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⑧『ブルーバードバトル』制作裏話


※この記事は制作者向けです。純粋なプレイヤーの方は閲覧を推奨しません。


はじめに

私たちは、京都を中心に活動するアマチュア制作団体『白鯨』です。
この記事は、白鯨が作った3つ目の作品『ブルーバードバトル』の制作裏話です。
制作の時に考えていたことを、ここにまとめています。


そもそも私たちをよく知らない方は、下のnote記事ポータルにアクセスして、①から順番にご覧ください。


また、この記事は謎解き制作者向けの「ブルーバードバトル」制作裏話です。
作品の内容は、以下の記事をご覧ください。


セージ :主に文章/司会/デザインを担当。見せ方へのこだわりが強い。
たっつー:主に制作進行/物品を担当。コンセプトへのこだわりが強い。

テーマ・コンセプト

『ブルーバードバトル』のテーマ

セージ:『ブルーバードバトル』を作るときのテーマは何だったんだろう(テーマとコンセプトの整理については、『緑光実験』制作裏話を参照してください)。

たっつー:そういわれると難しいですね。ただ、このコンテンツも例にもれず「信頼」というキーワードが先にありました。テーマとしては「信頼」なんですかね。

セ:テーマは「信頼」のはずだ。「はず」というのは、結局違う感じになっちゃったのよね。「探索」が強くなりすぎた。

た:そうです。俺たちはこの「信頼」と「探索」のバッティングに苦しんだんですが、どちらも単語として強すぎましたね。強いキーワードが2つも存在していたから、あんまりイメージが掴めなかった。

セ:本当はコンセプトだったのに、強すぎてテーマが2つ、みたいになってしまった。

テーマは一つに、そして揺るぎない自信をもって。


『ブルーバードバトル』のコンセプト

セ:さて、コンセプトの話をしよう。

た:「探索」っていうワードを出したのはセージさんでしたね。元々、『ブルーバードバトル』は周遊形式で考えていた。アーカイブを残す以上、公演型、持ち帰り型と来たら、周遊型も残したかったからです。結局、学びが多い作品とは言いがたいですが。

セ:そう。それで、周遊から広げたイメージの1つが探索だった。周遊と探索って必ずしも結びつくものではないんだけど、今回はパチンと繋がった。というより、周遊という形式で「信頼」を表現するツールとして「探索」が浮かんできた、というのが正しい。

た:もう少しかみ砕きましょうか。記事なんで。

セ:はい。元々、探索って謎解きの中ではかなり異質な行為だなと思っていて。

た:ほう。

セ:謎解きって、小謎にしろ大謎にしろ、1つの解がしっかりと定まるものだよね。でも、探索にはそれがない。これが1つ目の特徴。

た:探索に唯一解があるとすれば、その場を見る前から「ここにある!」と確信することになる、のかもしれませんが、公演だとそんなことはないですね。焦って色々なところをひっくり返して、ようやくカギが出てくる。

セ:それ。その唯一解を意図的に作り出せれば面白いかな、と思った。作り手と遊び手の意図を通じ合って、しらみつぶしではないのに、なぜか場所が確定していく。探索にまつわる初めての体験になる。

た:それと、2つ目の特徴って何ですか。

セ:探索って、何も作問してないよね。現代、謎解きはコンテンツ化されたけど、本来の謎は、人が人を楽しませるために作った意図的な存在じゃない。そんな時代に人々が頭を悩ませた謎って、宝の地図とか、そういう"探索"だったんじゃないかねぇ、と思った。今の形に進化する前の原初の謎として、僕は"探索"という存在をみた。ただ物がそこに存在しているだけなのに人を動かす力として作用する、原初の概念。これが2つ目の特徴。

た:ふむ。なるほど。

セ:凄くシンプルで、一見僕たちが何もしていないのに、プレイヤーの体が自然とターゲットに向けて動いていく……。それこそまさに「信頼」じゃん。そんなゲームが作れるんじゃないか?っていう直感があった。

た:聞いてると面白そうです。このあたりまで出てくると、普段ならコンセプトまで固まっちゃうんですけどね。でも、今回は上手くいかなかった。

セ:作ってみた結果、ぜ~んぜんダメだね!って感じだったね。元々の『ブルーバードバトル』のアイデアでは、ターゲットはすべて存在していた。結論から言うと、それだけで実装すると面白くならなかった。まったく。

た:そう。一つ目に、探索って一枚謎みたいに単語で答えが出てくるわけじゃないから、ある程度「ここかな?」と予想できたとしても、他の場所ではないという確信がないんです。要するに、ひらめいたときの快感が小さい。
二つ目に、探索って"ターゲットが出てくる"っていう報酬しかなくて単調なんですよね。それ自体の面白さを核にするのは、ゲームとして根本的に辛い。

セ:面白いことに、これはそれぞれ、僕が言っていた「探索の特徴」と表裏一体の関係にある。要するに、僕はコンセプトを設定するためのビジョンをまるっきり間違えたんだ。完全な振りだし。笑っちゃうね。

た:それで、もう少し衝撃というか、コンテンツとして核に据える面白さが欲しいな……と話し合っていたんですよね。そんな、かなり苦しみながらのブレインストーミングで、面白いラストを思いついた。

セ:「靴の裏にシールを貼って、それに気づかせる」っていうラストの話ね。たっつーが「結局、意識外から物が出てくるのが一番面白いんですよ」と言ってから、割とすんなり靴の裏という場所に行きついた。

た:どうして「靴の裏」になったかについてはあとにしましょうか。とりあえずこの時点で「靴の裏にシールを貼ってそれに気づく衝撃」という少し具体的なものが、コンセプトに位置する形になりましたね。それに加えて、自信のない道中部分が宙ぶらりんで残っている状態、と。これ以降は記事の後半に飛びます。

信じて進めた結果、諦めることもある。
正解のビジョンだけを抱き続ける方法は未だに分からない。

全体構造


ひらめきとは

セ:ノウハウを残そうねって銘打ってるし、テクニカルな話もしないとね。僕たちが「探索」「衝撃のラスト」という点から「靴の裏を探索する」というアイデアにたどり着いた過程の話をしようか。

た:これは探索に限った話ではないんですが、「ひらめきとは何か?」という話を先輩としたことがあります。
ハードナッツの先輩と話してて、結局掴めたような気もするし掴めないような気もしたんですけど。俺個人としては、ひらめきの面白さとは「ギャップ」なのかな、と理解しました。いったんそれで話を進めて良いですか。

セ:いいよ、続けて。

た:ギャップというのは、解いたあとで振り返ったときの印象と、最初に謎と対峙したときの印象のギャップです。この2つの落差が大きいほど、一般的には面白い。
謎は、解いたあとで振り返ったとき、その解決方法が直線的、直感的な印象であるべきだと思います。あくまで多くの人は「分かった!」という快感を求めていて、それ以降の作業が好きなわけではないはずなので、そこからゴールまでは短い方が嬉しい。分かったらパッと辿り着く、というか。そうじゃない良い謎もあるんですけど、60分のホール型公演なら時間的にも限界がありますし。
でも、謎は初見では「分からない」という印象を持たせる必要がありますね。直線的・直感的に問題を解いたり課題が解決できたりしてはいけない。そのギャップをどう作るのか、というのが謎解き制作の腕の見せ所です。

セ:なるほどね。

た:その手法はいくつもありますが、代表的なものに「情報量が多い」というのがありますね。キットの色々なところに文章を紛れ込ませておく、という。これは、初見での謎の印象を複雑にするには良い方法です。ただ、解いたあとに振り返っても直線的・直感的には見えにくい。情報を丁寧に拾い上げて、それを根気よく読み上げて作戦を立てて、ラストに臨む。かなり複雑な行程を辿っていて、初見とのギャップが小さいんです。

セ:確かにね……。情報量が多い公演、僕もあんまり好きじゃない。

た:逆に、リアル脱出ゲームなどで古典的なテクニックとして使われてきたのが、「前説で言ってることは大切」ですよね。この手の情報は、必要な時に手元にありさえすれば、課題を簡単に解決できる。例えば前説の直後にラス謎があれば、ほぼ全員解けちゃうと思います。
でもこの手法は、"前説からラストまでの時間"というツールを使って情報を意識外に追いやり、対面するころには、ラス謎を一見複雑なものに見せることに成功している

セ:まあ、もう使い古されちゃって中々お目にかかれないけどね。

た:あんまり例を上げすぎると良くないので最後にしますが、他の良い例に「常識」を利用すること、がありますね。
人間の体の60%は水だとか、1日は24時間であるとか。当たり前すぎて、ゲーム内にも登場しない情報。これらを情報の核として利用する謎は、上手く作れば、振り返ったときに凄く直線的に見えると思います。当たり前のことしか言ってないんで。
でも、初めて謎に出会ったときはゲーム内に登場している情報しか頭にないから、うまく意識の外にある。これを利用すると、とてつもなく複雑な謎に見えることがある。難しいのは、ゲームの中で平等に触れた情報じゃないから、人による感度の差が著しいことですね。人によってはめちゃくちゃ難しいし、人によってはホンマに簡単になるかも。

セ:あ~腑に落ちた。この例を上手く示した素晴らしい漫画があるので、良ければ40話くらいまで読んでください。

謎の面白さとは、初見のときの印象と、解いたあとで振り返ったときの印象のギャップである。


「靴の裏にシールがある」というアイデア

セ:さて、謎の面白さをそのように捉えていたからこそ、面白い「探索」ってのは、正解と初めの考えに距離があるものなんじゃないの、ということになったんだよね。もうちょっと具体的に言うと、後から振り返ると見えているはずなのに、当初は意識外だった隠し場所からターゲットが出てくる、というか。

た:最初は「一度探索した場所」なんていうアイデアも出ましたね。最終的には、結局は「自分の携行品」になったんですけどね。

セ:「一度探索した場所」は「実はそこにありました」と言われたときの納得感を作ることが難しいな、って話になって、やめたんだよね。その点「自分の携行品」は、「ずっと身近にあるのに探索していない場所」ということになる。まさしく意識外。

た:プレイヤーの携行品の中で見つかりにくく、かつ触ってもギリギリ許容されるところで思い浮かんだのが、靴の裏でした。不快感を覚える人もいるかもしれないけど、飲食店とかで勝手に靴を揃えられることもあるし、ここは許容範囲内だろう……と判断した形です。

セ:もしかしたら不快感を抱いた人がいたかもしれないから、配慮が十分だったかという点は反省が残るところ。とはいえ、靴の裏に隠す、というところから「シールを貼る」というアイデアにすぐ辿り着いた、というのはよかった。

自分たちの中にある論理を用いて、深く掘り下げる。
きっと何かしらの結論に至るはずだ。

最終問題の出題タイミング

た:そういえば、出題タイミングを21時の一斉送信にした理由も書くべきですね。とはいっても複合的な理由ですが。

セ:書いておくべきだね。まずは、時間を空けることで、靴の裏を見た時に「いつ貼られたのか?」をパッと見でわかりにくくするため。

た:最終回の前説が16時ごろで、最終問題の出題が21時ごろなので、少なくとも5時間くらいは誰も靴の裏に触ってないはずですからね。よく考えれば思い当たるけど、その瞬間は驚きを作り出せるはず。

セ:次に、会場内を探索させないようにという理由。

た:これが一番大きい理由でしたね。他の可能性がいくつも見えている状況では、正解に至ったときの納得感が減ってしまう。さっきの面白さの話で言うと、振り返ったときに強い直線に見えない。辿ってきた線そのものは直線かもしれないけど、薄い線にみえたり、いくつも線があるように見えたりすると、「なんで解けなかったんだろう、悔しい」という感情が起こらない。いわゆる"沼"に陥らせないように最初から選択肢を狭めてしまおうという感じ。

セ:あとは、他の人を見て気づいてしまうことを防ぐためだね。会場内で靴の裏を見ている人が発生すると、それを見て気づきうる。このリスクを完全に消すことは出来ないけれども、減らしたいと。

た:これを徹底するならもっと遅い時間でも良かった気もしますけどね。

セ:そうね、でもかえって気付きづらくなりすぎてダメ、という話になった。靴を脱いで家でくつろいでいると、靴にピンとこないし、ピンときても靴を見ない。これは一般的な話じゃなくて、緑光実験のときに書いたチューニングの一例だね。

最終問題を一斉出題にしたって良い。
プレイヤーのストレスなどのデメリットと比べてメリットが大きければ問題ない。

予防線

た:実は『ブルーバードバトル』の告知では、ミスマッチを防ぐ以上に注意したポイントがありますよね。

セ:注意事項だね。靴の裏にシールを張る以上、靴が汚れるかもしれないことを念押しした。

た:個人的には、そこまでする必要あるかな~と思いましたけど。

セ:いや~、重要だと思う。冷静に考えて、人の靴を汚損するって大変なことだよ。確かに靴の裏は地面に接着する面だから多少汚れてるだろうけど、毎日手入れするようなお気に入りの靴がある人もいる。だから、最低限汚れても良い靴で来てもらおう、と。

た:なるほど。

セ:あと、ここだから書ける話だけど、批判が出た時のカウンターという面もある。僕たちは吹けば飛ぶ零細団体だし、問題が起きたら弁償してたかも。
でも、仮に本当に気分を害された方がいた時「我々のミスです。弁償します。」とするのと、「注意事項の書き方が不十分でした。徹底します。」では、受け取られ方が全く違う。前者だと、ただのミスした団体。でも後者だと「本当は悪くないのに対応する良い団体」に映る。
打算的だけど、問題対応したときに、第三者からどう見えるかも注意する。

た:だから、公演の前説でもわざわざその注意事項に触れていたんですね。

セ:そう。「知らなかった」という反論の正当性を奪うためにね。

た:加えて、返金対応の話も書いてましたよね?これもその一環ですか?

セ:そうだね。靴の裏に貼っている以上、先に気づかれてしまう可能性がぬぐえない。なんなら靴を履くタイミングで目の前で気づくかもしれない。そうしたときに団体理念として返金しようと最初から決めていたんだよね。

た:それはそうでした。まぁこれは、そのリスクを消しきれないからこその逃げの対応策でもありますけどね。

セ:まぁ大事なことだ。でも返金にも外聞がある。仮に事前に周知していれば少なくとも「バグで返金された。最悪だ」という感想は出にくい。原理的には全員そのリスクを承知の上で参加しているからね。悪評が「ミスをした団体」か「不運にも楽しめなかったプレイヤーを生んだ団体」か。大きな違いだ。

予防線はきちんと張ろう。


何故気づかれなかったか

セ:そういえば結局、最終問題の出題時まで靴の裏のシールに気づいた人はいなかったね。理由は何なんだろう。

た:正直、運に助けられたところも多いと思います。ただ強いて言えば「違和感が一切なかったこと」ですかね。

セ:ほお。

た:俺は公演中ずっと部屋の外に居ましたよね。『白鯨』の渉外をセージさんに任せていることもあって、『白鯨』といえばセージさんというイメージができつつある。

セ:実態は本当に二人で作っているんだけどね。何なら変なことを言い出すのは明らかにたっつーの方が多い。

た:心優しいフォローありがとうございます笑 さておき、そのイメージが今回はいい方向に作用した。仮にずっと二人でスタッフしていたら、俺の方に意識が向いたかもしれません。あと、靴を脱ぐことも自然でした。これは完全にマンションの一室という会場の特性に助けられましたね。幸運でした。

セ:幸運とはいっても、会場を聞いてから具体化したところもあるから、半分は実力ということで。

た:あと、注意事項から気を逸らせたことも大きいと思っていますよ。前述のようにかなり強い注意事項を出していたので。詳しくは記事を見てもらいたいですが、ここだけファニーな理由づけをしてカモフラージュをしています。こういう細かいところも差がつくところかもしれませんね。

会場特性も大きな武器になる。ただ、再演時の制約にもなるから、会場依存にするかは良く考えるべき。

クリアツイートリンク

セ:クリアツイートリンクの話もしておくか。

た:そうですね。クリア"ポスト"リンクの話もしておきましょう。

セ:どっちだっていいだろ笑 なんなら、クリアツイートリンクの方が分かりやすいし。ここではツイートで。
さて、クリアツイートリンクのパワーはすごいね。

た:本当にすごい。普段感想ツイートはしないけれどもクリアツイートはする人って結構いますからね。

セ:あるかないかで拡散力が大違いだ。あとはクリアツイートのついでに感想を書いてくれる人も多いから、そういう意味でも嬉しいね。

た:オンライン系のコンテンツでは100%用意すべきといっても過言ではないと思います。クリアツイートリンクのtipsとかってありましたっけ?

セ:画像の話かな?ツイートって画像があるのと無いのじゃviewが全然違う気がする

た:それはそう。実際、自分たちもタイムラインをスクロールしてるときに目に入りやすいのは画像があるツイートですもんね。

セ:ツイートリンクに画像を上手く載せる方法は我々も良くわかってないんで、ここでは触れないことにしましょう。あと、クリアツイートリンクを作成するならEnigmaStudioで公開されているこのツールが有用。本当にこういう便利なツールの制作者さんには頭があがらない。

た:本当ですね。俺たちは謎の実装とかを頑張らないタイプなので詳しくは語れないですが、EnigmaStudioやEnigmaStudio Proのツールはかなり有用と聞きますね。
勝手に紹介して申し訳ないですが、フライパン職人さんの記事は目を通して損はない良記事の宝庫です。何度助けられたことか。頭が上がらないですね。


クリアツイートリンクは大事。できれば画像付きで。
ツールを上手く利用しよう。作業効率が段違い。


告知

作風の伝達

セ:告知は一番気を使ったところの一つだったね。

た:確かに気を使いましたね。俺らは少し尖ったことをする団体です。尖ったコンテンツは、(俺らの力不足もありますが)どうしても人を選ぶ。not for meな人に届いてしまうことは、我々としてもプレイヤーとしても避けたいところです。

セ:だから、かなり詳細に書くようにしたよね。ビジュアルの真ん中に「謎は解かずに」とか。

た:ミスマッチを避けるという意味もありますが、単純にプレイヤーの想定をコントロールする意味もあります。例えば、ゴリゴリの謎をイメージして尖ったコンテンツが出てくると、どれだけ完成度が高くてもどこかで肩透かしのように思ってしまう。

セ:色んな意味でも出来る限り作風が透ける告知を心掛けるべきだね。

作風を伝えることは、プレイヤーの満足度を上げるもっとも簡単な方法の一つ。


告知の弊害

た:せっかく告知の話が出たから順番が前後しますが、告知のせいで作り直しのときに大変だった話もしましょう。

セ:そうだね。告知でミスマッチを防ぐ観点から「謎は解かずに」と明言した。これが自分たちを苦しめた。実は後述の作り直しのタイミングで、いわゆる謎を登場させる案も出てきたんだ。しかも割と面白そうだった。

た:でも「謎は解かずに」って言ってしまっているという理由でリジェクトされた。これを考えると、公演が完成していなかった以上、告知はもう少し守りに行くような抽象的な内容にすべきだったんでしょうか?

セ:それは難しいねぇ~。現実問題として、告知はだいたい1ヶ月前には行いたい。中身が完成していない状態ですることの方が多いと思う。とはいえ、それに合わせて常に守った告知をするべきかというと、ちょっと安直かも。面白さの核がビジュアルから伝わらないことになるし、ミスマッチ防止のためにも、やっぱりできるだけ具体的に書くべきだからね……。
結局は「未来の自分がどれくらい出来るか」との相談だから、経験に帰着する。

た:なるほど。となると、まとめとして「こんなこともあるから、気にしておこう」くらいですかね。

告知のタイミングでどこまで情報を出すかは永遠の課題。


ミスマッチとブランディング

セ:ミスマッチの話が出たから、ミスマッチとブランディングの話もしておこう。ミスマッチを防ぐにはブランディングも大事なんだよね。

た:といいますと?

セ:『白鯨』は変なコンテンツを2つ連続で出していたから、わずかだけど、遊びに来てくれる人には、実は『ブルーバードバトル』で変なコンテンツがでることはある程度予想されていたはずだ、という話。

た:確かに。そう考えると作風を一致させるのって大事ですね。ミスマッチを防ぐ点で有用です。『ブルーバードバトル』で白鯨を始めて知るっていう人が、比較的戸惑っていた気もします。

セ:そうだね。そのために作風を一致させる必要があるとまでは言わないけど、少なくともプレイヤーは「今までと同じようなコンテンツが出てくる」と思っていることは意識しておこう。

ブランディングもミスマッチを避ける重要な要素。
急に作風を変えると、プレイヤーの想定と外れてしまう可能性がある。どういう団体だと思われているかを考えることもミスマッチを防ぐうえで重要だ。


作り替え

セ:さて、あらためて、さっきの続きの大事件も話しておかないといけないね。実はこの公演はラスト以外をほぼすべて1週間前に作り替えている。

た:前提には、俺たちがこのコンテンツの面白さを信じ切れていない状態がありましたね。


コンテンツ内容のちぐはぐさ

た:いつもは「これが作れたら面白い」という情景のために道路を舗装するイメージでしたが、このコンテンツは実はその面が薄いんですよ。だから、迷いが生じてしまった。普段なら「これは必要だから」という意思がある。

セ:実はこのコンテンツのラストは途中が一切なくても成立する。なんならない方が良いかもしれない。道中、プレイヤーは「存在しないものを探す」というアソビをずっとしている。でも、最後にするアソビは「シールという実在の発見」。この食い違いを抱えていた。

た:この食い違いが発生した理由も話しましょう。


デバッグ

セ:僕たちは、「靴の裏を見る」というラストのために無難に組んだ構成でデバッグに挑むことになる。これが、全然ダメだった。とても厳しい指摘をもらったね。「前説を聞いている時が一番面白かった」と。耳が痛かったね~~。

た:信頼関係があるからこそ貰えた指摘ですね。デバッグをして良かった。とはいえ、この問題を解決する必要がありました。

セ:まず考えたのは、評価されなかった「ラスト」の立ち位置。この「ラスト」の面白さを信じ切っていいのか。上手く伝えられなかっただけで、ちゃんと磨きなおせば面白いのか。

た:本音を言うとかなり信じられていなかった。ただ、時間的余裕と既に告知をしてしまっていたことから、これは変えないという方針にすることにしました。振り返ってみれば博打といっても過言ではない。

セ:結局、ラスト以外すべてを組みなおすことにした。


組みなおしの指針

た:そういえば、さっきこの公演はラストと道中がかみ合ってないという話をしましたよね。ラストに合わせて「現物がある普通の探索」だけで組みなおすべきだったのでは?

セ:ホンマにその通り……。ただ、これはどうしてもそうできなかった理由がある。このデバッグと日時を前後して、最宴祭の公式が探索を正面に据えた公演を実施する、という告知があったんだ。

た:ありましたね。かなり絶望的な告知だった。何度も言っているように、我々には面白いひらめきを作る能力がありません。王道コンテンツ同士のバトルでは勝ち目がない。だから「探索」をテーマにしつつ、どこか外した、白鯨でしか見ないものを提供しよう、という形で纏まりました。

セ:結局我々は尖ったコンテンツを作るしかないと。この時は、変なコンテンツを作るという評価が良い方向に作用した。

た:探索の「外し」を考えたときに、「現物が無い」という点が出てきました。コンセプトともいうべきこのアイデアが、このタイミングで誕生しているのは明らかに遅い。加えて、俺たちなりに辿り着いた2つの面白いアイデアが「ないものを探す」と「意識外からターゲット(の現物)が出てくる」という、矛盾したものになっている。1つのコンテンツとしてまとめ上げるには、かなり苦しかったというのが正直なところです。

セ:そうだね。後進に伝えること、って意味で、あえて教訓化すると何になる?

た:ここはかなり難しい。1週間前に作り直した割にはかなり好評をいただいたと思ってますし。あと、デバッガーの意見を尊重しようという結論も難しいんですよね。結局一番称賛されたのはラストでしたから。
強いて言えば、繰り返しにはなりますが「コンセプト」「テーマ」の一貫性の重要性ですかね。

セ:確かに、僕たちが行き当たりばったりの制作をしてしまった理由は、自分たちの「テーマ」「コンセプト」に自信が無かったからだ。
仮に自信があれば、「上手く届けられていないから、なんとか調整しよう」という指針が経つ。だが、今回は「テーマ」「コンセプト」が無かった。
だから指摘を上手く調整につなげられなかったわけだ。

「テーマ」「コンセプト」の一貫性は、制作が上手くいっていない時にこそ真価を発揮する。面白いビジョンが共有できていれば、問題が発生しても、「どうすればビジョンにたどり着くか」ということさえ意識すれば「正しい方向」に努力できる。


物品の配置

セ:さて、公演も固まったことだし、道中のこだわりも話そうか。

た:そうですね。道中で一番気にしたのは、いかにプレイヤーにストレスをためないかでした。まず、一般論として、実は解けない状態って基本ストレスなんですよね。ただ、謎解きでは解けた時のリワードが比較的大きいから許されているだけで。そうすると、この公演は大きな問題がありますよね?

セ:現物を見つけることができない以上、どうしてもふわっとした解き味になってしまうから、リワードが少ないということだね。

た:そうです。「探索物がない」「靴の裏からシールが出てくる」というアイデアの面白さの不安は無いんですが、一方でゲーム中にプレイヤーがストレスを強く感じるかも、という不安が強くあった。そこで、物をすごくわかりやすい位置に置くことにしましたね。

セ:例えばチョコボールをホールの二階に置こうという話もあった。そっちの方が視点が少し変わって面白い探索だろうと。でも、今回の探索の面白さの本質はそこじゃない。そうすると、万が一にも「チョコボールなはずだけど見当たらない」という時間が発生したときは、かなりプレイヤーの満足度を下げてしまう。

た:そうです。結果的にすべての物品はすぐに気づく位置に置きました。歯ごたえが無さすぎると思った人もいるかもしれませんが、悪い感想を出さないためにする防衛策ですね。

セ:そういえば場所が無いからここで触れておくけれども、歯ごたえが無さすぎるという批判については、前説で「軽めのコンテンツ」と説明することでフォローしたね。こういう面はダサいと思われがちだけど、プレイヤーの満足度を上げるには、「謎の面白さ」以外の側面も大事だという話。

「謎の面白さ」以外のところで公演評価の最低値は決まっている。


公演物品へのこだわり

た:公演物品にはこだわりたいとセージさんにお願いした記憶があります。

セ:そうだね。あの大きな女の子のイラストと六法全書はたっつーのこだわりポイントだった。大きな女の子はコピー用紙つなぎ合わせれば良いじゃんと思ったけど、たっつーがダメって言ってデカくて高額な印刷にした。六法全書は、もっと小さくて安いのがあったのにわざわざ一番高いやつにしたんだよね。理由って言語化できる?

た:これは割と簡単にできます。物品のクオリティって高い方がいいですから。物品のクオリティってその公演への熱意みたいなところが透けるところなんですよね。

セ:確かに、物品がチープでも「面白くない」とは感じないけど、「なんかチープだな」という雑念が入ることになる。そう考えると、予算が許す限りで良くすべき、という話は一理ある。

た:あとはビジュアルの持つ強さですかね。六法全書って思ったより大きいじゃないですか。大きいってそれだけで面白いんですよ。

セ:大きいなものが出て来るだけで面白い、と。これも一理あるね。

た:もっと初歩的で意外と見落としがちな点として、ダイソーの物を使わないとかありますよね。

セ:あ~、僕らもやっちゃうけど、先輩から言われたね。他にはいらすとやのイラストは、見て分かってしまうから要注意とか。

た:そう。決して質が悪いから使うなというニュアンスではないんですよね。ダイソーの物もいらすとやのイラストもすごいんですよ。ただ、どこか「100円ショップっぽさ」「いらすとやっぽさ」が出てしまう。

セ:プレイヤーの脳内に「あ、これいらすとやのイラストかな」と思われると、物語から出て少し俯瞰的になってしまう。有用なツールだからこそ少し認知度が高すぎる面がある。ここらへんはyoutuberが多用しているBGMを使いにくいとの同じだね。

た:有用なツールであることに変わりはないので「使うな」という話ではなく「上手く付き合おう」という。

物品のクオリティの影響を軽んじない。
フリー素材や安い物品を使うときは、それがプレイヤーの気持ちに影響しないか注意すること。

会場の話

た:そういえば今回もよー1さんにはお世話になりましたね。

セ:そうだね。本当にぎりぎりで出展に滑り込ませてもらって。当日も会場中に足跡の紙を貼らせてもらったし。

た:本当に頭が上がらないですね。今回こんなに偉そうにいろんな記事を書いていますが、本当にたくさんの人たちに助けられている。

セ:ネタバレ記事やノウハウ記事も今まで沢山あったもんね。巨人の肩に一瞬だけ乗らせてもらっているね。

本当にいろんな人に助けられている。感謝を忘れずに。



司会について

た:そういえばセージさん今回の司会にはこだわりってありました?

セ:今回はあえてファニーに逃げないように調整したかな?

た:といいますと?

セ:尖ったことを言うときって「変なことを言っている」というファニーさに行くのが一番簡単な司会の方法だと思う。そうすることで、納得しづらいことも、「納得しづらい変なことをごり押ししてくる司会者」という感じのファニーさで乗り越えられる。これは否定すべきことではなく、使えるテクニック。
ただ、僕たちはなんというか「尖ったことを行う意識が高い団体」というブランディングになっていたから、これができなかった。だから逆に全て本気のトーンでいうことで、有無を言わせず飲み込ませるように努力したかな。

た:なるほど、奥が深いですね。

司会のテンションは公演や団体の作風とマッチングさせる必要がある。

感想・評判について

セ:感想・評判との向き合い方についても触れておきたいんだよね。

た:あ、それも書くんですか?プレイヤー兼制作者みたいな属性の人って多いと思っていて、なんかここで書くと俺らへの感想・評判も歪ませてしまいそうで嫌だったんですよね。

セ:まぁいいんじゃない?謎解きコンテンツ制作は3作で終わりって当初から決めていて、実際、この一連のnoteを最後に活動終了するし。後進のためにっていうこのnoteの目的に立ち返ると書くべきだ。

た:それもそうか。

次回制作への活かし方

た:まずは「どう活かすか」の話をしましょう。これは基本的に、視点を増やすイメージですよね。

セ:デバッグとは違って、次回のコンテンツ制作に活かすためのものだからね。例えば「情報が溢れて整理が大変だった」という感想があったとしたら、次回の制作の際に「プレイヤー目線で情報の纏まりがあるか」を意識するようにする、みたいな。これの繰り返しで、どんどん視点が多くなって、コンテンツ制作への解像度が上がっていく。

た:逆もありますよね。意図していなかった備品に対して「ここまでこだわっているの良かった」という感想をもらってから、公演備品の端々まで気にするようになったり。

セ:次回の制作で何を優先させるかは根本的には各々の自由。だとしても、視点を多く持っていた方が良いのは確かだね。

感想や評判から、コンテンツ制作での視点を抽出する。これの積み重ねで解像度が徐々に高くなってくる。

メンタル面について

た:次に、「メンタル面での向き合い方」の話もしておきましょう。

セ:僕も決してメンタルが強いわけじゃないけど、たっつーの方が明らかにナーバスだもんね。

た:そうですね。コンテンツ制作中はなんというか「作りたいもの」のために色々こだわるんですが、当日はそれこそ体調が少し悪くなるくらい不安になります。

セ:たっつーみたいにナーバスになる人もいると思うんだけど、アドバイスとかってないの?

た:う~ん。正直無いんですよね。もちろん、形式的なアドバイスは色々あるんですよ。例えば、「謎界隈は良くも悪くも優しすぎる面があるから悪い感想は出づらい」とか、「100人に参加してもらったら100人全員に面白かったと言われることは難しくて、悪い感想が出て当たり前」とか。後は一般論でいうと「これまでの努力を思い返したら少し自信がつくよ」とか。でも関係ないんですよね。

セ:関係ない?

た:「自分が面白いと思うもの」を世に出すわけです。その日その瞬間、世界で一番面白いと思って。ある意味、自分の「感性」自体が評価されている。何回やっても慣れるものじゃないですよ。

セ:なるほどね。アマチュアならではの甘えかもしれないけど、ニュアンスは僕にも分かる。

た:だから、ここは変にアドバイスは出来なくて。終わってから悪い評判を見て引きずることも実際にあります。強いて言えば「皆そうだから」くらいですかね。ただ、それ以上に伝えたいこともある。終わってからプレイヤーの感想を見るのって本当に"良い"んですよね。力がもらえる。

セ:そうだね。僕も、たまに昔のコンテンツのタグ見たり、アンケート読み返したりするもん。制作者は感想を食べて生きている。感想を言ってくれる人に感謝しかない。

た:もちろん指摘はさっき話したみたいに反省して次回に繋げないといけないですが、終わってみると感想・評判への不安って杞憂で終わる事の方が多いってことですね。しかも読むのはかなり楽しい。

感想が怖いという気持ちは普通。少なくとも6年やってきた私たちでも未だに怖い。
ただ、プレイヤーの感想を読む喜びはとても大きい。


実現可能性の担保

セ:制作をしているうえで「ここどうしようかな」っていう物品が出てきたときの話もしておこうか。たっつーが得意なところだね。
例えば、鑑賞物たりうる箱を準備しようとか、ワンボタンでいろんな色に光るライトを準備しようとか、それこそ靴の裏に貼って剥がれないシールを準備しようとか。よくよく考えると、こういう物品が準備できなければ、どれだけ良いアイデアも実現できない。
そういう意味では、白鯨のコンテンツの実現可能性を担保していたのはほとんどたっつーの準備能力だと思う。

た:そうですね。基本的に俺が相談せずに処理しちゃうことが多かったですね。せっかくの機会なので順を追って話しましょうか。


実現可能性

た:まずは定義をしておきましょう。「実現可能性」とはあるものを準備することが不可能ではないこと、を言います。

セ:OK。一般的な定義かどうかは怪しいけど、その定義で進めていこう。

た:さて、いきなり変なことを言いますけど、実現可能性が無いことなんてほぼないです。

セ:ふ~ん?

た:例えば、どうしても東京ドームを利用したコンテンツが作りたいというアイデアが出たとしましょう。実現可能性ってあると思いますか?

セ:東京ドームを用意することって無理だろうから、実現可能性はないんじゃないか。

た:残念。東京ドームを準備することには実現可能性があります。だって、東京ドームでは様々な催しが行われていますから。少なくとも不可能は誤りです。現に調べると、平日なら50万円/2時間20分で借りられることが分かります。

セ:でも50万円なんて金額出せないじゃん。結局結論は変わらなくない?

た:いや、大きな違いです。参加費1万円で100人集めることは現実的なラインです。そうすると、50万円なんて金額は出せないというのは、あくまで「面白さとの天秤が釣り合わないからやめておく」という判断にすぎません。本当に世界で一番面白いアイデアがあったのであれば、実現可能だということです。

セ:詭弁のような気がしないでもないけど、一理ある。仮に僕のように最初から不可能だと決めつけていれば、調べることすらしなかった。けど調べてみるだけで、「50万円払えば可能」ということが分かった。もしかしたら50万円の金策手段が簡単に思いつくかもしれない。そう考えると、「障壁はあるかもしれないが、不可能なことは無い」という考え方は重要なのかも。

物理的に実現不可能ということはほとんどない。
まずは調べてみることが大事。


調べ方

セ:とはいえ、重要なのは実際にその情報にリーチできるかだ。ここはコツとかないの?

た:正直慣れが大きいです。ただ、比較するときとかもそうですけど、文言変えながら検索して出てきたサイトのtop50くらいに目を通すとかはよくします。

セ:なるほど、単純に量が多いと。確かに、それを苦にせずできるのは慣れかもしれない。

た:あとは、人に聞いたりもします。他にはChatGPTのDeep Reserchで事足りることも多いです。
とはいえ、一つの方法で情報にたどり着けなかったとしても諦めることは無いですね。さっき確認した通り、障壁はあるかもしれませんが可能性が0なことは少ないですから。どこかに情報があるんだから、手を動かし続ければいつかはたどり着くはずです。

調べるコツは手を動かすこと。


タスクの振り方

た:最後にあまりしたくない話もしておきましょう。タスクの振り方です。

セ:確かに、よく人にお願いしているイメージはあるな。

た:とはいっても、コツと呼べるのは①タスクを明確にすること、②信じすぎないことぐらいです。

セ:というと?

た:例を出した方が分かりやすいと思うんで、このコンテンツの制作の話にしましょうか。
僕はデザインセンスも文章を書くセンスも司会のセンスもないんで、すべてのデザインと司会原稿の作成をセージさんに依頼しています。
ただ、その時にタスクの範囲が明確になるようには努力しています。漠然と感じ取ってくれるだろうと思わずに、「ここで使う紙のデザインお願いします」とか「司会原稿の作成はお願いしますね」とか。
かなり長く一緒に制作してきた俺とセージさんですらちゃんとしているんですから、基本的にはどの関係でもやったほうが良いです。

セ:なるほど。内容を細かに指定するという意味ではなく、タスクの範囲を明らかにするという意味でタスクを明確にしているのか。確かに、これをしないと誰もしていないタスクが生まれてしまいそうだ。初歩的だけれども大事なことだね。

た:信じすぎないというのは、タスクの達成見込みを独自にも判断するということですね。未完成の責任を背負うのはこっちです。セージさんの司会原稿の話だと、セージさんにお願いしていた期日に上がりそうになかったんで、勝手に下書き書いたりしました。

セ:確かにしてたね。勝手にやるというのは信頼関係があるから許されている面はあると思うけど、できそうかの確認の頻度は本当にしつこい。
どれだけ出来るといっていても「いや今日進めないと絶対に終わらないんで進めてください」とか言われたことがあるし。

どれだけビジョンを共有していても小さな齟齬が出ることはある。丁寧にやろう。

一番大事なこと

た:最後は一番大事なことを。
他のところでは拘りについて色々書いてきましたけど、究極的に大事なのは「完成させること」です。
常に完成させることを念頭においてください。完成させないと意味ないですから。これは足掻くなという意味ではないです。例えば、どうしてもこだわりたいクオリティラインがあるなら、それが満たされるようにお金を積んでも別の人に頼みなおしてもいいんで、なんとか完成させるんです。
妥協できないクオリティラインは人によって違いますが、何が起きてもそのクオリティラインが下回らないようにだけは常に考えてました。

セ:なるほどね。その視点は実現可能性の担保をしているたっつーが一番強く持っているだろうね。

どこまで行っても、「完成させたやつが偉い」は変わらない。



あとがき

『ブルーバードバトル』制作裏話の内容は以上です。
この記事は、私たちなりに、「信頼」というテーマに向き合った記録です。



私たちの悩みが、若手制作者にほんの少しでも役立つと嬉しいです。
私たちは、後進へノウハウを残す目的のため、作品内容を公開しています。可能な限り、多くの人の目に触れ、今後も存在が認知されると嬉しいです。


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お読みいただき、ありがとうございました。

白鯨
セージ/たっつー

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⑧『ブルーバードバトル』制作裏話|白鯨
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