ワイ、コブラ部隊に入隊できたけど追い出された   作:ワイやて!?

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「ザ・ボス……素晴らしい弟子だ……」

 

 ジ・エンドはスネークとの戦いに敗れた。

 

 狙撃術や潜伏はスネークを間違いなく上回っていた。

 

 事実、スネークは数発も麻酔弾を撃たれ、食糧を食べる事で眠気を回復させつつ戦い抜いた。

 

 何故、食糧を食べたら麻酔効果を耐えられる?細かい事を気にしてはいけない。

 

 仰向けに倒れたジ・エンドは森のざわめきに包まれながら呟き続ける。

 

「これからは若い世代の時代だ…………1世紀以上も放浪したが、ようやく役目が終わった…………」

 

 第一次世界大戦から戦い続けた老兵は、どこか疲れたように、しかし満足したような声で天を仰ぐ。

 

「オジイチャン!オジイチャン!」

 

 彼が観測手として飼っているオウムがパタパタと彼の元へ飛んでくる。

 

 彼の最期を察知したのか心配するように身体に止まり、首を動かしながら見つめていた。

 

 オウムは種類にもよるが20〜30年が平均寿命とされており、相当長い時間をジ・エンドと共に過ごしてきたのだろう。

 

 ゆっくりと枯れ葉となっていくジ・エンドはオウムに手を伸ばし、どこか別の場所へ飛び去るよう差し向けた。

 

 パタパタとオウムが飛び立つ。息子のような存在が離れていく。

 

「ザ・ワイ…………お前も、見ているのだろう?」

 

 姿は見えないが孫のように思っていた男の存在を口に出す。

 

「お前は、お前だけはこの地獄へと連れてゆけん…………」

 

 最期の心残りを吐露するように、燦燦と輝く太陽の下で木の葉の迷彩が茶色く変色していく中で過去の記憶が蘇る。

 

 南部アメリカにおける南北戦争、南アフリカでのボーア戦争、そしてちいさなボスとの出会い。

 

 そんな彼女が連れてきた奇妙な衛生兵が、とある事件をきっかけに無名からザ・ワイとなった時。

 

 彼は間違いなく今も後悔しているのだろう。だからこそ、彼はザ・ボスに、コブラ部隊に執着している。

 

「疑問は解けずとも…………真実は、その先にある…………」

 

 優しく語り掛けるジ・エンドに、顔が見えない彼はどのような顔をしているのだろうか。

 

「ああ、何ともやり切れぬ幕切れ(ジ・エンド)だ…………」

 

 もう寿命がないジ・エンドは謎を残してしまうことだけを残念に思っている。

 

 それでもザ・ボスの事を思えば自分の終わりは満足するものだった。

 

 最高の戦士と戦いあえた最期なのだから。

 

「だが、思い残すことはない…………これで、わしも………森へ……還れ…る!」

 

 かぽぉっ!ジ・エンド!

 

 何故か入れ歯が空高く飛んでから自爆。周囲の鳥が飛び立ち、爆風で木の葉が舞う。

 

 哀愁漂う自爆に、スネークは無言で背を向ける。

 

 ジ・エンドが森に頼み込み、隠されていた山岳への道を見つけたスネークはEVAと合流するために。

 

 一方その頃…………

 

「ジ・エンド…………」

 

 祖父のような存在であったジ・エンドが爆死し、森へと還った一部始終を見ていたザ・ワイは双眼鏡を降ろした。

 

 彼は、最期は森で息絶えたいと常日ごろ言っていた。その望みは確かに叶ったのだ。

 

 寿命がいつ尽きるかは時間の問題であったため受け入れてはいる。

 

 ただ、弟弟子に殺されるという結末は受け入れがたい。

 

何故だ(why)、何なんだその遺言は…………」

 

 そして真実の終焉(ジ・エンド)の言葉に深く思考していた。

 

「地獄に連れていけない、だと?何故だ、何故、俺は、俺では、ぐっ…………」

 

 真実、疑問の先にある答えと言って過言ではないもの。

 

 ザ・ワイは戦場で常に疑問を持つ異端の兵士である。任務も最初から疑問を抱えながら対処し、違和感を覚えたなら己の心に沿って動く、など命令違反をすることもある。

 

 それらは表立っていないだけであり、覆すだけの功績で相殺されていた。

 

 だからこそコブラ部隊の幻の隊員である。

 

「この亡命はやはりおかしい。何故だ、少なくとも彼らを使い捨てるような真似はしないはず、いや、ジャックと十分に戦えるとはいえ孤立無援のジャックに1人ずつ?気力を削るにしてももっと手段がある。それが分からないボスではない」

 

 不可解な状況を分析する一方、さらに疲れがたまってきていることを自覚していたザ・ワイ。

 

 流石に何らかの食料補給という形で休憩せざるを得なくなっていた。

 

 疲れがあれば頭が回らない。薬物で誤魔化すことはできても、疲労を回復できたわけではないため安易な真似はしない。

 

 薬物で壊れる人間を見てきたからこそ、彼は注射という形で体内に異物を入れるのは好きではなかった。

 

 もちろん正規もしくは成分が確実に正しく構成されている物の注射は受け入れられる。

 

 別に、注射は、苦手という、わけではない。

 

「確か、このキノコは食べれたはず…………」

 

 現地で捕獲したキノコをゴソゴソとギリースーツの中で取り出して口にする。

 

 これらもザ・フィアーに叩きこまれた知識で食べられるとは聞いている、が今となっては真実は定かではない。

 

 ただ今回のキノコは珍しい名前であったなという事は覚えており、少なくとも毒は無いという事は分かっている。

 

 流石に動物実験しており、兎のような草食動物に無理矢理食べさせて死んでいないことを確認しているのだ。

 

 もしかしたら草食動物特有の解毒作用があるのかもしれないが、死んではいないし満腹になったのかすぐに眠ってしまうくらいなので味はともかく食べられない筈がない。

 

「サバイバルビュアー…………」

 

 コブラ部隊、もといザ・ボスの下に居た者達が習得している謎の掛け声と共にザ・ワイは特徴的なキノコことスパーッツァを食す。

 

 何故かこれを言うだけで食事スピードが速くなるのだ。今もなおザ・ワイはサバイバルビュアーについて研究を続けている。

 

「……………………うまい、意外だな」

 

 野生のキノコ類は味付けなしだと大体不味い。毒キノコは毒がある代わりにうまみ成分が多量に含まれているので味は保証されていると聞いているが、流石に毒を嬉々として食べることは無い。

 

 思っているよりもいい食糧だったなと考えつつ、ザ・ワイはスネークの後を追おうとした。

 

「……………………んごっ」

 

 10mほど匍匐前進したところで、彼は眠りについた。

 

 一応だが、万が一のために麻酔のような意図しない睡眠をしてしまった際は早く目覚めるようにはなっている。

 

 ただ、5、6時間ぐっすり眠るところを1時間程度にするくらい。

 

 スネークを見失うには十分すぎる時間だった。

 

 目覚めた後は元気いっぱい顔面蒼白、何故か近くで幽霊が呆れてる気がするが匍匐を忘れて全力ダッシュでスネークを追いかけることになる。





メタルギアシギント(シークレットシアター)のボスとの決着だけは譲れないスネーク並みの勢いだったとか。
XOF「行動が意味わからなすぎてもうやだこいつ」

それはそれとして大量の装備を持ってるせいで山岳行きの梯子登るの大変そうだと思いました。
普通に麻酔効果があるキノコがあるなんて思わないじゃないですか(ザ・ワイは後に語る)
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