領土の結論「未解決のまま」ゼレンスキー氏は戦況劣勢も譲歩せず 米ウクライナ首脳会談

12月28日、米フロリダ州パームビーチで、記者団の質問を受けるトランプ米大統領(右)とウクライナのゼレンスキー大統領(ロイター=共同)
12月28日、米フロリダ州パームビーチで、記者団の質問を受けるトランプ米大統領(右)とウクライナのゼレンスキー大統領(ロイター=共同)

28日のトランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の会談では、ウクライナ和平協議の最大の争点である東部ドンバス地域(ドネツク、ルハンスク両州)の扱いを巡る結論は出なかった。ゼレンスキー氏は「ドンバス全域からウクライナ軍を撤退させる」とする米国の提案には応じられないという立場を改めて伝えたとみられる。

一方、ロシアは武力を含むあらゆる手段でドンバスを掌握する構えで、今後も攻勢を続けることが見込まれる。戦場で劣勢にあるウクライナだが、ドンバス支配を狙うロシア軍を食い止め、自身の主張の正当性を米国に示せるかが交渉の行方を左右しそうだ。

ドンバスを巡っては、ルハンスク州のほぼ全域がロシアの支配下にある一方、ドネツク州ではウクライナが主要都市スラビャンスクやクラマトルスクを含む州面積の2割超をなお保持している。ただ、米国はロシアの主張に沿う形で、ウクライナにドネツク州の保持地域からの撤兵と、地域一帯を非武装の「経済特区」とする案を提示。これに対し、ゼレンスキー氏は撤兵には応じないと明言してきた。

ゼレンスキー氏は28日のトランプ氏との会談後の共同記者会見で「領土に関する問題は複雑で、未解決のままだ」と述べ、依然として米国との見解の相違があることを認めた。ゼレンスキー氏は和平案が最終的にウクライナに不利な形でまとまった場合、受諾の賛否を問う国民投票などを行う可能性に言及しているものの、少なくとも当面はドネツク州全域からの撤兵には応じない構えとみられる。

ゼレンスキー氏が安易な譲歩を否定する背景には、ウクライナ軍が苦戦しつつも戦線を維持しており、ロシアも苦しいとの判断がある。ゼレンスキー氏は、ロシアが武力でドネツク州全域の制圧を試みた場合、数年単位の時間と多大な人的損失を要すると指摘。米シンクタンク「戦争研究所」なども、ロシアが先に制圧を発表したドネツク州ポクロウシクや東部ハルキウ州クプヤンシクでウクライナ軍が反撃し、一定の成功を収めているとの見方を示している。

ゼレンスキー氏は今後も「ウクライナは抗戦を続けても遅かれ早かれドネツク州を失う」とのロシアの主張が虚偽だと米国に訴え、ウクライナにも受け入れ可能な和平案の策定を促す公算が大きい。(小野田雄一)

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