だと逆に“なんかやったのか?”と思っちゃいますしね。
松本 もちろん養成所には養成所のいいところもあるんだと思うんですけどね。
前田 あと、競輪には横の動きがあるので、横の動きも教えた方がいい。技術なんだから、うん。
松本 あとは競輪場のリニューアルがありましたね。売り上げがいい、施設が改善できる。前回の競輪祭、3人とも取材に行ってましたけど、お客さんが競輪場に来ている。この点に関してはどうですか?
松井 活気が戻るっていうの? その昔、俺が見た“原風景”っていうのがあって。競輪場のお客さんが穴場にずらっと並んで、もう買えないくらい活気があった、ああいう時期ね。でも今は、もう閉めちゃってる穴場が大半じゃん。自動券売機で。大抵の若い子はスマホで買ってるしさ。スタイルはすっかり変わったよね。だけど、この間の小田原記念で、1コーナーと2コーナーのスタンドがなくなったところを、お客さんがぐるっと取り囲んでるのを見たときに…うん、あれは本当に嬉しかったね。
前田 新しいファンであったり、地域の家族であったり、ターゲットをちゃんと絞った企画イベントもしっかりしていて、裏付けのある集客。そこでもうほんとに楽しそうにしているファンの姿を見ていると、なんかねこのまま倒れて死んだ方がいいかと思うこともある。
松本 まだまだやることあるでしょ(笑)。
前田 それぐらい本当にいい時代になったなとは思ったけど、松本さんもXで投稿していたけど、人が集まると電波って足りなくなるんですね。
松井 Wi-Fiがね。
松本 ほんとに前田くんも僕も書いたんだけど、現場にいるならばもちろん競輪場で券売機で車券を買うのが一番なんですよ。だけど、その券売機で買うのに、あのメガホン持った警備員の人たちが締め切り何分ですとか言ってたりとか。それぐらい穴場に行くのも大変だったんだよね、こないだの小倉競輪は。今のお客さんって選手を推してるファンの人結構多いじゃないですか。席を離れたくないんですよね。だからやっぱ自分の席で完結したいんですよね。
前田 両面構えじゃないと買えない。指定席じゃないから。
松本 調べたら中央競馬のビックレース、ジャパンカップ、有馬記念だとドコモとかauとかソフトバンクは臨時基地局っていう車を持ってきて、電波を飛ばすんですって。JKAも補助事業の一環で“電波カー”とか作れないかなと。
松井 いつだったかのグランプリの時もあったよね。障害が出て電波障害で買えなかった。
前田 なんか電波基地局っていうと、なんか自分のことを言われてるような気がする(笑)。
松井 でも一番驚いたのはやっぱり“松本さん”ですよ。場内を歩いたらファンの人に声をかけられて。
前田 近藤真彦が歩いているのかと思いました。
松井 それも古いけどな(笑)。松本の記者席の後ろがお土産の山で。バレンタインの日のアイドルの楽屋みたいになってていて。やばいよね、あれ。
前田 すごい時代がきたなと、松本さんを見てても感じます。
松本 Youtube のおかげです。でもほんとに人すごかったですね。民間ポータルのブースにもすごい人が。だから、民間ポータルの功績っていうのは大きいですよ。「チェックイン機能」とかが電波がなくてできなくなったら本末転倒。
前田 アナログな考えじゃないけど、人が集まって電波が足りなくなるって競輪において考えたことがなかったんですよ。
松本 ありました? 5、6年前に決勝の前に競輪場で電波がなくなることなんて。
松井 小田原とか伊東が山に囲われて電波が届かなかったことはあったけど(笑)。
前田 時代が変わったということですよね。新しいステージに進まないといけない。
松本 この後、来年のビッグレース開催地が綺麗になった熊本競輪場と防府競輪場じゃないですか。どちらかというと両方ともコンパクト化をした競輪場だから、お客さんきっと集まるはずなんで、どうにかお客さんがつまんない気持ちにならないような対策はしてほしいですね。
松井 イベントとかも楽しくやってるよね。すごい努力している。
前田 戦隊モノを呼べば子供が来る。その子供が自転車を見る。そこで楽しんで競輪選手になりたいと子供が言い出す。うん、そういう時代なんだ。時代、テーマは時代です。時代は変わりました。
松本 どん底の競輪の売上は6,000億円だった。ところが2024年には1兆3,000億円。売り上げが2倍になりました。
松井 6,000億の時にボートが2兆超えていたんだよね。3分の1になっちゃったんだよね。俺が記者になった時は、まだ競輪とボートの売り上げがトントンぐらいだった。
松本 アカケイからデイリーに入った頃だから13年前かな。売り上げがどん底から倍増になるだなんて。今年も1.2倍とかのペースで増えてるんでしょ。
前田 どん底の時はどこの場も廃止? 議会でこんな話が出ています! とかばっかりでね。選手会が署名じゃないけど、活動どうしようか考えてます、と。あの時は暗澹たる気持ちでしたよ。
松井 廃止論とか議会で問題になったりとか、小田原もそうだけど。それが、投資をしてスタンドを綺麗にし、改修、改修じゃん?
松本 そうですよね。最近では伊東、立川、向日町、奈良。で、広島がオープンして、佐世保も綺麗になる。
松井 静岡と平塚と川崎は割と綺麗にしてたけど、それぐらいしかなかったもんね。あとはもう屋根が落ちてたりとかさ、ボロボロ剥がれてたりとか、鉄柱が錆びてたりとか、そんなんばっかり見てきたから。死ぬまで見ていけそうだよね、競輪を。
松本 綺麗になる競輪場には、強い電波と強いwi-fiを。では最後にそれぞれのこの5年を漢字一字で表して終わりましょう。
前田 「浮」。停滞期からの浮上、浮揚、そして浮かれている現状もあるのでは、という理由です。
松井 分岐点、岐路の「岐」。売り上げが上がり、多くの競輪場が改修工事に着手し、新たな媒体や配信番組も増えました。選手賞金も上がり、まだまだ業界に伸びしろを感じられるのは喜ばしいことですが、その裏で変化も起こっている。ベテラン選手と若手選手の考え方にズレがあるのは世相と同じで、それは古参のファンと、新規ファンにも当てはまる。きっとルールを作る側、運営する側も世代交代が起こっていて、変革の時期にきたと思います。売り上げや視聴数を追い求めるだけでなく、信頼されるシステム、長く愛される競輪を業界全体で作り上げて欲しいと思います。
松本 「賑」。2020年1月に国内初の新型コロナウイルスの感染者が確認されて、2月末から競輪の無観客開催が続き、5月にはGI最高峰の日本選手権(静岡)が中止。年末の平塚グランプリは限定入場と古参のファンには制限された競輪ライフが続きました。しかしその期間にネット投票で競輪に触れた新しいファンが、ここ数年競輪場へ来場して大きな渦を巻き起こしています。競輪人気は右肩上がり。ビッグレースは大勢のファンであふれています。古参のファンと新規ファンがぶつかり合うことなく、この賑わいがさらに大きくなることを願って「賑」の一文字を選びました。
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