ワイ、コブラ部隊に入隊できたけど追い出された   作:ワイやて!?

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日刊一位になりました。自分の人生で最も影響を与えたゲームの二次創作でここまで登れたのは嬉しいです。読んでくれた皆様に感謝。


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「ザ・フィアー…………何故ここに罠を仕掛けている?ここで迎え撃つつもりか?」

 

 夜明け前、ザ・ワイは倉庫を抜けグラーニニ・ゴルキー研究所を挟むひらけた場所を見ていた。

 

 明らかに、露骨に仕掛けられた罠の数々を見て誰が仕掛けたのかを悟った。

 

 やはり、ここにジ・エンドが居れば万全になるのではと思ったが、どうもそうでもなさそうである。

 

 1人ずつ、逐次投入するつもりなのかとザ・ワイは考える。

 

「何故だ、任務であるならジャックを排除するのは必須のはず。ジャックも一般兵士の枠に当てはまらない才能を持っているのに、何故(why)?」

 

 改めてザ・ボスが亡命する理由を考える。

 

 ザ・ワイもザ・ボスの事を全て知っているわけではない。

 

 ただ、彼女の人生は栄光に満ちたものばかりではなく苦難に見舞われた事は知っている。

 

 特にザ・ソローの件は話を知ったコブラ部隊は一度は愕然としたはずである。

 

 ザ・ボスは恋人を自らの手で殺さねばならなかったのだから。

 

 そのようになってしまったのは何か理由があるのではないか?

 

 敵を倒すにしては適切な人員配置とも言えず、逆にやられるような気がしてならない。

 

「ジャックは侮れない。ザ・ペインを倒している時点で逐次投入は愚策なはずだ。なぜ、一対一にこだわる?」

 

 通常とは異なる状況とはいえ、現存しているコブラ部隊を惜しむ必要はない。

 

 そう、まるで…………

 

「生贄…………まさか、そんな筈はない」

 

 任務に犠牲は付き物だ。それは敵の命だけでなく、味方の命すら捧げねばならない場合もある。

 

 ザ・ボスがそのような任務を受けているのだろうか?

 

 そのような振り払いたくなるような疑問が湧き出てきた。

 

 推測が当たっていたなら明らかに常軌を逸した任務である。

 

 コブラ部隊は特殊ではあるが、全員が家族のような存在である。

 

 無論、ザ・ワイも彼らとザ・ボスの事を家族のように思っている。

 

 だからこそ不自然な作戦に疑問を覚えてしまう。

 

「ボス、まさか、だから俺を置いて行ったのか?」

 

 兵士が命令に疑問を持ってはならない。たとえどれほど残酷であろうと、上からの任務は遂行しなければならない。

 

 ザ・ワイは納得できなければ追及する、兵士としては向いていない男である。

 

 本人もそれを自覚しており、衛生兵だった頃も兵士に痛みがあれば徹底的に内容を追及して治療をしてきた。

 

 だからこそ、怪しい部分があれば彼は考えてしまう。

 

 それが弾丸飛び交う戦場であっても。

 

「あり得ない、だが状況は…………何故だ(why)、ボス。どうしてこのような…………」

 

 コブラ部隊も馬鹿ではない。ザ・ボスの任務に何か疑問を持っている筈だ。

 

 では問いただすか?だが、十中八九ザ・ワイは命を狙われていることは察している。

 

 敵対する覚悟はあるか?お前は家族と殺し合えるのか?

 

 ザ・ワイは自問自答する。

 

 かつての(・・・・)師匠と敵対してるのはスネーク、ジャックと同じ条件ではある。

 

 だが、ジャックとザ・ワイには似た大きな違いがある。

 

 そこに任務があるか、ないか。

 

「俺は、何のためにここに来た?」

 

 1週間前は置いていかれたことに疑問を持った。

 

 捨てられたとも思っても間違いがない仕打ちを受けた。

 

 だが、それでも事実を追い求めてザ・ワイはここにいる。

 

 逃げることもできた筈だ、忘れることもできた筈だ、だが疑問が彼の原動力である以上、後に引けなくなっていた。

 

「それでも、何故…………」

 

「まだ自問自答しているのか」

 

 自分の独り言ではない声が聞こえた瞬間、ザ・ワイは伏せながら横へとローリングする。

 

 先ほどまでザ・ワイがいた場所に2本のボウガンの矢が刺さる。

 

 木を盾にした匍匐からしゃがむように中腰になり、矢が飛んできた方向へとゆっくりと顔をのぞかせる。

 

 すぐさま矢が飛んできたため即座に顔を隠し、誰が襲ってきたのか答えを出す。

 

何故だ(why)、ザ・フィアー!どうして俺を襲う!」

 

 光学迷彩を装備してほぼ透明になった元同僚が木の上から射撃してきた事を確信したザ・ワイは問う。

 

「それだ、それなのだよ。ザ・ワイ、だからこそお前は置いていかれた!」

 

 透明な姿から一転、姿を現したザ・フィアーは爬虫類のような瞳孔で太ったギリースーツを纏う元弟子を見つめる。

 

「戦場でも尽きない疑問に答えを出そうとするお前は邪魔になる。それがボスの意思だ」

 

何故(why)!俺もコブラ部隊だ!ボスと共に最後まで戦う覚悟はある!」

 

「いいや、出来ない!お前はコブラ部隊だけではない、誰よりも忠実ではないからだ!」

 

「なんだと…………」

 

「お前は任務でもなく、ましてやボスにも忠実ではない。疑問に忠を尽くすお前はこの亡命において不確定要素なのだ!」

 

 ザ・ワイに指を突きつけるザ・フィアーは共に学び、戦場を駆けた間柄であったが完全に敵対するように断定する。

 

 木の裏に隠れながらも、その事実を受け入れがたく、しかし何事もなく受け入れてしまっていたザ・ワイは叫ぶ。

 

何故だ(why)!俺は、俺は!」

 

「やはり軍人として失格だ。本来なら奴を葬るための(ウェブ)だったが…………その答えが出ぬまま、ここで感じるといい」

 

 再び光学迷彩を発動させ、ザ・フィアーは木の枝から枝へと飛び回る。

 

「恐怖だ!恐怖を感じるといい!」

 

 既にザ・フィアーのテリトリー内、逃げることは後ろから撃たれることと同義である。

 

 間も無く夜が明ける。

 

 かつての仲間と暗い中でやり合わなければならない疑問に思考しつつ、彼はゴーグルの赤外線機能をオンにする。

 

 ザ・フィアーの光学迷彩の弱点は温度まで消せないこと。各所から技術を取り入れ開発したゴーグルに温度を感知する機能を取り付けているため問題はない。

 

 さらに光学迷彩自体が重いため、消耗で言えばザ・フィアーの方が不利だと思われる。

 

 だが、忘れてはならない。彼はところかしこに罠を張り巡らせており、姿が見えているからといって易々と倒せる相手ではない。

 

何故(why)何故(why)何故(why)…………だが、答えを得るまでは!」

 

 ザ・ワイは鹵獲したアサルトライフルを構える。

 

 これが全てザ・ボスの意思であっても突き進む。

 

 そこにザ・フィアーが言う通り誰かへの忠はないのかもしれない。

 

 故に、彼は永遠の疑問をコードネームとする。

 

 永遠に解けない疑問の洪水に苛まれながら、ザ・ワイの本当の戦いが始まった。





この時、スネークはグラーニンの愚痴を長々と聞いていた。

そして書いてて気づいたが、ザ・フィアーが死ぬほど不利すぎて笑っちゃった。赤外線は死ぬほど有効なので、みんなも毒カエルを3匹ほどキャプチャーしてザ・フィアー戦で使おうね。
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