その宝日商も、オイルショックを境に業績が悪化して倒産。すずらん村別荘地は、宙ぶらりんの無管理別荘地となってしまったのだが、当時の別荘利用者から、管理費は払うからここに残って管理業務を続けてほしいと頼まれた父親は、自営業者として管理会社を立ち上げ、それまでの宝日商に代わり、引き続きすずらん村別荘地の管理業を行うことになった。その父親もすでに亡く、現在は息子の知史さんが事業を継承している。
管理人としての日常業務は別荘地内の見回り、草刈り、道路補修など。水道は嬬恋村の村営水道が接続されているが、別荘地内の配管は私設のものなので、水道管などに不具合が起きればその修理を行うこともある。
これらの費用は、すずらん村の別荘所有者や土地所有者から徴収した管理費で賄っているが、管理費というものは定額であり(私有地内の管理・整備を行う場合は別途料金)、管理業務そのものは何か利益を生み出すような類の仕事ではないので、限られた予算の中でどこまで行うべきか、そのさじ加減は難しいようだ。「本当は、忙しくしようと思えばいくらでもやるべき業務はあると思うのですけどね」と秋南さんは笑って語る。
廃屋同然の建物が多数放置されている別荘地も
すずらん村別荘地の区画数は合計で約500区画あり、家屋はおよそ120戸。現在、永住者は15世帯暮らしているとのことで、およそ8戸に1戸の割合で永住者が利用していることになる。永住者の利用戸数を除いた残り105戸の中で、少なくとも年1回以上は利用していて適切に管理されている別荘はおよそ80戸程とのことなので、少なくとも建物に関しては、比較的高い割合で今も利用が続いていることになる。
「このすずらん村は、70年代に一度開発業者が倒産していて、建物の販売に熱心ではなかったので、実際に別荘地内に家が多く建ち始めたのは80年代以降なんです。70年代の建物は今見ると、どうしても古さは隠せませんが、80年代は手直しさえすれば今でもそこそこ良い見栄えになります。そこが功を奏しているのだと思います」
今でこそ、以前と比較して問い合わせなども増えてきているが、一時期嬬恋村は中古物件の重要が大きく低迷し、70年代の建物というだけで、ほとんど買い手がつかないような時期があった。周辺の別荘地の中には、一番開発が盛んだった70年代に集中的に建築が進んだ別荘地もあり、そのような別荘地では老朽化し、廃屋同然となった家屋が多数放置されている。
それに比べればすずらん村の状況は恵まれていると言えるが、それでも秋南さんは、「すずらん村」もまた、周辺の他の別荘地同様「限界別荘地」の道を歩み始めていると語る。秋南さんの元には、すずらん村別荘地の建物や更地の所有者から、売却についての相談がよく舞い込むという。建物に関してはとりあえず地元仲介業者を通じた売却を提案するが、問題は更地である。