「圧倒的国力を持つ大国には逆らうべきではない」という言説そのものが、中国共産党の三戦が狙う到達点です。
輿論戦の目的
・善悪・正不正の判断基準を破壊する
・侵略された側を道徳的に劣位に置く
・観測者(第三国)を沈黙させる
典型的フレーミング
・勝てない戦争をするのは無責任
・戦禍を拡大させたのは抵抗した側
・現実を見ろ、理想論は無意味
この枠組みに乗せると、日中戦争での中国の抗戦、ベトナム戦争での北ベトナムの抗戦はすべて被害を拡大させた愚かな選択に再定義されます。
これは侵略を相対化し、抵抗を問題化するための認知操作(マインドハッキング)です。
心理戦は、諦めを成熟、理性、現実主義に偽装します。
・恐怖を直接与えるのではない
・判断基準そのものを内面化させる
ここで使われるのが、「大国に逆らうのは非合理」という内面化された検閲です。
心理的帰結
・抵抗を口にする人が過激、危険、無責任に見える
・侵略を問題視しない沈黙が大人の対応になる
結果として、被侵略側が自己否定に追い込まれる
これは、武力で相手を倒す前に意思決定能力を無力化する極めて洗練された心理戦です。
法律戦は力による既成事実を秩序と呼び替える
法律戦の狙い
・国際法を否定するのではない
・使えなくする
そのために行われるのが、
・勝てないなら受け入れよ
・現実の支配を前提に議論せよ
という事実上の力の合法化です。
これが意味すること
・主権侵害・侵略の違法性は棚上げ
・抵抗は紛争拡大要因にすり替え
・国際法は結果を追認する装置へ堕落
これは法の支配ではなく、力の追認です。
三戦が成功した社会では、次の状態が同時に成立します。
・侵略した側は語らずとも理解される
・抵抗した側が説明責任を負う
・第三国は関与しないことが理性的と感じる
つまり、撃たなくても、脅さなくても、相手が自ら諦める
これが、権威主義国家が目指す最も低コストで、最も安定した支配状態です。
三戦に対抗するとは、声を荒げることではなく、評価軸を力から正当性へ引き戻し続けること
その一点に尽きます。
Quote
Yuichi Hosoya 細谷雄一
@Yuichi_Hosoya
今、圧倒的な国力を持つ大国には逆らうべきではない、という認識が蔓延しています。だとすれば、日中戦争で中国は日本の侵攻に抵抗すべきではなかった、ベトナム戦争で北ベトナムはアメリカの攻撃に抵抗すべきではなかった、戦禍を拡大せぬよう降伏すべきだった、と歴史教育を変えるべきでしょうか。