ワイ、コブラ部隊に入隊できたけど追い出された   作:ワイやて!?

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何故(why)だ…………ボス、何故(why)…………」

 

 ザ・ワイは木に引っかかっていた。

 

 彼の唯一たるボスである人に狙撃され、ヘリから落ちたがパラシュートを持ち込んでいたため落下死はしなかったものの、高さがやや足りず勢いが殺せない状態で木々に突入した。

 

 そして、パラシュートが木に引っかかり宙ぶらりんの状態となりその場で止まったのだ。

 

 宙ぶらりんで揺れながらもザ・ワイは考えることを止めなかった。

 

 ザ・ボスの亡命について彼は何も知らされていなかった。

 

 そもそも解散したコブラ部隊らが活動する地域とは違う場所にて活動していた。

 

 察知できたのは偶然であった。

 

 久しぶりにコブラ部隊の面々に会いに行こうとしたら全員不在、明らかに何らかのミッションが行われていることを察したザ・ワイは唖然とした。

 

 まさか現役メンバーが集合している中で自分だけハブられているのだから会いに行くしかない。

 

 そして何故(why)自分を置いていったかという疑問を解消しなくてはならない。

 

 ひたすらに潜入し、情報を集めた結果たどり着いたのがソ連であった。

 

 特殊部隊ではあるが意外と目立つような面々がある程度隠そうと噂そのものは隠し通せぬ。

 

 ほんの僅かな情報から的確に彼らの居所を特定したザ・ワイの真骨頂とも言えるだろう。

 

「任務にしては核弾頭は余計なはずだ…………しかしボスがあれらを持ち込むほど亡命を望んだ?何故(why)?」

 

 考えれば考えるほど不可解な疑問が彼の脳内をかき乱す。

 

 核を発射するような相手へ亡命するという事は彼女の祖国(アメリカ)を裏切るのと同意である。

 

 第二次世界大戦で若くして彼らと混じって戦ったザ・ワイにとって非常なる衝撃だった。

 

 彼とてザ・ボスに最後まで付いていく覚悟をした兵士であった。

 

 確かに現存しているコブラ部隊の中でも一番若い、最後の弟子よりも年上ではあったのだが、かつては訓練と称して可愛がられてたものだった。

 

 だからこそ、ザ・ボスに続いて自分を置いていったコブラ部隊に対しても疑問が湧き上がる。

 

「何故だ…………皆がボスについていけて俺だけがいけなかった?」

 

 興奮が冷めてきた頃にザ・ワイの胸に痛みが蘇る。

 

 ずんぐりむっくりしたギリースーツの下は様々な武器やガジェットを装備しており、弾丸一発程度で内部が傷つくことは殆ど無い。

 

 ただし、肉体自体に銃創は出来ずとも衝撃は完全に殺せなかった。

 

 ザ・ボスが放った狙撃銃はソ連でも最新鋭のスナイパーライフルであり、その威力は防御を固めたザ・ワイを傷つけなくとも肋骨にヒビを入れるほどであった。

 

 ゆっくりと装着していたパラシュートを外し、揺れながら引っかかった方の木へと身体を寄せる。

 

 完全にパラシュートと身体を切り離し、木にしがみついて地面へと降りる。

 

 ゆっくり動くだけでも痛みは生じるが、大戦中に負った負傷に比べたら十分に耐えきれる。

 

 今の彼は完全に孤立無援であった。

 

 かつての仲間であったコブラ部隊はソ連へ渡った。

 

 コブラ部隊の大本である連合国に一番太いパイプがあった筈のCIAはコブラ部隊が敵対したことにより頼ることは不可能。

 

 ヘリで確認していたが最後の弟子であったジャックは橋からザ・ボスに嬲られ落とされたためしばらくは再起不能であろう。

 

 隣に仲間はいない、支援はない、話し相手も居ない。

 

 完全に独断で動いた自業自得ではあるが、敵地にて一人取り残されてしまったのだ。

 

「…………ボス、俺は問い続ける」

 

 だが、それで諦めるようならばコブラ部隊に所属できるはずがない。

 

「何故、そのような決断に至ったのか。何故、全てを捨ててでもその道を辿るのか」

 

 痛む胸を押さえながらも、地面に降りた彼は動き出す。

 

「何故、世界はこうも悪い方へと動くのか。俺は、戦うこと以外では問い、考えることしかできない」

 

 自分で言っておきながら非常に不器用な生き方をしていると感じたザ・ワイは静かに匍匐する。

 

 これより行われるは森林におけるサバイバル。

 

 極限環境における高度なストレスがかかる中で生きるために、己の信念と感情を貫くためにザ・ワイは前進する。

 

 先ほど核無反動砲システム(デイビー・クロケット)による核爆発で周囲を警戒していたソ連兵の殆どは撤退しているだろうが、念には念を入れて草木に隠れながら突き進む。

 

 その姿は蛇のように見えたが、ギリースーツがずんぐりむっくりしているため伝説の生き物であるツチノコとしか言えなかった。

 

「俺は問う、俺は考える、俺は解く。その真実を見つけるまで戦い続ける」

 

 たとえ一人だろうと考えるのを止める理由にはならない。

 

 戦場で考えるという事は足を止めるということ、そこを撃たれて死ぬなどよくある話である。

 

 それでも彼は考え続ける。

 

 何故、人々は戦うのか。

 

 何故、争うのをやめないのか。

 

 何故、自分は戦場に立つのか。

 

 何故、何故、何故、何故。

 

 考えながら戦う。それこそが永遠の疑問たる兵士の本質。

 

 常に最適解を狙うのではなく、遠回りであろうと疑問が生じれば対応し、任務達成と同時に生還する。

 

 問い続けることで戦う男は明日の疑問の答えを見つけるために動き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゔぉえっ!毒だ!何故だ(why)、ザ・フィアー!俺を騙したのか!?」

 

 その夜、ザ・ワイはウラルツキヨタケで食中毒になった。

 

 ザ・ワイに叩き込まれた知識では椎茸に似ているため食べられるという謎の根拠と当時は第二次世界大戦という時代であったため手に入るものではなかったのだ。

 

 彼にサバイバル技術や知識を叩き込んだのはザ・フィアーであり、彼にとんでもないとばっちりが飛んだ気がするが、彼も彼で時空が違えば戦闘中に食中毒になっているので…………

 

「うぐぐぐ…………は、腹が…………な、何故だ…………!」

 

 分厚いギリースーツで潜入しながらも食中毒に苦しみながら、ザ・ワイは森を進む。

 

 蛇喰いの蛇が投入されるまであと6日…………

 





ザ・ワイはザ・ボスの弟子でありながら他のコブラ部隊に色々と技術や知識を叩き込まれている。
彼らのように突出したレベルではないにしろ、並の兵士では習得できない特殊技術を大量に持ち合わせている。悪くいえば器用貧乏。
ある意味ではそれはザ・ワイの特殊能力であると言えるだろう。
ただ、疑問に思ったことに対しては突き進むところがあるので度々奇行を繰り返すこともあり身内に呆れられることもある。
鏡を見ろコブラ部隊、鏡を見ろ最後の弟子、鏡を見ろFOX部隊。

感想や評価で続くかもしれない……
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