どこもかしこも、エーテリアスばかりだ……(涙目)   作:bbbーb・bーbb

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メリークリスマス。AC6買いました。たのしい。まだ操作おぼつかないけど。

今回短め。


デスガキ

「輝磁の匣が更にあれば、彼女を救えるのか」

 

「まだ仮説だけど、その筈だ」

 

 狩人とアキラの会話であった。暗い夜道を歩く一行。隣でがしゃがしゃと機械音を鳴らす盤丘が少し気になる様子の狩人。排気システムの変形機構に息を飲んでいる。

 

 思わず触っても良いか聞くと、──熱いので気をつける必要はあるが──特段構わないと言われたので、狩人は思う存分盤丘の排気機構を触りまくった。ぷしゅうっと音を立て蒸気を噴き出す背中に狩人の瞳が輝く。

 

 そうしてロマンを味わい、盤丘に感謝を述べたあと、突然狩人は落ち着きを見せ、もう一度口を開いた。

 

「……貴公、白祇重工の居るところからは離れたまえよ」

 

「なにゆえのことか」

 

 暫く黙った後、「危ないからだ」とだけ伝えると、盤丘は困惑しながらも忠告に感謝した。その声を聞きながら、狩人はある狂人(グレース・ハワード)の顔を思い出していた。

 

 以前ビリーが話していた。マッサージをさせてくれと頼まれ快諾したは良いものの、何故か変なところばかり触られるので「な、なあ。これ本当にマッサージなのか?」と聞くと「そうで解体よぉ?」と返されたので慌てて逃げたのだという。

 

 初めて出会った時から変人だとは思っていたのだが。自分のことを棚に上げ考えごとをしていた狩人は、不注意のせいで硬い壁にぶち当たった。すっと見上げると、狩人の呼吸は一瞬止まった。

 

 それは、アキラを追っていたあの怪物だった。

 

「FUC──」

 

「そうはさせぬ!」

 

 狩人の言葉と振り下ろされる怪物、ワンダリングハンターと呼ばれるそれの腕を遮り、盤丘が前に飛び出す。四本の腕で絶え間ない連撃を叩き込まれるも、しかし怪物はその全てを受け止め、受け流している。

 

 ふと、防戦一方だった怪物が反撃に回り、一瞬の隙をついて盤丘の腹へ掌底を滑らせる。

 

「助太刀するっす!」

 

「駄目だ、下がれ! 此奴はできるッ!」

 

 特大剣に炎を纏わせ飛びかかる真斗だったが、盤丘に叫ばれる。真斗は強い。かなりの猛者である。しかし、この圧倒的な強者を超えた強者同士の戦いに割り込むにはまだ若すぎるのだ。

 

 狩人ですら入り込む隙を中々見出せず、両者の間に距離が空くのを今か今かと足踏みをして待っている。

 

 一方リュシアはノートに怪物の姿を書き殴っていた。大興奮の様子である。

 

「すごい! すごい! すごい! あの白い腕でどうやって攻撃を受け止めてるの!?」

 

 ノートを見ては怪物を見てと忙しい動きをするリュシアの肩にふとアキラが手をのせる。もう片方の手で彼が指差した先には、フードを被った極端に小さな影が居た。ランタンベアラーと呼ばれるそれは、地面からリュシアの膝までくらいの大きさである。

 

「君の正体……」

 

 あれはエーテリアスかな。あんな小さいのはあんまり見ないけど。そんなことを一言二言呟いた後、正体を明かそうと小さな影に走り寄る。怪物たちはガン無視である。

 

「見せちゃって!」

 

 勢い良く杖で捲られたフードの下にあったのは──小さな人間の子供の姿であった。

 

「……へ?」

 

 間の抜けたリュシアの音を、怪物の着地する轟音が掻き消す。無邪気な笑顔を浮かべるその小さな子供を肩に乗せると、怪物は高く飛び上がり、建物の屋上を伝ってどこかへ消えてしまった。

 

「なんと面妖な怪物……」

 

 ひとまずの戦闘が終わり、ようやく驚きの様子を見せる盤丘。怪物のあまりの強さに、思わず本気を出してしまうところだったという。

 

 飲茶仙に戻ると、やはり照はその個室で待っていた。より多くの匣が要るとアキラが頼むと、彼女は快くその場で大量に貸し出してくれた。壊したら弁償らしいので、アキラは怯えてそれを狩人の四次元懐に詰め込んだ。ここなら安全だろうと。

 

「こっちでも行方不明者には捜索員を派遣しておくね」

 

「ああ、それなら一つ言いたいことが」

 

 真斗の返事に照は目をぱちくりとさせた。一息ついたのち、真斗が話し出す。

 

「捜索隊には、できるだけタフなやつを用意してくれませんか」

 

 でなきゃ、夢縋りを増やすのがオチだ。真斗はそう語った。タフって誰だよと照の質問が飛ぶ。

 

「タフって言葉は真斗くんの為にあるからね」

 

 突然口を挟むリュシアを置いて、真斗はタフという言葉の条件を並べ立てた。曰く、自身の人生に未練や後悔を持っておらず、満足していることだという。

 

「おっけ〜、ありがとうっ。参考にしとくねぇ〜」

 

 照は軽く感謝を述べると、活動開始は明日が故、各々早めに寝るように言い、そして一旦集まりは解散となった。外はとっくに夜である。

 

「ああ、狩人様。奇遇ですね」

 

「おお、人形ちゃんではないか。奇遇だな」

 

 店を出るなり、狩人は人形ちゃんと出会った。買い物を楽しんでいたそうだ。服を新調したそうで、もうこんな時期だからとロングコートと手袋を身に纏っていた。頭に被った黒いウシャンカで耳を守っている。

 

 着替えるというのは彼女にとってまだまだ新鮮な体験であるらしく、見るからにテンションが高かった

 

 人形ちゃんと話していると、久しぶりにとった有給で旅行に来ていた柳とも出会った。というよりかは、すれ違っただけだが。

 

 蒼角を連れており、青く小さい手と明るい笑顔が振りまかれていた。柳も笑顔を浮かべていたが、人形ちゃんのコートを見るとほんの一瞬だけ表情を暗くした。

 

 柳はトレンチコートが苦手である。対鬼戦争時、塹壕の中でスコップを振っていた頃のことを思い出すのだ。砲弾の音など聞いた時には心拍数が跳ね上がる。

 

 そうして軽い会釈だけして柳と別れると、折角なので狩人は人形ちゃんに新しい友人を紹介することにした。真斗の隣に居る、先程までアキラを家まで送っていた女性を指す狩人。リュシアである。案の定、人形ちゃんの身長に度肝を抜かれている。すぐに打ち解けたようだが。

 

 ……寒くはないのだろうか? 人形ちゃんの格好と見比べ、狩人はリュシアを心配し始めた。そしてシェルターに居るであろうイドリーのことは更に心配になった。この時期になんて格好をしているのだ。

 

「えっ! あなたも寝ない人なの?」

 

「ええ。狩人様も、ですよ」

 

 微笑む人形ちゃん。リュシアは目を輝かせている。不眠友達が出来たと大喜びである。

 

 リュシアは夜に寝ない。昼の合間合間に睡眠を重ねるという中々凄まじい睡眠サイクルを持っているのだ。それがどうだろう、狩人と人形はそもそも寝ない。不健康バトルで圧勝しているのだ。

 

「そ、それじゃあさっ、今日っ」

 

「ええ、構いませんよ。そうですよね、狩人様」

 

 ニコニコな人形ちゃん。無論だ。狩人は笑って返した。楽しそうなので、二人きりにしておくことにした。水を差せる空気ではない。

 

「どうしたの? 狩人も来なよ!」

 

 ……良いのか。狩人が聞く。当たり前じゃん、と返ってくる。暫く無言で突っ立ったのち、ではありがたくと輪に入った。真斗はこれから彼の弟達に飯を食わせてやらねばならないため帰るそうだ。その隣に居た小さな「弟達」には獣耳も尻尾も無かったが、それに敢えて狩人が触れることはなかった。

 

「So……what're we gonna do?」

 

 何をしようかと人形ちゃんに聞くと、少し考えた後、そう言われると特に思いつきませんねと彼女は答えた。リュシアは「?」を頭の上に浮かべている。

 

「何語?」

 

「英語だが」

 

 英国(イギリス)人なのでなと返しながら、知らない言葉で話していたことを軽く謝った。「イギリス語も話せるの?」とか返ってきたのはきっと気のせいであろう。

 

 結局、高めの料理店に行くことになった。金には余裕があり、仮に無くなったところでまたホロウから賞金首が減るのみなので問題は無い。

 

 幸せそうに高級料理を頬張るリュシアを、狩人と人形ちゃんは優しく微笑みながら眺めていた。完全に子供扱いである。

 

 リュシアの語るエーテリアスの話を、人形ちゃんは興味津々といった様子で聞いていた。軽く目を見張って驚く様子を見せたり、息をつくことすらあった。

 

 彼女はホロウに入れない。故に、リュシアの言葉の一つ一つが知らないこと、新しいことなのだ。

 

 それに実際、リュシアの語りは上手かった。センチやミリなどと具体的な単位は使わない。それでも、聞いているだけでその未知のエーテリアスの姿が鮮明に脳裏へと浮かんでくる。

 

 新しい聞き手が生まれたことに、リュシアは感激していた。メニューにあった「マトンステーキ」なる文字列に戦慄したりもしていたが。そういえば彼女は山羊のシリオンである。使者がメッセージ伝達に使ってる羊皮紙見せたらどうなるんだろうという疑問は夢の中へ葬った。

 

 朝を迎える頃には、人形ちゃんは疲れて夢へ帰っていった。また土産を持って帰ってくることを狩人は約束した。人形ちゃんもリュシアと約束した。また話を聞かせてもらうと。

 

「どうしたんだい? リュシア。朝っぱらからやけにうれしそうじゃないか」

 

 ルンルン気分のリュシアに疑問を抱くアキラだったが、新しい友達ができたんだと彼女が話すと、それは良かったと彼も喜んでいた。

 

 そんな風に皆気分が高かったものなので、いざシェルターについた時にイドリーが居なかった際のショックは計り知れないものだった。

 

 椅子には一枚の走り書きが残してあった。「モスの言葉で分かったの。あれはアキラの物語であって、私のものじゃない。行かなきゃ。探してくれてありがとう」。そう書いてあった。

 

 モス。殺すべき獣の名をしかと脳に刻み込み、狩人は、そして一行は、すぐさま「街」へと向かっていった。

 

 到着した時、「街」は前に来た時のようにどんよりとした空気を充満させていた。住民たちもどこか悲しげで、気分は落ち込んでいる様子であった。

 

 夢縋り、とは言うが、今の彼らには縋ることすらまともに出来ないそうだ。楽園が聞いて呆れたものである。

 

「ん? あれは……」

 

 生々しい、しかし生気のない「街」の中、アキラが何かに気付く。あの子供は。ワンダリングハンターを喚び出す「小さい方」、ランタンベアラーである。敵意は無いようで、話ができた。

 

 曰く、モスはこの「街」のどこかに隠れているのだという。ランタンベアラーがリュシアと姿が似ていることに狩人は気がついた。

 

「早く見つけるぞ」

 

 さっさと殺して、イドリーを連れ帰ろう。どうせ彼女もここに居るのだろうと狩人が歩き出す。皆が手分けして街中でモスを探し始める中、アキラは狩人と同じ方向に歩き出した。行き先は一つ、「講堂」である。

 

 講堂の扉の前にはパウル、というよりかはその夢縋りが居た。故郷へ帰りたく思っているようで、こんなことは間違ってるとしきりに呟いている。

 

「イドリーさんはこの大扉の先です。どうか、助けてやってください」

 

「ありがとう、パウルさん」

 

 アキラが手をかけるなり、重苦しい、粘っこい空気が大扉の隙間から噴き出した。狩人の手も借りてなんとか開け開くと、講堂の一番奥にイドリーがいた。

 

 同時に流れ込む、圧倒的な情報と悪夢の濁流。紙は宙に舞い上がり、嵐のように渦を巻いて部屋中を駆け回っていた。

 

 目にも見えない悪夢の濁流は、彼を外へ押し戻さんとアキラの前に立ちはだかる。無理やりに掻き分けていく。足が重い。一瞬でも気を抜けば、その瞬間に夢へ飲み込まれてしまいそうだった。

 

「くっ、狩人っ。大丈──狩人……!?」

 

 アキラの横を爆速で通り過ぎていく狩人。両手に持てるだけ持った鎮静剤を浴びるようにがぶ飲みしては走り、走っては飲んでいる。時々全身から血を噴き出している。アキラは濁流に耐えながらも呆気に取られていた。

 

「ようしっ一番乗りだっ」

 

 言ってる場合か。彼女の下へ辿り着いたにも関わらず呑気に喜んでいるように見える彼にアキラが叫ぶ前に、狩人は行動を始めた。余裕がある故の戯れである。

 

 悪夢の対処ならこちらに分がある。邪気に包まれ立ったまま寝ているイドリーの右手を握ると、狩人はそのまま彼女の前で跪き、祈るような姿勢を取った。狩人の姿が、現実と夢の狭間で曖昧になっていく。

 

 ──濁流が、消えた。狩人も、消えた。宙を舞っていた全てが重力のままに床に叩きつけられる。

 

 突然流れから解放され、アキラは体勢を崩し思わずその場で倒れかけた。すんでのところで踏みとどまり走り寄ると、彼はなんとか倒れるイドリーを支えることに成功した。

 

 何度も呼びかけてみるも、イドリーに反応はなく、静かに寝息を立てるのみであった。

 

「狩人……君は一体、何をしたんだ……?」

 

 奇妙な静けさの中、イドリーの寝息と、アキラの声だけが講堂に響いていた。

 

──────────

 

「……馬鹿な」

 

 狩人は、困惑していた。

 

 目の前に広がっている光景が初めてのものだからではない。むしろ、逆である。()()()()()()()()

 

 ペイントで塗ったような青くどす黒い海岸に、狩人は立っていた。後ろでは異様なまでに静かな海が波風も立てずに揺らいでいた。潮風は無かった。

 

 狩人の呼吸音と、近くのランタンが立てる無機質な音を除いて、音らしい音は無かった。狩人の目の前には、見慣れた死体があった。悍ましい、上位者の死体が。

 

「何故、ここに」

 

 悪夢の海岸、悪夢の漁村の最奥で、狩人が漏らした言葉であった。

























ジェーンさんのドスケベ衣装と悠真の猫耳メイド衣装と照ちゃんが無料配布とかゼンゼロ運営マジで愛してます。LOVE。

すいませんやっぱりかわいそうなイドリーは次回になりそうです……やりすぎないようにも気をつけます。

この章の完結までにゼンゼロ本編シーズン2第5章のボイス修正されなかったら白祇重工編かアストラ編やります。
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