ポケモン廃人、知らん地方に転移した。【完結】   作:タク@DMP

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第31話:時空を超えた怪獣決戦

「かがよふ」

 

 

 

 狙いを定めるようにして空中からノオト、そしてキリを見下ろすテッカグヤ。

 そのまま首を引っ込めたかと思えば、脚部のブラスターを爆発させ、キリの方目掛けて自らをロケットに見立てて思いっきり吹き飛ばす。

 

【テッカグヤの ロケットずつき!!】

 

「受け止めるでござるよ!!」

「バギラァァァーッ!!」

 

 それを真正面から受け止めるのは、キリのエース・バンギラスだ。

 メガシンカしなくとも、その膂力はキャプテン達のポケモンの中でもトップクラス。

 体躯と重量で上回るテッカグヤの頭を掴み、そのままアスファルト目掛けて投げ飛ばす。

 一方のテッカグヤも空中でスラスターで態勢を制御し、華麗に着地してみせるのだった。

 

「巨体に見合わず、意外に小回りが利くでござるな……!」

 

 一方のカミツルギも、道路標識やガードレールを切り刻みながらノオトへ迫る。

 速度任せに、そして自らの身体の鋭利さ任せに辺りのものを傷つけ、そして両断するカミツルギを前に、ノオトが繰り出したのは──ルカリオだ。

 

「ィヤァァァァアアア!!」

「素早くとも必中の一撃からは逃れられないッス! ルカリオ、”はどうだん”ッ!」

「ガォン!!」

 

 咆哮したルカリオは両手を合わせ、青白い気光弾を放つ。

 それは誘導ミサイルのようにカミツルギ目掛けて飛んで行く。しかし──カミツルギが空中を飛び回るだけで、それらは全て真っ二つに切り裂かれ、爆散してしまうのだった。

 

「んなぁ!? ”はどうだん”を誘爆させて防いだァ!?」

「ガォ!?」

「ヤー・タァァァァン!!」

 

 迫るカミツルギ。命の危機を察したルカリオはその辺に落ちていた瓦礫をぶん投げるが、それもカミツルギは真っ二つにしてしまうのだった。

 あまりにも凄まじく、そして落ちない切れ味を前にノオトはゾッとする。こんなものに斬られたら幾ら鋼タイプでも一溜まりもない。

 すんでのところで避けたが、目の前にある障害物が全部カミツルギに叩き斬られていく。

 

「ヤバすぎっしょ、あいつ……!!」

「ガォォオオン……!」

 

 小さく、そして素早く飛び回るカミツルギを前に、ノオトは歯噛みする。

 ”はどうだん”すら着弾の寸前に爆発させられてしまうため、対処方法が思い浮かばない。

 

「もっと緻密に……細かく、”はどうだん”をコントロールするには──!!」

「ガォン!!」

「……あれをやるしかねえッスよね!」

 

 ノオトは腕に嵌めたキーストーンに指を翳す。

 迫りくるカミツルギ。

 それを前にして、ルカリオは進化の光を放ち、更なる領域へと到達する。

 進化を超えた進化──その名はメガシンカ。

 目元、そして全身に波動が駆け巡り、それが痕となって刻まれる。

 

「……ルカリオ、チャンスは一回。外したらオレっちたちが真っ二つッス」

「ガゥ!!」

 

 両の手を正面に構え、再びルカリオは”はどうだん”の構えに入る。

 一方のカミツルギは全身を硬化させ、正面のありとあらゆるものを切り裂きながら突貫する。

 

【カミツルギの リーフブレード!!】

 

「”はどうだん”ッ!!」

 

【ルカリオの はどうだん!!】

 

 放たれたそれはたったの一発。

 だが、カミツルギを撃ち落とすならば一発で十分だった。

 ノオトとルカリオは呼吸を合わせる。

 波動によって両者の感覚は極限まで研ぎ澄まされ、同期されていた。

 はどうだんの軌道が神経系を通じてノオトにも分かる。

 

「──今ッ!!」

 

 再び迫りくる”はどうだん”を自らの身体で切り裂こうとするカミツルギ。

 しかし、それすらも予測した二人は”はどうだん”を──カミツルギの身体が触れる直前で爆破させる。

 先程は切断してやり過ごした爆風と衝撃がカミツルギに襲い掛かり、紙のように軽い身体は吹き飛ばされる。

 そこにすかさずルカリオは第二撃を見舞った。

 紙のようなカミツルギは、全身が刃の如く鋭利で切れると言えど──脆弱性が確かに存在する。

 それは正面。紙を真正面から正拳突きすれば破れるのは当然の道理。二発目の”はどうだん”はカミツルギの真正面を撃ち抜き──地面に叩き落とすのだった。

 

 

 

「っしゃぁ!! 落としたッス!!」

「ヤ、ヤラレ・ターン……」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「──かがよふ」

 

 

 

 巨大な筒の如き腕から炎を噴きだし、辺りを火の海に変えていくテッカグヤ。

 しかし、そんな中でも砂嵐で特防を上昇させていくバンギラスは咆哮しながら突っ込み、テッカグヤの巨体と組み合う。

 

「かがよう」

「バギィ……!!」

 

 しかし、テッカグヤも最重量級ポケモンの意地を見せつけるかのように鉄筒を振り回し、更にバンギラスの脳天に鈍器同然の腕を打ち据える。

 一瞬倒れそうになったバンギラスだったが、吼えると足をアスファルトに突き刺して、耐え忍ぶのだった。

 

「……バンギラス……!! 拙者たちは忍び。現代に生きる忍び。民を守るためならば──命を懸ける覚悟でござる! 拙者もまた、命を懸けよう!!」

 

 キーストーンに指を翳すキリ。

 バンギラスの鎧がさらに発達し、目からは赤い闘志の炎が迸る。

 

「力業には力業を!! バンギラス、”りゅうのまい”!!」

 

 テッカグヤの連続攻撃、そして砲撃をいなしながら、バンギラスは更に己の動きを加速させていく。

 一撃は鋼を砕く程に重くなっていく。

 危機感を覚えたのか、炎をばら撒いて牽制するテッカグヤだが、バンギラスはそれを物ともせずに迫りくるのでまったく意味を成さない。

 

「かがよう!!」

 

 飛び上がったテッカグヤは、己の重量全部を乗せてバンギラスに向かって押し潰すべく突貫する。

 

 

 

【テッカグヤの ヘビーボンバー!!】

 

 

 

 1トンの超重量に加え、落下の勢い。

 さっきのロケットずつきと違い、受け止めれば致命傷は避けられない一撃。

 だが、それに対してバンギラスは身をよじってすんでの所で直撃を避けてみせるのだった。

 ここで”りゅうのまい”で素早さを上げていたことが効いてくる。すぐさま地面を蹴ってバンギラスは獰猛にテッカグヤの首に食らいつくのだった。

 一方のテッカグヤは、あまりの自重で地面に埋まってしまい、その場を脱する事が出来なかった。

 

「バンギラス──急所を狙え、”かみくだく”!!」

 

 ガリィッ!!

 

 テッカグヤの首に噛み痕が出来る程の咬撃。悲鳴と共に辺りに炎が舞い散るが、それでもバンギラスはテッカグヤを地面に押し倒すと首を噛む力を強めていく。

 しばらく激しく暴れ回っていた巨獣だったが──完全に力尽きたのか、その場に沈黙するのだった。

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「センセイ!! しっかり!!」

「どぅーどぅる!!」

 

 

 

 マッシブーンと打ち合うドーブル。

 特性”ビーストブースト”によって攻撃力を上昇させたマッシブーンの一撃は先程のそれよりも激しくなっており、軽量級のドーブルでは簡単に吹き飛ばされてしまう。

 

「ババル、バルゥガ!!」

「うん?」

 

 ドーブルを拳で弾き飛ばしたマッシブーンはその後追撃を仕掛けてくることなく、唐突にポーズを取り始めた。

 まるで自分の肉体を誇示するような──そんな姿に、博士の脳裏には嫌な記憶が蘇る。

 

 

 

 ──此処は私の美しさに免じて許してくれないだろうか!?

 

 ──先ず服を着なよ君は!?

 

 

 変態である。

 そう、オシアス一の変態の姿だった。

 己の肉体こそがこの世で最も美しいものであると信じて止まず、公の場で躊躇なく脱ぎ散らかす変態である。

 

「……とんでもないモン思い出しちまった……」

「どぅ……」

「バル?」

「……あ、うん、君に恨みはないんだ……無いと言いたいところだけど、君の所為でヘンなモン思い出したから恨みはあるねえ!!」

「バルゥ!?」

 

 ドーブルの尻尾から大量の墨が流れ出る。

 それが全身に纏われていき、紳士服とシルクハットを形成していく。

 

「……ババァバルルガ!!」

 

 思いっきり飛び上がり、渾身の拳による一撃を見舞おうとするマッシブーン。だが、ドーブルの速度は先程よりも遥かに上がっており、それを跳んで躱すなりマッシブーンの腕を駆け上がって蹴りによるカウンターを喰らわせる。

 頭部に衝撃が襲い掛かり、ぐらり、と揺れるマッシブーンは体に登ったドーブルを振り払おうとするが、頭を踏み台にした彼は既に空中へ逃げていた。

 

 

 

「オオワザ──”ちみもうりょう・じごくえず”」

 

 

 

【ドーブルの ちみもうりょう・じごくえず!!】

 

 

 

 そこからはもう早かった。

 墨から湧きだした大量の怪物たちがマッシブーンに襲い掛かり、捻じ伏せていく。

 流石の頑強な筋肉も、墨から生み出された幻獣を前では意味を成さなかったらしい。

 一分も経たぬうちにマッシブーンは沈黙する事になったのである。

 

「やれやれ……全くおぞ気がするよ、あいつを思い出す度に……」

「博士の方も終わったみてーッスね!」

「ああ、何とかねー……」

「その割には気分がすぐれないようでござるな」

「気の所為じゃないかな。あ、それよりもキリ君。例の支援物資っていつ頃届くのかな」

「ああ、もう直に──各地に届くはずでござるよ。この時の為に用意した特注品でござる!」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「──やれやれ。この私を前に、沢山おいでなすったわね」

 

 

 

 住民たちが逃げていく中、レモンはひとり、それに逆らって歩いていく。

 鏡の羽根を持つアーマーガアに、辺りに胞子をばら撒いていく火山の如きパラセクト。

 そして、中央に座すは全長5メートルはあろうかという巨体を持つカバルドンであった。

 

「かっぱばああああああああああッ!!」

 

 咆哮すればビルの窓ガラスが破砕され、木々が揺れ、枝が圧し折れていく。

 

「3対1……少々厳しいけど、やれない事は無いわね。カガチ!!」

「ぎゅらるるるるるるぅ!! ピピピ……!!」

 

 カバルドンの特性ゆえか、辺りには草が生い茂っている。

 だが、それを物ともせずにハタタカガチは頭の電球を激しく光らせながら先ずはアーマーガアに噛みついて放電してみせるのだった。

 急所である首から電気を流されたことで、一瞬でアーマーガアは沈黙し、黒焦げになって落ちていく。

 それを見たパラセクトは背中の火山型のキノコから胞子の塊を噴き出させてばら撒くが、それさえもハタタカガチは電気で焼き落としてみせるのだった。

 

「ノットリィィィ!?」

「ハタタカガチ、”ドラゴンハンマー”ッ!!」

 

 地面を尻尾で叩いて飛び上がったハタタカガチは、形状変化させた尾の先を槌の如くパラセクトに叩き落とす。

 キノコはぐしゃっと音を立ててへしゃげ、本体を傷つけられたことでパラセクトもその場に転がってしまうのだった。

 

「これで二匹。後はあのデカブツね」

「かばあああああああッ!!」

 

 巨体を震わせながら突貫するカバルドン。

 しかし、真正面から突っ込んで来る敵などハタタカガチからすれば良い的でしかない。

 

「”ヘドロウェーブ”」

 

 口から吐きだされた大量のヘドロの雨。

 それを受けて、カバルドンの全身に生い茂っていた藻は一気に枯れていく。

 

「ひれ伏し見下ろすのは貴方の方。……頭が高いわ」

「かっ、かっぱばば……」

 

 毒を浴び、それが全身を蝕んでいくのはあまりにも早かった。巨体は小さく咆哮を上げると──そのまま倒れてしまうのだった。

 

(さぁて。思いの外早く片付いたわね。となると、ラスボスは……こっからでも見える、あの水玉──)

 

 

 

 ピキ、パキパキ、ピキ。

 

 

 

「うん? また新手──」

 

 しかし。彼女を阻むようにして、空間の裂け目から現れたのは──二匹の骸龍だった。その姿を見た途端、流石のレモンも身構え、顔をこわばらせる。

 

「……成程ね。今度は紛い物なんかじゃない本物ってわけ」

 

 サイゴク地方に伝わる、龍脈に引き寄せられて死んだ二匹の竜骸。

 それを前にして、レモンは流石に竦みそうになった。

 ワスレナが記憶魔術で呼び出していたものなどとは比べ物になりはしない。

 正真正銘の本物だ。

 

 

 

「しゅわあああああん!!」

「ひゅああああああん!!」

 

【ヒコマヤカシ げんむポケモン タイプ:ゴースト/ドラゴン】

 

【ヒメマボロシ げんむポケモン タイプ:ゴースト/ドラゴン】

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「ウィル・ドン・ファーッ!?」

 

【テツノワダチ パラドックスポケモン タイプ:地面/鋼】

 

 

 

 ビル街を縦横無尽に駆け回るホイール状の物体。

 その正体は、ドンファンの未来の姿とされるパラドックスポケモン・テツノワダチだ。 

 相対するはそれを追いかけるピンク色の蛮族だった。

 相手がパラドックスかどうかなど関係はない。彼女にとっては鋼タイプ全てが狩猟対象である。

 故にテツノワダチは生まれてこの方最大の命の危機に瀕していた。

 

「かぬぬ!! かぬぬ!!」

 

【新たなハンマーの素材を求めて】

 

【メインターゲット:テツノワダチ一頭の狩猟

報酬金:なし 目的地:ベニシティ市街地 制限時間:50分】

 

「かぬぬ!! かぬぬ!!(特別意訳:なあお前、素材だろ素材置いてけ)」

 

 テツノワダチを上回る速度で爆走し、回転する鋼のホイールの前に回り込んだデカヌチャンは、ハンマーを振り回し──思いっきり打ち返す。

 

「パォ・ウル・ムー!?」

 

 悲鳴を上げたテツノワダチ。回転の方向が変わり、ビルの方へと突っ込んでしまったのである。

 

「ま、待ってよデカヌチャン……置いてかないでぇ……!!」

「かぬぬ!!」

 

 ビルに突っ込んだテツノワダチを見て「くたばったかな?」とばかりに覗き込もうとするデカヌチャン。

 しかし、次の瞬間にはぐるぐると回転しながら鋼鉄の獣は再び姿を現すのだった。

 その異様な姿を前にアルカは絶句する。

 

「ウィル・ガ・ムムム……!! ウィル・ドン・ファーッ!!」

「全身メカ!! これって本当にポケモンなの!?」

「かぬぬ!!」

 

 改めて睨み合う両者。

 相性ではテツノワダチが有利だ。しかし──生態系のヒエラルキーとしては、デカヌチャンが有利であった。圧倒的に。

 少なくとも自分の住んでいた世界には居ないピンク色の蛮族は、既にテツノワダチの脳に最優先排除対象として刻まれていた。

 そして一方──その付近では、同様に全身が鋼鉄で構成された三つ首の竜が辺りに炎を噴き暴れていた。

 

「サザン・ドォォォーッ!!」

 

【テツノコウベ パラドックスポケモン タイプ:悪/飛行】

 

「ゴオァアアアアアーッ!! ピピピピ」

 

 一方、それに対して圧倒的な巨体で襲い掛かるのは同じく鋼の身体で出来たオーデータポケモン・イワツノヅチ。

 辺り一面を火の海に変えていく機龍を前にして、静止させるように鳴くが──

 

「サザン・ドォォォオーッ!!」

 

 元が凶暴なポケモンであるが故か、テツノコウベの暴走は止まる事を知らない。

 

「──イワツノヅチ。早い所ケリを付けよう」

「ゴォオオオオ……!!」

 

 三つの首から龍気、電気、そして炎。

 全く違う攻撃を撒き散らしながらテツノコウベは襲い掛かる。

 しかし、対するイワツノヅチは体をバラバラに分離させて、それを操ってテツノコウベにぶつかっていく。

 

「”パワフルエッジ”ッ!!」

 

 そしてテツノコウベの近くで、分離した身体は巨大な一本の剣の如く真っ直ぐに再び再連結し、振り下ろされた。

 身を引き、それを躱してみせるテツノコウベ。しかし──それさえもイワツノヅチには計算の内だった。

 インパクトの勢いで再び身体はバラバラになり、テツノコウベの周囲に散らばっていく。

 

「からの──”ロックブラスト”!!」

 

 磁気で引き合ったイワツノヅチの身体が、レールガンのように次々に射出され、テツノコウベを撃ち落とす。

 三つの頭は見事に潰され、そのまま地面へと叩き落とされたのだった。

 

「ウィル・ドン・ファーッ!!」

 

 一方のデカヌチャンも、咆哮したテツノワダチ目掛けて瓦礫の破片をハンマーで打ち上げる。

 それは正確にテツノワダチのカメラアイに突き刺さり──罅を入れた。

 

 

 

「ウィルドドドドドドドド!?」

 

 

 

 悲鳴が上がる。

 最早効率化された「狩り」とも言える行動に、アルカは自分が指示をするまでもないな、と嘆息。もといドン引きしていた。

 

(どうしよう、この子……相性とかバトルとか無視して戦ってる……対鋼タイプ最終兵器じゃん……)

 

「かぬぬ!!」

 

 飛び出したデカヌチャンは、思いっきりハンマーを振り抜き、罅が入ったモニターアイに”デカハンマー”を叩き込んだ。

 もう一度大きな悲鳴が上がったかと思えば──テツノワダチの身体の光は消え失せ、そのまま物言わぬ鋼の塊になり果てたのだた。

 

「や、やったね、デカヌチャン……って、わああ!! 剥ぎ取るのはやめて!! 可哀想だからーっ!?」

「あっちも終わったみたいだね。なんか……悲惨だけど」

「ゴォオアアア……」

「……ノヅチ、怖いの? うん……分かるよ。ボールに戻ろうか」

 

 惨状を前にしてイワツノヅチも震えあがる。イクサはやむを得ず彼をボールの中に戻すのだった。あれはもう生粋のハンターである。

 倒れたテツノワダチを前にたったかと走っていくデカヌチャン。

 だが、しかし。彼女を目掛けて──突如、光の刃が飛んだ。

 

「かぬッ!?」

「デカヌチャン!?」

 

 それに弾き飛ばされたデカヌチャンは、ごろごろと地面を転がる。

 アルカがその方角を見上げると、ビルの屋上から何かが飛び降りてくる。

 全身が白い装甲に覆われ、鋭利なビームナギナタを振り回す文字通りの──鉄の武人。

 

 

「キィイ・イイイン……!!」

 

【テツノブジン パラドックスポケモン タイプ:格闘/フェアリー】

 

「今度はブジンか!!」

「あいつも鋼タイプなの!?」

「いや、ブジンは格闘とフェアリータイプ……デカヌチャンの狩猟対象じゃない……!」

「かぬぬ……!」

 

 起き上がり、テツノブジンを睨み付けるデカヌチャン。

 しかし、全く意に介さぬといった様子でテツノブジンはナギナタを展開し、二人に襲い掛かるのだった。

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