ワイ、コブラ部隊に入隊できたけど追い出された 作:ワイやて!?
「ボス!奴は何だ?あのようなコブラ部隊がいるとは聞いていないぞ」
グロズニィグラード、ソ連における軍事要塞でありヴォルギン大佐の資金によって建てられた研究施設である。
亡命したザ・ボスとヴォルギン大佐、そして同席しているオセロット少佐はシャゴホッドを格納するのと同時に要塞の一室に集まっていた。
ソコロフ設計局を吹き飛ばしシャゴホッドを回収したのはいいが、ザ・ワイと名乗った謎の兵士に襲われたことをヴォルギン大佐は気にしているのだ。
ザ・ボスの狙撃により一度は撃退したものの、パラシュートで降下していくのは目撃したため生存はほぼ確定していると彼は考えているのだ。
「…………ザ・ワイはコブラ部隊の中でもかなり特殊な分類に入る」
その事を詰問されているザ・ボスは静かに話す。
「奴は常に疑問を抱えながら戦場に立っている。疑問を問い続けながら戦う兵士は早死にする、だが奴はそれでも生き残った」
ザ・ボスはザ・ワイと出会った頃を思い出す。
衛生兵になりたての若造がザ・ボスの元に来た際に臆さず質問攻めにした事を。
自分で考えろと言ってもしつこく聞き、気づけば来るたびに当時未完成であったCQCで叩きのめし追い返していた。
ある意味ではいい実験台になっていたとも言えるが、徐々に彼も対応に慣れてきており、最初は倒されるだけであったのが受け身を取れるようになり、次には反撃しようとまで成長していたのだ。
彼が
彼の専門とは違うが他のコブラ部隊の面々と会わせてみると、案の定質問攻めにしていた。
ザ・ボスに苦情を直接言うほど疑問をぶつけられたコブラ部隊のメンバー達はザ・ボスの指示のまま彼に知恵と技術を叩き込んだ。
うんざりするほどの質問攻めであったが、その分だけ彼は吸収していった。
ただ、長年の研鑽を積んできた本職である彼らには劣る。
ザ・ペインの暗殺よりも、ザ・フィアーの罠術よりも、ジ・エンドの狙撃よりも、ザ・フューリーの爆破術よりも、ザ・ソローの早撃ちよりも劣る。
だが、専門家に劣るだけで一般以上の兵士と比べるのは烏滸がましいレベルで完成されていた。
それでも彼は疑問を止めることはなかった。
戦場に出た彼は考えるのを止めなかった。
何故このような作戦を立てたのか、何故このような消耗を皆に強いるのか、何故と彼は問い続けた。
しかし、上層部は答えることはなかった。ただ任務を遂行しろと、死ねと言うのだ。
仲間が死んでいく、衛生兵の彼は仲間の命を繋ぎ止めながら持つ限りの技術を使い、生き延びた。
その作戦は語られることがない作戦であったが、彼は真相に辿り着くことができた。
裏切りだったのだ。
敵と通じていた上官が都合の良い状況を作るために部隊を犠牲にする作戦、それが彼が本来殉じるはずだった任務なのだ。
だが、彼は僅かな仲間と共に生き延びた。
存在を隠しながらも徹底的な情報収集を1人で行い、真の敵が誰であるか掴んだのだ。
言い逃れのできない証拠を本職顔負けの精度で集め、上官
叛逆ともとられてもおかしくはない。
幸いにも証拠と仲間の証言及び現場の状況、そしてザ・ボスの口添えにより彼は解放された。
彼は何故と聞く。だがザ・ボスは言った。
『答えはお前のそばにある。永遠に疑問に思うのであるなら、探しなさい』
こうして彼はザ・ワイのコードネームと共にコブラ部隊へと入隊した。
「…………何故そのような人材が居ながら呼び戻さなかったのだ?」
「奴は常に考えている。疑問に思ったことは追及し、気が済むまで問い続ける。たとえ、それが相手にとって都合が悪くとも止まることはない」
コツコツと特注のブーツから鳴る音を出しながら話し続ける。
「この要塞はどこから資金が出たのか、シャゴホッドはどこから出資されたのか、その大本がどこからくるのか…………」
「まさか、『賢者の遺産』を探っているというのか!」
「いいえ、だけど奴は必ず『賢者の遺産』の存在にたどり着く。『賢者の遺産』が何なのか疑問が生じて更に深入りしてくるのは間違いない」
「つまり…………後々に都合が悪くなるから追い出した、と?」
突拍子もない話ではあるが、オセロット少佐が言う通り、長期的に考えたらヴォルギン大佐の資金源の行方を知る者になる可能性があった。
『賢者の遺産』、第二次世界大戦中に連合国が密かに集めた秘密資金、かつてはヴォルギン大佐の父親が管理していたが亡くなったために彼の手に渡ったのだ。
この施設を設立した資金もそこから出資されており、その存在を知るのは賢者側であったザ・ボスとヴォルギン大佐の部下であるオセロット、他にも何人か知っているだろうが、その存在も極秘であるため名前は上がってこないだろう。
「確かに…………不用意に『賢者の遺産』の在処を知る奴が増えると、万が一が起きた時に困る、か」
「それならば確実に始末しておくべきでは?ヘリでの戦闘はあの男以外は力を出し切れなかったとはいえ、今後に現れる可能性もあります」
「貴方達では追うことは難しいわ。それに、奴は必ずここへ現れる」
2人に背を向けたザ・ボスは告げる。
「奴を追い出したのは、いつか敵になることが分かっていたから。己の疑問を問うためにどれほど時間をかけようと答えを見つけるから。場合によっては敵を利用する可能性もある」
「裏切る可能性が、あると?」
「奴は私の亡命に対しても疑問を持っているだろう。何が関わっているのか、あるいは何の理由で私が亡命を決意したのか。それを私に問うために間違いなく敵となる」
振り返ったザ・ボスの目は確信と決意で満ちていた。
「もし、奴が侵入してきたなら殺せ。奴もその覚悟はできている」
「…………一応ですが、あなたの部下だったのですね?」
「戦場で出会えば敵同士ということもある。いつの時代だろうと、それは変わらない」
それだけを言うとザ・ボスは踵を返して部屋から出ていった。
「有能すぎる味方は余計なことに気づく、か」
優秀すぎるが故に敵になる。確かに厄介な存在である事を認識したヴォルギン大佐は周囲の警戒を強めるようにした。
「ザ・ボスが言うなら間違いありませんが、こちらでも調べてみます」
「幻のコブラ部隊員…………ふん、今更調べようと時間は無い」
単独でできることなど高が知れている、コブラ部隊であろうとそれは同じ。
だが対策を取らないわけではない。
警戒を強化するよう指令を出し、その日は終わる事になる。
ザ・ワイの潜在的脅威を認識していながらもどこか甘い対応を取ることは、後に致命的な戦果を挙げられることになる。
なお、その夜。
「
脅威となるはずのザ・ワイは前話の通り腹を壊していた。
前話と同じ日に起こってることなのでザ・ワイは食中毒を起こしたまま森の中で転がってたりします。
年代が年代のため某資料のようにやや間違った知識も叩き込まれてるためサバイバルではネイキッド・スネークに比べてやや劣る感じに。
それでも他技術で補ってくるのがザ・ワイだと思ってます。
それはそれとしてネタみたいな事態にはよく陥る。