御三卿の田安家に生まれ、白河松平家の養子となった松平定信。のちに老中首座となり、寛政の改革を行うこととなる定信を演じる井上祐貴さんに、今夜の第30回から本格的に登場するのを前に芝居への意気込みを聞きました。
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嫌いにならないでください
松平定信は、ひと言で言うと面倒くさい人物です(笑)。とても理屈っぽくて「そんな言葉を使わなくても絶対に伝わるのに」と思うような言葉を選びます。早口な設定ということもあって、言い慣れない単語には苦戦していますが、セリフには定信らしさを感じますね。文学好きでオタク気質なところがあり、わざと難しい言葉を使っているというよりも、染み込んだ言葉が自然と出てくるのだと思います。
とはいえ、とにかく人物像もセリフも「面倒くさいな」と思わせるキャラクターなので、僕自身は完全に田沼派です(笑)。演じながら「なんでそんな言い方をするんだろう。そんなんじゃ、みんな疲れちゃうよ」と思いつつ、お芝居で面倒くささを何倍も上乗せできればと思っています。ですが、そこには定信なりの正義感があるので、皆さん、嫌いにはならないでください(笑)。
目の表現を意識
第30回で描かれる意次との対峙(たいじ)シーンは、田沼意次役の渡辺 謙さんをはじめベテランの皆さんが目の前にずらっと並んでいてとても緊張しました。定信としては「やっとここまできた」という感慨の一方で「ここからどうしていこうか」と策をめぐらせる場面でもあり、定信のどんな表情と感情を引き出せばいいのかを考えながら演じたつもりです。
定信は話している相手、特に田沼の本心を探るようなセリフが多いので、会話のなかで何を感じ、受け取ったのかを目の表情でどれだけ伝えられるかに意識を向けています。うれしい、悔しいなど、次々に変わる感情を的確に表現し、シーン自体のメッセージを絶対に外さないよう伝えられたらと思っています。
少年時代からの思いを背負って
意次への思いは寺田 心さんが演じていた少年時代から積み重なってきたもの。ですから、田沼を恨む気持ちがたっぷり描かれている、白河に行く前の意次と賢丸のやりとりを何度も見直しました。定信はきっとあの時の悔しさを忘れることがないだろうから、そこを根本に持っていればすごく定信を演じやすいのではと思ったんです。
実際に意次と対峙する場面では、どれほどの鬱憤(うっぷん)を表面に出すか迷いました。露骨にすると分かりやす過ぎるし、だからといって内に秘め過ぎると伝わらない。田沼にではなく、ご覧になる方々に定信の思いを感じていただきたいと、現場でたくさん相談をして、(渡辺)謙さんにもアドバイスをいただき、さじ加減を探りました。
治済は不気味な存在
第30回の治済との対面シーンでは、まだ一橋との関係性がはっきりしないなか、治済をも利用して田沼をどう追い落とすか、御三家、御三卿のなかでどう立ち回っていったらいいのかなど、いろんなことを心の奥底でグルグルと考えながらやりとりしていました。
ただ、定信が利用しようとしている治済って、不穏で怖いですよね。でもそれもまだまだこれからが本番…。治済役の生田斗真さんは、いつも想像していない角度でお芝居されるので、すべてのサインを見逃さず、定信として100パーセントのリアクションを返したいと思っています。ここから治済がどう動き、定信にどう影響していくのか、本当に不気味な存在です(笑)。
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