大河ドラマ「べらぼう」で、のちの火付盗賊改方・長谷川平蔵宣以役を演じる中村隼人さん。放蕩(ほうとう)を尽くしたといわれる若き日の平蔵が、やがて時代劇のヒーローに……。その成長への思いを伺いました。
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スタートは3枚目!?
長谷川平蔵宣以(以下「平蔵」)といえば、やはり『鬼平犯科帳』(池波正太郎原作)ですね。僕の師匠である中村吉右衛門のおじさま、松本幸四郎のお兄さん、さらに僕の大叔父の萬屋錦之介と、これまで歌舞伎役者が演じてきたのが平蔵です。そんな役を日ごろ親しくしている横浜流星くんが主演の大河ドラマで(自分が)いただいたことに、強い“ご縁”を感じました。
ただ「べらぼう」の平蔵は火付盗賊改方として名をはせる前、“本所の銕(てつ)”と呼ばれていた青年時代からの登場です。よく知られているカッコいい平蔵ではなくボンボン育ちの遊び人。かなり3枚目でコメディー要素が強いのですが、のちの姿との落差をつける意味でもコミカルで余白や隙を感じさせる男として演じたいですね。
平蔵らしさを表す後れ毛
平蔵は遊び方を知らないのにお金だけ持っているから、吉原でいいようにカモにされてしまう。プライドが高くて、自分では着物や髪型が決まっていると思い込んでいるんです(笑)。結局、史実にもあるように父親が残した財産をすべて使い切ってしまうという隙だらけな人物ですが、そんなおちゃめでコミカルな平蔵はこれまで誰もやっていない。役者としてやりがいがあります。
カツラで工夫したのが、こめかみのあたりにはらりと垂れた「シケ」と呼ばれる後れ毛。本人はカッコいいと思っているあたりが「(「べらぼう」の)平蔵ならね」とうなずいていただけそうで、チャームポイントを見つけられたと思っています。
じっくり描かれる人間模様
ここまでリアルに吉原を題材にした作品にふれるのは初めてです。江戸の庶民にとっては流行の発信源でもあり憧れの場所だけれど、実態は貧しさから売られてきた女郎が一生出られない場所であり、病気で亡くなってしまうという悲惨な物語があふれている。そんな人間ドラマをきちんと描きながらもコメディー要素もある画期的な大河ドラマだと思っています。だからこそリアルな芝居、ウソの芝居、大げさな芝居などのさじ加減が大事になってくるんでしょうね。
前半、平蔵が若い衆たちと連れだって吉原のしきたりに右往左往しているシーンなどは、シリアスな出来事の間にぽんと出てくる箸休めというか、少し肩の力を抜いてもらえるような役割だったと思っています。
いつかきっと立派なヒーローに
撮影前には平蔵のお墓参りをしました。ご住職から聞かせていただいたのですが、平蔵は武士階級にはあまり好かれず、むしろ町人に愛されていた人物だったようです。町人と武士では格差があるけれど、偉ぶることなく町人の目線に立って物事を考えられる。そんな町人の味方だったからこそ捕り物もうまくいったのかなと。そういうところを大切にしながら、色気、男気、ダンディーなイメージも出していきたい。不安もありますが、きっと立派なヒーローになると信じて、楽しみながら成長していければと思っています。
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