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時間はあるのに動けない年末年始。何かしなきゃと思うほど苦しい #エキスパートトピ

精神科医/産業医
提供:イメージマート

カーテン越しの光が少しオレンジ色になって、スマホを見ると16時台。

最近、年末年始の長い休みに入ったはずなのに、「やった!自由な時間ができた!」とは素直に感じられない人が少なくありません。

時間はある。義務的な予定もない。なのに、朝から何も始められない。その状態が、思っている以上に心を消耗させてくる。

無理しなくていいと分かっているものの、「せっかくの休みなのに」「何かしなきゃ」という声が頭の中で響いてしまう。ただ、そのしんどさは、怠けでも甘えでもありません。

ココがポイント

年末年始の休みが始まり、各交通機関で混雑のピークを迎えています。最大9連休となる年末年始の休みがスタート
出典:テレビ朝日系(ANN) 2025/12/28(日)

年末年始を古里で過ごす人たちの帰省ラッシュが27日、本格化
出典:岩手日報 2025/12/28(日)

年末は何かと考えることや、やるべきことが山積み
出典:ピンズバNEWS 2025/12/28(日)

エキスパートの補足・見解

年末年始は「リセット」や「充電」の時間として語られがち。だからこそ、休みに入った瞬間から、私たちは無意識に“回復している自分”という前向きに進む自分を期待してしまいます。

しかし、実際には、仕事や人間関係で張りつめていた糸は、急に緩めようとしてもすぐにはほどけません。何もしない時間が増えることで、これまで抑え込んでいた疲労感や空虚さが、ようやく表に出てくることがあります。

動けないのは、サボっているからではなく、止まったことで初めて、その心身の疲れをじっくりと感じ取れている状態。

「何かしなきゃ」と思っても体が動かないとき、人は自分を責めがちです。でも、休みとは本来、成果や充実感を生み出すための時間ではありません。

動けない自分を直そうとするより、「今は始められないほど、よく頑張ってきたんだな」と受け止めることも、ひとつの過ごし方。何かを始めなくても、回復は進みます。

休みの価値は、目に見える行動だけでは測れません。静止している時間も、たしかに大切なあなたの時間なのです。

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ありがとうございます。
精神科医/産業医

兵庫県出身。島根大学を卒業後、大阪を中心に精神科医・産業医として活動している。産業医としては毎月30社以上を訪問し、一般的な労働の安全衛生の指導に加えて、社内の人間関係のトラブルやハラスメントなどで苦しむ従業員にカウンセリング要素を取り入れた対話を重視した精神的なケアを行う。精神科医としてはうつ病、発達障害、適応障害などの疾患の治療だけではなく、自殺に至る心理、災害や家庭、犯罪などのトラウマケアにも力をいれている。さらに、ブログやツイッター、講演会などでこれらを分かりやすく「ラフな人生をめざすこと」を発信している。

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