両親を亡くした少年が「どうか妹の所へサンタさんをこさせてください」と、氏神の祠に祈った。氏神は「いや他教じゃねえかオイ」と顔を歪めた。そして友人の龍神を呼び、言った。「って訳で俺サンタに化けっから、お前トナカイ役頼むわ」龍神もまた寛容な日本の神様だったので、これを笑って快諾した。
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@hakushi_tsu02
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「チッ、また親子二人でラーメン一杯かよ」無口な店主の無愛想な視線はいつもそう言っていた。思えば月に一度のそのラーメン屋が母の唯一の贅沢だったが、私はその時間が苦痛だった。だから東京へ出て初めて他の店のラーメンを食べた時、涙が出た。ああそうか。本当はこんなに少なかったのか一人前は。
夫は「こりゃうまい。君のも寄越せ」と、出された料理を全て食べてしまった。何も口にしていない私を見て女将さんが小鉢をサービスしてくれたが、それすら横取りされた。そして夫は「達者でな」と微笑み、女将さんは舌打ちした。……これが夫婦で事故に遭い、昏睡状態から私だけ目覚めた時に見た夢だ。
「私の家系って呪われてて、女の子は必ず十歳で死んじゃうの」
「えっ、でも君は成人してるよね?」
「そう。だから私の十一歳の誕生日の時、家庭内が変な空気になったの」
「あらら」
「まあパパはママに何も言えなかったけどね。その前に、隣家の三姉妹がみんな十歳で亡くなってたから」
「あらら」
「もしもし母さん? 俺だよ俺!」典型的な偽電話詐欺だ。その癖ちゃんと息子の名を名乗り、声もあの子そっくり。だからこそ腹が立った。息子はもうこの世にいないのに酷い真似をする。「実は大至急お金が必要でさ」ほら来たと身構えると、電話の声はこう続けた。「頼めないかなあ、ほんの六文ばかり」
桃太郎は「きびだんご一個で皆を鬼退治にまでは巻き込めません」と、鬼ヶ島へ一人で渡ろうとした。が、彼の仲間達は言った。
「桃太郎、我らはお主が大好きなのだ」
「犬……」
「そもそもだんごの義理でお供なんかするかよ阿呆」
「猿……」
「鬼を甘辛く炒めたやつ」
「好きな惣菜発表ドラゴン……」
村長が「なぜ盗賊相手に峰打ちなど」と顔を歪めると、剣士は遠い目をした。
「俺はもう誰も斬らない――そう決めてるんでな」
「そんな甘い剣で、依頼した『盗賊団の壊滅』をどう果たすのです」
「案ずるな。さっき連中のアジトの井戸に、致死性の猛毒を撒いておいた」
「何だその斬る以外ならOK判定」
「近年『くねくねの正体は熱中症』なんて説が出てるみたいね」と話したところ、友人は「はあ!?」と激昂した。
「誰だそんなウソ広めてる奴は!?」
「誰って言うかまあ、SNSとかでの話よ」
「チクショウ上等だよっ! 今年は真冬にもくねくねしてやんよっ!!」
「あらあら頑張ってね。ぽぽぽぽぽ」
父が何やら「良いニュースと悪いニュースがある」と改まった。
「それなら悪い方から聞くよ」
「俺ももう歳で、肉屋の仕事もきつくなっちまってな。じいさんの代から続いた店だが、今月一杯で閉めようと思う」
「えっ……じゃあ良いニュースは?」
「来月から、この町の行方不明者はぐっと減ると思う」
くねくねは直視すると気が狂う。ゆえに鏡で位置を確認しながら背後に忍び寄り、棍棒でガツンとやるのが地元の伝統猟法だ。仕留めたくねくねは塩水で洗って糠に漬け、くねりを適度に取ってから調理する。くねりは取りすぎると味が落ち、残しすぎると食べた時に発狂するので、その塩梅がなかなか難しい。
教授は数年かけて、亡き奥様の人格を完全再現したAIの作成に成功したという。僕が「なぜ完全再現と言い切れるんです?」と聞くと、教授は笑った。「バカやってないで前向いて生きなさい――って。完成するなりそのAI、そう私を叱って自分で自分のデータを抹消しちまってね。アレは全く『彼女』だったよ」
夫は外食する際、必ず「一口もーらい」と私の料理を勝手に食べる。私が「いい加減やめてよ」と言っても、へらへら「いやあ人のもんて美味そうに見えてなあ」なんて笑うばかり。これが結婚前どころか恋人になる前の、ただの幼馴染同士だった頃からもうずっと続いているのだ。私の両親が毒殺されて以来。
小学校から帰った息子が「ねえママ」と何やら怪訝な顔で聞いてきた。
「電車って禁煙だよね?」
「ええ、日本の電車は大体そうね」
「うーん、じゃあやっぱり先生はいけない事してるのか」
「え。先生、電車でタバコを吸われるの?」
息子は「ううん」と眉を顰める。
「先生はいつもキセルなんだって」
異世界転生する際、女神がくれたのは『相手を強制的に裸にする』なんてエロ特化のクソ能力だった。だから僕は能力は隠して己を研鑽し、努力と実力で勇者になった。……なのに今、剣も魔法も全く効かない無敵の魔王はこう笑った。「クククどんな攻撃も無駄ぞ――私がこの『闇の鎧』を纏っている限りな!」
「君からの求婚は嬉しいが――我々エルフ族は知っての通り長命だ。そのぶん己の命を次に繋ごうとする本能、性欲が極端に薄い。しかし皆が皆それでは種が滅ぶ。ゆえに千人に一人ほど、性欲特化な、常にエロい事しか頭にないドスケベ個体が生まれる。……君に、その千人に一人を伴侶にする覚悟はあるか?」
桃太郎は「きびだんご一個で皆を鬼退治にまでは巻き込めません」と、鬼ヶ島へ一人で渡ろうとした。が、彼の仲間達は言った。
「桃太郎、我らはお主が大好きなのだ」
「犬……」
「そもそもだんごの義理でお供なんかするかよ阿呆」
「猿……」
「鬼を甘辛く炒めたやつ」
「好きな惣菜発表ドラゴン……」
村長は「お前あの祠を壊したんかっ」と青ざめた。
「なぜそんな事を!」
若者は鼻を鳴らした。
「はっ、壊したからどうなるってんだ」
「……村が水の底に沈む」
「へえ、祟りで洪水でもあるってか?」
「いや、祠が壊れると近くのダムが爆破されるギミックをワシが仕込んだ」
「なぜそんな事を!?」
親友に「おい何とか言えやコラァ!」などとタコ殴りにされた。次にハッと目を覚ませば病院で、傍らには妻と、そして俺をボコボコにした張本人がいた。俺が思わず「テメエッ」と野郎に掴みかかると、何やら今度は妻にビンタされた。「何するのっ。雪山で必死にアンタを起こし続けてくれた命の恩人に!」
異世界転移した先で僕は感激した。
「うわっ、このハンバーグおいしい!」
食堂の店主が「ハンバーグ?」と首を傾げる。そうか、この世界にドイツはないもんな。
「その、僕の国ではコレの事『ハンバーグ』って言いまして」
「ふーん、変な名前だな」
「この国では何と言うんです?」
「『伯邑考』さ」
寿司屋の大将いわく、先日の海鮮丼コンテストは「失格が相次いだ」らしい。
「何だい、そんなにみんなルール違反したの?」
「いえ、ルール違反をしたのは一人だけでさ。ソイツのせいで審査員がみんな失格しやしてね」
「ん、どういう事?」
「その野郎、海鮮丼に大量のバラムツを入れやがったんでさ」
「パパ、そこに魔王がいる。怖いよ」
「坊や、大丈夫それは狭霧さ」
「パパ、そこに魔王が存在する時、魔王の娘は手札から特殊召喚できるよ」
「……坊や?」
「僕はレベル3の魔王に、レベル5の魔王の娘をチューニング――王者の鼓動、今ここに列を成す! 天地鳴動の力を見るがいい!!」
「坊や!?」
「姉は巫女に選ばれた妹を『私の方が優秀なのに』と妬んだ。だから陰湿な謀略で妹から巫女の座を奪い取った。『巫女』が、生贄として滝壺に落とされる役とも知らずに――ってのが、君が描いた筋書きかい? 妹君を庇った優しい姉上殿」と、龍の角が生えたその謎の青年は、私を滝壺から拾い上げて笑った。
ふと学生時代、水溜まりで溺れていた蜘蛛を助けた事を思い出した。その際に冗談で「俺が地獄に落ちたら糸を垂らしてくれよ」なんて笑った覚えがある。俺に酷いパワハラをしていた上司が先日、何重にも束ねた糸で首を吊った。「良かったじゃない」そう微笑んだ妻の顔に一瞬、八つの目が見えた気がした。
「お客様は神様、とか言う奴いるけどさ」
友人は窓へ目をやり物憂げに口を開いた。外は今日も大雨だ。
「昨日ウチにヤバいのが来たよ」
「へえ。ペットショップにも来るんだ、困った客」
困った客って言うか、と彼女は顔を歪めた。
「ウチの動物全部、雄と雌一匹ずつ買ってったの」
外は今日も大雨だ。
保護した好きな惣菜発表ドラゴンが「からあげ」と発表したので、私はからあげを買いにいこうとした。だがそれより早く、ドラゴンは手際よくからあげを作り、ニコニコ私の前に置いた。そして私がそれを「おいしいっ」と絶賛すると、羽と尻尾をパタパタさせた。少し変わった、とても優しい個体であった。
最近、恋人の口が臭い。それを指摘すると彼は「げ、自分じゃ分かんないもんだな」と念入りに歯を磨き、ガムを噛むようになった。けれどそれでもまだ臭い。勿論におい自体は改善されたのだが、今度はミントの香りが堪らなく臭い。……ああそっか。きっとこれ、知っちゃったせいね。彼が浮気してるって。
村の祠を壊した夜、夢に妙な少女が出てきた。
「なぜ祠を壊したね」
「妹が生け贄にされるのが嫌だったの」
「邪神様が怖くないかね」
「怖いけど妹の方が大事だもん」
「ふふ、気に入ったよ勇敢な坊や」
――村を支配していた新興宗教の教祖がボロ雑巾のような姿で見つかったのは、その翌日の事だった。
「パパ、そこにサキュバスがいる。怖いよ」
「坊や、大丈夫それは狭霧さ」
「パパ見えないの、サキュバスは悪魔っ娘な巨乳美女だよ」
「……坊や、念の為そのサキュバスの見方を教えなさい」
「ああパパ、パパ。サキュバスが一枚ずつ服を脱いでどんどん裸に――」
「おい早く見方を教えろクソガキ!!」
「聞いたか。勇者の奴『勇者にしか抜けない聖剣』を『勇者にしか抜けない針』に加工して、魔王様の食事に混入したんだと」
「勇者のやる事じゃねえ」
「うん、だから聖剣サイドも現勇者を勇者認定しなくなっちまってな。魔王様の喉に刺さった針はもう誰にも抜けないらしい」
「魔王様お気の毒すぎる」
村人達は真っ二つに割れ、言い争っていた。
「龍神様の祠には『たけのこの里』を供えるんじゃ!」
「いいや供えるべきは『きのこの山』だ!」
見兼ねた龍神は村人達の夢枕に立ち、呆れ顔で言った。
「下らん事で争うな。里も山も私から見れば違いなど欠片も分からんわ」
翌日、龍神の祠は爆破された。
勇者は困惑した。
何やら魔王城の各所に美女の死体が置いてあったのだ。
「くくく、よくぞ私の元へ辿り着いた勇者よ!」
「魔王っ、あの死体は何のつもりだ!?」
「死体?」
「要所要所にあった美女の死体だ!」
「えっ。いや、私が要所に配置したのは『相手が性的に好む姿に化けるサキュバス』だが」
「納豆って『腐ってる豆』だよね」
「そうだね」
「BL好きな人の事を『腐ってる』って言ったりするよね」
「言ったりするね」
「女性器の一部を隠語で『豆』って言うよね」
「……言うね」
「……」
「……」
「って事はつまり『納豆』は腐女子のク――」
「やめろバカまたフォロワーが減るだろが!!」
旅先で突然、猛烈に夫を殺したくなった。何やら彼への憎悪が脳内に噴き出して止まらないのである。ついにはいい感じの密室トリックまで思いついたので、私は「まさか」と宿の女将に確認した。すると案の定、女将は言った。「はい確かに今日、当旅館に宿泊されてますよ。米花町よりお越しのご家族様が」
男は「誰か僕を殺してくれえっ」「ケケケ人間は皆殺しダッ」と同時に叫びながら、光線を放ち街を破壊していた。男には彼本来の頭の他に、寄生生物の、異形の頭が生えていた。研究者達が眉を顰める。「あの寄生生物は能力は高いが温厚なはず」「よく見ろ、『殺して』と泣いてるのは寄生生物の頭の方だ」
友人いわく『ドラえもん』のジャイ子には本名の設定がないらしい。
「初期のジャイ子は酷いキャラだったから、ジャイ子と同じ名前の子がいじめられないよう配慮したんだと」
「へえ、さすが藤子先生」
「そこへくると全く『School Days』の製作陣は」
「ああ土下座すべきだよね、全国の伊藤誠さんに」
勇者は「いやあ今の中ボスに僕、右目を潰されたよ」と笑い、戦士は「俺は左足を引き千切られたぜ」と笑い、僧侶は「私は両腕を消し飛ばされたわ」と笑った。そんな勇者一行の様子を水晶玉で覗き、魔王は青ざめていた。「マジなんでコイツら、どんな重傷も宿に一泊するだけで全部きれいに治るの……?」
同僚がなんと、宝くじで一等を当てた。だがこれまたなんと、数日の後「いやあ競馬で全部すっちまった」などと笑った。僕も他の同僚達も皆、彼は大バカだと呆れた。そして皆で散々、彼に酒を奢った。ウチの病院に入院する難病の少女が、匿名の寄付により海外で手術を受けられるようになった事を祝って。
男は大変に素直であった。だから今日も、居候の娘は「覗くなよ? 絶対に覗くなよ?」と自室ではたを織り始め、男の妻は「雪女の事は話すなよ? 絶対に話すなよ?」と繰り返し首を傾げ、部屋の隅では「開けるなよ? 絶対に開けるなよ?」と玉手箱がカタカタ揺れた。そんな日々を千年ほど続けていた。
村人達は真っ二つに割れ、言い争っていた。
「龍神様の祠には『たけのこの里』を供えるんじゃ!」
「いいや供えるべきは『きのこの山』だ!」
見兼ねた龍神は村人達の夢枕に立ち、呆れ顔で言った。
「下らん事で争うな。里も山も私から見れば違いなど欠片も分からんわ」
翌日、龍神の祠は爆破された。
Replying to
窓のない家を建ててくれ、と妙な外人に依頼された。「人が住む家を窓なしにするのは日本では違法なのですが」「その点は大丈夫デース」結局そんな調子に押し切られて家を建ててしまうと、彼は喜んで家中にワインを置いた。なるほどワインは光に弱い。……あの赤い液体が本当にワインなのかは別として。
「精気を吸ってもよろしくて」
「どうぞ。一日にどのくらいお吸いに?」
「2リットルくらいね」
「サキュバス歴はどれくらいで?」
「3年くらいね」
「なるほど。あそこに幼女がいますね」
「いるわね」
「貴方に精気を吸われなければ、僕にもあんな娘がいたんですよ」
「あの幼女は私と貴方の娘よ」
「お客様は神様、とか言う奴いるけどさ」
友人は窓へ目をやり物憂げに口を開いた。外は今日も大雨だ。
「昨日ウチにヤバいのが来たよ」
「へえ。ペットショップにも来るんだ、困った客」
困った客って言うか、と彼女は顔を歪めた。
「ウチの動物全部、雄と雌一匹ずつ買ってったの」
外は今日も大雨だ。
庭の落ち葉が全てリーフパイになっていた。一枚食べてみると、甘くてサックサクだ。「すみませんッ」と謝るのは下宿人の魔女さんで、大昔に失われた『家をお菓子にする魔法』を研究する彼女には私もつい「いいよいいよ」と甘くなる。研究目的が『震災時の瓦礫撤去等に役立てる為』なんて言われちゃね。
友人の猫又は近ごろ子猫に化け、老人に飼われている。
彼女は「ジジイに飯をたかっとるのだ」などと笑うが、私は近所でこんな会話を聞いた。
「あのエアコン嫌いも最近は冷房を使ってるって?」
「うん。拾った猫が暑がるからとか」
「何にせよ良かったなあ、あの人いつ熱中症になるか心配だったもの」
魔王の幼い息子を「私が引き取る」と言う女勇者に、戦士は顔をしかめた。
「俺は反対だ勇者。世界の敵になる未来が目に見えてる」
「何を言う、彼は純粋で素直ないい子だよ」
「だからこそだ」
「だからこそ?」
「英雄のテメエでも幼児に手を出せば世界の敵になるっつってんだよ、このショタコン女」
「ほらオレ偽善者だから」と友人はヘラヘラ電車で老婦に席を譲った。
「ほらオレ偽善者だから」と友人はヘラヘラ募金箱に紙幣を入れた。
「ほらオレ偽善者だから」と友人はヘラヘラ戦地へボランティアに行き、帰らなかった。
……神様をぶん殴ってやろうと思ったが、僕はやっぱり思うだけなのだろう。
妻が何やら怪訝な顔で聞く。
「プラシーボ効果って知ってる?」
「薬だと思い込んで飲めば、ただの片栗粉も病気に効く――的な奴だね」
「アレって逆に、猛毒を飲んでも薬だと思ってたら効かなかったりするのかしら」
「んー、どうだろ。僕の場合は飲まずに捨ててるからなあ、君がくれるサプリメントは」
鏡に向かい「お前は誰だ」と言い続けると発狂する、とは有名な都市伝説だ。しかし、逆に鏡から「お前は誰だ」と言われ続けたらどうなるのだろう。気になったので頼んでみると、鏡も「面白そう!」とノリノリ。それから彼に毎日「お前は誰だ」と言ってもらってるが、今のところ特に気が狂う気配はない。
我が家は代々、絶対に女が生まれない。大昔に先祖がそんな祟りを受けたらしい。ゆえに俺は霊能者に相談した。「妻が女の子を産んだのですが」霊能者は気の毒そうにこう言った。「DNA鑑定をおすすめします」ああやっぱりか、と思った。そして鑑定してみると案の定、俺と父は血が繋がっていなかった。
友人が「このゲームは歴史を忠実に再現した作品だ」などと言い張るので、僕は「いや歴史を元にしたフィクションだよ」と呆れ顔をした。
だがタイムマシンで実際に見に行ってみた結果、友人は「ほら見ろ」と得意になり、僕は「ぐぬぬ」と歯噛みした。
まさか諸葛亮が本当にビームを放っていたとは……。
スパイ疑惑をかけられた俺に、上官は「自決したまえ」と銃を渡した。ゆえに俺はそれを己の頭へ当て、引き金を引いた。途端に上官は苦笑した。「情報はガセのようだな」銃に弾は入っておらず、つまり彼は俺を試したのだ。やれやれである。銃の重さで弾の有無などすぐに分かるのに、一流のスパイならば。
「青年よ。貴方が落としたのは金の斧ですか、それとも銀の斧ですか」
「僕が落としたのは普通の斧です」
「貴方は正直者ですね」
「はい。こうすれば金銀の斧を貰えると聞いて」
「……正直者ですね」
「あと、超美人な女神様に会えると聞いて」
「超正直者な貴方にはプラチナの斧もおつけしましょう」
「この人形、何度捨てても戻ってくるんです。お寺で預かってもらえませんか、住職さん」
「……お嬢さん、嘘はダメだよ」
「えっ」
「君はその子を捨てた事なんかない。大事にしてくれそうな人に何度も譲ろうとしたんだろ?」
「……」
「けどそのたび戻ってきちまうから、自殺できずにいるんだろ?」
祖父に「お前あの祠を壊したんかッ?」と、こう怒鳴られてしまった。「何ぐずぐずしてんだッ、とっとと壊してこんか!」やれやれである。今月はウチが祠を壊す当番なのだ。あの祠を壊すと洪水が起こる――それを利用した水力発電システムが開発されて以来、祟りも今やすっかり村の貴重な収入源であった。
「魔王、私のスキル『模倣』は『相手の能力をコピーする』力だ」
「ふん、それが何だ勇者」
「実はすでに、お前を対象にこの力を使った」
「下らん。模倣は模倣、所詮オリジナルの劣化版だろう」
「でもお前をコピーしてると何か、BL漫画を超うまく描けるんだけど」
「ちょっと裏で話そうか勇者くん」
夫は何でも中古品ばかり買う。家や車なんて大きい買い物は勿論、家具や家電、衣類に本と、とにかく中古で買えるものは全て中古だ。しかし、夫の幼馴染は「昔はむしろ『他人が使ったものは嫌だ』って新品主義な奴だったんだが」と首を傾げる。……これ多分バレてるな、私がバツイチを隠して結婚したの。
140字小説なぞ書いていると『実話かと思った、紛らわしい!』といったお叱りを頂く事がある。ただこの手の声の大半が高圧的で命令調で、何なら罵倒を含んでいるのが面白い。つまり方々にとっては面識のない相手を攻撃する事よりも、読めば創作と分かる話をSNSに投稿する事の方がよほど罪であるらしい。
村長は「アンタあの祠を壊したんかっ」と顔を歪めた。
若い旅行者は「はあ?」とニヤニヤ笑った。
「しょぼい小屋があるなあとは思ったけど、何の事すか」
「聞き直すぞ。アンタ、災害で身内を失った方々がお金を出し合って慰霊の為に建てたあの祠を壊したんか」
「……警察に自首した上で弁償します」
狐と狸が「自分の方が化かし上手だ!」と大喧嘩しておりました。
見かねた犬が提案します。
「なら化け比べをしてみろ。お題は双方『相手の好きなもの』だ」
二匹は「よし勝負だ!」と、ボワンと煙をまとい、相手の好きなものに化けました。
すると――あれれ? 狐も狸も、全く元の姿のままでしたとさ。
若き魔女が人間の孤児を拾った。先達の魔女達は皆揃って「人間と深く関わるのはよせ」と眉を顰めた。それでも孤児は魔女の集落ですくすく育ち、そして若き魔女と結ばれた。やがて彼が老衰で没すると、対して欠片も老いぬ魔女達は皆揃って「ほら見た事か」と若き魔女をなじり、皆揃ってわんわん泣いた。
Replying to
#140字小説
【この一度だけの食べ尽くし系】
《また別の男女↓》
Quote
御二兎レシロ/140字小説
@hakushi_tsutan
「たとえ世界が君の敵になっても僕は君を護る」と求婚した途端、本当に世界が彼女の敵になった。だから僕はあらゆる刺客から必死に彼女を護った。「――嘘じゃないのね」彼女の声にハッと現実に返る。「私、幻覚を見せる超能力があるの」と彼女が頬を染めたので、僕は言った。「ごめん疑り深い女は無理」
魔獣が夫の声で『“コイツ”は人間の言葉を真似る魔物だが優しい奴で、魔界で致命傷を負っちまった俺を保護してくれてな。だから遺言を頼んだんだ』と、こう言った。『俺の大切な妻へ――世界で一番愛してる』するとそこへ、背後から苦い声がした。「またソレ聞いてるのか」と、奇跡的に回復した夫本人の。
男は宝のありかを自動で指し示す『魔法の地図』を持っていた。彼が冒険家として黄金の女神像や聖なる勾玉、伝説の宝剣などを次々と発見できたのは、その地図のお陰だった。ゆえに男は、結婚して家族ができるや冒険家を引退した。結婚後は魔法の地図が、彼の自宅しか示さなくなってしまったものだから。