フォースはいつでもエーテルと共に   作:光明面と暗黒面ってルビ無しで読めないよね

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第1話 エーテル・オーダー

 ブォン、ブォンと特徴的な音をたてて光刃が閃く。俺が振るうたびに緑の閃光が軌跡を描いて目前の化け物……エーテリアスと言われるそれを一刀両断にしていく。攻撃を食らうことはない、この世界に満ちるフォースがありとあらゆることを俺に教えてくれる。

 

 降り落ろしを光の刃で受ければ振り下ろされた部位が刃に当たった瞬間に手ごたえすら見せずに切り落とされ返す刀で首が飛ぶ。3匹同時に襲い掛かかられても問題ない、一匹切り捨てると同時に手を奴らに向ければ不可視の力が奴らを拘束する、押すような動作をとるとまるで突き飛ばされたような動きで壁に激突して沈黙する。

 

 フォース・プッシュと呼ばれるこの技術は、相手の体勢崩しから今みたいな交通事故のようなパワーをだすこともできる便利な技術だ。俺がこの世界に来てから一番練習しているフォースの技術でもある。光刃を収め、柄だけになった銀色の筒を袖口に仕舞う。

 

 俺はザイン。ザイン・スカイウォーカー……いつの間にか死んで、いつの間にかこの世界にいた元一般人にしてフォース遣いだ。前世で流行った言い方をすれば転生者で、この平和とはとても言えない世界に来てしまった流れ者。

 

 とあるマンションの一室で目を覚ました俺が、最初に目にしたのはテーブルの上に置いてあった今羽織っている茶色のフード付きローブ……ジェダイ・ローブだった。只の服かと思えば触れた瞬間に俺の中と外からまるで語り掛けるように謎の天啓のようなものを聞いた。

 

 直感的にこれはフォースだと理解できた。前世で有名だった「STARWARS」という架空のSF作品に登場する宇宙のすべてに宿り司るエネルギー。従うべきだと本能で理解し、ローブを手に取った。

 

 そこからは、フォースに導かれたとしか言いようがない。この世界に生きて6年になるがこの世界にはフォースとは別のエネルギー……エーテルが存在しそれは物質として人を助けあるいはいろんなものを侵食し犯すフォースのような二面性をもっている似て非なるものだった。

 

 ホロウと呼ばれる異空間が発生するこの世界では表面上は平和でも一歩外に踏み出せば死の危険がある危ない世界。一般人として粛々と暮らせば平和な一生を歩めるのであろうが、ホロウはどこにでも発生する可能性がある以上身を守る力が必要だった。

 

 だから、修行をした。導かれるがままに、何をするべきかを考えた。1年目で、フォースの基礎を掴んだ。2年目で、光刃……ライトセーバーを作り上げた。3年目でライトセーバーの7つのフォームを修めた。それ以降はただひたすらフォームの修練度をあげて、フォースと一体になることを目指した。

 

 おそらくSTARWARSの設定からしても化け物みたいな成長速度だと自分でも思っている。だけど、生き残るためだ。利用できるものは利用する。フォースの暗黒面の技術でも。だから俺はジェダイでもないシスでもないこの世界唯一の「フォース遣い」になった。

 

「あったあった」

 

 瞑想が日常になっているせいか、深く思考に沈んでしまう癖を振り払い今日入ったクリエィ・ホロウの中にある柱状の物体……結晶化したエーテルを見つけた。これは俺が住んでいる都市「新エリー都」では非常に高く売れる……裏のルートでという話にはなるが。当然無許可採掘は違法である。俺?許可なんて取れるわけないじゃんこちとら特別な身分のない一般学生だぞ。

 

 俺のように無許可でホロウに立ち入り資源採掘やありとあらゆる依頼をこなすものをこの世界ではホロウレイダーと呼ぶ。俺がそうなってるのはただ、金が必要だった。来た当初にあったこの世界の金は1年どころか半年でなくなったから何とかして金を稼ぐ必要があった。だからこうなってるわけ。

 

 大粒の結晶をフォースで引き寄せエーテルが漏れないように作った背嚢に入れる。これだけあればある程度はまとまった金が入るだろう……そう考えているとフォースがざわつき数瞬後に何かがエーテリアスに追いかけられているのが遠目に見えた。

 

『うわわわ~~~~っ!?』

 

「………………なんでボンプがいるんだ?しかも喋ってるし」

 

 エーテリアスに追いかけられていたのは兎のような耳が生えた丸っこいマスコット……ボンプだった。首のスカーフが特徴的なそいつは「ンナ」としか喋れないはずの普通のボンプとは違い人間のような悲鳴をあげている。

 

 見捨ててもいいがフォースはあのボンプにえらく敏感に反応している。個人的に見捨てるのも目覚めが悪い。エーテルに侵食されているわけでもないし助けたところで俺に損はないだろう。見捨てたら心にも来るし。

 

 袖口からライトセーバーを取り出して起動。ビシュゥゥン!という独特な起動音とともに緑色の光刃が伸びた。ちょこちょこと走り回るボンプとそれを追いかけるエーテリアスに向かいフォースで身体能力を強化してジャンプする。たった一体のエーテリアスだ、何の問題もない。

 

 ボンプしか目に入っていないエーテリアスの横から奇襲、一文字に腰から真っ二つにしてやる。ライトセーバーはプラズマエネルギーの刃だ。例外はあれど大体何でも斬れる。人に向けたらそりゃえらいことになるが。

 

『え、っと……あれ?』

 

「無事か?次は気をつけろよ、ボンプでエーテリアスに挑むのは無謀だからな」

 

『助けてくれた……?えっと、ありがとう』

 

「ああ、どういたしまして。ここまで受け答えが滑らかってことは中身は人間か?協会のボンプじゃないな……お仲間、プロキシか」

 

 プロキシ、ホロウレイダーをサポートするガイド役だ。空間がめちゃくちゃに入り混じるホロウ内で安全なルートの地図である「キャロット」を融通したり脱出の手助けをする存在。フォースの導きがある俺には不要な存在だがホロウレイダーには重宝されている。

 

 ぽむぽむ、と体を払ったボンプは俺を見上げてびっくりした様子ではあったがほっと息をする動作をとって俺に頭を下げる。動きが人間のものだ、まるでボンプに憑依しているような……まあいい。

 

「ご察しの通りだろうが俺はホロウレイダーだ。ああ、迷ってるわけじゃないから安心しろ。目的ももう果たしてる。そっちは?」

 

『私たちは依頼を受けて中に取り残された人の脱出のサポートをしに行くの。助けてくれてありがとう、先を急ぐからこれで』

 

「ストップだ」

 

 急いで踵を返そうとするボンプの頭を掴んで引き止めて持ち上げる。なにするの!と憤慨しているようではあるが人命がかかわっているなら話は別だ、さっきの様子を見るにボンプ一人だとまたエーテリアスに追いかけられれば助からないし、脱出できないとその人もエーテル侵食でアウトだ。

 

「手伝おう、幸いまだ侵食まではだいぶ余裕がある。場所の目星は?」

 

『………………あっち!すぐだから!でも報酬は』

 

「了解だ。舌を噛むなよ!あと報酬はべつにいらん!」

 

 ホロウレイダーはならず者だ。だからこのプロキシは数瞬悩んで俺の提案を受け入れボンプの短い手で方向を指し示す。俺もそれに従いフォースを利用して飛ぶように走り続ける。プロキシがすぐと言ったようにすぐに発砲音と斬撃音、つまり戦闘している音が響いている。

 

「ちくしょう!このままじゃ弾が切れる!もう大赤字だぜ!」

 

「泣き言言わないで。くるよ!」

 

 男女二人か。銀色の髪の短髪の女と知能機械人らしい2丁拳銃の男の組み合わせ。あれ!とプロキシが指し示すのでボンプを抱き上げていないほうの片手を伸ばし、フォース・プッシュを使う。突き飛ばすのではなく、上から力をかけるように。

 

 ぐしゃ、と押しつぶされたエーテリアスたちは沈黙して光へと散る。突然のことに驚いた様子の二人ではあるが目の前で俺が着地したのを見て改めて武器を構えた。俺はまあそれが普通だよなって思いつつ先制攻撃に備えてライトセーバーを袖口から見えないように手にする。

 

『待って待ってアンビーにビリー!わかるでしょ!?』

 

「スカーフのボンプがしゃべってるってことは……」

 

「パエトーンかぁ!?」

 

『そうだよ!二人ともお疲れ様!手伝いに来たよ!』

 

 俺の片腕に抱かれたボンプを見ると二人は戦闘態勢を解いて力を抜こうとするも、俺を見てそれをやめた。俺はまあ一応両手をあげてみるもののさっきのアレのおかげか警戒は解けず。だがボンプが急いで両手を振り回しながらの説明に何とか納得したらしく武器が降ろされたので俺もライトセーバーを仕舞う。

 

 しかし、パエトーンかあ……すごいな、伝説のプロキシの名前だ。まあ、俺は基本プロキシを使わないのでそれくらいしか知らないしなんだったら金を稼ぐためでしかないのでエーテル結晶の売買が主な仕事だからあまり知識もない。

 

 とりあえず移動しようとプロキシが提案してくれたので俺も素直にその提案に乗る。よかったよかった、助けに来たのに戦闘にならなくて。会話は特にないが、武器を向けられないだけ御の字だ。

 

『ここなら安全だよ!あなたも……えーっと……』

 

「オーダーだ。偽名だけどな。そっちの方は無事か?」

 

「ああ!サンキューだ!俺はビリー!邪兎屋の従業員だぜ!」

 

「同じく邪兎屋の従業員、アンビー。感謝してる」

 

 邪兎屋って……何でも屋か。名前くらいしか聞いたことないがこんな交わり方をするとはな。見張りは俺がやろう、と少し離れる。俺が居たら息が詰まるだろうし。長い一日だ、なんて思いつつ休憩が終わるのを待つ。

 

 特に何事もなく休憩を終えて脱出のために走り出すものの、当然安全なルートを選んでもエーテリアスには遭遇する。そして俺が時折振るうライトセーバーが珍しいらしくプロキシの方から話題を振ってきた。

 

『ねえねえ!それ!ビームサーベル!?レーザーブレード!?みたことないなあ!なんなの、それ!?どこで売ってる!?』

 

「あ!店長俺もそれ気になってた!音もカッケぇしよぉ!」

 

「自作だ。ライトセーバーっていう。大体何でも斬れるからうかつに触らないでくれよ?全方向刃だ」

 

『自分で作ったの!?すっごー……』

 

 すごいかどうかでいえばどうなんだろうな。フォースの導きに従えばだれでもオンリーワンのライトセーバーを作ることができる。材料なんかは大体ホロウ産だ。宇宙に行けって言われたら詰んでたけど、そうならなくてよかったよ。

 

『進行方向にエーテリアスってもう終わった!?』

 

「強い……察知能力が尋常じゃない」

 

「ちょっとしたコツがあってね。そろそろ出られるかな?」

 

 フォースの知覚力、そして未来予知……この二つがあれば気を抜いてないかぎり奇襲にも対応できる。ズルをしている気分になるがおそらくこの世界の住人でも修練を積めばフォースは使えるはずだ。知覚できればのはなしだが。

 

「出口か……じゃあ、俺はここで」

 

『え、あ!ちょっと待って!行っちゃった……』

 

 出口にたどり着いたのを確認して俺は自分が入ってきた入口の方にフォースを利用し大跳躍する。プロキシに依頼することも何でも屋に依頼することも基本ないだろうから袖すり合うも多生の縁ということで一緒にいるのもここまで。一応ボンプのスカーフの下に俺の連絡先が書いた紙は仕込んでおいたが、俺から連絡を取ることはないだろうな。

 

 やれやれ、あとはこの結晶を売り払うだけ……そう考えながらホロウ内から出る。ジェダイ・ローブを背嚢に仕舞えばただのでかいバッグを持っている学生でしかない。そんで路地裏を歩いていると誰かに着けられているのを感じる。ホロウ内からじゃないな、出てすぐ見つかった感じだ。

 

 まさかさっきのパエトーンか……?フードを被っていても顔は隠していないから十分あり得る。だけどさすがに察知が速すぎる……そうか、本人が外にいるからか?いやしかし、ボンプから感じたフォースとは違いすぎる。それでもあれがボンプ自身のフォースだったかもしれんし……ああ、もう!

 

「すまん、尾けてるのはわかってる。できれば話し合いで解決したい。2分待つ、出てこなければ実力行使に入る」

 

「―――――お見事です。まさかリナの監視を見抜かれるとは……失礼をいたしました、ご容赦を」

 

 路地裏から俺を囲むように人影が4人現れる。前方には白い毛並みの狼の亜人……シリオンの男、左手には緑髪のツインテールの少女、右手には暗いブロンドの女……んで後方には黒い髪と赤いインナーカラーにサメの尻尾をはやした少女っては?

 

「……ジョーさん?」

 

「うっそマジで?サイアク……」

 

 なんか知らんけどクラスメイトでお隣の席のシリオンの女の子がメイド服を着て立っていた。フォースよ、俺はこれをどう処理すればいいのだろうか。

 

 

 

 

 




 なんかフォースっていう変なパワーの導きを受けてできた1話です

 一週間は毎日投稿します。よろしくお願いします
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