ワイ、コブラ部隊に入隊できたけど追い出された 作:ワイやて!?
宇宙への道は非常に遠かった。
様々な要因、主に人種差別からアメリカで宇宙飛行士になることはできなかった。
僅かに混ざったアフリカの血が、差別を生んだ。
コブラ部隊ではそのようなことは一度もなかった。
いつ命が散るか分からない戦場で互いに助け合い、支え合いながら生きぬいたが戦いがない世界はある意味では冷酷だった。
そのため宇宙開発に人種を気にしないソ連へ亡命し、宇宙飛行士となった。
だが、重大な事故が発生、宇宙から地球へ戻る際にザ・フューリーは全身を灼熱に焼かれ酷いやけどを負うことになった。
生きていくにも支障が出るほどの重症、もはや兵士として戦うどころか日常生活にも支障が出るほどであった。
この時の事故は記録に残っていない。
輝かしい栄光を得られるはずが、ほとんどを失ったザ・フューリーは戦場で感情は得られずとも激しい憤怒に心を焼かれた。
もはや元には戻れない。そう思っていた時に声がかかった。
それこそザ・ボスであった。
彼が何とか動けるように手配したのがザ・ボスであり、己の知識を最大限に活用して完成したのがこの耐火服とロケットブースターである。
これによりザ・フューリーは再び戦場へ戻ることができた。
常に酸素マスクを着けていなければならない身体に無茶をさせてまで、亡命に参加したのだ。
「何故、ここまで…………ここまでして…………」
「共感してしまったのだ、同じ境遇にな」
「共感?まさか、ザ・ボスも宇宙に行ったという事か!?だが、そんな話は一つも…………
「…………そうだ、その怒りだ」
腹部にナイフを刺したままではあるが、会っていない空白の期間でザ・ボスの身に何が起こったか察しが付いたザ・ワイは叫ぶ。
「確かに第二次世界大戦が終結し、冷戦がはじまってから宇宙開発は急激に発展していったが…………アメリカはソ連に遅れをとって…………」
「ボスは、選ばれたのだ」
「何に!?」
「生贄にだ」
ザ・フューリーの言葉に手を震わせながら絶句するザ・ワイ。やはりこうなったかと思ったザ・フューリーは続ける。
「ザ・ボスは誰が見ても、宇宙飛行士としても優秀だった。だが、アメリカはソ連に宇宙開発に遅れをとっていることに焦り、ザ・ボスを早急に打ち上げた」
「そして、失敗した…………」
「半年もの間、昏睡状態になったそうだ。恐らく、被曝も…………」
「馬鹿な!ボスは既に被曝している身だ!それ以上に被曝すればどうなるか分かったものじゃない!まさか、奴らは一度被曝したら二度目も同じとでも思っているのか!?」
「さあ、な。現場を知らないんだろう、いつの時代もそうだ。プライド、面子、軽い言葉で人は容易く使い潰される」
最期の力を振り絞るかのようにザ・フューリーはザ・ワイを押し出す。
その拍子にザ・ワイが握りしめていたナイフが抜け出血、緊急の手当てをしたところで最初からぼろぼろの身体であるザ・フューリーは助からない。
よろけるも倒れこまずに後退するが、その頃にはザ・フューリーも立ち上がっていた。
ここまで来たら最期の意地だろう。彼はゆっくりとヘルメットを外す。
ヘルメットの色でよく見えなかったが、じっくり観察すると白い肌と思われていた部分は全て火傷の跡だったことに気づけた。
暗い部屋、明るすぎる炎に隠された真実がほんの少し顔を出したといったところだろう。
「そうだ、怒れ!お前の炎こそこの私を浄化してくれる!」
突如周囲の炎がザ・フューリーに吸い寄せられていく。
原理こそ完全に不明だが、この地下壕にまき散らした炎が耐火服の中へと潜りこみ、全ての炎が彼の肉体を焼く。
「フューリー!」
「もはや気にすることは無い!お前はお前が思うように生きるといい!」
ロケットブースターの点火ボタンを押して再び宙に浮いたザ・フューリーは地面を灼熱の炎で焼いていく。
その範囲に、ザ・ワイは居ない。
ナイフによる切創の出血により意識がもうろうとしてきており、耳もよく聞こえなくなってきていた。
「おお…………ぐぐ…………」
否、ノイズのような音だけは聞こえる。
そう、大気圏に突入した時に管制塔から誰かが叫んでいるような声が。
「ああ、管制塔聞こえるか!」
彼は見た、自身の頭上にある帰るべき場所を。
全身を焼かれながら願ったものへ飛び立つのだ。
「大地だあああああああああ!」
上へ、ひたすら上へ。帰るべき場所は下なのに。
宇宙では天地などなく、事故により上下すら分からなくなってしまった故の行動なのか。
「待て、フューリー!」
ザ・ワイの制止の言葉は聞こえない。
それすらも管制塔が自分を待っている声だと思い込んでしまっているため届くこともないのだ。
天井にぶつかると同時に爆発、その威力は凄まじく地下壕全域だけでなく地上にまで爆音が響く。
フューリー!
予想外の爆発規模にザ・ワイは完全に巻き込まれる。
だが、自爆自体は予測していた為に壁には隠れていたためダメージ自体は最小限に抑えられていた。
「ぐうっ!ぐ、く、熱気が服の中にまで…………!」
熱気による火傷を受けながらもひたすら熱が収まるまで耐える。
これほどの爆発による熱で即座にやって来る兵士はそうそういない。
本気で耐火服が欲しくなったザ・ワイだが
後は持ち前のスニーキング術で切り抜けるしかない。
その先にあるのはザ・ボスが待ち受けるグロズニィグラード、敵の本拠地である。
「……………………俺は行くぞ、フューリー。またザ・ボスに聞くことが増えてしまったからな」
普通なら政府の闇が垣間見えてしまい、何が正義か分からなくなってしまうだろう。
だが、この男はザ・ワイ、永遠の疑問をコードネームに持つ男である。
「宇宙…………俺にはまだ分からない。何故だ、何故ボスでなければならなかったんだ…………」
ザ・ワイは走る。
閉じられていた扉はザ・フューリーの爆発により破損していた。だからこそ電子ロックが意味をなさなくなり素手でこじ開けることができた。
「フューリーもそうだったが、ボスの身も心配だ。いや、だからこそ…………?」
ザ・ワイは走りながら考える。
ザ・ボスの亡命自体が疑問しかなかったが、不自然となれば何らかの理由が紐づけされる。
「……………………まさか、あの時の?奴らは何処まで追っても痕跡は殆ど無かった、いや、今回で新たにつかめるというべきか」
心の中に抱えるは怒り、後悔、そして憎悪と疑問。
彼は戦場で衛生兵だった。
ノルマンディー上陸作戦で当時のザ・ボスが乗り込むのは反対していた。
結果的に最悪の事態と覚醒がおこったあの日の事を思い出す。
「『賢者達』…………奴らが暗躍しているのか?」
彼が掴んでいる情報は、第一次世界大戦後に発足した秘密組織が戦争や政治を支配していたという事。
大戦が起きた後の戦後処理や一部人材を完全に懐柔して操っていたこと。
そして、ザ・ボスもその『賢者達』に関わっている可能性が非常に高い、いや必ず関わっているという事。
「ボス…………まさか、己の意思ではなく任務で、核を持ち込んだ?
ザ・ワイは知らない。
ソコロフ設計局に
ザ・ボスの暗殺によりアメリカの潔白が証明されるということを。
それこそが、コブラ部隊最期の任務だということを。
1週間以上ジャングルでサバイバルをしていたザ・ワイが世界情勢を知る由もない。
実は何も知らないザ・ワイ。情報をほとんど遮断してたしスネークのようにバックアップがないから仕方ない。
その事実を知った瞬間、『賢者達』が関わってると知ったら、キレ散らかすに違いない。
色々ありすぎてたった1人で『賢者達』の存在を引き出した設定になっております。
詳しい(?)過去はもう少し先で書きます。