禁断の哀しき過去n度打ち
ゼンゼロにn発目の哀しき過去を投下だあっ
これもう個人が悪いどうこうじゃなくて新エリー都自体が複数の闇を内包した巨大な闇なんじゃないスか?(今更)
『いやーついに来たのォ』
「ですねぇ」
一行は瞬光の過去を探るため、トロッコを走らせ爆破し、橋を渡りながら浮いた岩を眺め、目的地となる居住区へやってきた。。
ついに来た、というほどでもないのだが、何を聞きつけたのかさも当然のごとくついてきたマネモブに、ダイアリンは適当な相槌をついた。
ダイアリンはマネモブを苦手に思っているようだが、彼女がクレーム処理で鍛え抜いた毒舌スキルは、マネモブの戯言を受け流すことにかけて絶大な効果を発揮していることに自分でも気づいていない。
『ここがリカルドの家か…?』『ぶち殺してやるぜっ』
「ぶち殺すも何も無人なんですけどねぇ~。そんな人殺しがしたいなら、お得意の拳法で殺し屋でも始めたらどうです? きっと儲かりますよ、まあ暗殺されるような人はホロウになんて来ないでしょうけど」
『ククク…ひどい言われようだな』『まぁ事実だからしょうがないけど』
「あ、自分の武術が暗殺向きってのは理解してたんですね」
『そりゃあもう通販の包丁ぐらいは切れますよ』
「はぁー、本当に素手で人を切断する技の一つや二つ持ってそうでリラックスできませんねぇ」
マネモブは、丁寧に返答をくれるダイアリンに気を良くしたのかペラペラと何かを喋っている。
実は灘神影流関係者の一部が、幻魔拳や精髄破滅拳を使用し暗殺者じみたことをしているのは知っているのだが……マネモブはそれを黙認していた。
この場所にやってきた盤岳やダイアリン、瞬光は何やら思うところがあるのか考え事をしてるようだったが、何一つ関係のないマネモブにとっては無人の集合住宅だった。
『残留妖気!!』
「あ、あれはサラと釈淵さん!?」
一行、というかリンが追っている二人の残気も、マネモブにとってはほとんど関わりのない者。
サラはマジで知らない者同士であるし、釈淵も言葉を交わすどころか、顔すらも合わせたことはあっただろうか。
とにかく、今回に関してマネモブは蚊帳の外だった。
『コーヒーって苦いでしょ』『人生の味よね』
広場で、マネモブが打撃を
それは、高度に洗練されたシャドーボクシングのようなもの。脚を前へ出す度に、まるで本当に相手がそこにいるかのように錯覚してしまうほど。
ただ問題は、当のマネモブがデッドエンドブッチャーにカーフキック(ふくらはぎへのキック)をイメージしているせいで、シュールな絵面になっていることだろうか。
もちろん、デッドエンドブッチャー相手にそんなところを狙ったところで、効果はお察しだ。
『そやなっ』『肉離れを起こすようなローキックやけど大したことないよなっ』
ローキックではなくカーフキックである。
また、エーテリアスに肉離れは存在しない可能性が高い。
『エグイなんてものじゃない』
一人でトレーニングしていて虚しくなってきた頃合い。
マネモブは、何かが空を飛んでやってくることに気づいた。
「考えよ……聖なる言葉を」
『な…なんだあっ』
それはエーテリアスではない。天使のような形状でありながらも、禍々しいミアズマの異形……サクリファイスだ。
サクリファイス・コヴェナント・ガーディアン。法の守護者たる天使が、無法の野蛮人へ天罰を下す。
「汝に裁きを……」
『消えろ』
妙な相手に目をつけられてしまったが、相手が悪かったなとマネモブが仕掛けた。
サクリファイスは見た目通り、飛行能力がある。つまりそれを主体とした高機動能力を持っているだろう。
あとは高危険度エーテリアスが死人のように持っているビーム発射とミアズマ・バリア。
「ハッ!」
『…』
翼での回転攻撃。
当たれば切り刻まれる危険な光輪も、避けることすらせず回転の中心を攻撃してしまえば安全だ。
象塊を使って少し踏み抜けば、それだけでバランスを崩した。
「フンッ! ハァッ!」
『…』
流石にサクリファイスなだけはある。すぐさま反撃に移っている。
翼の一部は取り外し可能のようで、それを剣のように使う範囲攻撃は少々厄介だが、問題なく避けられる。
だが、大振りすぎる。確かに硬い体表だが、マネモブの塊貫拳は防御を貫通する。ダメージの蓄積に、このサクリファイスは気づいているのか。
「ハァッ!」
『…』
その剣を軸にビームを放ってくるが、高速で移動するマネモブを捉えることはできない。
それどころか、懐に潜り込んでしまえば攻撃し放題。まるでサンドバッグだ。痛みなど感じていないように……いや、実際に感じていないのだろう。
捨て身とも言えるその攻撃の数々は、マネモブ達とは違った強さを持っている。
「ハァ……ッ!」
『“弾丸すべり”』
牽制ばかりに剣を叩き込み、鋭い翼での一点集中攻撃。
当たれば貫通にとどまらず、そのまま身体をバラバラに引き裂かれてしまうような弾丸じみた一撃はマネモブの体表を滑り――
『灘心影流“幻魔突き”』
「なにっ」
勢がそのまま拳に乗り、サクリファイスの顔面へと命中した。
「何事か!」
「敵襲です!?」
『…もう終わっとるわっ』
一行が駆けつけてきた時には、すでに終わっていた。
この程度の相手なら、盤岳やダイアリンなら問題なく倒せていただろう。
余計なお世話だったかもしれないと、マネモブ地面に倒れ伏し動けないサクリファイスを見る。
「サクリファイス……?」
『さあね…』
マネモブにしてみれば。いや、一行にしてみても突然現れてマネモブに負け去った謎の敵。
そんな存在は、上体を起こしながら、自分の醜態などどうでもいいとばかりに声を発した。
「傾聴せよ……始まりの主の……呼び声を……」
『あん?』『どうしてェ』
その途端、ミアズマの気配が濃くなってきたことを一行は察知した。
これは傾聴したらエグイなんてものじゃないとばかりにマネモブが動いた。
『幻魔拳ッ』『幻魔拳ッ』『幻魔拳ッ』
「はうっ」
『“精髄破滅拳”』
「はうっ」
とにかく頭部へ幻魔を植え付ける。
そしてトドメの精髄破滅拳。しかし、マネモブが塊貫拳でさっさっとトドメを刺した方が良かったかなと思う間もなく、サクリファイスは言葉を発してしまった。
「お前のお袋は淫売のクソ女!!」
『えっ』
「なめるなメスブタァッ」
『えっ』
「本当はファックしたいんだろうが!!」
『えっ』
「まあ締まりのええアソコしとったから金返せとは言わんけどなブへへへへ」
『なにを言ってるこのバカは?』
まるで始まりの主の声を届ける天使の如き存在は、幻魔を打ち込まれ下品なセリフを吐くだけの壊れたスピーカーになってしまった。
『そして自己崩壊が始まる』『すごいな“幻魔拳”は』『ゴリラにも効いたよ』
「これどうすんのマネモブ?」
『知ラナイ』『知ッテテモ言ワナイ』
「推定敵と言えど哀れになってきましたね」
「然り」
「マネモブ、責任取って介護しなよ」
『まあええやろ』
なってしまったものは仕方がないと、マネモブはサクリファイス・コヴェナント・ガーディアンを連れて帰った。
しかし、このアクシデントのおかげで大した消耗もなく調査は進み、一行は街へと帰って行った。
『しかしキツイ減量だったな内海』
「はい。あと5キロがなかなか落ちなかった」
マネモブの語録にも返答してくれる……まるで語録博士である。
(体型や声から推察すると)彼女にとって、始まりの主に仕えることと、語録スピーカーになることのどちらが幸せか……それはもやは始まりの主すら知らない、知ってても言わない。
「考えよ……聖なる言葉を」
じつはこの部分サクリファイス・コヴェナント・ガーディアンが何て言ってるか聞き取れなかったから適当なんだよね
間違ってたら修正しますよククク