維新の「国保逃れ」疑惑に火をつけたのは大阪自民 府議定数79分の6議席から見せる逆襲

大阪自民の針路(下)

自民党大阪府連大会終了後、記者団の取材に応じる松川るい新会長(右から3人目)。左から2人目は杉本太平府連幹事長=21日、大阪市中央区
自民党大阪府連大会終了後、記者団の取材に応じる松川るい新会長(右から3人目)。左から2人目は杉本太平府連幹事長=21日、大阪市中央区

自民党大阪府連の新執行部が発足した直後の23日、府連幹事長(府議)の杉本太平(49)は上京した。党本部で面会した相手は、元首相で党副総裁の麻生太郎(85)。杉本は「党本部との連携を今まで以上に強固にしたい」と伝え、麻生も「当然だ」と応じた。

杉本の脳裏には苦い記憶があった。安倍晋三政権時代、日本維新の会に政権とのパイプを握られ、自民党本部と府連の関係が希薄化したとのイメージが定着した。

「自民の本流は維新じゃない。地方組織であるわれわれだ」。杉本は語気を強める。現在は、安倍の後継を自負する首相(党総裁)の高市早苗(64)に維新が接近しているとして「党勢拡大には党本部との連携強化が鍵になる」と語った。

参政に13万票差つけられ

そもそも「反権力」の志向が強い大阪で、長年政権を担ってきた自民の支持は必ずしも盤石ではなかった。自民への逆風が吹き荒れた7月の参院選では、自民候補の元衆院議員、柳本顕(51)が新興の参政党の候補に13万票以上の差をつけられ、涙をのんだ。

参政代表の神谷宗幣(48)は大阪府吹田市議から政治家人生をスタートさせ、平成24年衆院選で自民候補として大阪13区から立候補した過去がある。神谷は自民府連弱体化の要因を「『顔』になる人材がいない」と指摘した。

近年の自民府連会長は入れ替わりが激しい。神谷が挑んだ24年衆院選のころから数えて、現会長の参院議員、松川るい(54)は10人目。最近の在任期間は長くて1年半ほどで、記憶に残りにくいことは間違いない。

「二元代表制が崩壊」

松川の最優先課題は、次期衆院選と令和9年の統一地方選に向けた組織の基盤強化だ。

大阪では現在、知事と大阪市長、さらに府市両議会の過半数をいずれも維新が押さえている。ただ、杉本ら複数の自民府連関係者は「大阪府市では二元代表制が崩壊している」と危機感を示す。

二元代表制は、選挙で選ばれた首長と地方議会の議員が両輪となって自治体行政を運営する仕組み。議会は、首長が提案する予算案や政策の適否などをチェックする。

杉本らの危機感は、首長と議会の過半数勢力が同じ党派で、監視機能がきちんと働いていないというものだ。「あるべき姿ではない」。自民府議の占部走馬(うらべ・そうま)(41)も府議会の現状に問題意識を持つ一人である。

「復活には30年」

今月10日の府議会本会議。一般質問に立った占部は維新の地方議員が国民健康保険料の支払いを逃れるため、負担の低い社会保険の加入対象となる一般社団法人理事に就任しているのではないかとただした。知事で維新代表の吉村洋文(50)は急遽(きゅうきょ)、所属全議員に対する実態調査を指示した。

「国保逃れ」疑惑は国会でも追及され、維新の調査結果次第で問題が広がる可能性がある。議論に火をつけた占部は「維新以外の政党がしっかりと役割を果たさなければならない」と強調する。

こうした問題提起をしていくことは、苦境に直面した自民府連にとって再生の針路になり得る。もっとも、府議会(定数79)で占部が所属する自民府議団は6人。政治における力は、いうまでもなく数であり、選挙で同志を増やす必要がある。

「府連の復活には30年かかる」というのが持論の杉本は「自民党は国民政党。地域に根差し、住民の声をすくい上げる。そうやって選挙に強くなる」と語り、原点に立ち返る考えを示した。

「高市首相との連携を深め、一人ずつ地方議員を増やし、維新との差を少しずつ埋めていく。活路は、そこにしかない」=敬称略

維新に勝てない「大阪自民」の混迷 確執体質で結束できず(上)

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