先日の米朝首脳会談の決裂は、1986年のレーガン米大統領と旧ソ連のゴルバチョフ書記長のレイキャビク会談を連想させた。当時のソ連は経済的に困窮しており、軍事費の増大を避けるために、ゴルバチョフ氏が軍縮を持ちだしてきたが、疲弊するのを待つレーガン氏が決裂させたとみられている。
ということは、中国の経済鈍化と、それに影響される北朝鮮も、軍事費の拡大が体制崩壊の方向へ向かう要素になりうる。
その場合、日本が取るべき道は、経済競争に負けないことと、軍事的なバランスを失しないように防衛費を相応に増額して対抗することだ。
経済競争というのは、GDPの総額や伸び率ではなく、1人当たりGDPで優位を維持するという意味だ。社会主義国には国有企業が多く存在しており、その維持コストは大きなハンデのはずなので、長い目で見れば資本主義国が負けることはほとんどないだろう。
そうしているうちに、社会主義国は軍事費負担に耐えられなくなっていくのが、ソ連崩壊の教訓だ。
ただ、中国の体制崩壊が近々に訪れるとは思えない。
日本としては、経済を成長させ、地域的な軍事バランスが不均衡になって地域紛争を誘発しないように一定の防衛費を捻出できるようにするという当たり前のことを実践するだけだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)