脚本・森下佳子の大河べらぼうこぼれ話【2】 - 大河ドラマ「べらぼう」見どころ - 大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」 - NHK

大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」

横浜流星主演!痛快エンターテインメント #大河べらぼう

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脚本・森下佳子の大河べらぼうこぼれ話【2】

NHK公式【べらぼう】脚本を務めた森下佳子さんが、最終回を前に各話のこぼれ話を振り返ります。#大河べらぼう


べらぼう第48回「蔦重栄華乃夢噺」放送は12/14(日)。15分拡大版です。


 

皆様。お忙しい日々の中、『べらぼう』をご覧いただき、まこと、ありがた山にございます。もう少しで蔦重ともお別れ、ということで、思い出として、各話のこぼれ話など書き記すことになりました。本編を思い出すお供に、オンデマンド配信や年末に放映される予定の総集編のお供に、チョロリとお楽しみいただければと存じます。ただし内容はネタバレもございますので、踏みたくないお方はお避けくださいませ。かつ、これはあくまでも一台本書きのつぶやき、おばちゃんの戯言です。そこは割り切ってお読みいただけると助かります。森下佳子

 

第5回 蔦(つた)に唐丸因果の蔓(つる)

唐丸がいなくなっちゃう回、そして源内先生、大暴れの回です。この回は私がちょいと頑固なとこを見せちゃった回でした。本編中「とっくに詰んでんだよ、お前は」というセリフがあるんですが、「この当時こういう言い方はしない。現代っぽすぎる」という指摘をいただいたんですよね。でも「詰む」って将棋の言葉とかでもあるわけだし、いいんじゃないの?慣用的な言い回しとしてはなくても、そういう風に使ってた人もいるかもしんないじゃん!いないとは言い切れないじゃん!と、我を押し通しました。後から振り返って考えると、別に「詰む」じゃなくても全然構わないんですけどね。たまーに、頑固ばぁさんになっちゃう時があるんですよ。気圧かなぁ……。同じく言葉のことで、この回、源内先生が「自由」という言葉を使います。私、ずっと「自由」って言葉は明治以降だと思ってたのですが、源内先生の著作『放屁論』(後編)の中に「自由」という文字を発見したんですよ。で、「うわぁ!さすが源内先生!早すぎる!!」って舞い上がって、使わせてもらいました。ただし、この頃の「自由」は今とはちょっと肌具合が違って「ワガママ、身勝手」という意味合いが強い、とのこと。で、ああいう台詞になりました。ちなみに、極悪人ヤスの言葉が印象的だったので、合わせてご紹介しておきます。「極悪人のヤスがいないと歌麿の画は生まれなかった。そう思って演ってます」悪役の矜持ですねぇ。

📺NHKオンデマンドで(5)配信中!※別タブで開きます

 

第6回 鱗(うろこ)剥がれた『節用集』

蔦重が鱗の旦那のところに修業に行き、青本のベルエポックとなる『金々先生栄花夢』のネタも集める回。この回はここぞとばかり、地口を入れまくりましたね。地口を散りばめるというのは書き出す前に監督から出たアイデア。これによって随分、「江戸っ子」の生き生き感が出た気がします。役者さんの方には、地口に気持ちを乗せて話すという一手間を増やしちゃったわけですが。そうそう、この回に出てくる鱗の親父様の偽板事件ですが、その数三千近くってホントなんですよ(資料にあった数字は確か二千八百)。その数に「これはバックに誰かいたのかもしれないですねぇ」という先生方もふとお漏らしに。「誰かいたかもか……。ならば!」と、そのいたかもしれないバックを春町先生のお仕えするお家にして、鱗の旦那と春町先生の長きにわたる二人の繋がりの原因としてみました。「やりすぎかなぁ、どうだろう」と、ドキドキしながら原稿をお見せしたところ、「ま、いいんじゃない?」と先生方。そのお言葉にホッ。この回、「濡れ手に粟」問題というのが起こった回でもありました。終盤に蔦重がシリアスに言っているコレ、正しくは「濡れ手で粟」なんだそうなんです。私を含め関係者一同このことにまったく気づかず、放送後にご指摘があり……。この一件は後にこの「間違い」を利用した回収シーンを産むことになります。

📺NHKオンデマンドで(6)配信中!※別タブで開きます

 

第7回 好機到来『籬(まがき)の花』

蔦重が細見を大幅リニューアルし、勝負に出る回です。この回は蔦重がやった工夫をしっかり見せるのが大事。細見を「薄く、安く、そして、見やすくした」蔦重。改めてその工夫の一つ一つを見ていくうちに、自分自身の情報誌編集者時代を思い出しました。表を作ったり、マップに落としこんだり……コンパクトにわかりやすく多くの情報を盛り込むのは情報誌編集者の腕です。蔦重がいかに編集者として優秀だったかがよく分かりました。250年以上前の江戸で、すごいです。でも、それを明確に伝えるためには、細見のページをたくさん作らねばならず、しかも話の展開上、反故にするための架空のページまで作らねばならず、現場にとっては地味に大変な回だったと思います。すみません。そして、この回の決め手となる彩りが「瀬川の襲名」。実は私、「襲名はこの年のこと」とまでは把握してはいたのですが、蔦重のこの細見で初出とは知らなかったのです。教えていただいた時は「蔦重&瀬川」という私の妄想を史実が応援してくれているようで、ワクワクしました。

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第8回 逆襲の『金々先生』

因縁のある二人が同じ志を持ち、それぞれの立場から達成に向かって頑張る……。すみません、私が大好きな展開です。お稲荷さんの蔦重への「バーカ」発言、親父様達による鶴屋さん階段落としもかっこよく。暴力なんだからかっこいいなんて言っちゃいけないのかもしれませんが……。でも、かっこいい。好きなシーンがゴロゴロある回です。しかしながら……こぼれ話的にはなんと言っても「検校」!私たち、検校をお金持ちのおじいさんだと思っていたんですよね。今までこの役をやった方たちのイメージで。それが、資料を確認するうちに、「検校捕まった時には三十五歳でした!」という衝撃の事実が発覚。キャスティング案から、考えていた話の筋や理屈も全てガラガラポンです。まぁ、結果的には、検校が若い方が蔦重のライバルとしてはより強力になるんで、よかったんですけどね。中の方がやってくださることになり、男ざかりで男前で気配りがあって大金持ちで、蔦重これじゃもう勝ち目なくない?などと、言っていたことを思い出します。ちなみに、Pが巷から一番聞かれたのは「今回の検校では脱がないのか」ということだったそうです。ウチの検校は脱ぎません。でも、脱がなくてもなーんか色っぽいんだよなぁ。なんでなんだろ。

📺NHKオンデマンドで(8)配信中!※別タブで開きます

 

☟脚本・森下佳子の大河べらぼうこぼれ話【1】(第1回~第4回)はこちら

☞【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」関連番組 見逃し配信はNHK ONEで】

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