日中共通の脅威に対する協力が、新たな外交の糸口となる-カンボジア、ミャンマーの詐欺拠点対策を!
臨時国会を終え、先週はカンボジアに飛びました。フン・セン前首相の三男で副首相を務めるフン・マニ公務員大臣、ソー・ソカ―副首相兼内務大臣、ヘン・スア労働・職業訓練大臣と意見交換。また、今月発生したタイ・カンボジア国境での武力衝突により発生した避難民キャンプで状況をリサーチしてきました。
各大臣とはカンボジアとタイの戦争、オンライン詐欺対策、日本からの投資や観光客の減少、さらに民主主義の在り方についてなど、多岐にわたる議論をしましたが、プリンスグループを中心とする中国系の詐欺グループによる犯罪は、複数国にまたがる巨大な違法経済の一部になっており、その存在と法的な未整備は、外国企業が投資を控える大きな要因にもなっています。
米国司法省は史上最大規模となる約150億ドル(約2.2兆円)相当のプリンスグループの暗号資産を差し押さえ、イギリス、台湾、韓国、シンガポール、タイなども同グループの資産凍結などを行っています。
日本の国会議員として、カンボジア政府には徹底した捜査と摘発、警察情報のリアルタイムでの共有や、邦人保護の視点からの被害者の帰国などを担当大臣に強く要請しました。一方、日本人だけではなく、中国人、ASEAN諸国など多くの国籍にまたがる被害者が出ています。
日本では起訴前の迅速な資産凍結(フリーズ)が難しく、有罪確定後の没収を原則とする現行法のスピード感が、秒単位で動く暗号資産犯罪に追いついていません。個人の自由を守ることの意味と、より巧妙化する国際犯罪に立ち向かう上での即応性のバランスをどうするのか、重要な論点です。
高市首相の『台湾有事は存立危機事態』発言以降、日中関係は最悪の状況になり、経済へのさらなる悪影響が懸念されます。政府間の信頼関係が大きく棄損した中、日中の利害が対立しない共通の脅威に対処することは、現状を打開する糸口になり得ます。
政府間の対話が成り立っていない今だからこそ、議員外交を通して日本が中国に協力を呼び掛け、カンボジア政府などASEAN諸国にも協力を求め、越境詐欺グループ問題に対処すべきと考えます。特に金融取引の追跡、暗号資産の規制、通信アプリ悪用対策などは国際的な枠組みの中での対処が不可欠です。そのための対策チーム作りのイニシアティブを日本が取るべきと提案したいと思います。今回の訪問をきっかけにカンボジアを仲介者にする可能性も探りたいと思います。
中国はミャンマーやラオス、カンボジアに対して「詐欺拠点の摘発」を強く要請し、犯罪者の本国送還を進めています。犯罪拠点から中国本土へ送金・資金洗浄が行われていると見られていることもあり、中国政府にとっても頭が痛い問題です。また、韓国は2025年11月、警察庁長官を務めた治安の最高責任者を駐カンボジア大使として派遣しています。自国民の命を守るための徹底した対策を講じています。
カンボジアの司法制度の盲点を突いた犯罪で日本人が被害を受けるなど、日本政府の邦人保護の在り方には多くの課題があります。これらのテーマについて通常国会でも引き続き追及するとともに、日中関係の現状打開も視野に入れて、役割を果たしていきたいと思います。