『ハウス・オブ・ダイナマイト』考察 誰がICBMを撃ったのか
想像して欲しい。
9人の男たちが両手に拳銃を持ち、互いに銃口を向け合っている。
誰も動けない。時間が止まったかのような緊張状態。
その時誰かが「バンッ!」と大声を張り上げたらどうなるだろう。
本稿は映画『ハウス・オブ・ダイナマイト』の考察です。
前回の記事も載せておきます。
未視聴の方には何が書いてあるのかわからないと思うので、ぜひNetflixでご視聴いただきたい。
めちゃくちゃおもしろいので。佐久間宣行さんも東野幸治さんも宮台真司さんも全員おもしろいと言います!絶対に!(予言)
ちなみに映画評論家の町山智浩さんはすでに面白いと言ってましたよ。
ということで今回は「誰がICBM(大陸間弾道ミサイル)をシカゴに向けて発射したのか」について考察します。
『ハウス・オブ・ダイナマイト』は3つチャプターに分けられていて、チャプター1「傾斜が水平に」の舞台はホワイトハウスのシチュエーションルームと、アラスカのミサイル迎撃基地です。
そこであらゆる推測がなされているので本稿の「誰がICBMを発射したか」の考察を補強するためにも作中のセリフを引用したいと思います。
・無断で民間の衛星が打ち上げられたかどこぞの大富豪が手続きを忘れたか
・シギント(引用者註:電波や通信を傍受する諜報活動のこと)によるとロシアは発射に気付いています
・非武装地帯における北朝鮮軍の突発的な部隊交代もあるが通信はまだない
・パレスチナ解放軍の演習の可能性は?
・想定されてたのは海上の軍事演習のみ 原子力潜水艦は対象外
・中国の空母福建より複数のJ15戦闘機が発艦 これは想定内?
・中国やロシア、国連に電話が繋がらない
当然のことながら全ては推測であり特定できる情報はありません。
日本人であれば馴染みがある「北朝鮮のミサイル実験」ですが、当初これと誤認したように、発射した人物はあえてこの軌道を真似た可能性もあるでしょう。
つまり「北朝鮮からの発射を偽装した誰か」あるいは「北朝鮮が実際にアメリカに向けて発射したか」です。
作品の内容的に、「誰が発射したか」と「ICBM投下後の世界」は明らかにしていないので個人的な憶測ですが、僕としては「北朝鮮を装った誰か」だと考えています。
なぜなら、ロシアや中国などの分かりやすい敵国を描いてしまうと報復も分かりやすくなってしまうため、本作が描こうとしているものと離れてしまうためです。
本作のメッセージは「ダイナマイトの家」で、世界はいつ爆発してもおかしくない日常を平気な顔をして生活している、という指摘です。
だから明確な敵国や、誰かの失敗などを描かない。あくまであり得る日常と突然訪れる非日常を描きます。
核兵器保有国ではない誰か。そして原子力潜水艦を操れる誰か。
そうなると答えが見えてきます。
それは『沈黙の艦隊』です!
今作は独立戦闘国家「やまと」による宣戦布告だったのです!
というのは考察が飛躍しすぎですが、テロリストなどの集団による発射ではないかと僕は予想しています。
これだとキャスリン・ビグロー監督の意図から外れていない。
核兵器保有国同士の均衡状態も、外部からの一発ですべてが大混乱に陥る可能性がある、と。
個人的に謎だと思っているのが他にもあります。
それは「本当に核弾頭は積まれていたのか?」というものです。
核攻撃ではないとしてもアメリカは報復攻撃をするでしょう。この映画の結末以降が、たとえ不発でシカゴの被害者が0人だったとしても、核弾頭が積まれていなかったとしても、アメリカは世界に向けて大規模報復攻撃を仕掛けているでしょう。
(これらは前回書いた記事で考察してます)
また、シカゴに投下されるICBMはミシガン湖近くに着弾されると予想されることから、もしかしたら敵は水源や隣接する工業地域の壊滅も視野に入れいていたのかも知れません。
全ては憶測でしかありません。
誰が何のために発射したのか。
誤射なのか。
理由など無いのか。
何もわかりません。
その理解できなさ、理由の無さ、それでも世界はボロボロになってしまうという理不尽なあっけなさが本作から伝わってくる怖さです。
想像して欲しい。
9人の男たちが両手に拳銃を持ち、互いに銃口を向け合っている。
誰も動けない。時間が止まったかのような緊張状態。
その時誰かが「バンッ!」と大声を張り上げたらどうなるだろう。
「バンッ!」と叫んだ奴が、果たして銃を持った9人の中に居たのか。
それとも物陰から様子を伺っていた狂人が世界を終わらせるために「バンッ!」と叫んだのか。
(そして9人がつぶし合ったあとで生き残った勝者のこめかみにそいつはゆっくりと弾丸を撃ち込むことだろう)
いいなと思ったら応援しよう!
チップ!ありがとうございます!
これからも社会平和に貢献する記事を書き続けます!


コメント