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【コラム07】本物・偽物・公式

このコラムは文芸的な意味で『ロックマンを作りたい人』に捧げます。

さて、上記の記事でご説明した通り、ロックマンシエルことProjectRCLのZETREQUIEMにて、本作はテーマで『偽物』を扱うことになり、『本物』をより知らなければならなくなりました。(公式とはちょっと違います)

皆さんは作品などにおいて、何が真贋を分けると思いますか?

一作り手として、肌感で感じたことを言語化し、ロックマンに限らず、一般論としても真贋の是非について語ってみたいと思います。

そこで、わかりやすい指針として、
【本物】【偽物】【公式】
の3つの軸を定義しました。以下にまとめます。

※更にゼロシリーズを用いて比喩の例を出しています。 

■文:Hi-GO!


▼本物・偽物・公式

※ややこしいので、『立場』と『性質』の2項目で分けております。
※これら2項目は必ずしも重複しない点にご留意ください。


●本物

・立場:携わるメンバーが過去の関係者など、文脈的に正統性があること。
(しかし、当の創始者でも解法を理解していないこともある) 

性質:主に精神性と情報管理能力を組み合わせて作品の解法を理解し、実行できていること。かつ、大衆が支持している状態。

※ロクゼロから見た場合はXシリーズのゼロが内実共に『本物』となるでしょう。ですのでオメガは外側(ボディ)だけ本物ということになります。


●偽物

・立場:当事者(公式)以外の全員。主にはファンに該当する。

・性質:
上記の『本物』を理解できず、かつ、大衆からも支持されていない状態。 ただし、これは作り手が変わる事によって発生しやすく、また、スタッフが揃っていてもコアメンバーが抜けるなどの理由で起こりやすい。

 ※ロクゼロにおけるコピーエックス。体のみならず精神性まで紛い物のため、彼こそが正真正銘の偽物でしょう。ゼロも同様ですが、体が複製品に対して心は本物のため、微妙なところ。


●公式

・立場:版権を所持している事。権利元であること。

・性質:
内容はどうあれ、ライセンス認可されたもの。

※ロクゼロではネオ・アルカディア自体がそれ。
黒も白に変わる、ある種の権威主義でもある。


ちなみに、ロクゼロのゼロは精神性において『本物』ではあるが、その存在が大衆から認知されていないため、文脈そのものが歴史から消えています。

更にはコピーのボディなどの要因で概念的に『偽物』というデバフが掛かっています。

ちなみに本作(ZR)が目指すのはこのゼロの側にいたシエルのポジションそのものとなります。限りなく『本物』に迫るけど、ライセンス的には決して『公式』になり得ない、甘んじて『偽物』を受け入れる感じです。


▼3つのロックマン


さて、ゼロシリーズで比喩をしてまいりましたが、ロックマン自体もどう分類するか私なりに考えて結論を出して創作しているため、その凡例を岡田斗司夫さんの『3つのムーミン』のお話を参考に下記にまとめさせていただきます。


●稲船さん系譜のロックマン

長年シリーズを統括してきた稲船さんが関与した期間の作品。これが私が『本物』と定義するロックマン像です。ここを基準としてあらゆる作品を語ったり、是非を問います。既に存在してしまった過去の領域であり、データベース郡ともいえ、聖書などの聖典に近い扱いです。  

※世に出た作品としてはロックマン10までの作品群を指すことになります。(DASH3は世に出なかったのであえてカウントしません。そこには色々理由があるので今後語ってみたいと思います。)

※基本的に今後データベースは増えないものとします。よって、新作はどれも外典扱いとします。(Xover以降)

※オリジンという意味ではAKさんなのですが、関与した作品数が少ないため、このような解釈となりました。


●マイロックマン

これは我々ファンだったり作り手が一人一人持つ、作品を受け取った結果生まれたロックマン像そのものです。しかし、定義上は二次創作だったりもするので表向きには『偽物』に該当します。が、私としては出力される成果に関しては先に述べた一般論としての『本物』~『偽物』のグラデーションが存在する領域だと思います。それは一人一人の精神性が主に試されます。

※偽物だから質が悪いとかそういうわけではありません。公式と解釈が違えど素晴らしい作品は沢山あります。今回は公式の立場で扱うのが妥当かどうかでいうと偽物の定義になります。


●公式ロックマン

これは文字通り『公式』のロックマンです。カプコンのライセンス認可の下、世に出るものは品質はどうあれ全てこの枠組みに該当します。


上記を参照すると、いくつか組み合わせのパターンが発生します。 
式としては『立場』+『性質』 になります。

・公式+本物(出来の良い商品)
・公式+偽物(出来の悪い商品)
・公式+普通(そこそこの出来の商品)
※上記の解説では『普通』という項目は作らなかったが、本物と偽物の中間を定義すべく、ここでは記載した。

・本物+本物(元スタッフの二次創作などあればこれに該当)
※立場上本物かつクリエイティブも本物。ライセンスこそ通過していない場合でも、一般的には『本物』と解釈される位置づけのものになります。

※作品至上主義の方はこちらを評価する傾向が高い。逆に公式であっても評価に値しないものはしっかり批評できる審美眼を持ち合わせていることも多い。(下記のディープなファンに相当)

・偽物+本物(ディープなファンの二次創作など)
※長年作品に親しんで、細かい部分やリアルタイムの体験が出来ている人が作るものは一定『真』に迫るものがありうる。故に志やクリエイティブレベルは本物に引けを取らないかそれ以上のケースも発生する。

※昔からこうした立場の方が公式のライセンスの元に公式二次創作のような作品や、公式作品自体にも関わることが多い。

・偽物+偽物
(ライトなファンの二次創作など)
※原理的に作品の出来を非難するものではなく、全体を郡として見た時に品質が一定に担保されない点を前提にしている。個々の作品の出来映えには当然グラデーションがある。

※歴史的な文脈や体験、知識はディープなファンに比べて得られていないため、どうしても公式のものを盲信する傾向がある。これから審美眼が育っていく事になる方々。


公式+公式』は無いの?と思われるかもしれませんが、細かく精査すると上記のいずれかに回収されると思います。強いて言うと、作品事情に興味がない人から見たら公式のものはそういう方程式に感じられるでしょう。(公式なんだから公式クオリティで当たり前と感じる観念)


▼まとめ

とりあえず解説としては以上になります。  

これらを通して何が言いたかったかというと、どんな立場であれ、出力される成果物の出来映えにはグラデーションがあるということです。
 
それは公式でもファンでも貴賤はなく、それぞれの立場の中で序列は存在するということです。

本物』と『偽物』の定義に『大衆からの支持』を意図的に入れましたが、ロックマンゼロを例に出すと、ここには罠があります。

それは大衆に支持されるとコピーでも本物として祭り上げられてしまうということと、本物でも認知されなければそう認識されないということです。

これは現実においてもしばしば起こりがちですが、皆さんも好きな作品やそのシリーズの中で近い経験や思いを覚えたことはありませんか?

そして、その場合私が挙げたケースのいずれかに該当する出来事が発生していて、場合によっては望まない結果にもなるでしょうし、その逆もあるでしょう。(一番つらいのは原作側がおかしくなることですが……)


そして、ロックマンにおいてはメインスタッフの有無その構成が顕著にクオリティに直結していると感じることがあります。

これはロックマンがスタッフが入れ替わりやすいという性質があり、なおかつシリーズを統括していた稲船さんの本(どんな判断や!)によれば毎回新しいスタッフにロックマンとは何かを説明し直す事が多かった様子です。

ここから導き出されるのはロックマンは一朝一夕には作れないコンテンツであるということです。なぜかといえば、まず前提としてはキャラクターコンテンツ面での文芸的な側面があり、本体となるゲームのデザイン部分との融合や整合性を求められます。(ファン同士でも各々のマイロックマンの存在が大きくなると中々同じ方向を向くのは難しいでしょう)

Xシリーズ以降はストーリー面や設定面の強化が顕著になり、本来は一貫したシリーズ構成のようなものが求められたと思うのですが、その座組はXシリーズでは果たされませんでした。

その代わり、後継のエグゼゼロ流星にて完結した上で作品としてまとまりのあるシリーズの醸成に成功しました。これらはロックマンシリーズにおける達成の1つでしょう。


▼余談

私もロクシエZRを手掛ける上で、ゼロゼクスシリーズの全ての要素を包括するのは難しいと判断しました。不必要にファンサービスとして入れるとキリがない上に、作品のクオリティを担保するものでもないからです。

・削った要素の例:サイバーエルフ、サブキャラクター、ザコ敵、チップなどの装備、データディスク、ネオ・アルカディア要素、ミニゲーム…など

上記のようにかなりの要素を削ぎ落としています。これにはひとつの指針があり、それは稲船さんの言うところの『コンセプト』を、私なりに解釈したものです。

という訳で、今作では『ゼロという英雄論』がコンセプトのため、作品には本人不在なこともあって『ゼロを思い起こさせる要素』を優先して、それに直接寄与しない要素はなるべく入れない方向で考えています。

・ゼロ要素の例:ゼロの色、ゼロの武器、ゼロの技、ゼロの縁者、Xシリーズ要素、北欧神話要素…など
 
加えて、ミッシングリンクを描く側面もあるのでサブフレーバーゼクス要素を入れています。 

・ゼクス要素の例:ガーディアン、飛空(行)挺、OIS、変身アイテム…など

エックス要素が皆無なのはこれも原因です。期待していた方には申し訳ないですが、これはシアールというキャラクターがいるため、そちらに取っておいている側面もあります。

とはいえ、以前解説した歴史的連続性があるため、ゼロシリーズを核とするだけでも強制的に初代ロックマンDASHシリーズ的な所まで想像の波及や要素の関連はしてしまいます。


ちなみに、当初はリバース・ナイツゼロの武器を持たせる予定はありませんでした。ゼロのコスプレ赤い花を掛け合わせてテッカマンブレード2のようなイメージでデザインを進めていましたが、今一つインパクトに欠けると感じ、ゼロの武器を持たせることになりました。が、数が足りないのでX8からも引用させて頂きました。

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↑リバース・ナイツ達

※この辺は本編で見られなかった武器形態の妄想要素ということでひとつお許しください。

結果的に武器が備わったことで戦闘スタイルなどが明確になり、キャラクターデザインの目指す方向も明確になりました。この辺りはコンセプトありきなので連想ゲーム的に進められましたね。(とはいえOD形態は完全に後付けなので苦労しています)

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絶槍騎ゼニムのOD(オーバードライブ)形態


長くなりましたので今回はこの辺で!


▼PrejectRCL ZET REQUIEMはノベライズにて展開中!

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