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1980年12月8日「ジョン・レノン射殺」

朝日新聞にヨーコ・オノ・レノンからの全面広告(本人は「手紙」)が掲載されました。

ネット上に出てこなかったので、1981年(昭和56年)朝日新聞1月18日 全面広告 ヨーコ・オノ・レノンの全面広告の画像をネット上に残そうと思い。2025年12月8日に思い立ち、当時の新聞広告の写真と本文テキストを書き残します。

「もし何か意義ある『仕返し』があるとするならば、それは、愛と信頼に基礎を置く社会に、まだ間に合ううちに方向転換させることだと思います。ジョンはそれができると思っていました。」(ヨーコ・オノ・レノン)

当時18歳だった僕は、理不尽な暴力に遭遇したヨーコが、暴力への怒りを剥き出しにするかと思っていたところへ、このメッセージです。うわーっと、新聞を広げたまま立ち尽くしたことを覚えています。この記事の画像のあと、テキストを書き起こしたので、じっくり読んでみてください。全面広告ですが、ヨーコは「手紙」と呼んでいます。ジョン・レノン射殺事件から、約1ヶ月後のことでした。

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1981年(昭和56年)朝日新聞1月18日 全面広告

感謝をこめて
ヨーコ・オノ・レノン

 アメリカ、ヨーロッパ、アジア、アフリカなど世界の各地から、手紙、電報などお心づかいを寄せていただき、有難うございました。ジョンも私も人種、ハダの色、宗教の相違を越えた同胞愛を信じておりましたので、こうしたお見舞いは、私にとって慰めでした。お見舞いは、あらゆる職業、階層の方々からいただきましたが、中には獄中の方々からのものもあり、特に心温まる思いがいたしました。

 また、スピリット・ファウンデーションに対して寄せられました基金に対してもお礼申し上げます。50セント、1ドル、5ドルと集まって来たものが、いまでは合計10万ドルに達しました。ジョンと私はスピリット・ファウンデーションの職員を最小限に抑えてきました。私たち二人と友人の弁護士です。三人とも、もち論無給でした。この協会の経費はすべてジョンと私が個人で負担してきました。このシステムを今後とも変える理由はありませんので、皆様からの基金はすべて、それに利息も加えて、年末にそっくり困っている人々へ届けられます。スピリット・ファウンデーションでは、単純で効率的な運営を続けるため、これまでも外部での運動や宣伝活動に参加して来ませんでしたが、今後もこの方針を続けます。

 ジョンの死に便乗して儲けている人々がいることを心配してくださる方々がありますが、その皆様にも感謝しております。レノンについての記事をマスコミに書き、原稿料を受け取ることを後ろめたく思っている方々もありますが、そのようなお心づかいは無用です。ジョンへの手向けのために、彼の名前を使って少しばかりのお金を儲ける人があっても、それが悪意のものではない限り私は承認いたします。
ご存知の通り、ジョンは非常にユーモアのセンスがあり、理解に富んだ人でした。“Whatever gets you through your life(生きて行くため役立つなら何でも…)”と、彼ならいうことでしょう。彼は、彼の名前を利用してちょっと良い食事をしてくれる方が罪の意識に悩むよりましだ、と考えていたと思います。そのようにして得たお金は、子供たちや愛する人のために、よい使い道を考えて使ってください。もし余ったら、困っている人々にあげてください。しかし、そのようにジョンの名前や使うことに対し、私から正式許可を与えることはできません。それは、一部の人に許可を与え、他の人に与えなければ不公平になるからです。個人にせよ、会社にせよ、ジョンの名前を使ってひと儲けようと考えている方は、彼の家族の気持ちと法的な権利を考慮して、その意図と計画を自発的に私に知らせ、私たちになっとくのゆくような方法をとってくださることをお願いいたします。

 ジョンの死に怒りを示してくださった方々にも礼を申し上げます。私も同様の怒りを覚えております。私はジョンを護れなかった自分自身にも怒っています。私は、社会がこれ程までにばらばらに砕けるままにまかせていた自分自身、そして私たちすべてに対しても腹を立てています。もし何か意義ある「仕返し」があるとするならば、それは、愛と信頼に基礎を置く社会に、まだ間に合ううちに方向転換させることだと思います。ジョンはそれができると思っていました。もし慰めがあるとすれば、それは、この方向転換ができなくはないのだということ、そして、私たちが私たち自身と私たちの子孫のために地上に平和な世界を創り上げることができるのだということを示すことだけです。

 私たちみんなが、それぞれ一人を愛するだけで良いのです。愛は愛を生んで行きます。そうなれば、たぶん、私たちはお互いが狂気に陥るのを防ぐことができるでしょう。また、お互いが暴力に走るのを避けることができるでしょう。 暴力は 武器にあるのではなく、私たちの心の中にあるものなのですから。罪は、引き金を引く側にあるのではなく、それをさせる私たち皆にあるのです。

 ジョンが私のすぐ傍で倒れた時、敵がだれで、どこにいるかもわからず、ゲリラ戦の真只中にいるような気がしました。 私は、かみそりの刃や 新聞記事を私から隠そうとする私のスタッフに、どんな電報、手紙、メッセージも残らず私に見せるように言い続けてきました。 私には何もわかりませんでした。 私は知らなければなりませんでした。私は遺体の写真を見ました。 ジョンは「イマジン」の裏表紙の写真のように安らかに見えました。 ジョン、あなたは何を言おうとしているの? 私はジョンがサインをしている場面の写真を見ました。その写真はテレビに何度も何度も流されました。なぜか私は、この写真の方が、他の写真よりも、私には辛く感じられました。ジョンは、あの午後は急いでいました。彼はサインをしなくてもよかったのです。それなのに、彼を後になって裏切る男が見守る前でサインをしてしまいました。私はその写真を見ました。それはテレビに映された写真でしたが、ジョンは頭を前に垂れていました。もちろんサインをするためですが、しかし、それは、ジョンにしては変わった姿勢でした。そのとき、私は、ジョンが天国の門へ入ろうとするための署名をしているのだと気付きました。

 ジョンと私は、二人の心は一つで、たまたま身体が二つになっていたのは、ジョンに言わせれば「便宜上」、「そして、その方がもっと楽しい」からだ、と信じていました。最近私たちは自分達を「グループ」と呼ぶようになりましたが、それはレコーディングのためでした。「僕は君たちが二人とも好きだ」と言って、彼は私をよくからかいました。過去5年間、昼間は、私は階下の事務所で、ジョンは上の階のアパートで仕事をしました。いま私は相変わらず下の階におり、ジョンは、ずっと上の階へ行ってしまいました。

 私は、皆様にこの手紙を書く義務があると思いました。これで皆様からのご質問に全部答えられなかったかとは思いますが、今はこれで精一杯です。この手紙はまた、多くの皆様が申し込まれたインタビュー、会見、会談などにかわるものです。私は、一人だけになる時間が欲しいのです。
 もともとできないことはできないということをおわかりください。ご賢察のほどを。

愛をこめて
Yoko
’81年1月11日
ニューヨーク市にて

1981年(昭和56年)朝日新聞1月18日




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1980年12月8日「ジョン・レノン射殺」|勝山|R-60  《定年実業家》支援協会
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