居酒屋で出会ったおっさんと軽いノリで作った組織 作:エドモンド橋本
「……て事なんです!だから私の方からも2人に協力して欲しいです!」
「なるほどね」
ハルカちゃんの話によるとやはりマグマ団とアクア団はグラードンとカイオーガを復活させようとしているみたいだ。既に計画は実行に移されており、それぞれが眠る場所の近くに彼らはアジトを立てているとの事。ハルカちゃんと、その友人であるユウキ君は、力を合わせてそれを阻止する為に戦ってきたようだ。それにしても、グラードンとカイオーガが本当に復活したら、神話が創作ではなく史実だった事になる。そうするとアルセウスの存在や巨人伝説も一気に真実味が増す事になり、俺達の計画にも拍車がかかる。しかし、目覚めた2体が争いを始めたら、巨人の子が眠っている可能性のある遺跡やほこら、神話や伝説の鍵を握る歴史的書物や建造物が破壊される可能性がある。
「サカキ、これは絶対阻止しなきゃいけねえぞ」
「無論、理解している」
「わぁ〜」
不味いな、これはちゃっちゃと片付けないと本当に面倒な事になりそうだ。うん、だからハルカちゃん。そんなキラキラした瞳を向けないでくれ。君が思ってるような正義感溢れる立派な大人じゃ無いのよ僕達は。
「ん?いや、しかし」
何か気になるのかサカキは顎に手を当てて唸っている。どうかしたのかと視線を向けると、現状を整理するように話し始めた。
「話を聞く限りでは、既に計画は終盤に差し掛かっているな。ならば何故、後少しのところで、あれだけの人員を割いて先程のような騒動を起こしたのか」
「……あ〜、そういう事か。これは、思ってたより不味いんじゃね?」
「え?え?どういう事?」
未だ理解出来ていないハルカちゃんに、出来るだけわかりやすく、順を追って説明する。
「あのね、マグマ団とアクア団はそれぞれグラードンとカイオーガの復活を企んでいる。そして、それは何度もハルカちゃん達が阻止しようと頑張って来た訳だよね?」
「うん!ユウキくんと一緒に!」
「でもね、2人が頑張れば頑張る程奴等からしたら迷惑な訳だ。最初は子供相手だと甘く見てたけど2人は予想以上に強かった。そして復活まで後少しのところで、邪魔をされると困る。なら、奴等としては2人と戦いたく無い」
「うん?」
「だから、カナズミシティで破壊行為を行えば、優しいハルカちゃん達は助けに来る。その隙に計画を完了させる気だったって事」
「あ、あーーー!!!私嵌められたんだーーー!!」
ようやく納得したのか、ハルカちゃんは頭を抱えて地面に倒れた。
「ちょっ!大丈夫?」
「せっかく頑張ってきたのに、これじゃあ、もう」
「諦めるのか?」
腕を組んだままのサカキは、ハルカちゃんには目を向けずに言葉を続けた。
「お前達の頑張りが真に無駄になる時は、自ら諦めた時だ」
「う、うぅ」
流石に子供には重すぎるサカキの言葉に苦笑いを浮かべ、一応フォローを入れる。
「ハルカちゃん、君には一緒に戦ってくれる友人の存在があるだろ?それに、隣には君と共に成長したバシャーモがいる。大丈夫、君は負けない。ほら、俺たちも手伝うから」
「お兄さん、ユウキくん、バシャーモ」
ゆっくりと顔を上げたハルカちゃんの目は涙に濡れていたが、まだ死んでいなかった。
「ぅ、うん!!私止めて見せる!!ホウエン地方が、この世界が好きだから!!海も大地も、どっちも今のままがいいもん!!だから、お願いします!!力を貸してく」
勢いよく立ち上がったハルカちゃんは覚悟の決まった顔付きで俺たちに頭を下げようとした為、彼女の肩を掴んでそれを阻止する。
「俺達がやりたいからやるんだ。頭を下げる必要は無い」
「はわわわあ〜〜」
やばい。尊敬の眼差しがすごい。単純に小さい子から頭を下げられる事に物凄い罪悪感を覚えたからなんだけど。これはこれで申し訳ない。
「それで奴らのアジトはどこに?乗り込むなら早いほうがいい」
「それなら」
ハルカちゃんが説明をしようとした瞬間、東の空が眩い光に包まれた。その眩しさから腕で顔を隠し、光が消えるのを待った。ゆっくりと腕を下ろし、改めて東の空に目を向けると、俺は言葉を失った。
「う、うそ」
ハルカちゃんの小さな体が小刻みに震えている。赤い体色、怪物のような身体。その存在感だけで他に与えるあまりにも大き過ぎる絶望。しかし、俺はその姿に自然と笑みが溢れた。そいつの存在は、俺達の目的にとって大きな意味をもたらした。
「こいつは凄えぞ、サカキ」
「ああ、やはりカイト、君に出会えたのは運命かもしれん」
その日、グラードンが目覚めた。
カグラ団の服装を統一した方が良いか
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YES
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NO