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ホルモン牛の闇

さらに衝撃的なのは、第4章「危ない食料は日本向け」。危険物は農薬、あるいはホルモンだ。

農薬の方は、米国から柑橘類などの輸入が始まった70年代に遡る。日本では収穫後にカビ防止の農薬をかけることは禁止されているが、アメリカはこの農薬なしでは日本にグレープフルーツやレモンを輸出することができない。そこで米国は、日本がその規制を外さなければ、日本車の輸入を制限すると脅し、日本政府が折れた。それも、収穫後にかけた農薬は、“農薬ではなく食品添加物”ということにして認可した。鈴木氏曰く、「農業・食料を犠牲にすることで輸出産業の利益を守ろうとする構造はいまも変わりない」(以下、引用は全て前掲書より)。

一方、ホルモンに関しては、成長ホルモンを使うと利益が上がるので、酪農家としては使いたい。米国ではエストロゲン(医学界で乳がん細胞の増殖因子とされているホルモン)などの成長ホルモンが、乳牛に耳ピアスのようなもので肥育時に投与されているという。

そこで、EUは20年以上も前からそれらホルモン牛の輸入を禁止し、以来、どんな米国の脅しにもめげず、未だにそれを死守している。EUでは、因果関係は証明されていないとはいえ、アメリカ産の牛肉を禁輸して以来17年で、乳がんの死亡率が45%も減った国まであるそうだ。

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さらに恐ろしいのは、専門家が「安全」というと、それは「安全かどうかわからない」という意味だという鈴木氏の言葉。「なぜなら、『安全でない』という実験・臨床試験結果を出したら、研究資金は打ち切られ、学者生命も、もしかしたら本当の命さえも危険に晒される可能性すらあり得る」から。

いずれにせよ、日本では、国内では成長ホルモンの投与は認可されていないが、「すでに消費量の70%近くを占める輸入牛肉については、ごくわずかなモニタリング調査しか行っていない。しかも、サンプルを取ったあとは、そのまま通過させて市場に出ていくので、実質的には、ほとんど検査なしのザル状態になっている」。

その結果、何が起こっているかというと、オーストラリアは、EUに出す牛肉はホルモン・フリーにしているが、日本に出す牛肉は「ホルモン・フリー」と明記していない限りは、ホルモン牛の可能性が限りなく高い。しかし、日本人は、日米貿易協定が2002年1月1日に発効して以来、アメリカ産の安い牛肉に「喜んで飛びついている」。

また、「ラクトパミンという牛や豚の餌に混ぜる成長促進剤にも問題がある。これは(中略)EUだけでなく中国やロシアでも国内使用と輸入が禁じられている。日本でも国内使用は認可されていないが、輸入は素通りになっている」と鈴木氏。

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