2017年、良性の脳腫瘍である髄膜腫を患い摘出手術を受ける。翌年、その後遺症による光過敏の影響で発作を起こし、辛くも一命を取り留めた。それまでの安田は、「こうあらなければ」というマスト思考が強かったと言う。

アイドルという偶像を、やっていたんでしょうね、一生懸命ね。だけど、みんなが望んでいないものでも、ひとつ先に行けば、みんながもっと見たくなる何かに生まれ変わるな、と思ったんです。先陣切って引っ張って行ってあげたほうがいいか、って思うようになった。まったく違う自分に移り変わった感じですね」

 変わったことで、自身に返ってきたものはあった?

「僕自身は、みんなと楽しんでいる感が、より強くなったかな。まだまだみんなを見たことのないところにいっぱい連れていけるな、っていう感覚が強くなった。期待していなかったところに大きな花が咲くのと一緒のような感覚が、いま、みなさんには届けられている気がしていますね」

 その「大きな花」のひとつが、まさにこの舞台だろう。唐作品は難解だ。だが安田は、「僕が思うに、ですけど、わからない世界は、わからなくていいと思うんです」と言う。むしろ、「答えがわかってるところに飛び込むことほど、しらけることはないなって思っていて」と笑って見せる。

「わからなくていい。ただ感じた感情を持って帰り、次の日なのか、はたまた1年後なのか、時間が経っていくにつれて、自分の人生観がちょっとずつ変わったなと思い、振り返ったときの分岐点が、唐さんの作品かもしれない、で、いいなと思っていて。いますぐに必要なものを探さなくていいな、っていうのが僕の考え方です。だから、観て、体験して、違和感を持って帰ってくれたらいいなと思います」

(編集部・伏見美雪)

AERA 2025年9月1日号より抜粋

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