一方、わずかな希望の光もある。深セン市は2021年3月、本土初となる個人破産制度の試験運用を始めた。香港英字紙のサウスチャイナ・モーニングポストによると、これまでに500件以上の申請が審理され、債務再編や清算、和解の総額は1億9300万元(約43億円)に達している。
だが、完全に債務を免除された例は一件もない。また、95%以上は他の組織との再編となっており、事業の清算が許されるのはごくわずかに過ぎないという。安易な自己破産を許さない行政上の方針を反映したものだが、専門家は「一部は制度上の欠陥によるものであり、個人破産制度に対する理解が欠如している」と指摘する。
広州の弁護士は同紙に対し、「債務返済のためにできることを全てやりましたが、最終的に失敗に終わったケースがいくつかあります」と打ち明ける。「そのうちの一人は、ついに希望の光を見ることなく命を落としました」
ハイリスクな中国の環境で国民が苦しんでいる
再起の道が示されない中国で、起業家の自殺が相次いでいる。フィナンシャル・タイムズ紙は、かつて活気に満ちていた起業家たちの名前が、企業紹介ではなく訃報欄に登場するようになっている、と報じた。
背景には、企業が存続しにくい構造的な問題がある。同紙によると、中国における中小企業の平均持続年数は4年未満。アメリカの8年、日本の12年超と比べると、3分の1程度に過ぎない。富と影響力を手にしていても、それを長く維持することは極めて難しいのが中国だ。
短命に終わる要因として、不動産セクターの崩壊や、過剰な規制による先行きの不透明さがあり、経営環境が良好でないことが挙げられる。教育事業で失敗した前掲の女性も、政府による急な学習塾の取り締まり策がなければ、今も裕福な暮らしを続けていたことだろう。
こうしたハイリスクな事業環境に輪をかけるように、事業が失敗した際のセーフティネットがないことは無視できない不安要因だ。テック系ベンチャーを中心に勢いに乗る中国企業だが、国際的に成功する一握りの企業の影には、人知れず借金生活に沈んでいく若き挑戦者たちの存在がある。
一般市民においてはやや事情が異なるものの、出前アプリを通じて金融知識なく借金を誘われるなど、やはり債務への入り口は日常の至る所に潜んでいる。「貯金好き」で知られる中国の国民性だが、不景気の風が吹き荒れる昨今、親戚に相談することも叶わず借金を抱え込む事例は後を絶たない。
借金をめぐるあまりに深刻な国内情勢に、
同行は目的について、