やすだ・しょうた/1984年生まれ、兵庫県出身。SUPER EIGHTのメンバー。2004年のCDデビュー以来、アイドルとして幅広く活動。主演する唐十郎の「アリババ」「愛の乞食」は紫テント芝居を経て、8月31日~9月21日、世田谷パブリックシアターで初の関西弁での上演に挑む(撮影:写真映像部・東川哲也)
やすだ・しょうた/1984年生まれ、兵庫県出身。SUPER EIGHTのメンバー。2004年のCDデビュー以来、アイドルとして幅広く活動。主演する唐十郎の「アリババ」「愛の乞食」は紫テント芝居を経て、8月31日~9月21日、世田谷パブリックシアターで初の関西弁での上演に挑む(撮影:写真映像部・東川哲也)
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 唐十郎作品「アリババ」「愛の乞食」の2作に主演するSUPER EIGHT安田章大さん。難解で目を逸らしたくなるような、社会や人生を問うテーマに挑みつづける思いとは。AERA 2025年9月1日号より。

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 2年前、今回主演する2作の戯曲を読んで、「やらなきゃ」と強く思ったのだという。そのいちばんの原動力は、なんだったのだろう?

「命の重さ、かな。昭和、平成、令和……これだけ時代が過ぎ去り、いろいろなものが便利になったり進化したりしているなかでも、人間の、命を大事にする感覚ってあんまり変わってないねんな、と思って。子どもを授かることのすごさ。でもどうしても捨てなきゃいけない現実や環境がある人たちもいる。唐さんの作品は、それをちゃんと提示してくれている。だけれども、それらをひっくるめてきれいにまとめない。これは避けなくていいんじゃないか、いまの令和で叩きつけなきゃいけない事実なんじゃないのかな、って思ったんです」

 この舞台では「命の儚さみたいなものも伝えられたら」とも口にしているが、その思いの裏に、自身の病気や経験が関係しているのだろうか。

「関係してるんじゃないんですかね? 自分は、世界で見たら、ひとつの小さな命ですけど。だけど、どれだけ大切なのかとか、どれだけ重要なのか、っていうのは、やっぱり考えたんですよね。かつ、子どものころから、動物の命にもたくさん触れてきたので。亡くなっていく動物にも触れてきたし、生まれる命にも出会ってきているから、それがたぶん、僕のなかでシンクロしているんだと思います」

異物として触ることで

“捨てられた子ども”が主題の「アリババ」が初演されたとき、「唐さんは『僕はファンタジーを作ったんだけどね』って言ったらしいんですよ。でもやっぱり、見に来られたお客様で、途中で退場される方もいらっしゃったって聞きました。それほどに、やっぱり、ちゃんと芯食っているんですよね」と安田は言う。

「みんな異物には目を伏せて、タッチせずに消し去りたがるけれども、異物として触ることで初めて、異物なんだ、って気づけたときに、感情の整理が行われるんです。感情の整理が行われると、今度は感情が動いて成長につながって、成長が行動に変わって、行動が変わると発言が変わって、発言が変わると表情が変わって、表情が変わると、人間そのものが構築される。

 そこで、生き方が変わっていく。人間という、纏うものが変わる。空気が変わる、ってことやと思うんです」

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