脚本・森下佳子の大河べらぼうこぼれ話【9】 - 大河ドラマ「べらぼう」見どころ - 大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」 - NHK

大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」

横浜流星主演!痛快エンターテインメント #大河べらぼう

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脚本・森下佳子の大河べらぼうこぼれ話【9】

NHK公式【べらぼう】脚本を務めた森下佳子さんが、最終回を前に各話のこぼれ話を振り返ります。#大河べらぼう


べらぼう第48回「蔦重栄華乃夢噺」放送は12/14(日)。15分拡大版です。


 

皆様。お忙しい日々の中、『べらぼう』をご覧いただき、まこと、ありがた山にございます。もう少しで蔦重ともお別れ、ということで、思い出として、各話のこぼれ話など書き記すことになりました。本編を思い出すお供に、オンデマンド配信や年末に放映される予定の総集編のお供に、チョロリとお楽しみいただければと存じます。ただし内容はネタバレもございますので、踏みたくないお方はお避けくださいませ。かつ、これはあくまでも一台本書きのつぶやき、おばちゃんの戯言です。そこは割り切ってお読みいただけると助かります。森下佳子

 

第29回 江戸生蔦屋仇討(えどうまれつたやのあだうち)

井上ひさし先生が直木賞を取った『手鎖心中』の元ネタになったとも言われる『江戸生艶気樺焼』。バカバカしくも人のサガを鋭く温かい目線で描いた政演(京伝)の最高傑作誕生の回です。この一作に関しては何らかの形で内容をバッチリ見せたい!と言うのは当初からの思いでした。劇中劇の配役を決めるのは楽しかったですね。遊び好きの友達はあの人しかいないよね。芸者は?新造は?ここは意外なあの人で!って。で、一番悩ましかったのは艶二郎を誰がやるかでした。実はこれ当初は佐野にお願いしようと考えていたんです。でも、それは見る方の気持ちとして複雑、笑うことに戸惑う人も多いのではないか……ということで本編のような選択になりました。さすがはミュージカルスター、華やかな一幕となりました。ちなみに艶二郎のトレードマークの豚鼻。演じるお方の鼻が高すぎてハマる形に仕上げるために6パターンもの試作をしたそうです。中の方も「やるからには徹底的に」と臨んでくれたそう。そして、誰袖はここで退場。幸せになることに貪欲で、根っこはとても純粋で、個人的には大好きなキャラクターでした。とってもチャーミングな「んふ」をありがとうございました。ちなみに「仇気屋艶二郎」の名の中に「仇」の文字があることを見つけてくれたのは三谷さんなんです。全体がピリリとしまるお手柄です!

📖古川雄大さんの“艶二郎”つけ鼻製作秘話

📖『江戸生艶気樺焼』全ページ紹介!

📺NHKオンデマンドで(29)配信中!※別タブで開きます

 

第30回 人まね歌麿

蔦重と意次の敵となる定信が本格登場、そして、歌麿が絵師として再出発する回です。この回、歌麿の春画のネタを取り入れるかどうかは初期からずーっと悩んでいたところでした。『歌まくら』は歌麿の代表作で、実際に見るといろんな意味で衝撃です。画風もバラバラ、テーマ、通底するストーリーみたいなものもない。なのに?だからこそ?自分をかち割って描いているように思えたんですよね。ならば、歌麿その人を描く上でとても大事です。でも、もう一方の代表作として、同時期に狂歌絵本があるんですよ。こちらは当時あまりやられなかった写生をして描いたとしか思えないもの。後に繊細で情感豊かな美人大首絵を生み出す歌麿の本質を語りかけてくる絵です。『画本虫撰』を見た時、そっちはそっちで驚いたんです。「ああ、こういう絵を描いていた人だったのか」って。で、こちらは歌麿の師であった石燕先生が関与するもの。話としてはやはりこちら一本に集中すべきなのか……と、延々悩んだ挙句、諦めの悪い私は本編のような盛り込み方に行きつきました。春画は歌麿と蔦重のお芝居も切なくて、やってよかったなと個人的には思っています。そして、やっと回想ではない登場をされた妖怪画の巨匠石燕先生。「この人なら妖怪が見えてても不思議じゃない人」ってことで中の方にお願いしました。ハマるだろうとは思ってましたが、笑っちゃうほどの説得力でした。で、この回、「濡れ手で粟」の回収回でございます。こんな回収ができるのも超長尺ドラマだからこそですね。

📖『画本虫撰』全ページ紹介!

📺NHKオンデマンドで(30)配信中!※別タブで開きます

 

第31回 我が名は天

江戸が大洪水に見舞われる回です。資料を見ていると、意次率いる幕府は迅速に対処していて、おぉおっと思いました。で、平蔵の活躍するきっかけとなる人事もなんとこのタイミング。コレにもおぉお!っと。この時は富裕な商人なども困窮した人たちを支援した記録が残っていたので、蔦重にはこの立場で動いてもらいました。さて、この回は上様、家治様が亡くなり、意次が一度失脚する回でもあります。こちらの方は資料を見ると、お抱えの医師を入れ替えたりと意次は謎ムーブ、そこに大奥からも「上様が悪くなったのは意次が変えた医師のせいでは?」などやられちゃう。陰謀の匂いがプンプンです。この陰謀話の内幕を作る上でラッキーだったのは「醍醐」の存在に行き当たったことでした。しかもこの醍醐、朝廷から作り方を教えてもらって田安家で作られていたって……。もうね「これを使って毒を盛るのじゃ!」って私があの方に言われてるようでしたよ。とても思いやりのある方だったというエピソードが残っている上様。そんな上様がいまわの際に放った強い言葉、いつか誰かに届いてくれと祈るような気持ちで書きました。そして、「鬼!悪魔!」とのお言葉をいただいたお福さんととよ坊の死……。このような形にしたのは「天災や飢饉によりたくさんの犠牲が出た」ということを言葉や死体の山などの風景としてではなく、胸にくるやりきれない出来事として描きたかったからです。そういうものが積み重なって、民衆の怒りに火がつくものだと思うので。この回のお福さん、とてもきれいでしたよね。

📺NHKオンデマンドで(31)配信中!※別タブで開きます

 

第32回 新之助の義

市中の飢えは収まらず、とうとう打ち壊しに至る。その前夜のお話です。資料を見ると、この頃の米の値上がりは凄まじく、飢えに絶望して川に身投げする人も続出とありました。そんな事態に幕府は何もしなかったわけではなく、米を手配に動いたり、安く売るよう呼びかけたり、立ち入り調査などもしている。あまり効果はなかったようですが……。その資料の中で顎が外れるほど驚いたのは「米がないなら犬でもなんでも食って飢えをしのげ」と奉行が言ったという風聞でした。実際には奉行は言っていないと否定しているのですけどね。その時、私の頭の中に浮かんだはそう「パンがなければケーキをお食べ」と言うアレです。コレもまた実際はアントワネット言ってないそうなのですけどね。聞けば、フランス革命もこの時期の火山の噴火や冷害による小麦不足が根本の原因だそうで、世界中で飢えた人民が立ち上がった時期だったのかもしれません。はっ!そういえば、この回の乞食扮装の治済には「ヨーロッパの少女のよう」「レミゼに出てきそう」というコメントもいただきました。アレってそこはかとなくフランス革命との同時性を感じさせたい現場の企みだったのだろうか……。さて、この回に出てくる幟、これも資料にあるもので、打ちこわしの最中、自分たちが立ち上がる大義、自分たちの目指すところを宣言した幟があちこちで見られたそうです。ならば、と、出来上がったのが本編のラストです。

📺NHKオンデマンドで(32)配信中!※別タブで開きます

 

☟脚本・森下佳子の大河べらぼうこぼれ話【7】(第25回~第28回)はこちら

☟脚本・森下佳子の大河べらぼうこぼれ話【8】(第47回)はこちら

☞【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」関連番組 見逃し配信はNHK ONEで】

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