ポケモン廃人、知らん学園に入学した。【完結】   作:タク@DMP

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第128話:肥大化する呪い

 ※※※

 

 

 

「人間の脳だ。オオミカボシの頭脳端末と、人間の脳が共振し、あれだけの動きを実現している……!!」

 

 

 

 ビーム砲を放ちながら暴れるオオミカボシ。

 しかし、イクサ達はそれ以上に心中が穏やかではなかった。

 オオミカボシの強化に使われたのが何だったのか。それを察した時、イクサの怒りは頂点に達し──

 

「ン、だよそれッ……!!」

 

 飛び出したソウブレイズが、オオミカボシの進軍を食い止める。

 

「酷いなんてもんじゃないよ!! 人の心まで捨てたのか!?」

 

 ソウブレイズの炎は、トレーナーの怒りを喰らい、更に激しく燃える。

 ざり、ざり、と刀を引きずりながらソウブレイズはオオミカボシにゆらゆら、と燃える炎の如く近付いた。

 その烈火の如き激しき戦いに、デジーも、ミコも、介入出来はしなかった。

 二匹は縺れるようにして下層の荒地へと転がり込む。

 そこに、イクサも後に続いた。

 追いかけるレモンとデジー。しかし──

 

「来ないで!!」

「ッ……」

 

 イクサが叫ぶ。

 

「これは……これだけは僕の戦いだ!! 一回だけ、ワガママを聞いてほしいんだ!!」

「イクサ君……!」

「何言ってんのさ、正気!?」

「お願いします。この戦いだけは……僕にやらせて下さい!!」

 

 レモンに、止めることなど出来るはずが無かった。

 本来ならば自分がそれを負うべき役割なのに──自分には手持ちがない。止める権利など、ありはしない。

 

「……行きなさい、イクサ君」

「……はいッ!!」

 

 高らかに答え、イクサは下層へ滑っていく。

 そして、互角の戦いを演じるオオミカボシとソウブレイズの前に駆け寄るのだった。

 

「レモンサンレモンサンレモンサン、ンンンンギモヂイイイイイイイイイーッッッ!!」

「だから……こんな形で、戦いたかったわけ、ないだろッ!! ”むねんのつるぎ”!!」

 

 ソウブレイズが炎を宿した剣でオオミカボシの脚を切り払った。

 バランスを崩したポケモン重機はずしん、と地面に落ち──るが、すぐさま頭上から大量のレーザーを雨の如く降らせる。

 

「ぼうっ!?」

 

 すぐさま降り注ぐそれから主を守るソウブレイズ。

 貫通性こそ高いレーザーだが、鋼の身体に通りはしない。

 しかし。

 

「いマの、私とォ、オオミカボシハァ!! 150パーせんトのシンクロ率ゥ!! フェーズ2ハ、オワラナイ!!」

 

 突如としてオオミカボシの姿が消える。

 そして、ソウブレイズの眼前に一瞬にして現れるのだった。

 溜め無しの極太ビームが照射される。

 レモンも、デジーも息を呑んだ。

 ソウブレイズが居た場所には、クレーターが出来ており、イクサの姿も跡形もなく消し飛んでしまっている──

 

「これでどうだ!! ”ゴーストダイブ”ッ!!」

 

 ──だが、オオミカボシの影からソウブレイズが飛び出し、背後から強烈な斬撃を見舞ってみせる。

 ビーム砲が放たれる直前、ソウブレイズはイクサを抱えて影へと消えたのだ。

 ザザ、とオシアス磁気は乱れ、想定外の一撃を喰らったことで、オオミカボシもまた、態勢を立て直しているのに難儀しているようだった。

 しかし、それでも尚、頭上から降り注ぐビームをソウブレイズに浴びせ、牽制を続ける──

 

「ッ……でも、今のボク達なら戦える!! やれる!!」

「やめなさい」

 

 ぴしゃり、とレモンは言い放ち両の腕を広げてデジーの行く手を阻む。

 

「何で止めるのさ!? 邪魔しないでよ」

『邪魔なんてしてないデスよ。そうデショ? レモン』

 

 スマホロトムから通信が飛ぶ。レモンは──頷いた。

 

「……アトムと決着を付けたかったイクサ君の思い。汲んであげて」

「何言ってるの!? ……あんなのってないよ!! 転校生だって、辛いでしょ!?」

「此処で手を出したら、イクサは恐らく、一生妾達を恨むだろうな」

「だけど!! ……皆で行くって言ったじゃん!! そっちの方が確実だよ!!」

「……話が違ってくるわ。もう二度と、叶わないのよ。イクサ君がアトムとサシで戦うのは」

「ッ……こんなの、背負わせたくないよ!! 何で転校生が、あんなヤツの……介錯をしなきゃいけないのさ!!」

「あやつがそう決めたのだろう。これっきりだ。これっきりだぞ、イクサよ」

 

 オオミカボシは最初こそ、フェーズ2の際と同様の圧倒的火力を押し付け、更に瞬間移動を用いることで優位に立とうとしていた。

 しかし、高火力のビーム砲は悉くかわされ、更に単調かつ直線的な軌道の”サイコイレイザー”を前にして、最低限の動きでソウブレイズはそれらを見切り、後隙に刀を叩き込む。

 

「ナゼェ、ジャマヲスルノデスッ!! アナタガイルカラ、メザワリリリリリリリリリリ」

「……会長。誰が貴方にこんな事をしたの?」

「レモンサンハ、ワタシガタオスト、キメタノデスッ!! アノヒトニマケテェ、ワタシハスベテヲ、イキルイミヲウシナッタァッ!!」

「……ソウブレイズ、ギガオーライズだ」

 

 心は既に、同じだった。

 ソウブレイズは、目の前の冒涜的なソレを前にして嫌悪感、そして怒りを覚えており──イクサは言うまでもない。

 人間としては死んだも同然の目の前の兵器を終わらせるため、イクサは躊躇わずにギガオーライズを切る。

 蒼い炎が溢れ出し、周囲には宝石が浮かび上がる。

 亡霊剣士は、目の前の哀れなる魂を鎮める為、静かに立ち上がる。

 

 

 

「ギィイイイイイイインッ!!」

【ソウブレイズ<ギガオーライズ> タイプ:鋼/ゴースト】

 

 

 

 目の前の敵に対する脅威度が跳ね上がったからか、更にオオミカボシは装備されていた武装を解放する。

 ソウブレイズはおろか、イクサをも狙い撃ちにするべく大量のレーザー砲を解き放った。

 しかし──

 

 

 

浮かせて(ポルターガイスト)

 

 

 

 静かに言い放ったイクサの指示の通り、オオミカボシの追加武装の数々は次々に切り離され、勝手に宙を舞う。

 そして、その全てが纏めてオオミカボシ自身に降りかかるのだった。

 

「ギャアアアアアアアアア!?」

「……アトム会長。僕が、貴方の最後の相手だ」

「ワ、ワタシハァ、マダ、オワッテナイ……!! レモンサンヲ、タオス、マデ、ハァ……!!」

 

 車体から転がり落ち、只のオオミカボシになっても尚、アトムの脳髄が保管されたユニットだけは接合されたままだった。

 顕現したオシアス磁気の化物は、イクサとソウブレイズは勿論、周囲の者全てを焼き払う勢いのオオワザを放とうとする。

 

 

 

 

【オオミカボシの ア・ステラ・ホライゾン──ッ!!】

 

 

 

 

 全身のオシアス磁気を怪物に集中させ、解き放つ渾身の一撃。

 だが、それ故に必ず隙が出来る。

 それが来ると分かってしまっているならば、以前よりも溜めの時間が短くなっていたとしても、対応できる。

 今のソウブレイズならば──

 

「ソウブレイズ、射線を塞ぐんだッ!!」

 

 素早くオオミカボシの眼前に立ち塞がるソウブレイズ。

 そして周囲の宝石を大量に自らに集め、巨大な盾を作り出す。

 正面から受け止めるつもりなのだ。オオミカボシのビーム砲を。

 そして間もなく極大のオオワザは放たれた。

 先ずは正面に立つイクサ、そしてソウブレイズを焼き尽くすべく。

 

「転校生ッ!?」

 

 思わずデジーは叫ぶ。

 幾ら何でも無謀な行動でしかない。

 その威力を、彼女もまた身を以て知っているのだから。

 しかし──宝石で作り出された障壁は、オオミカボシのオオワザを真正面から受け止め続ける。

 決して無傷ではない。だが、それでも──その全てを宝石の中へと吸収し続ける。

 

「イッ、ナ、ナン、ナンデ!! ナゼダァ!? ナゼ、ナゼ、キサマハキエナイイイイイイイーッッッ!?」

「”メタルバースト”」

 

 そして、宝石が吸収した光線は──全て、オオミカボシ目掛けて放出される。

 オシアス磁気の怪物は、自らが放ったオオワザを、今度は自らが受けることになり──吹き飛び、そして岩壁に叩きつけられるのだった。

 

「ア、ギ、ガ、アア……!!」

 

 オオミカボシは、再び起き上がろうとする。

 イクサが、そしてソウブレイズが強かったのは確かだった。

 しかし、人間の脳を無理矢理オーデータポケモンの頭脳部位と接続したことで、却って処理速度は落ちてしまっていた。

 彼もまたそれを察したからこそ、無謀とも言えるカウンター行動に出たのである。

 

「……こんな改造、する必要なかったのに」

 

 ぽつり、とイクサは漏らす。

 無理矢理に起き上がろうとするオオミカボシ。

 それを介錯するべく、ソウブレイズはじり、じり、と近付くが──

 

 

 

「レモンサンレモンレモ──ヒッ!! ナイ、ナイナイナイナイナイナイナイナイナイ──」

 

 

 

 突如、オオミカボシは狂ったように何度も何度ものたうち回る。

 そして──空中に大量のレーザー光を顕現させた。

 だが、その軌道は全て、オオミカボシ自身に向けられていた。

 

 

 

「カラダガ、ナイ……!! イヤダアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーッッッ!!」

 

 

 

 最後に放ったサイコイレイザー。

 それは、オオミカボシに接続されたユニットを刺し貫く。

 

「キ、ラ、キラ、ヒカル……ヨ、ゾ、ラ、ノ、ホ、シ……」

 

 それが爆ぜたかと思えば──オオミカボシの身体から漏れていたオシアス磁気は消失し、そのまま機能停止してしまったのだった。

 あまりにも呆気なく終わってしまった巨大重機の最期を前に、イクサはへたり込むしかなかった。

 

「何で……?」

 

 自分が手を下す覚悟までした相手が、あっさりと、呆気なく、自ら命を絶った。

 その事実を前に、イクサは──何も考えることが出来なくなっていた。

 

「……耐えられなかったのデショウ」

 

 イクサが振り向くと、そこには──バジルが立っていた。

 

「……昔、ロボットの警察官が出てくる映画で見たのデス。フツーの人間が、自分の身体が無くなっていることに耐えられるわけがない……って」

「ッ……そんな。じゃあ……」

「違うデスよ!! イクサの所為じゃない!! イクサの所為じゃ、ないデス……!!」

「アトム……」

 

 何処か口惜しそうにゼラは呟いた。

 轟々と燃え盛る炎の中。

 オオミカボシは、何も言わない。

 ましてやもう、アトムももう、何も喋ることはない。

 

「……ごめんなさい、アトム」

「違うよ……こんなの、間違ってる」

「ッ……アカシアめ」

「何でだよ……!!」

 

 イクサは──地面に拳を叩きつける。

 

「確かに僕は今まで、会長に良いようにされてきた!! 嫌いだった!! だけどッ……強いポケモンを従えるトレーナーとして……認めてたんだ……!!」

 

 何度も、何度も、硬い岩の地面に叩きつける。

 拳には血が滲み、地面に染み付いた。

 後に残るのは、もう動かないオオミカボシだけだ。

 

 

 

「……何で、こうなるんだよ……!! 畜生っ……!!」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「……死んだか、アトム」

 

 

 

 何も無かったかのように、アカシアは言い放つ。

 

「まあ良い。今のフィードバックを行え。量産機の生産に生かすとしよう」

「は、はぁっ……しかし──」

「そんな事より、オーラプラントの様子は?」

「ハッ!! 現在、エネルギー充填100%!! 直に発射可能です!!」

「完璧だ」

 

 画面を見ながら、アカシアはほくそ笑む。

 オーラギアスが放つ捕食波動。それは、ありとあらゆるものを分解し、オシアス磁気に変換してしまう。

 それを抽出し、宇宙へと放つ。それこそが、クラウングループが秘密裏に進めていた”オーラギアス計画”の全容だ。

 

「人工衛星”ミメシス”、稼働準備完了!!」

「世界各地のオーラピラー、問題なし!! オールグリーン!!」

 

(”ミメシス”に打ち込まれた捕食波動は、世界各地に建造したオーラピラーを狙って注ぎ込まれる。そして、オーラピラーを起点にし──拡散する)

 

 これまで、クラウングループが各地で合法的侵略を進め、土地を買ってきた理由は、このオーラピラーを建造するためであった。

 ”ミメシス”は巨大な人工衛星、オーラピラーを”的”として、正確に捕食波動を撃ち込む。

 そして撃ち込まれた捕食波動は同時多発的に拡散。周辺の建造物も、都市も、人も、ポケモンも、全て──纏めて分解する。

 

「……目障りなコラッタ共。オオミカボシとアトムを退けたのは褒めてやる。だが、俺は三流映画の悪役とは違う。既にスイッチは押せる!!」

 

 アカシアが終末のスイッチに手をかける。

 プラントに格納されたオーラギアスは今も捕食波動を溜め込み続けている。

 後は解き放つだけだ。

 滅びの運命に抵抗するため、奈落の底へ下って来た子供たちをあざ笑うように、スイッチを押す──

 

 

 

 

 ズッドガガガガガガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッッッ!!

 

 

 

「──……は?」

 

 スイッチを押したアカシアは、当惑した。

 工場は突如、激震し、更にアラートが周囲から鳴り響く。

 何が起こったのか、彼自身にも分からなかった。

 

「エ、エマージェンシー!! オーラプラント、突如爆発しました!!」

「システムオールレッド、機能停止!! オーラギアス、反応しません!!」

「カメラ確認!! な、何者かが侵入した模様……!!」

「ッ……誰だ、映し出せ!! 何処のどいつだ!!」

 

 慌てふためく社員たち。

 だが、辛うじてモニターに、燃え盛るオーラプラントのカメラ映像が現れる。

 そこには──絵筆の如き尻尾を握り締めたポケモンが佇んでいた。

 

 

 

()()()()、です……!! ドーブルが、オーラプラントを爆破したのか……!?」

「出来る訳が無いだろう!? 出来て、堪るかァァァァーッ!!」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「看護長ーッ!! 302号室のイデアさん、居なくなってますッ!! 窓ガラスが割られててッ!!」

「何でェ!? あの人、骨が色々折れてなかったっけ!?」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「綺麗な花火だねえ、センセイ」

「どぅーどぅる」

「サイゴクを汚した大馬鹿野郎共に、一泡吹かせてやったわけだ」

 

 イデアは、燃え盛るオーラプラントを前に「さーて問題は」と続けた。

 

「……オーラギアスを、どう回収するかだ。あいつが残ってる限り、一生悪用されるんだよな」

「どぅーどぅる」

「いっそのこと、この世から完全に消し去っちゃうか」

「どぅ」

 

 肯定するようにドーブルが頷いたその時だった。

 

「止まれ!! そこで止まれ貴様らーッ!!」

「む」

 

 ドーブルがすかさず”リフレクター”を展開。

 降り注ぐ弾丸の嵐を全て受け止めてみせる。

 躍り出てきたのは兵士たち、そして──計画を一瞬で阻止され、怒り心頭のアカシアだった。

 

「10年前もそうだった!! あわやというところで、またこれだ!! 何なんだ!! 何なんだ!! 答えろ!! 何者だ貴様はッ!!」

「……うん? イクサ君たちの保護者だよ。彼等の後を追ってたんだけど……なんかデカブツに足止めされてたんで、さっさと谷を降りてきちゃったんだよね」

「俺が!! 俺がオーラプラントを再建造するのに10年かかったんだぞ!! どうしてくれるんだ!!」

「……んで、オーラギアスとやらは、どの辺に居るんだっけ?」

「そいつを殺せッ!!」

「君らじゃ無理だよ」

 

 襲い掛かるポケモンと鉛玉。

 しかし、それら全てが、ドーブルの生み出した百鬼夜行の群れによって蹂躙されていく。

 

 

 

「オオワザ……”ちみもうりょう・じごくえず”」

 

【ドーブルの ちみもうりょう・じごくえず!!】

 

 

 

 墨から作り出されたポケモンの大群が押し寄せた。

 あっという間に、戦力差は覆された。その場に立っているのは、アカシアだけだ。

 10年前と同じ。しかし、今度はオーラギアスも居ない。

 完全な孤立無援に追い込まれる。流石の彼も、10年前のロータスを超える脅威を前に、へたり込んでしまうのだった。

 

「ば、バケモノ……!!」

「僕もキレてるんだ。お前達が……サイゴクに土足で踏み入った報いは受けて貰う」

「ぐうう……!! ッ!!」

 

 その時だった。

 瓦礫からゴトゴトと音を立てて、何かが飛び出した。

 アカシアの足元に、それは転がっていく。

 すかさずアカシアは、それを拾いあげた。

 

「お、おおお、オーラギアス!! 無事だったか!!」

「ッ……あれがオーラギアス!? 随分と小さいな……!!」

「どぅ!?」

「お、お前がまた眠りにつくようなことがあれば、また10年以上待つ事になっていた!! さあ、奴等を喰らえ!! 喰らうのだ、オーラギアス!!」

「──なんかヤな予感がするなあ!!」

 

 危険予知。

 彼らの経験則が、そう知らせた。

 この場から逃げた方が良い、と。

 イデアとドーブルは、引き下がり、その場から離脱する。

 間もなく、オーラギアスの身体が光り輝いた。

 

 

 

 

「ヲ、ヲヲヲヲヲヲヲヲ」

 

 

 

 

【オーラギアスの シング・オブ・エックス!!】

 

 

 

 

 暴発した捕食波動が、辺りを飲み込んでいく。

 当然、オーラギアスを手に抱えていたアカシア本人も、それを直に受け、身体が分解されていく。

 

「えっ……」

 

 腕が消え失せた。

 足が消え失せた。

 何が起こったのか分からないが──他でもないオーラギアスが自らに牙を剥いたことを察すると、アカシアは──叫ぶ。

 

「なっ、何故だ、オーラギアス……!! お、俺は、お前に、全てを捧げて──」

 

 周囲に居た兵士たちも、そして倒れたポケモン達も、皆──分解されていく。

 

「か、身体が消える!! オーラギアス!! オーラギアス!! 何故だ!! 何故、俺を……オーラギアスゥゥゥーッッッ!!」

 

 ぼとり、とオーラギアスは地面に落ちる。

 そして、辺り一面に沈殿したオシアス磁気を啜っていく。

 後に残るのは、辛うじてドーブルの”ゴーストダイブ”で難を逃れたイデアだけであった。

 

「ッ……!!」

 

 一部始終を影から見ていたイデアは全てを察する。 

 そればかりか、まだ身体が消えかかっているポケモンや人間の姿も散見される。

 だが、どの道助かりはしない。体の大部分が欠損してしまっており、いずれ生命機能は停止するし、そうでなくともオーラギアスが彼等を啜っていく。

 

「聞きしに勝る……悪夢みたいなポケモンだな……!! 全く……!!」

「どぅ……!!」

「ヲヲヲヲ……」

 

 ふわふわ、と浮かび上がったオーラギアス。

 だが、残ったイデア、そしてドーブルを餌とは認識せず、そのまま──多量のオシアス磁気を漏れ出させるのだった。

 

「ッ……何をする気だ!?」

 

 しゅるるるるるる、と音を立て、オシアス磁気は糸のようになってオーラギアスの身体を包み込んでいく。

 この間も、凄まじい量のオシアス磁気が放たれ、ドーブルとイデアは近付くことすら出来ない。

 そうして彼らが立ち竦んでいる間に──

 

 

 

「何だ……糸……繭か……!?」

 

 

 

 ──巨大な繭の如き物体が、燃え盛るオーラプラントに鎮座するのだった。

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