PrejectRCL ZET REQUIEM:NOVELIZED 05-共闘、そして…… 小説本文パート
PROJECT RCL ZET REQUIEM:NOVELIZED
第5章:共闘、そして……
●文:Hi-GO!
●執筆補佐:ゾンリー/らいおね/のばでぃ
●挿絵:Hi-GO!/補欠/ててん/トナミカンジ/のばでぃ/メカクリア
●スペシャルサンクス:DENIGHT/みこのとり(ぷれは)
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※冊子版限定で『キャラクターデザイン資料』や『用語解説』
『ゲストイラスト』等のコンテンツが付属します。
※第1章~4章は以下になります。先にお読み頂く事を推奨いたします。
◆2025/01/02……あとがきコーナーに追記を追加
キャラクター紹介
▼シエル
▼ブロッサム・シエル
▼オメガ・シエル
▼アルエット
▼パッシィ
▼ペロケ
▼イロンデル
▼ジョーヌ
▼セレッソ・アルラウニス
▼ロゼ
▼グレイシア
▼ウェクト
▼リバース・ナイツ
▼グリオサ
▼ゼットルーパー
▼ゼットール
▼ネージュ
▼ラファール
▼ダイン
▼グレイシス
!ご注意!
こちらは
【PROJECT RCL ZET REQUIEM:NOVELIZED 05-共闘、そして……】
の小説本文パートのみの記事になります。
『キャラクターデザイン資料』や『用語解説』『ゲストイラスト』等は冊子版のみのコンテンツとなりますのでご了承お願いいたします。
※note限定のコンテンツとして『あとがきコーナー』が付属します。
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【人物相関図】
FILE:Ⅰ
一切の光が届かず物音すら立たない暗闇の中、何処かの場所。
既に放逐されたといわれても違和感のない、そんな埃が舞う空間に設置されたモニタから薄緑色の光が灯ると、同時に収容されている中型レプリロイドの姿が浮かび上がる。
そこは何らかの要因で廃墟の様相を呈した施設で、ネオ・アルカディアに酷似した紋章が壁や機器に刻まれていた。
闇の中でモニタの光に照らされたレプリロイドは、花弁のような形状と桜のような淡い紅色のボディをしており、その形状はミュートスレプリロイドの系譜を彷彿とさせる。
埃にまみれてはいるが、そのボディには傷ひとつなく、それはまだ戦闘経験が無いことを物語る。もしかしたら、人知れず役目が訪れる日を待ちわびていたのかもしれない。
そして、その瞳が黄色に光り、全身に施された部位ごとのコンディションを表すエナジーサインが翠色に輝くと、モニタに座標が示される。それがどの地点を示すのかは定かではないが、長年ロールアウトされずに保管されていたレプリロイドと施設が起動する程の事態であることから、ただならぬ状況であることは想像に難くない。
瞬間、施設中にアラートが響き渡る。警告の赤いランプが点滅を繰り返す中、レプリロイドのその姿は光に包まれると細い柱となって稲妻のごとく一瞬で消えた。
そして、何事も無かったかのように施設はまた静寂に包まれ、役目を終えて眠りについたかのように暗闇へと戻っていった。
◆SCENE2
シエルがSブロックの入り口に到着すると、既に仲間達が待ち構えていた。ここまで全員が無事であることが窺え、彼女は安堵した。
「みんな、よく無事で……!」
「シエルさんこそよくぞご無事で!」
真っ先に声を掛けてきたフォコンはレジスタンス時代から前線で戦ってくれていた戦闘に関するベテランで、今もガーディアンとして活躍している頼もしい存在だ。厳つい見た目とは裏腹に誠実な性格も健在の様子で、気配りに余念がない。
「……無事で何よりだ。順調に敵の戦力も削いでいるようだな」
ダインとは通信によるやり取りを先日も行ったが対面で会うのは久しい。アーマーの傷を見るに戦闘を既に何度か終えた様子だ。また、4人ほどの部下達も近接戦闘に特化した装備で並んでいる。
「やぁシエル! 潜入時に中央シャフトに着いちゃったよ!」
諜報がメインのイロンデルも、珍しくレジスタンス側の飛空艇で駆けつけていた。きっと人手が足りない事を察してくれたのだろう。
「シエルさん、お久しぶりです。またお役に立てて光栄です!」
敬礼しながら挨拶をしているコルボーはレジスタンスの活動初期からのメンバーだ。今はその統率力を活かして仲間をまとめあげてくれている。今回の作戦には最も適した人材の1人だろう。
「さて、ここまでの作戦の報告と今後の動きを整理しよう」
「そうね。通信も相変わらず分断されているし、集まって話せるのはこれが最後と思った方がいいかもしれないわ……」
シエルも頷きながら答える。『最後』というのは色々な意味を含んだ上での回答だ。この先、仲間の負傷や撃破はもちろん、自分も無事とは限らない。ここで全員集まれたのは奇跡的なのだ。
「幸い親機と子機は繋がるから連絡が取れるだけマシだけどね!」
イロンデルはこんな時も緊張感が無いのか、呑気に返事をくれた。
〈それでは私が状況をまとめていきます。まず、現段階での作戦の遂行は奇跡的にほぼ100%達成できています。ここまで取りこぼしが無いと逆に不気味な位ですので、気を引き締めていきましょう〉
グレイシスが通信越しに取りまとめていく。
「シエルさんがリバース・ナイツの対応に当たってくれているお陰で、陽動含めた全ての作戦が遂行しやすくなっています。相手が提案したゲーム形式も大きなメリットになっていますね」
フォコンが冷静に状況を整理してくれた。
「それが功を奏したのか敵の戦線が薄く、爆弾の設置も着陸したSW、隣接するW、そしてこのSブロックまで成功している」
「残りはあと5つね。私が制圧したSE、E、NEまでは比較的安全に設置できると思うわ。NとNWブロックが手付かずなのは気がかりね……とはいえ善戦しているんじゃないかしら」
ダインの報告にシエルが応答する。このSブロックは異様なほど静まり返っている。配備された兵士や仕掛けはシエル以外には反応しないのだろうか? 流石に律儀過ぎる気もするが真相は分からない。
「起爆時の避難経路やパラシュート等も準備しておいたよ!」
イロンデルが声高に語る。こうした細かい部分も抜け目がないのが彼らしい所だ。伊達に各地を飛び回っていないといえる。
「陽動は引き続きシエルさんを中心に各ブロック内に配備された敵を引き寄せて各個撃破し、順調に数を減らしております」
コルボーが続いて報告をし始めたところ、あたりに突然声が響く。
「ガーディアンとその他諸君、聞こえるでしょうか?」
急な通信にあたりがざわつく。すると、目の前のやや高い位置の空間に立体映像が出現し、紅い騎士の姿が映し出される。
「あなたは……リバース・ナイツのグリオサ……!」
シエルは驚きつつも次の言葉を待った。
「ゲーム中に恐縮ですが、一時休戦を申し込みたいのです……」
◆SCENE3
時間は少し前、ヴァルハラの中央シャフトの一角。
ウェクトは迫る異変を一早く察知していた。事の始まりは転送回線のジャミングに対してのアラートで、他勢力を完封した今、少なくともこれは彼の計画の範疇に無い出来事だ。
「一体何が……これではロゼ様へ顔向けできんわい……」
折角整えた決闘の舞台に水を差すような事はあってはならないと彼の美意識にも反する状況に、焦りと苛立ちが募る。
「早く事態を騎士達にも周知せんと、間に合わんかもしれぬ……」
すぐさま回線を開き、幹部クラスに一斉に接続する。
「緊急事態じゃ……! 何者かがヴァルハラへの転送回線のプロテクトを解除して接近しておる! 予測地点はSブロックじゃ!」
「おっとぉ、ゲームの途中なのに想定外の事態の様子だねぇ……」
すぐさまヒガンが反応した。割と冷静なようである。
「先ほどデータベース解析をしたところ、中型のレプリロイドであることは判明している。ただし、問題はそやつが『超広域ギガクラッシュシステム』を搭載しているということじゃ……!」
「……? ギガクラッシュ? なにそれ……?」
切迫するウェクトに対し、緊張感無くモネアが口を開いた。
「旧大戦時、かの蒼き英雄や一部のレプリロイドが用いた空間制圧型の兵器だ。蓄積したダメージに比例した威力を解放する……」
ベラーガが簡潔に説明するも、やや慎重な声色になっていた。
「可能性の話ですが、もし、ピュシス・レイに耐えたレプリロイドだった場合、想定される威力はどうなるのでしょうか……」
グリオサも不安げに質問するが、激昂するウェクトに遮られた。
「もはやこれ以上の説明の猶予はない! こちら側も転送回線で迎え撃つ! リバース・ナイツ総員でだ!」
「と、なると先に撃破された2人は修復中だし、オレたち4人だけか。モネアっち、ベラーガ師匠、グリオっさん、いけるな……?」
ここまで聞いてもあくまでヒガンは冷静だ。そもそも事態に対処する以外の選択肢を考えていないだけなのかもしれない。
「今、我々に迫っているのはヴァルハラを中心とした一帯のエリアの消滅じゃ! その範囲は窺い知れん! エリア・ゼロも巻き添えになる可能性が非常に高い! これで事態を理解したか……?」
「……わかった。ロゼ様を守る」
「当然、主君と同志のためにも相見えるしか無いだろう……」
「皆さんの言うとおりですね。直ちに向かいましょう。私も部屋のコレクションを失いたくありませんし……」
「……確かに『あれ』が無くなるのは、モネアも惜しい……」
3人とも覚悟を決めたようで、目付きが変わっていた。
特にグリオサは『紅き英雄』に纏わる物品やデータベースをコレクションした部屋を持っており、自らも研究者としてウェクトと共に聖遺物の解析や管理も手掛けている。
例えば騎士達や信奉者が変身に用いる『リプロゼット・ストーン』というデバイスは、ロゼの用いる『ロゼット・ストーン』の量産型として開発されたが、彼の研究成果のひとつであり、使いきりではあるが一度変身すれば身体強化を維持して元に戻ることはない。
これはネオ・アルカディアのパンテオンを参考にしつつ、『紅き英雄』の力を万人に向けて引き出す装置という意味では、より実戦的で効果的な性能を導き出しているといえる。
そして、それらを生み出したコレクションが失われる事は、『紅き英雄』を崇める者として大いなる損失であり、頻繁に部屋を訪れているモネアはその意味を騎士の中でも人一倍理解していた。
ようやく意見がまとまった所へ、通信メンバーが追加される。
「皆ご苦労、通信は聞いていた。この事態に私も一緒に対処する構えだ。本件は我々幹部が一丸となって対処する事とする!」
追加メンバーはロゼからだった。ヴァルハラの危機に彼も対処すべく短時間ながら情報の把握に努めていたのだった。
「おお、ロゼ様! ……勿体ないお言葉ですじゃ……!」
「おっと、御大将のご登場だ!」
「ああぁ……ロゼ様ぁ……」
「我が主……その意のままに」
「ロゼ様! 恐悦至極に存じます……」
突然の事なので、皆がそれぞれロゼに対して口走っていた。ささいな事ではあるがそれ故に彼への敬意と放つカリスマが窺える。
「ウェクト、ヒガン、改めてそれぞれの領域で対処に当たってくれ。情報戦と実戦……どちらの能力が欠けても成立しない。我らが悲願のために身を捧げているレゾナント達の為にも……頼む」
「是非もありませぬ。今はただこの状況を打破するのみ……!」
「オーケー大将、やれるだけはやってみせますぜ!」
「それと、もうひとつ頼みがある。シエル嬢達にも援護を頼みたい。この事態は1人でも精鋭が欲しい。敵対こそしているが、被害における利害は一致するはずだ。交渉をまかせる」
「なんと、それは……ぐ、ぬぅ……承知いたしました」
更に唐突な願いに思わずウェクトはたじろいでしまう。しかし、状況を俯瞰すればもっともな提案で、最後の切り札ともいえる。
「ヒガン、悪いが彼女らと共闘願えるか……?」
「まぁ構いやしません。嬢ちゃんが付いてこれればの話ですが」
言葉とは裏腹にヒガンはどこか楽しそうだ。騎士としては心踊る展開なのだろう。彼にしてはやる気を感じられる態度だ。
「よし、グレイシア、通信は聞いていたな。ただちにSブロックへ赴いてくれ。最終防衛ラインの構築を頼む」
「はい、ロゼ様! 聞こえておりました。ただちに向かいます!」
それまでミュートになっていたグレイシアから通信が入る。どうやら負傷兵の搬送の手配などに追われていたようだ。
「おっと、今から転送回線のリソースは侵入者への対策に当てるから悪いんじゃが移動は徒歩で頼む! 他の皆もいいな?」
ウェクトはすかさず注意を促した。多人数をこれから転送回線の内部に留まらせるため、転送容量を圧迫することが想定されるからだ。その場合、施設内でも転送回線を使用するのが難しくなる。
「承知した! 道中確認を兼ねつつ全力で移動する!」
グレイシアは加速装置で移動する気満々だ。
「リバース・ナイツの諸君はさっそく転送回線へ接続するぞい。まずは敵さんをいち早く発見してその場に足止めするのじゃ!」
「合点承知ィ! 皆いくぞ……!」
ヒガンが元気よく答える。残りのナイツ達も黙って頷いていた。
「皆頼んだぞ……! 後ほどSブロックで合流しよう……!」
ロゼも通信を離脱する。かくしてヴァルハラ内に想定外の共同戦線が張られようとしていた――――――
◆SCENE4
時は再びシエル達のSブロックに戻る。グリオサからの通信を受け、シエル達一行は困惑していた。
一方グリオサもやや不服だった。ヒガンの意向で自分にそのお鉢が回ってきたのだが、敬愛するロゼ様のためにも面倒事に発展するよりは良いだろうと渋々自分を納得させていた。
「それで……一時休戦というのはどういうことかしら……?」
グリオサからの突然の通信にシエルが疑問を呈す。これまでの経緯を考えれば当然のことであり、両陣営に対し、何かしら良からぬ事態が発生したと受けとることもできた。
〈横から失礼します。現在ヴァルハラの転送回線のプロテクトが解除され、中型レプリロイドが転送中。そして『超広域ギガクラッシュシステム』が搭載されていることが確認されました〉
早速グレイシスが、原因であろう状況を冷静に報告する。
「なんですって……! 一体誰が……」
「それは我々も聞きたいところですね……」
叫ぶシエルに立体映像に映るグリオサはやや愚痴気味にこぼした。彼も含め、リバース側も目下混乱中というところなのだろう。
「そちらも事態をつかみかねていると……?」
ダインが思わず疑問を呈する。作戦自体が破綻しかねないことを悟ったのだろう。なによりこちらは主要な戦力を1ヶ所に集めている状況なので、全滅までを考慮すれば緊張が走るのも無理はない。
〈到達予測地点は丁度Sブロック内になります。つまり、そちらに転送されてシステムが起動してしまえば……辺りは灰塵と帰します。ヴァルハラは一巻の終わりですし、我々はもちろん、二次被害は近隣のエリア・ゼロにも及ぶと予測できます〉
「それはつまり、選択の余地は無いということね……」
シエルは覚悟を決めたかのように返す。
「お分かり頂けたでしょうか……? 誰の仕業かは判りかねますが事は急を要します。ご助力を求めたいのです……」
グリオサは心底焦っている様子を隠しきれていない。
「あの、Sブロックが転送先ならブロックごとパージすることはできないのでしょうか……?」
フォコンから突然提案が挙がる。窮地に光明を見出したようだ。
「残念だけど、設定座標そのものがブロックに紐付けられていないから、たとえパージしても爆発の起点は変わらないわ……」
「なるほど、依然として厳しい状況ですね……」
「まあ、そちらが想定できる範囲の対策は既にシミュレーション済みということです。その上で今協力を持ちかけている訳で……」
グリオサが更にとどめを刺すように状況を整理する。
「……わかったわ。脅威の排除までは一時休戦しましよう。当面の指示を仰いでもよいかしら?」
「私も同感だ。皆も構わないな?」
「感謝いたします。これはロゼ様たっての願いでもありまして……我々は義によって対峙しております。つまりは義が交わればこれ程心強い仲間もないものかと……」
そんなグリオサを見かねたようにシエルとダインは協力を打診する。彼としてもロゼたっての願いのため率直に感謝を伝えた。
「では、転送が予想されるSブロックを最終防衛ラインとして、このまま陣を築いて頂ければと。また、メンバーの中からどなたか転送空間へ直接移動して脅威の排除にご助力をお願いしたいです」
「それは私が行くわ。みんなはここに残って戦線を維持してちょうだい。他に転送空間に向かった人はいるのかしら?」
シエルは自らが先陣を切る覚悟で立候補する。他のメンバーの安全確保も考慮しての事だ。皆が黙って頷くのを確認すると、どれだけの戦力がつぎ込まれているのかも確認を行った。
「私を含めたリバース・ナイツが既に進行中です」
「それは心強いわね……」
それは皮肉ではなく本音で、最悪の場合ロゼが最後の要となってくれれば自分達が失敗したとしても任せられる。その場合エリア・ゼロやヴァルハラ内の仲間達、そしてアルエットの消滅は免れる。助かった場合はこれまでのゼロ・リバースの振る舞いから無下に処刑される様なこともないだろう。
「こちらは我々にお任せください……!」
「加勢できずにすまない。だが帰りを待っているぞ……!」
フォコンとダインがそれとなくシエルを鼓舞する。自分達の事は気にするなということだろう。
「シエル! 思いっきりぶちまかしてやってくれ!」
「ご武運をお祈りしています……!」
続いてイロンデルとコルボーからも見送りの言葉が送られる。そのまま皆揃っての敬礼を見ながらシエルも司令官として敬礼で応えると、映像の方へ振り返ってグリオサへ話しかける。
「……さっそく転送をお願いできるかしら?」
「では制御室に移動して頂けますか? そちらで防衛ラインの構築とトランスサーバーにて回線内へ転送を行います」
「ありがとう……ひとまず休戦中はよろしくね」
こうしてシエルはトランスサーバーに向かい、残された者達は最終防衛ラインの構築に勤しむことになった。
◆SCENE5
転送回線内―――――――
この空間は回線内のプログラムを視覚化したもので、これにより空間内での行動が自由になる。本来はレプリロイドなどのボディをプログラムデータに圧縮変換し、目的地まで自動で転送するだけなのだが、今回のようなイレギュラーな事態に対し、以前シエルは転送装置のプログラムを改造した事もあった。そしてヴァルハラでも同様の措置が講じられているようだ。
「これが……転送回線の中なのね。空間へ吸い込まれそう……」
空間内は淡い緑色に包まれ、常に光の軌跡やデータブロックが輝いており、なんらかの演算結果が常に周囲を舞っている。視覚的に存在するもの全てに役割や意味があるのだろう。それらで構築された無限に続く円柱のトンネルという印象だ。
「シエル嬢。非常時のため、転送位置には各々誤差があります。マーカーを用意しましたので、そちらを目指してください」
「わかったわ。なるべく早く合流して数の力で制圧しましょう」
「ええ。残りのナイツ達も位置は離れておりますので各々全速でターゲットに向かっております。なお、敵性勢力の転送も確認されておりますから、油断なさらないようにお願いします」
「ありがとう。足手まといにならないようにするわ……」
シエルは言葉を発し終わると同時に空間を駆けた。物理空間と違い、どこまでも道が伸びているので、ひたすらに前へ進む感覚はある種の疾走感を彼女に与えてくれた。
「長距離を休み無く走り続ける……これも機械の体になったからこそ可能な芸当ね。今だけは世界と一体になったような全能感を
感じるわ……『彼』もこんな気持ちだった事もあるのかしら……」
しかし、目の前にはかつてサイバー空間でも見かけた見慣れないデータウイルスが徐々に集まり始めており、中にはあのメットール型のものも散見された。
「気持ちよく走らせてもらえるばかりではないようね……」
シエルは立ち止まり、即座に胸の側に手をかざすと、翠緑に光る菱形のエンブレムからセイバーの柄が出現する。この部位は『エナジーサイン』と呼ばれ、全身に存在し、変身のコンディションを表すものでもあるが、リバースメタルに格納されたデータから武器を転送するストレージとしての役割も兼ねているのだ。
「ごめんなさい。目の前に現れたなら……」
セイバーのグリップを握る右手に力が入り、一気に引き抜くと同時に菱形にエネルギーが圧縮された翠色に輝く刃が現れる。
「通させてもらうわ……!」
加速と同時に、真正面の敵にセイバーの刃を叩きつける。
◆SCENE6
シエルが薄紅色をしたターゲットの座標に辿り着くと、リバース・ナイツの面々が地に伏していた。少なくないダメージがそのボディから伝わるも、何が起きたのか全く判断がつかなかった。
グリオサとは回線内に来てからは通信を切っていたため、状況の判断材料がほぼ無いまま目の前の敵と相見える事となっている。更に、グレイシスは最終防衛ラインの構築に注力しているため支援は仰げない。シエルは困惑と警戒と恐怖が入り交じった落ち着かない感情に支配されかけていく。
「う、動いてください……! とにかく止まったらダメです。敵は全方位、全射程からの攻撃を同時に行います……!」
グリオサからだった。前のめりに倒れながらもシエルの方を向いて必死に叫んでいた。同時にヒガンからも注意が促される。
「光る輪っかにも気を付けろ! 動きを封じられるぞッ……!!」
シエルは突如発生したエネルギー体の花びらに警戒し、小刻みにステップを踏み始めながら彼らへ応答した。
「……ありがとう! そちらも体勢を立て直すことに集中して!」
「先ほどは不覚を取ったが次はこうはいかん……!」
「……痛ぃ……けど、ロゼ様のために頑張る」
残る2人も言葉を発した。敵は先ほどの攻撃でエネルギーを消耗したのか、まだビットによる砲撃を開始していないため、4人の騎士達は立ち上がり、ヒガンの掛け声で一斉攻撃を開始した。
「お前ら、さっきのもう一度やるぞ……! 警戒は怠るなよ!」
グリオサは敵の動きを封じる役割に徹するためチェーンでボディを絡め取る。続いてモネアはファンで風を起こして花吹雪を一掃し、ベラーガはナックルにて強力な連撃を加え、バリアを破壊しながら更なる打撃を送り込む。そこへヒガンはエネルギーを溜めたリコイルを放ち、敵を大きく後退させる。
その位置を阿吽の呼吸で見抜き、既に加速していたシエルはセイバーによる連撃を開始する。しかし、すぐさまバリアが展開され、太刀筋は弾かれてしまう。なんとバリアが突破されるのは折り込み済みで、わざと解除し、後で再展開する目論見だったようだ。そしてビットが四方に展開され、容赦ない光の束が全員に襲いかかる。
「回避してください! 敵の砲撃は防御しきれません!」
グリオサが叫ぶと、再び一面に花吹雪が乱れ、先ほど不意を突かれた拘束用のエネルギー体のリングが複数射出される。この短時間で武装を再展開するまでに至った事から、先ほどあえて攻撃を食らっていたのは時間稼ぎだったということなのだろう。
「こいつ……一体誰の差し金なんだ? 明らかにおかしいだろッ!」
ヒガンがむなしく吠える。敵はレプリロイドではあるがほぼ言葉を発しないため、思考や行動が全く読めない。目的のために最適化された行動をひたすらに繰り返すさまは意思を持った存在にとっては恐怖へ繋がり、加えて特攻を覚悟した者の境地を感じさせる。
「拘束リング来ました! 最優先で回避……」
「もしくはビーム兵器で破壊しろ……!」
再びグリオサとベラーガが注意を促す。各々回避しながらも手持ちのビーム武装にて次々とリングを破壊していく。そもそも弾幕が酷い状況なので、リングを壊せるだけでもありがたい。
「これは、まずいかもしれない……」
シエルは空を舞いながら、冷静に突破口を思案していた。まだ手数が足りない。花吹雪はモネアのお陰で無効化できているが、砲撃と拘束リングは手付かずだ。あのビットをどうにかすればそれも防げるだろうが、全員が自分の役割をこなすので手一杯である。。
「ちょ、ちょっと、さっきからモネアへ攻撃が集中してる……」
気づくと彼女への弾幕や拘束リングが増えていた。バショウファンによる花吹雪の一掃が邪魔だと判断されたのだろう。すぐに捌き切れなくなり、リングに拘束されてしまう。早く救助しないと先ほどの二の舞だ。皆がそう思った時にはビットが四方を囲んでいた。
「だらしないぞ! 守護騎士ともあろう者が何をやっている!」
8本のビームの刃が宙を躍り、ビットが一斉に墜落していく。その隙にシエルはモネアを拘束するリングを破壊し、ヒガンとベラーガが強力な一撃を敵の本体に放つと、大きく後退して動きを止めた。更にグリオサが念を押すようにチェーンで再び拘束する。
「グレイシア……さん」
敵を拘束しながらグリオサが呟くと彼女は言葉を返す。
「少し遅れたが加勢する。最終防衛ラインの構築は完了した」
「グレイシア、ありがとう。危ない所だったわ……」
「貴様も不甲斐ないぞ! その力をなんと心得ている……?」
シエルの謝辞にも即答する。彼女としては防衛ラインの構築が完了し、手が空いたために様子を見に来た訳だが、予想に反し、侵入者に手こずる面々を見てあきれているのだ。
「不覚続きではあるが小生も感謝する」
「正直……助かった……装甲がビームを相殺し切れない……」
ベラーガとモネアに続いてヒガンがふざけながら割って入った。
「姉御ぉ~グッドタイミング……!」
「騎士団長の言葉とは到底思えないな……」
「いやはや面目無い……でも、アイツちょっと異常だよ。一緒に戦ってみる? ていうか、それだと助かるんだけどねぇ……」
「無論そのつもりだ、見る限りヤツは対多数の戦闘を想定して送り込まれている。この様子では見事に弄ばれているようだが、私の武器も対集団を想定している。妨害には最適だろう?」
「そりゃ助かるね。どうも武器の相性が良く無くってさ。1人1役ってな感じでラチが明かなかったのよ。ビームも貫通するし」
「私も同感だわ。あなたのその『エイトブランド』の力、貸してもらえると光明が見えそうよ……」
シエルが再び話しかける。エリア・ゼロから退避した後、過去のデータベースにて武器の出自を洗い出していたのだ。結果として紅き英雄が妖精戦争時に対集団戦闘を余儀なくされる中で、制圧兵器として用いたという記録が残されていた。
「この武器の事を調べたか……まあいい、実際ロゼ様から託された紅き英雄に連なる力だ。存分に振るわせてもらおう」
「……ま、それも元々は私の『コレクション』をロゼ様に献上したものなんですけどね!」
不意に、動きを止めていた敵のビットが浮かび上がる。グリオサの巻き付けたチェーンも解かれようとしている。
「グリオサ、お喋りが過ぎるな……ミッション再開だ……!」
グレイシアが発破をかけると、全員散開し、敵を囲んだ。ここまで
来たらこの6人の力で戦うしかない。ついに役者が揃ったのだ。
そこからは歯車が噛み合ったように事が進んだ。やはりグレイシアが加わり、敵の全ての攻撃を無効化できるようになった点が大きい。再びシエルまで続いた連携は留まること無く、更にベラーガとヒガンが加わり見事な攻勢へ転じていた。
「このまま押し返して撃破できれば……!」
「ならば斬撃をより研ぎ澄ませるとよい……!」
シエルとベラーガは力を込めた連撃を休み無く放ち続ける。
「皆さん元気ですねぇ……オレは疲れてきましたよっと」
言葉とは裏腹にヒガンはリコイルの連撃を最速で撃ち込んでいる。
だが流石に敵も一筋縄ではなく、グレイシアがビットを抑えているせいか、ダメージ軽減を最優先として余剰エネルギーをより強度の高いバリアへと再展開して防御に集中し始めた。
「皆さん、一旦時間を下さい!」
これではやはりキリがないと、シエルは後退し、システマ・オメガを発動してサイバー・ビジョンを用いた未来予測で突破口を探ることを決断した。あと一手で相手を詰ませる事ができる。
「システマ・オメガ、スタンバイ……!」
右足と左足を大きく伸ばし、左手を地面に着く。バイザーが展開し、サイバー・ビジョンによる未来予測が開始される。
全員での本体への一点集中攻撃、これが実現すれば相手に致命傷を与え、この空間に留まらせることが可能だろう。攻略へのビジョンが構築された瞬間だった。視界がブラックアウトし、元に戻る。
「うおっ! なんだこれ! ザコが湧いてきやがった!」
「ちょっと……聞いてない……」
「なんですかこれ! 多すぎですよ……!」
「心を乱すな、集中しろ……」
ヒガン達がどよめきを上げる。なんと、ウイルスの大群が突如転送されてきたのだ。流石にサイバー・ビジョンを用いても今起こっていない現象までを含んだシミュレートは不可能だ。想定外の事態に対し、一度リセットが掛かったのであった。
「まだ……いける……!」
再度ビジョンを構築しようとするも、なんと敵はここに来て一気に加速し始めた。雑兵を宛がって一気に転送の出口まで進む算段なのだろう。他の面々は見事に身動きが取れない状態となっている。
「やられた!」
シエルは慌てて加速しながらターゲットを追いかけた。あれだけの装備なので敵は転送空間内でこちらと決着をつけるつもりだと錯覚させられていた。しかし実際には敵の目標は転送先でのギガクラッシュの発動であって、あくまで移動さえすれば勝ちなのだ。
「いけない、システムの稼働限界時間が……」
せっかく切り札のシステマ・オメガを発動したにも拘わらず、一撃も加えられていない。ひたすらに移動に時間を奪われてしまった。
―――――なんとか加速を繰り返し、敵に追い付いて正面へ回り込むも、システムの稼働時間が限界を迎えてしまった。シエルはシステムを強制的に継続させる判断を下す。もはやこれしか手は残されていないのだ。どんな副作用がもたらされるかは未知数ではあるが、今敵を止めなくてはアルエットも仲間達も守れない。
「ここを通すわけにはいかないわ……」
そう呟くと、シールドブーメランを投擲し、トリプルロッドで跳躍、更に空中で加速をつけたセイバーによる斬撃。一瞬の出来事であった。だが、バリアをブーメランで破壊できたものの、肝心のセイバーによる一撃はビットによりガードされてしまっていた。
「ならこれで……!」
トリプルロッドによる回転斬りでビットを蹴散らすも、砲撃に囲まれ、動きを止めてシールドの展開を余儀なくされる。
その時、ようやく守護騎士達が雑兵を駆逐し、加勢に訪れた。グレ
イシアが1人で残党に対するしんがりを努めてくれたお陰だ。
光明が差したと思いきや、敵も負けじと拘束リングを乱射する。回避を続けていたシエルだが、システムの強制稼働の弊害か、一瞬行動が遅れた。そして、リングにとうとう拘束されてしまった。
その隙をついて敵はビットを本体の正面に展開し、胸の球体状の部位に光を収束させる。今までに見たことがない攻撃のサインだ。シエルを救助するため、騎士達は各々動いていたが、それが裏目に出た。
瞬間、敵の胸部から細い閃光が地面に走ったかと思うと辺りが煉獄に焼かれた。シエルは身動きが完全にできない状態でそれを身に受けてしまい、焼かれて宙を舞う中で意識が闇に飲み込まれていく。
騎士達は回避が遅れながら攻撃を凌ぐも満身創痍には変わりない。
「マジ半端ないですわ……自慢のリバーサル装甲カタ無しですよ」
ヒガンは体を起こしながら反笑いで言葉を紡いだが苦しそうだ。
「皆、無事か……?」
そのまま立ち上がるべく片膝をつきつつ、騎士たちに呼びかける。
「動けはします。もうオーバードライブしか無さそうですね……」
「モネア、ちょっと無理……エネルギー足りないし、体も痛い」
「不覚の極みだが同じく。猶予はない……」
グリオサが返すも、皆余力を使い果たし始めているようだ。先ほどの雑兵戦でも時間を惜しんでグリオサ以外オーバードライブを既に発動済みという事情もある。厳しい状況だ。
「グリオっさんしかおそらく使える状態にないね、これは……」
「わかりました、お任せ下さい。なんとか持たせます。しかし、シエル嬢の方はご無事でしょうか……?」
相変わらず地面に突っ伏した状態でヒガンは話しつつも、グリオサはシエルの身を案じた。本来は敵同士ではあるのだが、流石にこの非常時にあっては貴重な戦力だ。それに、こちらの仲間もこの戦闘の中で何度も助けられている。正直、共闘は心地良かった。
ふと、敵の攻撃跡に充満した煙が揺らめいて、奥に人影が見えた。
「嬢ちゃん、無事だったか……」
「……何かおかしい。様子を見ろ」
ヒガンとベラーガが見つめる先で、煙があけようとする最中、突如巨大な翠緑のビームによる斬撃が敵を襲う。あまりの事に、誰によるものなのか皆が目を疑った。
「え……誰……」
モネアが声を上げるも、それがシエルであることは確認できたが様子がおかしい。なにより、焼かれたせいか体は真っ黒だ。ダメージは決して浅くないことが窺える。
「……見てみろ、あの小娘がやったのだ」
ベラーガに促され、皆が敵の方を見ると一撃で誰も傷つけられなかった本体に斬撃の跡を残していた。恐ろしい威力だ。
ゆらり、と煙の中から彼女が姿を見せる。全身は真っ黒で、スカートも破れ、ズタズタになっている。だが、依然として頭部のバイザーは下りたままで、アンテナは後方に流れ、光る刃のようなものが発生していた。指先はアンテナ同様に翠色の爪となって輝き、更には血管のような紅いラインがボディに巡らされている。
「おい、嬢ちゃん、一体どうした……?」
彼女は無言のまま、地面に左手を着き、獣のような低い姿勢になると右手で逆向きに持ったセイバーから巨大な斬撃を再び繰り出した。流石に今度は敵もバリアを張り巡らしたが、それを破壊した上で斬撃は貫通し、新たな傷を与える。これには敵も怯えのような反応を示していた。言うなれば『恐怖』や『畏怖』だ。
「これではまるで……伝説の破壊神……」
思わずグリオサがこぼす。『紅き英雄』の信奉者であるからこそ、この光景の意味はそのように捉える事となったのだ。また、伝説では英雄が漆黒の姿を見せることもあり、その時の活躍は平時と比較して更に筆舌に尽くしがたいものであったという。
敵が動きを止めた事を確認すると、シエルは目にも止まらぬ速さで接近し、セイバーと指から生えた輝く爪で連撃を開始した。敵もバリアを張り巡らそうとするが、発生する側から破壊され、見る見るうちに傷が山積し、破片が宙を飛び交う。
「今が好機……! 私もオーバードライブを発動します!」
グリオサの頭部が花弁のように展開し、脚部は逆関節となり、体に装備された4つのバインダーをビットとして展開する。
「相手もビット使い……もっと早めに使うべきでしたかね……!」
すると、四方の空中に展開したビットから更にチェーンが出現し、敵を拘束する。先ほどとは違い、攻撃を受けている最中ということもあり、このアシストは有効に働いた。敵の背後に回ると彼もチェーンで乱撃を開始した。
呼応するようにヒガン達も立ち上がって構えを取る。
「チッ……やるしかねぇかぁ……ホントに固いよなぁアイツ……」
先ほどと違い、敵からの攻撃が無い。ヒガン達は散開してビットへ攻撃を加える。ビットをなるべく本体から引き離す算段だ。
「今を逃す手は無い……ここで仕舞いにするぞ!」
ベラーガも同様にビットを吹き飛ばし、空中で1ヶ所に集めていく。シールドの役割も担うビットは固く、破壊は困難と見なしたのだ。
「あの人……なんか怖いんだけど早く帰りたい! 無理!」
舞いあげられたビットをモネアは風の檻で包み込む。
「モネアちゃんナイス! しっかし、あっちはおっかねーな!」
「あの見境無い攻撃……破壊神のそれと酷似している。きっと我々も視界に入っていないのだろう。今は見守るより他はない」
シエルとグリオサの敵を挟んだ乱舞は続く。向こうも必死でバリアの展開を絶やさないが、その速度を攻撃が上回っている上にビットは隔離されてしまっている。そしてトドメとばかりにシエルの動きが一旦止まるも、その事に対岸のグリオサは気付かなかった。
エネルギーを溜めた巨大な斬撃が繰り放たれる。
敵の本体に致命的なダメージが確定したかと思われた瞬間であったが、その姿は消え、対岸のグリオサに対してそれは適用された。結果、グリオサの体は真っ二つに引き裂かれて宙を舞っていた。
それを見たシエルは動きを止めた。システマ・オメガを限界以上に発動し続けた事で『最大効率で敵を殲滅する』という意識に支配された状態が続いていたが、少しだけ緩和されたのだ。
「ぁ…………」
悲鳴にならない小さな声が出た。周りで見ていた守護騎士達も思わず言葉を失い、静止していた。しかし、更なる変化が訪れる。真っ二つになったグリオサのボディは吹き飛ばされながら変身が解除され、デバイスが空中でひび割れると地面に転がっていく。
「ありえねぇ……使いきりのリプロゼット・ストーンを使ってるオレ達は、例え破壊されても変身は解除できないはず……」
ヒガンをはじめ、全員の注意がグリオサに集まるが、敵の姿が見えない。なんとシエルが攻撃を放った瞬間、ここぞとばかりに蓄積ダメージを利用して超加速を行っていたのだ。
「マジかッ! あの野郎――――」
ヒガンが叫ぶも、敵はビット共々転送先へ向かってしまっていた。なによりここは転送空間で物理的な速度の限界が存在しない。
守護騎士達はグリオサを案じながらも任務を優先し、直ちに後を追って転送先のSブロックへ向かったため、そこには半壊した彼とシエルが残されるのみとなった。
一拍置いて、システマ・オメガが解除される。まるで別の進化を遂げたような感覚ではあったが、自我はほぼ喪失されていた。あれでは殺戮マシーンだ。なにより協力関係にある仲間を傷付けてしまった事実は許される事ではない。
どう償えばよいのか……そう思いながら上半身のみとなったグリオサを覗き込む。
「この力……素晴らしい……破壊神の再来……です」
シエルの気持ちと裏腹にグリオサが発した言葉は称賛だった。
「ごめんなさい……私、協力するって言ったのに……」
「い、いんですよ……私がこうなったのは己の未熟……ゆえ……」
「私は……力をうまく扱えなくて……」
「それより早く……敵を追い掛けて……下さい」
「ごめんなさい、急ぐわ……」
グリオサの進言でシエルは無理矢理気持ちを切り替えた。まだ何も終わってない。このままでは仲間達が危ない。
「そうそう……貴女にはラセニアを倒してもらえて清々しましたよ……彼は常日頃ロゼ様をつけ狙っていましたからね……」
別れ際にグリオサが冗談めかして見守る中、彼女は無言で頷くと、急いでその場を後にした。
◆SCENE7
Sブロックは混乱していた。転送された雑兵が最終防衛ラインにまで到達していたのだ。
シエルの仲間達もリバースのレゾナント達も力を合わせて食い止めていたが、その中心にターゲットの薄紅色のレプリロイドが突然現れ、続いて守護騎士も現れた。
6人で迎撃に当たったものの、ダメージを与えるだけ与えて倒しきれずに転送させてしまったのだ。むしろ攻撃のためのエネルギーを与えてしまったに等しい。守護騎士の面目丸潰れである。
無慈悲にも、ターゲットは花弁型のビットを展開すると、ギガクラッシュ発動の形態に移行し、全身にエネルギーを纏わせ始めた。薄紅色のボディも応答したように徐々に白く染まっていく。
ここまで一瞬の出来事で、周囲の者は理解が追い付かないまま反応が遅れてしまい、その傍らを守護騎士達は起爆阻止のため全力で駆け抜けている最中だった。
そのタイミングでシエルは転送されたが、絶望的な状況であることは一目で理解した。今からシステマ・オメガを起動しても間に合わない。サイバー・ビジョンも役に立たないだろう。
時間がゆっくりと流れ、あと少しの距離が遠く感じる一瞬だった。
空間は敵を中心に紅い光で満たされ、起爆までの猶予が無いことをこれでもというばかりに実感させられる。
光は更に輝きを増す。流石に全員が事態を把握したときには全て手遅れだった。全てが紅白い光に包まれて消えていく。
まさに全てが『散華』する瞬間――――――――
そこへ雷鳴のように敵目掛けて頭上から翠緑の閃光が迸る。
光が収まると、そこにはボディの中心から一刀のもとに両断されている敵の残骸と、輝く剣を携える『紅き英雄ロゼ』の姿があった。
「……転送空間のデータ制限が消えた瞬間を狙って転送してみたが、どうやら間に合ったようだな」
「ロ、ロゼ様だ……」
レゾナント達にどよめきが起こる。最後の最後で誰もが諦めていた状況を彼が打開したことは明らかだ。そして彼の登場は場にいる全員に生の実感を与える事となった。
「す、凄い……本当に『あの方』みたいだ……」
思わずコルボーが言葉を漏らす。長年英雄と共にミッションに挑んだ彼からしても、今の出来事はそれに相当するレベルのようだ。何度も奇跡を見てきたからこそ実感が湧くのだろう。
「どうやら敵はアルカディアの忘れ形見のようだ……ボディにダメージが蓄積されていたお陰でなんとか一刀で仕留めることができた。シエル嬢、そして騎士達よ……感謝する」
「え、ええ……」
「大将……」
「ロ、ロゼ様ァ……!?」
剣を納めると、ロゼはシエル達を非難する訳でもなく、淡々と謝辞を述べた。まさか彼がこのタイミングで来るとは思わず、更には責任の追及もされず、シエルとヒガンら騎士達は自らの力不足とロゼの底知れなさを痛感した。モネアを除いてだが。
「ガーディアン連合と我がレゾナントの諸君、君達がいなければこの戦線も維持できなかったであろう。敵をあの場所に留めておいてくれた事は非常に助かった。是非お礼を言わせてくれ」
「そ、そんな……滅相もございません……」
「わ、我々は自分の身を守ったに過ぎない……」
レゾナントとガーディアン連合双方から謙遜の声が上がる。どちらもまさか礼を言われる立場にあるとは誰も思っていなかったのだ。
「そして、現時点をもって共同戦線は終了とする。ここからお互い敵同士だが、何卒臆すること無く、互いの信念を忘れずに対峙して欲しい。良い敵とは信念を対等にぶつけ合える存在といえよう」
「…………!!」
瞬間、敵味方に緊張が走るがそれはロゼへの畏怖の念に近いものだった。自分達は戦争をしているが、その実、信念をぶつけ合っていると認識させられ、それは対等な相手でのみ成立する行為なのだと、迷いを断ち切らせるような魔力をその言葉から感じた。
「それからシエル嬢、面白い力に目覚めたようだな。君との決戦が待ち遠しい。是非その力、私と相見える時までに使いこなせるようになっていてくれ……」
「ええ、善処するわ……」
言葉とは裏腹にシエルは新たな力に目覚めたものの全く制御できなかった事を恥じ、悔いた。破壊神などと揶揄されても、その力がまともに扱えないようでは児戯に等しい。ロゼを見ていると敵ながらそう思わずにはいられなかった。
「あとはそうだな、騎士達よ、彼女にグリオサのチェーンロッドを献上してやってくれ。それくらいの謝礼はあってよいだろう」
「お言葉ですが我が主、何故決闘もしておらぬグリオサの武器を彼女に託さねばならないのですか……?」
「おいおい、ベラーガ師匠……悔しい気持ちはわかるけども……」
珍しくベラーガが異を唱え、ヒガンが焦るもロゼは静かに諭した。
「確かに彼とは剣を交えていないが、共闘中とはいえ、シエル嬢の攻撃を躱せなかった事は事実。そしてその威力に耐えられなかった事もまた、彼との実力差の証明にはならないだろうか?」
「過ぎた言葉を吐きました……お許しを。再度決闘をしてもグリオサがあの力の前に倒れるであろう事は紛れもない事実。……もはや異論はございませぬ」
「ロゼ様の……言うとおり……!」
「モネアちゃんねぇ……」
ベラーガは震える拳と共に引き下がった。武人故にロゼに反論の余地が無いものの、仲間を守れなかった無念を心中に抱えたままだ。モネアは彼の登場にすっかり舞い上がり、ヒガンは呆れている。
そこへ、半壊したグリオサを抱えたグレイシアが転送されてきた。彼の方は意識が既に無いようだ。
「……遅くなって申し訳ございません。敵の掃討に加え、彼の応急処置と回収で手間取りました」
「よい。2人して無事なら言うこともない。戦線の構築だけでなく、討伐への参加までご苦労だった。今すぐウェクトに彼の修復を頼みたいが、その前に武器だけ貰えるか……?」
「勿体無きお言葉……こちらになります」
そう言ってグレイシアからロゼへ手渡されたチェーンロッドは宣言通りシエルに贈られる。そして、帰路へ着こうと歩き出したロゼはすれ違いざまにシエルに囁いた。
「武器を通して彼らの記憶を見ただろう……? どうかその事を忘れないでいて欲しい」
静かに立ち去るロゼにシエルは立ち尽くして呆然としていた。そんなはずはないと理解しながらも、結局何もかも彼の手のひらで踊らされていただけではないか? そんな疑念が彼女の胸を貫く。この共闘もゼロ・リバースという組織の本質を理解させるために仕組んだものなのでは……と勘繰ってしまう。
だが、ここからはまた敵同士。果たして何の疑念も無く相手と刃を交え続けられるだろうか? 相手の信念にぶつけられるだけの信念を自分は持てているのか。彼女の疑念は尽きないままだった。
『レクイエム』は、まだ続く―――――――
◆SCENE8
武器を託されたシエルにまた騎士の記憶《メモリー》が流れ込む。
そこで彼女が見たのはある蒐集家の栄光と衰退の光景だ。
かつての彼も『紅き英雄』に憧れ、鞭を使いこなす勇敢な騎士型のハンターであり、様々な任務での功績もまた、その実力を裏付けるものとして彼の評価を高めていた。
周囲からの称賛も絶えなかったが、それに驕ることはなく、高い目標として『特A級』のハンターランクを常に意識していた事から、それは彼の実力とランクを向上させ続ける結果となった。
その傍らで、嗜む程度ではあるが『紅き英雄』に纏わる物品や文献なども集めており、そこからまた、更なる高みへ登るための糸口を見いだそうと彼なりに足掻いていた。
しかし、そんな彼にも転機が訪れる。妖精戦争の最中、なんとあの『紅き英雄』と同じ部隊に配属され、討伐対象を駆除して欲しいとの任務だった。これには正直胸が踊った。何より実力を認められ、英雄と肩を並べる機会を得ることができたのが素直に嬉しい。
何より彼は戦闘用レプリロイドで、戦うために生み出された。その存在証明なくして、自己を保ち続ける事は難しい。その絶好の機会に立ち会ったのだ。これを逃す手はない。どうやら敵はレプリロイドを取り込んで強化を繰り返す特殊な性能のイレギュラーだが、是非とも武勲を立てて英雄からも認めてもらえないかと思案した。
そうして戦場に駆り出された彼は現実を目の当たりにする。想定していたより敵の力は圧倒的だった。一部隊に相当するハンターが動員されたのも納得で、自分と同レベルであろう戦士達が次々と破壊され、あるいは取り込まれる光景に、『厄災』と呼ばれる理由も理解した。そして、自分も数合わせに過ぎなかったといえるだろう。
これは、個人の技量では敵わないかもしれない……そう悟ってしまい、動きを止めた瞬間だった。敵の触手が彼に襲い掛かる。しかし、すんでのところで仲間のハンターが庇ってくれたお陰で一命を取り留めた。そこから先はひたすら隊として撤退を強いられ、幸い『紅き英雄』が皆を逃がすために残ってくれていたお陰か、気付くと拠点に戻っていた。
結果的には何の戦果も出せず、仲間達の足を引っ張るような真似をしてしまった。鍛え続けた先で彼の自尊心は砕けてしまった。戦闘用レプリロイドが戦場において成果を出せなかったのだ。ハンターランク以前の話で、これでは格好がつかない。英雄からも相手にもされない。そういう想いが彼を支配した。
そこから彼は英雄への憧れは捨てきれず、結果として蒐集に走る事となった。古今東西、彼に纏わるものなら何でも取り寄せた。場合によっては偽物をつかまされる事もあったが、集め続けるうちに審美眼が発達し、真贋もある程度見極められるようになっていた。この中には戦場で彼が手にしたという武器や、所持していたエルフなども存在し、英雄の存在感はより彼の中で高まっていった。
そしてついに、彼は禁断の呪物に手を出してしまう。それはあのΣウイルスのサンプルだ。経緯は不明だがおそらくハンターの研究機関から横流しされたのであろう。特殊なカプセルに閉じ込められたその輝きに彼は魅了され、更にはその封印を解いてしまう。
その時、彼の心にあったのは『紅き英雄』と渡り合うための愚策であった。英雄由来のΣウイルスに感染し、副作用でボディが強化されればもしかしたら『特A級』と同等の力を得るに至るのではないか。一度屈折した感情は既にそんな妄想に取り憑かれていたのだ。
かくして、彼はイレギュラー認定を受ける事で、望み焦がれた英雄との対面と決闘が叶うも、その輝く剣によって無惨にも体を真っ二つにされる結果となった。消えゆく意識の中、彼は英雄に倒される事もまた名誉であると感じ、静かに機能を停止した。
その後、彼のボディとAIは集めた財産と共に収容され、ウェクトの手により修復を受けた後はゼロ・リバースにて騎士の傍らで研究者としても活躍することになる。ちなみに、組織の所有する『紅き英雄』に纏わる聖遺物の何割かは彼から提供されたものだ。
記憶を一通り見終えると、シエルは仲間達と別れ、SWブロックの方へと歩みを進めていった。
【第5章:共闘、そして…… 完】
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▼第6章はこちら
note限定 あとがきコーナー
本作を企画し、執筆させて頂きました。Hi-GO!です。
記事をご購入頂いて最後まで読んで頂き、まことにありがとうございます。
ここからはnote限定のあとがきコーナーになります。
冊子版には編集後記というものがあるのですが、そちらは内容そのものより、書籍の編纂まわりの事情を書きましたのでこちらではもう少し内容に沿ったものを書きたいと思います。
◆2025/01/02……あとがきコーナーに追記を追加
はい、前回の4章では飽き足らず、
今回もやってしまいました、ギリギリ入稿……!(12/16)
大まかな状況を整理しますと、夏コミ以降、私の方がTGSやホビーショーなど、イベント合わせの案件が本業で多発してしまいまして(厳密には春先から)、完全にそちらのペースで動いていたために、冬コミでの作業時間の確保が難しい状態でした。
それでも、本文やそれ以外のページはほぼ11月中に完了しておりました。
しかし、ここで普段とは想定外のイベント参加が発生します。(自分で申し込んだ)以前からコミケ以外に出展場所を求めて辿り着いたのが『文学フリマ』だったのですが、タイミング悪く12/1開催のものへ初参加となりました。そして、その時点で挿絵の完成0枚という、今までで一番シビアな状況に突入してしまいました。(枚数は14枚と過去でも高カロリー)
表紙はポスターやしおりなどに使うため、先に完成させましたが、それも
12/8のお話……(その時点でも完成挿絵は0枚)
「さすがにヤバイ」と知人友人にヘルプを打診するも(スケジュールや体調など多岐にわたる理由で)1人もつかまらず……後でお世話になっているお絵描きサロンの方に打診したところ、在籍する生徒さん2名に助けていただきました……!
とまあ、本当に『ヤバイ』はずなんですが、なぜか頭はクリアでして、おそらく上記のイベントなどの縛りが無くなったので自分のペースで作業できる事が可能になった点が大きいと思います。
また、絵の完成ビジョン自体はのばでぃさんと共同で早めにラフに着手したことで、普段より明確に描けていたところもあるでしょう。同時に今回はスタッフに『時短』を言い渡して、手間のかかるカットを極力避けたという点もあります。(このあたりはラフのブラッシュアップにかかっているので、特にててんさんの頑張りに助けられました)
と、制作事情の話で文字を割いてしまったので、恒例のボス解説に移行しようと思います。今回は2体になりますね。
ロゼ直属の守護騎士『リバースナイツ』所属、
『鎖刃騎グリオサ・ザ・チェイナー』
所属不明の謎のレプリロイド
『セレッソ・アルラウニス』
まずはグリオサから。
紙面にも書きましたが、八審官でいうマンティクスのような細長いポジションとして私がデザインを仕上げました。アナザーゼロとしての説得力を高めるべく、わかる人にはわかりますが、頭部はオメガ第二形態の意匠を取り入れています。また、手足の長さはガンダム00のアルケーガンダム的なイメージも投影しています。(これも赤黒いデザイン)
『ぱっと見ゼロなんだけど、なんか異形』というバランスですね。
そこを引き立たせているのがチェーンロッドの存在でしょうか。元々ゼロの武器を宛がうのは後付けのアイデアなので、流れで彼に似合うのはチェーンかなと考えていましたが、実際持たせると騎士の中では一番似合うのではないかと思えてきます。過去パートを見ると、何かに執着する=束縛するような意味合いも付加されますね。
また、花としてのモチーフは『グロリオサ』になります。上半身を横に倒した花弁に見立てている感じです。これが肩部と腹部のバインダーにより背中に至るまでの流線型のシルエットを構築していて、頭部もうさぎカットされたりんごのようでそのシルエットを補強しています。ちなみに花言葉は『栄光』『勇敢』を表します。
オーバードライブはいつも通り後付けなので苦労しています。
『脱がしながらも頭部を中心としてどこか展開する』というルールの中で、今回はビットなどがあるため、そのあたりのシルエット作りなどはしやすい反面、頭部が見た目に反してあまり良い展開構造を作れなかったので、割り切ってZ字のラインを大きく見せることにしました。
グリオサのチェーンロッドは原作と違い、もう少しガリアンソード的なイメージでの使用を考えていたので、剣(剛)や鞭(柔)の使い分けのようなことが出来てもよいと考えておりました。
それをバインダー(ビット)からも展開できると合計5本のチェーンを扱えるので、開発繋がりでガンヴォルトのような技も繰り出せそうだと思いました。(ヴォルティックチェーン)こういうのは数が多いだけで強そうです。
背中の菱形ウイングは髪の毛パーツがないので、何かしらエネルギー的なものが展開してほしいと思い、追加したものですが、デザインとしてはロクゼロというより流星3っぽさがありますね。
逆関節に関してはのばでぃさんからの提案を取り入れて、ついでに隙をなくす意味でも足で攻撃できるようにビーム刃の意匠を付加した感じです。メモ書きにもありますが、クイックマンのような跳躍力を獲得出来たら脅威だなと感じたので、見た目的にもそれを踏襲するイメージですね。超跳躍とビットを含めたチェーンの乱舞で敵を圧倒する活躍を想像していましたが……残念なことに。(シナリオの都合)
過去の姿についてもメモにある通り、フォルテ系とエグゼのクイックマンやスワローマン的イケメン長身ポジションのカッコよさでまとめてあります。
そろそろ騎士系列ハンターのデザインもネタ切れになりそうですが、彼はストイックなキャラなのでひねるというより、自然体で浮かんだものを素直に反映させました。『そこそこ強い』感は出ているんじゃないかと。
『何もない』人物ではないのですが、戦闘用レプリロイドという出自のために、今より上を常に目指す姿勢が手段を選ばなくさせてしまい、彼に不幸を呼び込んでしまっています。いつの時代もこういう人はいらっしゃるのではないでしょうか。中途半端な強さが招いた悲劇です。
さて、今回は前半の山場なので長いです。今からセレッソの解説です。
元々は旧ProjectRCLに存在していたボスキャラクターで、今回のシエルと騎士達のレイドバトルを実現すべく、そのためのボスとして登場しました。『つか』さんと『あいすのん』さんがデザインされたものを私の方で今作に合う形でリファインしています。
基本的にはつかさんの案をベースに、背面などのわからない部分を解消するのと同時に、多数を相手取る機体という想定もあり、前後対象のデザインへと変更させていただきました。
そして、ギガクラッシュを使うという追加設定のために、そのための形態も追加しました。地味ですが各部展開しています。白への色変更はのばでぃさんからの提案です。ちょっとゼノギアスっぽくなりました。
個人的にはあいすのんさんの初期案も素晴らしいので、双方の要素をうまい具合にミキシングできないかと試行錯誤しました。特に目はミュートスレプリロイドタイプからゴーレムタイプへ戻しました。これはゼロ4のボスのラインとも重なりますが、意思が感じられない顔にニュアンスを調整したかったためです。
また、4つ目がある法則も守り、腰部に追加しました。前後で目が8つあることになりますね。顎から耳にかけて赤いパーツを配置しなおしたのも初期案からの先祖帰りです。
サブアームが生える機構も初期案とつかさんの案両方にあるので、改めて明確に追加しつつ、ビットの配置で形態とシルエットを差別化する案もありがたく採用させていただいています。
また、攻撃パターンも下記の資料を参照して本文にも反映させて頂いております。花びらがリーフシールド的に運用される部分や胸からコピーエックス第二形態のようなレーザーが射出される部分などは特に絵的にも映えるので助かりました。
◆追記:5章の展開変更について(2025/01/02)
折角なので、冊子にも軽く書いた第5章の展開の変更についてのあらましも軽く明記しておきたいと思います。
取り急ぎテキスト班とのやり取りのログを確認すると、私が言い出しっぺのようです。G〇コやラ〇ダー等で状況が共闘を強制して、案外ノリでうまくいって馴染んでしまう感じの展開をやりたかったとのこと。
そのためには第3勢力となる敵の存在が必要で、既にデザインが存在していたセレッソが引っ張り出された形になりますね。いわゆるレイドバトルのボスという位置づけです。(結果、凄い装甲が硬くなってしまった)
しかし、これだけで終わってしまうのはよくないと、らいおねさんから『双方、どこかで「相手を倒す」という決意が定まらないのをばっちり定めさせる方向でこのイベントを使いたい』という意見を頂きました。
上記を反映するにあたって、シエル達との仲介役として一番相応しいのがリバース・ナイツ内で一番常識人めいているグリオサということになりました。思えば初登場時からヒガンを諫めたり、一人だけ制御室(ボス部屋)の仕掛けなども行っておらず、騎士達に囲まれると生真面目な性格が発露しやすい傾向になってしまいがちでしたね……(過去回想でも割とそんな感じ)
続いて『物語の位置的にはミッドポイントになりますので、そこではなるべく「もうお互い引っ込むわけには行かなくなった」と思わせたい』というらいおねさんの意見を汲んで、グリオサはシエルの手で真っ二つにしようと決めました。
しかしどうやって?
『このイベント以前と以後では隔世の感がある』くらいにしたいということで、それならばシエルに変化してもらうしかないと至りました。
元々システマ・オメガというある種の殺意をコントロールする機能に頼ってここまで来たシエルに、その殺意を全開にするとどうなるのかを知ってもらう機会も必要でした。それが黒い姿のシエルに繋がったという感じです。
要するに『黒ゼロフォーム』なのですが、これまで黒ゼロはコピーだったり、オマケ要素だったりで、イマイチその位置づけがハッキリしない面もありました。それを逆手にとって、本作では暴走フォームとして採用しようと決断し、デザイン画も急遽起こすこととなりました。あと、察しのよい皆さんは某ビ〇ドやセ〇バーなど浮かんだ事でしょう。私もそれ以外浮かびませんでした、ゴメンナサイ……
一応このフォームの特殊な機能として、敵の変身アイテムごと破壊してしまうという特性があります。これは、ただ『破壊』してもヴァルハラには蘇生設備もあるので脅威にならないと感じたので、ならばいっそゼロを模した『彼らの姿そのものを否定しよう』と考えた所からの逆算です。今後どう機能するかはお楽しみに……(これもメ〇リブレイクでは……)
そんな感じで、セレッソに追い詰められた先でシエルは絶対的な力に覚醒しますが、全く制御ができません。それは奇しくも伝説の破壊神を想起させる姿へ繋がった感じですね。リバース(グリオサ)的には『アリ』な存在なのでしょう。その名(ゼロ)を体現するわけですから。
しかし、この力と姿を見せつけてしまった後は目的通りリバース達とは一線を引かれた形になると思います。今までナメて掛かっていた相手が自分達を追い詰める存在へと変貌した訳で、その力の及ぶ範囲はロゼも例外ではないのです。この先シエルとの関係は今まで通りにはいかないでしょう。
さて、大変長くなりましたが、次回は仕切り直しになる6章です。最終章まで開始前から構想はありますが、現時点で6章は一度ノープランにしつつも、本来想定していたプロット通りには進めるつもりでおります。
それではまた本編第6章のあとがきでお会いしましょう!
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