【ニューヨーク=本間英士】国連安全保障理事会は29日、イスラエルが国家承認を発表したアフリカ東部「ソマリランド」を巡る緊急会合を開催した。ソマリランドは1991年にソマリアから一方的に独立を宣言したが、国際的には認められておらず、会合では多くの国がイスラエルを非難した。中東・東アフリカ地域における新たな火種となる可能性がある。
国連加盟国でソマリランドの国家承認を表明したのはイスラエルが初めて。ソマリアの代表は会合で、イスラエルの行為は国際法違反やソマリアへの主権侵害であり、「イスラエルによる露骨な攻撃を強く非難する」として国家承認の撤回を求めた。ソマリランドの旧宗主国・英国のほか、中露、アフリカ諸国、中東諸国なども地域の不安定化を招くなどとして、懸念や非難の意思を示した。
今年2月にトランプ米大統領がパレスチナ自治区ガザの住民の移住構想を発表した際、ソマリランドが移住先の候補の一つとして報じられていた。
一方、イスラエルの代表は、ソマリランドは30年超にわたり事実上の国家として存在してきたと主張。国家承認は「ソマリアへの敵対行為ではない」とした上で、「アフリカの角」と呼ばれる大陸東端の「安定を強化する機会だ」と強調した。
ソマリランドは親イラン民兵組織フーシ派が主要部を実効支配するイエメンの対岸に位置する。イスラエルのシンクタンクは、ソマリランドが対フーシ派作戦の前線基地になる可能性を示した。
ソマリランドは91年、内戦状態のソマリアから独立を宣言し、北西部を実効支配。政情は比較的安定しているとされる。