ワイ、コブラ部隊に入隊できたけど追い出された 作:ワイやて!?
「ザ・ワイ、お前の目的は何だ」
「ジャック、そう言うお前の任務は何だ」
眠りから覚めたらフォークを向けられていた。
一見するとギャグのように見えるが、歴戦の兵士であるスネークが扱うフォークはナイフに劣るが十分に殺傷できる武器である。
ようやく、互いに顔を合わせた潜入者。
「ただ無意味に潜入したと思えん。少し前にザ・ボスと戦ったと言う話も聞いたぞ。本当に何をしている?」
「疑問を解決しに来ただけだ」
「疑問?」
「
「何だと?」
「お前を追ってたのもボスに近づける道だと信じていた。お前はボスに会えたか?」
「……………………まあな」
上半身裸でボロボロになっているスネークを見て大体何があったかは察しがついたザ・ワイはそれ以上聞かなかった。
「少なくとも、俺は既にボスの敵になっている。会えばお互いに本気で殺し合うくらいには」
「お前もコブラ部隊じゃないのか?」
「追い出された、1週間と少し前にな」
ザ・ワイが語る日数で思い浮かんだのはバーチャスミッション、ソコロフをザ・ボスに誘拐されて自身も重傷を負った忌々しい任務。
あの時にこいつもいたのかと思ったスネークだが、一度も見かけなかったことに違和感を感じていた。
「一体どこに居た?お前も何らかの任務があったのか」
「ボス、いや、コブラ部隊の面々が行方不明になっていた事に疑問を感じて追いかけたらここまで来ただけだ」
「正気か?」
「俺を誰だと思っている」
永遠の疑問のコードネームは伊達じゃない。いや、普通に意味不明なことを言っているだけだが、少し根底は理解できた。
こいつ、普通に変人だ。
スネークがそう思った時、ぐうぅと腹の音がなる。
もちろん、ここまで体力を消耗しながら戻ってきたスネークの腹からなった音だ。
流石に疲労はあったが空腹を満たさない限り回復はできない。
そう思い、滝の外にある森で蛇や魚を取ろうとしたスネークに声がかかる。
「おい、これでも食え」
ザ・ワイが渡そうとしてきたのはソ連製レーションだった。
「…………それ以外はないのか?」
「即席麺はない」
「そっちじゃない、カロリーメイトだ」
「誰がお前にやるものか」
ザ・ワイが寝ていた周辺に散らばる空箱を指してスネークは言うが、彼は絶対に譲らなかった。
仕方なく、食料を調達するためにスネークは滝の外へ出る。
ここに焚火があるため蛇や魚を焼いて食べるようだ。
少なくとも、ソ連製レーションを進んで食べようとは思っていないらしい。
割と贅沢だなと思いつつ、何のアクションを起こすつもりのないザ・ワイはスネークを観察する。
ここまでザ・ペインとジ・エンドを倒してきたザ・ボス最後の弟子、癖はあるが実力は確か。
ザ・ボスの意向がある程度見えた今だからこそ、スネークが何故ここへ潜入しているのかを知りたい。
上手く利用出来たらザ・ボスと二人だけで会話が出来る機会を作れるかもしれない。
そのような打算を抱えながら、ザ・ワイはスネークを待ち…………
「待て、何故それを捕まえてきた!?」
「これか?やっぱり有名なのか」
『馬鹿者!ツチノコは絶対に喰うんじゃないぞ!』
『ダメよスネーク!それだけはしちゃいけない!』
『お前、お前本当にいい加減にしてくれよ!?』
「そいつは俺が保管しておく、それ以降は絶対に触るなよ!」
「美味そうなんだがな…………」
伝説の生物を捕まえて帰ってきたスネークに無線の先に居る人物含めて取り上げられるのであった。
「で、これどういう状況?」
「飯を食っている」
「何故、これを理解できない?」
「何で仲良くしてるのよ」
バイクで滝を突破してきたEVAからの指摘を受けた2人だが、仲良く蛇と魚を食べていた。
「食べるか?」
「遠慮するわ。いえ、あなた達本当に仲良くなってるの?」
「これでも兄弟子だからな」
「これでも弟弟子だからな」
ガツガツと食べつつも喋る2人に困惑しながらも、EVAは濡れた服を乾かすために下着姿になる。
スネークは何度目かのEVAの下着に少し慣れたせいか動揺は少なく、ザ・ワイは何故かまるっきり無視していた。
思ったよりも女体に興味がないのかといぶかしみながらも、この男のコードネームを思い出した。
ザ・ワイ、永遠の疑問。衛生兵である彼は人体の殆どを網羅していると言って過言ではない。
その知識の中に女体など何百、何千と埋まっているのだ。
「2人ともザ・ボスの弟子ってコトでいいのよね。面識はあったの?」
「何度かはな」
「俺は顔を見るまで覚えてなかったんだが…………CQCの開発中に何度か見たことがあった」
「結構ボコした記憶があるのだが?」
「嘘をつけ、お前の方が投げられていただろう」
「何してるのよ…………」
バチバチと目線と目線で火花を散らしながらにらみ合う2人、まるで兄弟げんかのようであった。
そう、最初からザ・ワイがスネークの事をジャックと呼んでいたのは普通に知り合いであったからである。
第二次世界大戦時にザ・ボスの近接戦闘術の基礎となる部分を共に作ったのがザ・ワイ、それを完成まで共に磨き合ったのがスネークである。
今のザ・ワイは目出し帽をかぶったままではあるためスネークが気づけなかっただけで、実際は何度も顔を合わせていたのだ。
そして兄弟子と弟弟子という奇妙な関係がここになされていたのだ。
「まあいいわ、それでザ・ワイがここに居る理由は?」
「追い出されたから追いかけてきた」
「ちょっとシンプル過ぎて意味わからないわ。もっと詳しく」
「ザ・ボスの亡命は不自然すぎて追いかけた結果、恐らくCIAの任務での亡命と思われる。グロズニィグラードにCIAの狙う何らかが眠っているのだろう。だが、何らかの状況が変わってコブラ部隊の命を捧げるほどの任務に変わった可能性が高い。だが、俺だけは逃がされた。現役で、まだ戦えるはずの俺だけが…………
突如ブツブツと話し始めたザ・ワイにドン引きしつつも、断片的に取れた情報からひとまずの結論にたどり着く。
「ねえ、もしかして今の世界情勢を知らないの?」
「…………知らん。だがボスはあの時にこう言っていたし、何故、何故…………」
「ザ・ボスが核を打ち込んだことは?」
「ボスが核を撃つはずがないだろ。撃ったのはヴォルギンというソ連の大佐だ」
「…………そうか、そりゃあ何も知らない訳だ」
呆れるようにスネークは言う。
そう、今になってもザ・ワイは何も知らない。
核を打ち込んだのがザ・ボスとなっていること、米ソの極秘会談までにも潔白を証明するためにザ・ボスの抹殺が必要という事。
その刺客こそスネークだという事。
「他にもシャゴホッドを破壊しなければいけないのだけど、本当に何も知らないのね?」
EVAからの情報開示により彼は頭を抱えた。
なんか知らない間に滅茶苦茶世界滅亡の時計が迫ってきている。
しかもその中心がコブラ部隊であり、ある事ない事を出鱈目に吹き込まれて滅茶苦茶になっている。
そんな中でも何も知らなかった、という事は…………
「俺は、ずっと逃がされていたという事か」
「今更?」
「今更か?」
スパイ組二人の言葉がぐさりと刺さるが、無知は罪とはこういうことか。
だからと言って見過ごすわけにはいかない。心苦しくとも、スネークの任務は理解した。
「…………賢者め、絶対に許さん」
ザ・ワイの怨念が籠った呟きにスネークは首を傾げ、EVAは心臓が跳ね上がりそうなほど動揺した。
こんなところで何も知らない筈の男の口から影で動く組織の名前が出たのだ。
『賢者の遺産』を狙っている身としては非常に厄介な相手になりかねない。
しかし、それすら利用して一流のスパイ。
「ねえ、全員にとっていい作戦があるのだけれど」
EVAは目的のために捨てられた男すら利用する。実際に哀れでもあるため、ザ・ボスを慕う1人の人間としても少しだけ手を差し伸べたかった気持ちもなくはない。
グロズニィグラードを大きく揺らすことになる3人が、シャゴホッド破壊作戦とザ・ボスの抹殺を成すために動き出す。
朗報、ザ・ワイがようやく状況を知る。もう全部賢者たちのせいだってことを全て悟っている彼が本腰を入れて動き始める…………
EVA「この蛇はなに?なんで生け捕りに?」
ワイ「ツチノコは今まで生体が判明していなかった生物だ。これを持ち帰って調べたら論文の10枚や20枚は書ける」
蛇「美味いのか?」
ワイ「食べさせるか!これを生け捕りにして然るべき機関に渡せば10万ドルはくだらない!」
EVA「そ、そうなのね…………」
蛇・ワイ「?」
詳しくはEVAの食事履歴にて。