ワイ、コブラ部隊に入隊できたけど追い出された 作:ワイやて!?
作戦、スネークはEVAから渡されたC3爆弾をシャゴホッドを格納している場所にある液体燃料タンクに四つ設置し離脱。
EVAは脱出ルートの確保及びその道中にある鉄橋にC3爆弾を設置。
そしてザ・ワイは陽動。とにかく撹乱して時間を稼ぐという事だ。
一番負担が大きいのはザ・ワイであるが、追放されてもコブラ部隊、なんなら少し前にザ・ボスと戦い逃げ仰せているのだからできると信じている。
そうして3人は一度別れてグロズニィグラードへ戻る。
そう、3人がである。
EVAは一つ嘘をついた。鉄橋への仕込みはとうに終わっていたのだ。
本命はグロズニィグラードの地下金庫で眠っている『賢者の遺産』の奪取、KGBとして、中国のスパイとして彼女は遂行しようとしているのだ。
場所についてはスネークが拷問されている最中にヴォルギンがポロッと溢したため、様々なハニートラップにより情報を集めていたEVAにとって見つけ出すのは容易かった。
あとは金庫の鍵を開けるだけ。
金庫を開錠しようと道具を手に取ったその時だった。
「ようやくネズミが引っかかったか」
声に反応して振り返ると、そこにはヴォルギンが居た。
「タチアナ、お前だったか。道理で情報が奴に伝わっているわけだ」
「なんでここに…………」
「ふん、奴を拷問した時に何故『賢者の遺産』の居場所を漏らしたと思っている?」
後ずさるEVAだが、後ろにあるのは金庫と壁。前から迫ってくるヴォルギンから逃げる道がない。
「『賢者の遺産』が狙われていることくらい知っている。ザ・ボスの弟子がここまで一人で来られないという事もな。私の身近な者が内通者であることはとっくに判明している」
バチバチと身体から電流を放ち圧を掛けながら近づくヴォルギンは悪魔に見えるだろう。
事実、今からEVAを痛めつけてシャゴホッドが格納されている倉庫に連れて行き、恐らくそこに居るであろうスネークをあぶりだすつもりだった。
ゆっくりと焦らすように手を伸ばす。嗜虐的な笑みを浮かべて、獲物を捕らえるように。
ズドン
そして背中に強い衝撃が放たれた。
ズドン
二つ目の衝撃でヴォルギンは前へと体勢を崩す。
その際にEVAに両腕で壁ドンする体勢になってしまうが、今のヴォルギンとEVAに考えている余裕はない。
一体誰がこのような凶行を行ったのか。
ズドン
三発目の銃声が響く。
ここは地下であり、金庫があるため下手な音は外に漏れない。
突然の襲撃によりヴォルギンはEVAに身体を押し付けながら崩れるように倒れる。
ヴォルギンが倒れたことにより、その背後に居た人物がEVAから見えるようになる。
「…………囮、ご苦労」
そう、ザ・ワイである。
「
タチアナというソコロフの愛人に変装した姿のEVAに向けて彼は言う。
「陽動自体は済ませてある。お前が鉄橋にC3爆弾を仕掛けるといった時点で信用していなかった」
構えていたショットガンを降ろし、彼は続ける。
「C3爆薬が盗まれていること自体は知っていた、それもとっくの前に。その時点で動いていない筈がない、スパイが悠長に不確定要素であるジャックを待つ必要があるか?」
背中に三発もショットガンを受けてなお呻きながら立ち上がろうとするヴォルギンに目を向けながらも語る口は止まらない。
「この陽動もお前に対する目がなくなるという利点、本来の活動ができるはずだ」
ブーツでありながら音もなく歩くザ・ワイはかちゃりとショットガンを下へと向ける。
「
その言葉はEVAではなくヴォルギンに向けられたものだった。
バチバチとショートしたかのように電気を弾けさせるが、不意打ちが思いのほかダメージが大きく立ち上がれない。
こんなところで油断して、死にかけるなど彼のプライドが許さない。
しかし、既にヴォルギンはショットガンを向けられている。
多少の銃弾、特に単発系の物は身体に纏う電撃により軌道を逸らされてあらぬ方へと飛んで行ってしまう。
この時点でザ・ワイはもうヴォルギンの体質に大量の疑問符を浮かべたのだが、やること自体はとても分かりやすく、対策もしやすかった。
逸らす、ということは必ずしも軌道を己の予測通りに変えられるわけではなさそうであった。
事実、EVAが事前に調べていた資料にもヴォルギンは体内で発電する電気によって完全に銃弾を防御できるわけではないと判明している。
特に、油断をしている際は普通の人間とほぼ同じ耐久力である。
ただし、常に身に纏っているコートの下には赤い服、強化スーツを着用していた為、辛うじて即死は免れる程度の防御力はあった。
それが苦しみを長引かせるとは知らずに。
「な、何故だ…………私が、こんなところで…………!」
「地獄の底で、永遠に考え続けるといい。そして、お前が核で殺した奴らとコブラ部隊の皆に詫びてこい」
ズドン
四発目のショットガンの音が響いた跡、全てが沈黙した。
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「……………………何故、手を止めた」
「えっ?」
「金庫を開けるんじゃなかったのか」
「それは、そうだけど…………撃たない?」
明らかにスネークもザ・ワイも利用して己の利益のために活動していたEVAを見逃すのか、と命を握られている側が言ってしまうほど呑気なことを言っている自覚があるのだろうか?
ただただじっと見つめるだけのザ・ワイに困惑しながらも、震える手で金庫の開錠を行っていく。
かちゃり、と鍵が開いて中を覗くと一枚にまとめられたフィルムが置いてあった。
これこそが『賢者の遺産』、第一次世界大戦にて中枢国が水面下で協力し合い出し合った莫大な金額の行方が記された恐ろしきアイテム。
恐る恐る取り出したそれを、ゆっくりと振り返りながら仕舞おうとする。
ザ・ワイは何もしなかった。
「……………………何もしないの?」
「それは、賢者達に繋がるものだろう?」
「ええ、そうよ。これ一つで驚くほどの金額が動くのだけれど」
「興味ないな」
3国が血眼になってまで探し求めているものを切り捨てるザ・ワイ。
もはや何が目的であるのか不明であり、だからこそ気味が悪くなってきた。
「まだ解決していない疑問がある。それは手間賃として持っていけ」
彼はただ己の中にある疑問を解決することだけを原動力として動いている。
敵ではない、しかし味方でもない。
いや、しいて言うなら賢者達の敵とでも言っておくべきか。
露骨に世界の黒幕と敵対していそうな雰囲気に何も言えなくなったEVAだが、『賢者の遺産』の奪取ではない別の任務の事を忘れてはいなかった。
「ともかく、助けてくれたことは礼を言うわ。でも気を付けて、スネークが格納庫にC3爆弾を設置し終えてから20分後に爆破されるわ。ここにいても相当な被害が出るでしょうね。疑問があるのは分かったけど、脱出も大事よ」
「用が終わればいつでも出る」
それだけを言って、ザ・ワイは金庫を後にする。
現状では一番の脅威となるヴォルギンがこの地下金庫で果てたことにより、スネークの任務は残すところ格納庫の爆破とザ・ボスの抹殺。
誰にとっても苦しい任務が残っている中、取り残された者は…………
「……………………だ」
ピクリと動く。
「まだ…………だ」
悪意を持って。
「まだ、終わって、ない…………!」
報復心は、その身を燃やしながら立ち上る。
しつこいのが大佐の特権ってやつですよ。何で原作でああなったのにVの時点で生きてるんですか?
え?ここでもショットガン四発喰らって生きてるのもおかしい?
登場人物の頑丈さを舐めてはいけない、EVAだって腹に穴が空いたのに飛行機内だと元気なんですよ!
なんで?(当然の疑問)