ポケモン廃人、知らん学園に入学した。【完結】   作:タク@DMP

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──最終章、開始。オシアス全土を包み込む「呪い」を、解くのは──


最終章:ポケモン廃人と最後の呪い
第120話:学園動乱


「──ぎぇぇえええああああ!? どうなってますのォォォーッッッ!!」

 

 

 

 ──その日。

 学園は未曽有の戦火に包まれた。

 とうとう、堪忍袋の緒が切れた各寮長を支持する特記戦力たちが結束し、生徒会本部を急襲したのである。

 ツクバネは斃れ、アトムが何故か数日間学園に不在、攻め込むならば今しかない──と考えた、下克上根性に溢れた生徒達が決起したのは言うまでもない。

 地を這う勢いで低い民度が、初めて正の方向に働いた瞬間である。

 

「ツクバネはァ!!」

「病院で寝てますゥ!!」

「ウチの会長はァ!!」

「未だに学園にやってくる気配がありませんンンンッ!!」

「おっごごごごご、どうするんですのォォォーッ!?」

 

 イナバウアーしながら頭を抱える生徒会副会長・マイヅル。

 しかし──彼女はそんな危機の中でも冷静さを失わなかった。

 生徒会の会長椅子にサラッと座りながら、思わず某特務組織の総司令塔の如きポーズで指を組む。

 

「いいこと、マイヅル。この危機を乗り越えたという実績があれば、私が生徒会長に就任するのも夢ではないで──」

 

 

 

 ズゴバギガッシャァァァァァン!!

 

 

 

 生徒会室の扉がぶっ壊れ、そこから全身筋肉ダルマのポケモン・カイリキーと、スプーンを握った狐のようなポケモン・フーディンが物凄い勢いで吹き飛んできた。 

 後から遅れて、這う這うの体で生徒会役員達がやってくる。

 

「──すわぁ……」

「ほ、報告……最終防衛ライン、突破されました──」

「見りゃあ分かりますわよッ!?」

 

 生徒会室に踊り込んできた生徒達を見て目を丸くする。やってきたのは、見覚えのある一年生たちであった。

 

「何や何や、生徒会役員って聞いとったけど……大したことあらへんやんけ」

「キィィィーッ!! 貴方達ッ!! これは立派な学園の秩序を乱す行為ですわよ! お分かりになっていて!?」

「オーデータロワイヤルのルール変更、直々の寮長代理の派遣、それに伴う治安の悪化、クソみたいな校則の追加の数々……あんたら好かれる要素何一つ無いでホンマ」

「でも、うちらは別に権力とか欲しいわけやあらへんよ」

「この生徒会長室に、レモン先輩の手持ちポケモンがあるのは分かっとるんや!! 返してもらうで!!」

「ど、何処でそんな情報を……!!」

「新聞部ナメたらアカン。生徒会役員にちょっと取材したら、このくらいの情報は簡単に引き出せたわ」

 

 

 

 ──やめて!! やめて!! 話す!! 全部話すから、アツアツおでんを押し付けるのはやめ──アッツゥ!!

 

 

 

「くっ、口がフワライドよりも軽いヤツらですわ……! グローリオ! グローリオは何処に居ますの!?」

「グローリオは……今、下の階で特記戦力と戦っています……ッ!」

「チッ、役に立ちませんのねえ……ッ!!」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「ハタタカガチが居ねえのに……やっぱり強ェなグローリオ、テメェ!!」

「ドドゲザン、此処が正念場ァ!! 捻じ伏せるよッ!! グローリオのポケモンは、後一匹だ!!」

「問題はその最後の一匹だがな……!!」

「違いないねッ!!」

 

 

 ──フリーザー寮の特記戦力であるブローディアと、カンザキは、生徒会幹部のグローリオと交戦。

 彼を引き付ける役目を担っていた。

 戦うは、キリキザンの進化形であるドドゲザンと、マンムー。

 この二匹はこれまで、生徒会役員達のポケモンを圧倒する程の力を見せていた。

 だが、流石にグローリオ相手には苦戦を強いられることになる。

 激戦の末、グローリオの手持ちを残り一匹まで追い込むところまでは良かったが、その最後の一匹が問題であった。

 

「そう簡単にはいきませんよぉ、いーっひひひひひ」

 

 ハタタカガチは、クラウングループの計画に必要となる為、徴収されてしまったものの──それでもグローリオにはまだ切札が隠されていた。

 それが、自身の会社に残っていた設計図で製造された人造ポケモンである。

 言わば万能細胞というもので培養された、特定の遺伝子で様々な姿に変異するミッシングポケモン。

 今、特記戦力たちを圧倒しているのは、腕が巨大なピクシーのような姿であった。

 

「ピポポポポポ……ッ!!」

「いーっひひひひひぃ、タイプ:ゼノの恐ろしさ、お分かりいただけたでしょうかぁぁぁあああ!? 我が社で培養された万能細胞の力ぁ、とくとご覧あれェ!!」

 

【タイプ:ゼノ<モデルピクシー> ミッシングポケモン タイプ:ノーマル/格闘】

 

 グローリオが手に持つミッシングパッチは、非常に変異性が高いタイプ:ゼノを特定の姿に固定する力を持つ。

 これが無ければ、このポケモンは自らの意思に反して他の姿に変異してしまうほどに細胞の流動性が高いのである。

 

「では次はこれで行きましょうかぁぁぁあ!! モデルチェンジ……リザードンッ!!」

 

 タイプ:ゼノの姿は更に変異していき、今度は漆黒の火竜の姿となる。

 

 

 

「バギュアアアアアアアアアアアアーッッッ!!」

 

【タイプ:ゼノ<モデルリザードン> ミッシングポケモン タイプ:炎/ドラゴン】

 

 

 

 そして、マンムーとドドゲザンの二匹を、一気に灼熱の炎で焼き払うのだった。

 効果はバツグン。此処までの戦いで疲労が蓄積していた二匹は、遂に倒れてしまうのだった。

 

「ク、クソッ……ギガオーライズを使わせる事すら出来なかった──ッ!!」

「戻って、ドドゲザン……!!」

「知識としては知ってたが、とんでもねえポケモンだ……!! かつて存在した”ミッシングアイランド”で作られた人工培養ポケモン……!!」

「どうやって戦えば……!!」

 

 

 

「止まって下さいぃぃぃぃいいいいいいいいいいーっっっ!?」

 

 

 

 次の瞬間であった。

 部屋の扉を突き破り、何かが猛進してくる。

 すぐさま反射的に灼熱の炎を噴いたタイプ:ゼノであったが、それは炎すらも突っ切り、そして──タイプ:ゼノの空いたどてっぱらに強烈なドロップキックを叩き込むのだった。

 

 

 

【キテルグマの 10まんばりき!!】

 

【効果はバツグンだ!!】

 

 

 

 効果バツグン・弱点の一撃を喰らい、思わず身体が揺らぐタイプ:ゼノ。

 その威力は絶大で、あまり打たれ強くはない火竜の姿では、後一撃受ければ倒れる程に体力が削られてしまう。

 

「いっ、いけないッ!! 何者!?」

「フ、フツーの……1年生ですぅ……」

「貴方のようなフツーの1年生が居ますかぁぁぁああ!? 何処の地方にキテルグマに乗って部屋を突き破ってくるバカが居るんですかぁぁあ!?」

 

 当然、キテルグマの肩に乗る──もとい引っ掛かっているのは、ファイヤー寮の1年生・ササ。

 半ば目を回しながら、今日も今日とてキテルグマの暴挙に付き合わされているのであった。

 

「ッ……コ、コイツがファイヤー寮の悪鬼羅刹・金剛夜叉・ササ……!!」

「ウワサは本当だったんだ……!! 炎を突っ切るなんて……どんな育成してんの!?」

「きゅう……通販で買った”とつげきチョッキ”のおかげです……」

「ええい、関係ありませんよぉぉおおお!! ……”とつげきチョッキ”を付けているならば、猛毒にするまでぇぇぇぇええ!!」

 

 グローリオがパッチを当てると、タイプ:ゼノの姿は黒い霧のような姿へと変異していく。

 更に、彼は黒いオージュエルにカードを翳した。

 

 

 

「ギガオーライズですよぉおおおお、タイプ:ゼノォォォオオオーッ!!」

 

 

 

 黒い霧の如き身体は一気に収束し、地面に拳を付けた亡霊の如き姿へと変貌する。

 だが、その身体からは激しい稲光が迸っているのだった。

 

「ゲゲゲゲェェェーッッッ!!」

 

【タイプ:ゼノ<モデルゲンガー・ギガオーライズ> タイプ:毒/電気】

 

 床下には電気が充満する。

 そして──グローリオは容赦なく、この場に居る全員を排除する為に指示を下すのだった。

 

 

 

「──オオワザですよぉおおお、タイプ:ゼノォォォーッ!! ”ミッシングミストデリート”!!」

 

 

 

【タイプ:ゼノの ミッシングミストデリート!!】

 

 

 

 周囲には、タイプ:ゼノが放つ毒霧が充満する。

 この密室では、彼等に毒が回るのは時間の問題であった。

 すぐさま顔を押さえるブローディアとカンザキだったが、それでも意識はすぐに混濁し、手を突いてしまう。

 しかし──キテルグマは、無表情のまま腕を振り回すと、部屋の壁をすぐさま打ち据え、貫く。

 

「えっ」

「えっ」

 

 グローリオも、ササも同時に声を上げた。

 部屋に開いた大穴から、一気に風が吹き抜け、毒霧はそこから流れ出ていく。

 そして──そのまま、腕をぶんぶんと振り回しながら、タイプ:ゼノへと向かっていくのだった。

 

「んなぁぁぁ!? 効いて、ない!? どうなってるのです、貴方のキテルグマァ!?」

「私の方が知りたいですよぅ!!」

 

 毒霧が薄れ、意識を取り戻したカンザキは──すぐさまこの状況を分析する。

 

「成程、毒霧が来るって分かってたからすぐに口を閉じた上に、壁をブチ抜いて毒霧を逃がした!」

「それをポケモンが自分で考えるように育成……やっぱり噂は本当だったか、悪鬼羅刹のササ……!!」

「何もかも違いますーッ!?」

 

 そう言う彼女も毒霧を見るなり咄嗟に”モモンのみ”を齧り、解毒するだけの判断力は持ち合わせているのであった。

 

「ひぃいいいいいい!? 来るな来るな来るなぁぁぁ!? モデルチェンジ、ピクシー!!」

 

 迫りくるキテルグマに恐怖すら覚えるグローリオ。

 すぐさま剛腕に長けたピクシーの姿で迎え撃つ。

 遺伝子操作で肥大化した腕でキテルグマの身体を何とか抑えつけることに成功したタイプ:ゼノは、必殺の打撃を叩き込むべく腕をぶんぶんと回転させて力を溜める。

 

「オオワザぁ!! ”ミッシングアームデリート”ォォォォッ!!」

 

 

 

「──オーベム。”サイコキネシス”」

 

 

 

 しかし、そこでタイプ:ゼノは止まる。

 それ以上パワーを溜める事が出来ない。

 腕が動かないからだ。

 下手人は──オーベム。そして、傍らに立つ白衣の少女だ。

 

「残念だったねぇ、グローリオ君。オオワザとやらは私の分析によれば、発動に時間が掛かるらしい。その前に止めてしまえば、解除されてしまうのだよ」

「オ、オマエは……ズオウ!? 何故貴女が、私の邪魔をするのですかぁぁああ!?」

「そりゃあ当然だよ。君達生徒会が……私の実験室を封鎖したからさ!! ちょっと食堂の食べ物に、薬を混ぜただけなのにねぇ!!」

 

 残念でもないし当然であった。

 レモンが居なくなった隙に、この女はまた以前と同じ悪行を繰り返していたのである。

 結果、生徒会に目を付けられ、彼女の実験室は敢え無く永久凍結されてしまったのだった。

 これには思わずカンザキとブローディアも苦笑いするしかなかった。

 

「何故、私の研究は認められない!? ※モルペコ──じゃなかった生徒の諸君に協力してもらっただけではないか!」

 

 ※実験動物の意。

 

(協力ってか無許可なんだよ!!)

 

(私達、あんなのに助けられたんだ……)

 

「さぁて、ササ君ッ!! フィニッシュブローと行こうじゃないか!! 今、タイプ:ゼノは弱っている!!」

「は、はいっ!!」

「ナメるんじゃあないですよぉおおおおお!!」

 

 オーベムのサイコキネシスを、力づくで跳ね除けるタイプ:ゼノ。

 今度は再び、火竜の姿となって目に見える全てを焼き払いにかかる。

 だが、ギガオーライズの影響か、その色合いはサイケデリックなものになっており、目もぐるぐると渦を巻いている。

 

「タイプ:ゼノ!! オオワザですよぉおおお!! ”ミッシングブレスデリート”ォォォォッ!!」

「撃たせるわけがないだろう。既にこの部屋は、オーベムによってトリックルームと化した」

「!?」

 

 タイプ:ゼノの動きが、あまりにも鈍い。

 炎を溜めるのが、あまりにも遅い。

 オーベムが展開した”トリックルーム”の中では、全ての素早さは逆転する。

 鈍重(なはずの)キテルグマの速度は、タイプ:ゼノを上回る勢いで加速し──渾身の一撃を叩き込む。

 

 

 

「クーちゃん、”10まんばりき”ですっ!!」

「ぶもぉ」

 

 

 

 タイプ:ゼノの腹に、再びドロップキックが叩き込まれた。

 その身体は炎を漏らしながらグローリオを巻き込んで吹っ飛んでいく。

 ガラガラと音を立てて部屋の壁が崩れ落ちた。

 そうしてしばらくすると──這う這うの体で、グローリオは現れるのだった。

 

「ひっ、ひぃ、ひぃ、タイプ:ゼノが負けるなんてぇ……」

「ポケモンは強かったが、育成が少々甘かったようだねェ、グローリオ君」

「あんなバケモノ、計算外……」

 

 しかし、そこで力尽きてしまったのだろう。

 ぱたりと倒れてしまった。それを見たズオウは愉快そうに笑うと、後ろの三人に呼びかける。

 

「さぁ、行こうモルペコ──じゃなかった皆の者! 自由な学園生活を取り戻そうではないか! アーッハッハッハッハ!!」

 

(一番自由にさせちゃぁいけねえのは間違いなくテメェだよ……)

 

(多分、次の敵がこの人になるだけだと思う……)

 

(ズオウ先輩……敵にはしたくないですね……)

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 ──ハッカとテマリが、この作戦に参加したのは偏にイクサを助けたいという一心からであった。

 バジルから秘密裏にレモンの真意を聞いていた二人は、どうにかしてイクサを手助けすることを考える。

 もうイクサ達は逃亡者ではない。クラウングループと戦う為、準備をしている。

 そんな折、ハッカの耳に入ってきたのは、このようなウワサであった。

 

 ──生徒会室には隠し扉があり、そこにアトムが隠し物を入れている、と。

 

 何か都合の悪い物でも入っているのではないか?

 すぐさまハッカは、生徒会役員の1人をひっとらえ、()()を行う。

 結果、彼の口からは──アトムがレモンから奪った手持ちをそこに隠しているという情報を引き出すことが出来たのだった。

 

 ──ア、アトムの父はとんでもねぇ奴だ!! 気に食わねえなら息子のポケモンでも容赦なく処分する!! アトムはきっとそれを恐れたんだ……幾らレモンの手持ちでも、処分されるのは本意じゃなかったんだろうな……!!

 

「あの寮長に思う所が無いわけやあらへん。何で寮生の俺達に、助けてくれの一言も言えへんのや!! 全部、背負いすぎやっちゅうねん!!」

「だから……うちらが助けるしかないんよ! 何より、ポケモンがトレーナーと引き離されてるの、可哀想やもんっ!!」

「チッ……何処までも厄介ですのねぇ、貴方達!!」

 

 苛立つマイヅル。

 ギガオーライズさせたオドリドリだが、既にテマリのエルフーンが撒いた”しびれごな”で麻痺してしまっており、そこにハッカのフライゴンが猛攻を叩き込むので、なかなかオオワザを発動できない。

 作戦前、何度か特記戦力たちと集まり、特訓とミーティングを繰り返していたハッカとテマリだったが、その中で共有されたのはギガオーライズの弱点であった。

 

 ──ギガオーライズはポケモンの耐久が元から変わるわけじゃない、と私は考えている。

 

 そう言ったのはズオウであった。

 

 ──勿論、そのポケモンの力を最大限に引き出す都合、結果的に攻撃が通りにくくなっているのは確かだねぇ。避けられたり、やり過ごされてしまう。そしてその隙にオオワザを叩き込まれてしまうだろう。

 

 ──じゃあ結局無敵やないですか、ズオウ先輩。

 

 ──しかし。消耗は激しいし、オオワザだってすぐに撃てるわけじゃない。かのサイゴク地方の文献では、オオワザは解除方法があるという。

 

 ──徹底的に相手を弱体化させ、こっちに有利なフィールドを作り、そして……オオワザの穴を突けば、君達でも勝てない事は無いだろう。

 

 ──まぁ、そのためにはテメェらには強くなって貰わなきゃいけねぇんだがな!! だーっははははは!! 地力が無きゃ意味がねぇ!!

 

 ──というわけで君達には……このカンザキ特製”修羅養成トレーニングプラン”でポケモン共々、特訓してもらうからね!!

 

(地獄みたいな特訓やったけど……おかげで今、マイヅル副会長に追いついてる!!)

 

(うちら二人なら、マイヅル副会長に……勝てるっ!!)

 

「ハッちゃん!!」

「おうッ!!」

 

 ふよふよと部屋を舞うエルフーンの補助技が光る。

 ”ひかりのかべ”でオドリドリの放つ技を軽減。

 ”しびれごな”で足を奪う。

 更に”わたほうし”塗れにすることで、更にオドリドリの素早さを下げる──

 

「ピピッ……!!」

 

 体を霊体化させることで難を逃れようとするオドリドリ。

 しかし、幾らギガオーライズと言えど、ステータスの低減と状態異常には敵わない。

 そこにフライゴンが攻撃を叩き込んでおり、回復させる隙も無い。

 そればかりか、マイヅルの足元を”だいちのちから”で赤熱化させ、意図的に回復行動を妨害している。

 

(コイツ、意図的に私が回復薬を使うのを妨害していますわね……!! ぐぅっ……!?)

 

 戦いはマイヅルの想定以上に長期化。

 更に、ギガオーライズの反動は彼女の想定以上に早く訪れ、思わず足を突く。

 

(まさかこいつら、ハナからオドリドリを倒すのではなく、私諸共消耗させるつもりで──ッ!!)

 

 無理もない。これまで相手をオオワザの一撃で屠ってきたのだ。

 何度も修練で自らの精神力と体力を鍛えてきたイクサやデジーと違い、ギガオーライズで長い間戦う事に、マイヅルは慣れていないのである。

 

「ッ……戻りなさい、オドリドリ!!」

「おっ、引っ込めた!?」

「……ッ」

 

(魂を身体から引っこ抜かれるような疲労……! このままではバトルどころではなくなりますわ!)

 

 

 

「イテツムクロッ!! 貴方の出番ですわ!!」

 

 

 

 故に。

 ギガオーライズが無くとも、その冷気と霊気で敵を圧倒できるイテツムクロに、任せることにしたのである。

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