中国人民解放軍による台湾を包囲する軍事演習は30日、台湾本島の北部と南部の海域への長距離ロケット砲発射が確認されたが、弾道ミサイルは発射されなかった。令和4(2022)年8月の演習では弾道ミサイル5発が日本の排他的経済水域(EEZ)に着弾して緊張が高まった。防衛省内には、高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁で悪化した日中関係を刺激しないよう、抑制的だったとの見方もある。
中国軍で台湾方面を管轄する東部戦区が今回発表した、台湾周辺の航行・飛行警報区域5カ所の中で、日本のEEZと重なる場所はなかった。令和4年の演習では、波照間島の南西に設定された区域の一部がEEZと重なり、その場所に弾道ミサイルが着弾した。
このため、防衛省幹部は「今回の演習地域は、より台湾側に設定された」と中国側に一定の配慮があった可能性も示唆した。
今回の演習について、東部戦区の報道官は、「『台湾独立』分裂勢力と外部の干渉勢力に対する重大な警告だ」と強調。29日には台湾東部で爆撃機が精密攻撃の訓練を実施したと発表しており、日米などの「外部勢力」への攻撃を念頭に置いた可能性がある。政府内には「演習区域といった軍事面とは別に、政治的な意図は分からない」(防衛省幹部)と威圧を強める中国への警戒感も広がった。