ポケモン廃人、知らん地方に転移した。【完結】   作:タク@DMP

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第35話:覆滅の龍神

「ボクルググガガガガガアアアアーッッッ!!」

『は、ははははッ!! 見ろ、メグル!! 俺は一つになったぞ、マイミュと!』

 

 

 

 空に舞い上がったマイミュから、人の声が聞こえてくる。状況からして誰が発しているのかを察し、メグルはげんなりした。

 

「うわ、アイツの声が聞こえてくる……」

「マイミュがリンネを取り込んだ、ってコトォ!? あるいはその逆!?」

「みてーだな……アルカ。しっかり掴まってろよ!!」

「おーけー!! 火力はボクが出すッ!!」

「ああ、任せたッ!!」

 

 アルカは慣れた手つきでボールを空に投げると──ヘラクロスが飛び出した。

 そして、目の涙を指で拭きとり、キーストーンに指を翳す。

 その姿に、ヘラクロスも漸く主人が本調子を取り戻したことを察したようだった。

 

「ぷぴっ!!」

「心配掛けてゴメンね──メガシンカだよ……ヘラクロス!!」

 

 

 

【アルカのメガリングと ヘラクロスナイトが反応した!!】

 

 

 

 進化の光が爆ぜ、ヘラクロスの外骨格が膨れ上がり、より強固なものと化す。

 羽根は黄金に輝き、開けば蒸気が一気に噴き出した。狙いは、空に向かって伸び、咆哮するマイミュだ。

 

「狙って!! ”タネマシンガン”!!」

「ニンフィア、援護しろ!! ”ハイパーボイス”!!」

 

 両者の攻撃が同時にマイミュに叩きこまれる。しかし──あまりにも敵が巨大すぎるからか、全く響いた様子がない。

 

「パモ様、こっちも攻めるよ!! ”ガンマバースト・ストーム”ッ!!」

 

 電光化したパーモットが距離を詰め、マイミュの胴に拳を叩き込んだ。だが──パーモットの身体はそのままマイミュを摺り抜けてしまう。

 

「ッ……ウソだろ!? 身体の殆どが水にしたって、電気を流せばダメージは入るはずなのに!」

『この程度か? 笑わせてくれるなっ!!』

 

 咆哮したマイミュは、大顎を開けると、そこから水の渦を吐き出す。

 振り下ろされればビルを薙ぎ払い、そしてメグル達も諸共に吹き飛ばそうとする──

 

 

 

【マイミュの ハイドロポンプ!!】

 

 

 

 

「やっば!! デカすぎでしょ──!?」

「ッ……!!」

 

 ──イクサは何とかマリルリに乗って射程から逃れたものの、鈍重なヘイラッシャでは逃げ切る事が出来ない。

 

「ヘイラッシャ気張れ!! もっと速度を上げろ!!」

「ら、らっしゃーせーっ!!」

「ダメだよ追いつかれるーッ!?」

 

 水の柱がヘイラッシャを飲み込む。

 この勢いの水を浴びせてしまえば、ひとたまりもない。水圧で押し潰されてお終いだ。

 マイミュは勝利を確信して高笑いするが──

 

 

 

「──ケェェェェェレェェェェェスゥゥゥゥーッッッ!!」

 

 

 

 突如。

 地鳴りがするほどの咆哮がマイミュの背後から聞こえてくる。

 後ろを振り返り、彼は戦慄した。

 全長20メートルはあろうかという巨大な岩の鳥が、よりにもよって飛行して接近してきたのである。

 

『な、なんだコイツはぁ!?』

「ヨイノマガン……!? 何でこんな所に──!?」

 

 イクサも驚きのあまり、固まった。一度相まみえたクワゾメタウン”ひぐれのおやしろ”のヌシポケモン。

 しかし、その拠点は此処から遠く離れた砂漠にあるはず──

 

 

 

「エリィィィィス!!」

 

 

 

 今度は、ビルの屋上の方から甲高い咆哮が聞こえる。

 そこに見えるのは、日本刀の如き尾を揺らした巨大な鵺のようなポケモンだった。

 全身からはその怒りを表すように青白い鬼火が立ち上がっている。

 

「アケノヤイバまで!? どうなってるんだ……!?」

「イクサ君ッ!! こっちも加勢するわッ!!」

 

 イクサは思わず振り向いた。

 そこには、ギャラドスに乗ったレモン、デジー、ミコの姿があった。

 

「皆っ!!」

「……随分とデッカいわね。あれが敵で良いのかしら?」

「デカイいヤツ相手なら、もう遠慮はいらないよね! 全力で叩きにいこーっ!」

「そうだなあ。今まで好き勝手してくれたお礼をしてやらんとなあ!」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 ──結論から言えば。

 被弾の直前、割って入ったアケノヤイバがメグル達を皆まとめて影の世界に引きずり込み、更に近くのビルの屋上にまで連れ去ったことで全員は事なきを得た。

 ギガオーライズをしたアブソルであっても、複数人を影の世界に引きずり込んで移動させるような真似は出来ないため、オリジナルの能力の高さにメグルは驚かされることになった。

 

「アケノヤイバ……! 助けてくれたのか……!?」

「エリィィィス!!」

「ねえ、アケノヤイバだけじゃないよ、メグル!」

 

 アルカが指差した方には──見慣れた三匹のヌシポケモンの姿があった。

 

「ぷるるるるーッ!!」

「ビッシャーン……ッ!!」

「ぎゅらららら!」

 

 シャワーズ。サンダース。ブースター。

 御三家三社のヌシポケモンまでもが、その場に揃っている。

 

「ど、どうやって此処にやってきたんだ!? ヨイノマガンも居るし……!!」

「私達も一緒なのですよーっ」

 

 今度は空から声。

 空を飛べるポケモン達に乗って、キャプテン達が次々に降りてくる。

 

「どうやら、ヨイノマガンが皆を連れてきたみたいなのですよー」

「──サイゴクの一大事に、全てのヌシポケモンが集結したのだろう」

「遅れてゴメンなさいね、メグルちゃん♪ あいつら片付けるのに手間取っちゃった♡」

「よく言うわよ、ハズシさん……あたしが加勢しなきゃヤバかったじゃない」

「キャプテンとおやしろのヌシポケモン、これで全員集合なのですよー♪」

 

 得意げにVサインを送るヒメノ。ヌシポケモン達も皆、決意を新たにしたかのように頷き、咆哮してみせる。

 そんな彼らに、アルカは前に進みだす。

 

「ノオト……皆……心配掛けてごめんなさいっ!! ボク、もう大丈夫です!!」

「アルカ殿……! 記憶が! 拙者の事、分かるでござるか!?」

「もう大丈夫だよ。恥ずかしがり屋のキリちゃんに──泣き虫ノオトの事もバッチリ覚えてる!」

「アルカさん──記憶が戻ったんスね!? 一時はどうなる事かって──!! うっ、オレっち、嬉じぐで涙がずびびびび」

 

 すっかり記憶を取り戻したアルカを見て、ノオトは顔を真っ赤にして泣き出してしまう。

 問題は近くにいたメグルの服で顔を拭き出したことであったが。

 

「ギャーッ!! 俺の服で鼻をかむんじゃねえ!!」

「ごめんね、ノオト。大泣きするほど心配かけちゃったみたい」

「こいつが泣き虫なのはいつもの事だろーッ!! 鼻水が服についたじゃねーかッ!!」

「メグルのさんのだったらいいかなって……」

「良くねーわッ!!」

「このノリも久しぶりのように思えるわねぇ」

「じゃ後は──あいつをブッ倒すだけなんだからっ!」

 

 ユイが、マイミュの方を指差す。

 キャプテン達、そしてヌシ達は、サイゴクを脅かす脅威に向かうのだった。

 

『雑魚が何匹集まろうが、結果は同じだーッ!!』

「結果が同じかどうか、試してみると良いでござろう!! ヨイノマガン、行くぞッ!!」

 

 屋上を跳んだかと思えば、その脚力でキリはヨイノマガンの羽根に飛び乗り、そのままワイヤーで移動して頭のてっぺんに立つ。

 

 

 

「──五社同盟ッ!! 出るぞッ!!」

『応ッ!!』

 

 

 

 他のキャプテン達も、ヌシとの共闘を開始するのだった。

 

「ノオト。ヌシ様は私が指示して戦うのですよ。ノオトは──例の秘密兵器を使うのですよ」

「合点承知ッス、姉貴!!」

「秘密兵器?」

「へへん、後のお楽しみッスよ! メグルさん! オレっちたちは向こうへ!」

 

 ノオトが向こうを指差す。ヌシ達のオオワザは破壊力が高過ぎる。巻き込まれてはいけないので、各自散るというのだ。

 

「オーケー……! お前に合わせるぜ、ノオト!」

「やっぱり一番しっくりくるのは、この3人だねっ!」

「そうッスね!」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「──サイゴクのキャプテン達が……集まった!」

「私達も負けていられないわね」

「ギガオーライズで、こっちもオオワザの準備だーっ!」

 

 

 

 ギャラドスが空を飛び、オシアス組の4人をそれぞれ、ビルの屋上へと下ろしていく。

 此処からならば、オオワザを撃っても当たる距離だ。

 

「──パモ様っ! キツいかもだけど、もう少しお願い!」

「ぱもぱもっ!」

「ミミロップ! 今度はギガオーライズ、いっくよーっ!」

「みーみみ!」

「ハタタカガチ、遠慮はいらないわ。まとめて蒸発させてやるわよ」

「ギュラルルルルルル!!」

「おうおう、全員やる気だな! 妾もフルパワーで行くぞッ!」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

『キャプテンだか何だか知らないがッ!! お前達皆、まとめて薙ぎ払ってくれるッ!!』

 

 

 

 マイミュが咆哮する。

 大量の時空の裂け目が一気に現れ、そこから大量の水の塊が押し込められているのが見える。

 解き放たれれば、それら全てがありとあらゆるものを押し流す水の柱と化す。

 

『最大出力だッ!! この町諸共、全員まとめて沈むが良いッ!!』

 

 

 

【マイミュの メイルシュトローム!!】

 

 

 

「──敵がオオワザの態勢に入った!! 此方もオオワザで敵を狙えッ!! 阻止するぞッ!!」

「了解ッ! 水なら、蒸発させてしまえば問題無いのよねえッ!!」

 

 ハズシが高らかに言うと、ブースターが飛び出した。

 その身体の炉心が激しく燃え上がり、彼の中で一気に爆発する。体表の鉛色の部分が全身に広がっていき、赤く光り輝く。

 ブースターの身体は今、全身が赤く熱された鉄と化した。

 

「朱に染む、太陽の一撃──さあ、爆ぜなさいなッ!! ”メルトリアクター”ッ!!」

「ギュラララオオオオオオオオンッ!!」

 

 マイミュに突っ込んだ途端、ブースターは一気に爆発する。

 大量の熱の塊と化したそれは、マイミュの身体を一気に蒸発させ、水蒸気へと変えてしまうのだった。

 龍の身体が崩れ落ちる。

 

 

 

「グボルグググガアアアアアアアアアアーッ!?」

 

【オオワザ阻止:マイミュは怯んで動けない!】

 

 

 

 それでも元が水の龍ということもあり、足元の水を吸い上げ、再び姿を形成していく。

 だが、そこに他のヌシ達も合わせるようにしてオオワザを叩き込み始める。

 

「──サンダースっ! あたし達も続くよ! ”ホノイカヅチ”!!」

「ビッシャァァァァーンッ!!」

 

 雷がサンダースの身体に落ちる。

 そして全身が黒い稲光に包まれていき、特大のレールガンの発射台を電気で作り出す。

 一方、向こう側では雷雲の如き姿となったハタタカガチが大量の光の弓矢を浮かび上がらせていた。

 

「合わせなさい、ハタタカガチ!! ”らいごうのゆみや”!!」

 

 

 

【サンダースの ホノイカヅチ!!】

 

【ハタタカガチの らいごうのゆみや!!】

 

 

 

 弓矢が何本も水の龍に突き刺さっていき、爆ぜる。 

 悲鳴を上げ、暴れ狂い、ビルに居るキャプテンやヌシを薙ぎ払おうとするマイミュだったが──その身体を何本もの剣が突き刺し、動きを止めた。

 

「──おやおやー? 残念ながら、動くことは許さないのですよー」

『身体が、縛り付けられている……!? どうなっているんだ──!!』

「神聖なるサイゴクの地を土足で踏み荒らした罪、その命で贖ってもらうのですよー♪ ”あかつきのごけん”」

「エリィイイイイイイイイス!!」

 

 

 

【アケノヤイバの あかつきのごけん!!】

 

 

 

 ──マイミュの脳天を一際大きな剣が貫き、そして地面に完全に縛り付けた。

 これでもう、マイミュは自由に動くことは出来ない。

 

 

 

「ぷるるるるるー……」

 

 

 

 そんな中。

 キャプテンが居ないのに呼び出されたシャワーズは拗ねた様子で戦いを見下ろしていた。

 攻撃しなければいけないのは分かるが──どうしても、胸には何かが引っ掛かる。

 他のヌシには居る心を通わせたキャプテンは、もう彼女の傍には居ないからである。

 

「ぷるるー……」

 

 

 

 ──ほれ、シャワーズ。そんなしょげた顔をしちょったらいかんじゃろう。

 

 ──俺達は何時でも、お前の傍に居る。

 

 

 

「ぷるっ!?」

 

 

 

 ふと、シャワーズは辺りを見回した。誰も居なかった。しかし──風に流れ、声だけが聞こえてくる。

 

 

 

 ──ヌシとしての……お役目を立派に果たしなさい。ワシも──見ておるから……。

 

 ──熱く戦え、シャワーズ。俺達の……分まで。

 

 

 

 サイゴクの霊脈の力によるものか、それとも霊的な何かだったのかは定かではない。

 しかし、その声を聞き──シャワーズは己のヌシとしての責務を全うすることにした。

 

 

 

「ぷる……ッ!! ぷるるるるるるーっ!!」

 

 

 

【シャワーズの むげんほうようッ!!】

 

 

 

「──合わせろヨイノマガンッ!! ”たそがれのざんこう”ッ!!」

 

 

 

【ヨイノマガンの たそがれのざんこうッ!!】

 

 

 

 

 動けないマイミュに対し、シャワーズは薙ぎ払うような特大の水ブレスを放つ。

 そして、一気に辺りの光を魔眼に収束させたヨイノマガンも、同時に閃光を放つのだった。

 二つはマイミュを同時に狙い撃ち、爆発させる。

 

「ウサギの小娘ッ!! 次は妾達の番だッ!!」

「オーケーっ!! いっくよ、ミコっち!!」

 

 オオヒメミコの目が妖しく光る。

 そして、水であるが故に掴みどころのないマイミュの身体は一気に凝固し、押し固められた。

 

『これはサイコパワーか……!? 動けない──!!』

「最新鋭のオーデータポケモンの力、ナメるなよ!」

「駆け上れーっ、ミミロップ!!」

「みーっ!!」

 

 時を止めたかのように硬化したマイミュの身体を全速力でミミロップが駆け上る。

 そして、その脳天を蹴り、一気に宙へ舞い上がった。

 全身のオシアス磁気がその健脚へと集中していき、更に身体に現れていた金色の輪も足に全て集中していく。

 

 

 

「──”ノクターンインパルス”ッ!!」

 

【ミミロップの ノクターンインパルス!!】

 

 

 

 一度宙返りして勢いをつけたミミロップは、そのまま空中に張り巡らされた硬質の糸をも突き破り流星の如き蹴りを叩き込んだ。

 硬直していたマイミュの身体を突き破り、そのまま貫く──

 

『ぐっ、ぐあああああああああ!?』

「ボクルググガガガガガ!?」

 

 ──マイミュが全身を貫かれる痛みで絶叫した。

 辺りからは更に水が溢れ出し、そして辺りは崩落していく。 

 キャプテン達が足場にしていたビルも時空の歪みに巻き込まれ、崩れ始めるのだった。

 

「退避ッ!! 退避よッ!! 巻き込まれたら堪ったモンじゃないわッ!!」

『畜生ッ……!! 俺は勝たなきゃいけないんだ、お前達に──ッ!!』

 

 裂け目が次々に現れ、キャプテンやヌシポケモン達を狙って”ハイドロポンプ”が放たれていく。

 しかし、それを掻い潜って電気の拳を思いっきりパーモットが振り上げる──

 

「──自分の事しか見えてないお前に──僕達がッ!! 負けるわけがないだろッ!!」

 

 

 

【パーモットの ガンマバースト・ストーム!!】

 

 

 

 拳がマイミュの頭を正面から打ち砕く。

 そして、そこに続くようにして──ルカリオが飛び出した。

 エアームドに飛び乗ったノオトは左腕に嵌めこまれたバングルに手を翳す。

 

「──行くっスよ、ルカリオ。()()()()()()()ッ!!」

「ガォンッ!!」

 

 ルカリオの首輪には爪のようなものがぶら下げられていた。

 その身体に、純白の鬼神の姿がオーバーラップし、そして消える。

 全身には冷気が纏われ、目からは青白い稲光が迸った。

 その姿を前にしてメグルは驚く。

 

「使えたのかッ……!! ヒャッキのルカリオのギガオーライズが!!」

「イヌハギから貰った秘密兵器ッスよ!! オオワザ──”ウガツイチゲキ”ッ!!」

「ガォオオオオオオオン!!」

 

 拳を大きく振りかぶったルカリオは、空中で加速し──掌に現れた氷柱をマイミュに突き立てる。

 そこを起点として水龍の身体は一気に凍り付いていく。

 

 

 

【ルカリオの ウガツイチゲキ!!】

 

『クソッ……!! こんなバカな事が──!!』

 

 

 

【マイミュは凍り付いた!!】

 

 

 

「──いっけぇ、ヘラクロスーッ!!」

「──バサギリ、決めてやれーッ!!」

 

 

 

 完全に凍り付いたマイミュに飛んで行く影が二つ。

 ヘラクロス、そしてそれに飛び乗るバサギリだ。その身体は溶岩の鎧を纏っていた。

 

【バサギリ<AR:ブースター> タイプ:炎/鋼】

 

 マイミュの頭まで浮上すると──バサギリが回転しながら大斧を構え、ヘラクロスが全身から排熱しながら拳を構えた。

 

 

 

「”インファイト”ッ!!」

「オオワザ──”メルトリアクター”ッ!!」

 

 

 

【バサギリの メルトリアクター!!】

 

【ヘラクロスの インファイト!!】

 

 

 

 バサギリの大斧が爆熱を纏い、マイミュの脳天に打ち付けられ、そのまま自重と落下の勢いを乗せ、地面まで切断してみせる。

 そこにヘラクロスの拳が何度も何度も何度も叩き込まれ──氷像と化したマイミュはバラバラに崩れ落ちるのだった。

 

 

 

 ※※※

 

 

 

『マ、マイミュ……!! ダメだ、もっと力を寄越せ……!!』

 

 

 

 薄れゆく意識の中、リンネは必死にマイミュに呼びかける。

 しかし──

 

 

 

 ──アーア、面白カッタケド……飽キチャッタ……。

 

 

 

『ッ……!? マイミュ……!! このままでは負ける……!!』

 

 

 

 ──オ前ハモウ要ラナインダヨ、リンネ……。

 

 

 

 意識が混濁する。中に何かが混じる。

 彼の中の理性も、記憶も、全てがこの邪悪な水龍に上書きされていく。

 

 

 

『マイミュ……やめろ……意識が薄れる──!? 俺ガァ、俺じゃア、無くナる──ッ!?』

 

 

 

 ──マダ分カンナイノカァ? オマエハ、モウ──用済ミナンダヨ……ッ!!

 

 

 

 

 ──此処カラ先ハ……ボクガヤル……ッ!! マミュミュミュッ!!

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 崩れ落ちた水龍は──再び、起き上がる。

 ただし、今度は全身から悍ましい量の瘴気を放ちながら。

 

「ウソッ……!? まだ起き上がるの!? しかもこれって──オシアス磁気じゃない!!」

「またギガオーライズするのか!?」

 

 

 

 

「ボクルミュガァアァアアアアアアアアアアアアアーッッッ!!」

 

 

 

【マイミュ<ギガオーライズ・フェーズ2> タイプ:水/ドラゴン】

 

 

 

 水龍の咆哮が轟き、それは空へと飛び出す。

 背中には巨大な鰭のような羽根が生えており、目からは赤い稲光が迸る。

 水のようだった身体は、鱗を持つ正真正銘の龍のそれへと変貌を遂げていた。

 そして、空が音を立てて崩れ去り──天上は雲も太陽も無い、ただただ黒い空間が残るのみとなった。

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