【東京大賞典】大一番を前に大井の馬場について知識を深めよう 馬場を攻略して的中率アップだ!
【ゴンちゃんの地方競馬ゴン攻め】交流重賞や南関重賞が行われる際、東スポ競馬Webではレース前にトラックバイアスを伝える記事を掲載しているのだが、ご覧になったことはあるだろうか。レースを予想するにあたり、トラックバイアスはもちろん大きな要素となる。そして、日々の取材の中で何度もジョッキーたちに話を聞くにつれ、さらに興味が深まった。南関本紙としていっそう知見を広めるべく、大井競馬場の管理維持や砂入れ替えの効果について深掘りしてみた。「東京大賞典」(29日、大井ダ2000メートル)を前に、読者の参考になれば幸いだ。 11月某日、記者を迎えてくれたのは大井競馬を主催する特別区競馬組合と、同競馬場の施設管理を行う東京都競馬株式会社だ。一番気になっていたのが、2023年の砂の入れ替えの効果。以前、JRAでも話題となったが、国産(TCKの場合は青森県産)からオーストラリア産へ入れ替わった。大井競馬場では砂厚の変更もあり、入れ替えから2年が経って「そろそろ結果が出てくる時期か」と個人的にはにらんでいたのだが…。 「競馬関係者と協議を重ねた結果『10センチでやってみたい』という強い要望を受けたこともあり、最初は10センチで砂厚を決めていきました。その1年後ぐらいに故障率は減っていたのですが、負荷によるものなのか違う個所の故障が増えてきたというお話もありまして。今度は9センチにして故障率がどういう形で推移していくのかを見たいということで、24年の11月に砂の厚さを変更しました。今は引き続き経過の観察をしているところです」(東京都競馬㈱) 特別区競馬組合の獣医部門からのフィードバックなどを参考にしながら「砂厚が薄くなって若干タイムは速くなりましたが、現状だと10センチと9センチでは故障率にほぼ変わりがないところまでは確認できています」という。 以前の国産砂では質の劣化などもあり、シルト(粘土質)化した物がゴーグル等に付着していたというが、現在は騎手からも「視界が確保されることで安心して騎乗いただけているというところがあるみたいです」(東京都競馬㈱)と好感触を得ているとのこと。さらに言えば先述の馬場状態を伝える記事を取材する際、大井競馬場では騎手から「フラット」と指摘されることが多い印象がある。その秘訣は非開催時の維持にあるようだ。 「基本的にはハロー車(トラクターにレーキのアタッチメントをつけた馬場管理用の車両)でのハロー掛けですが、非開催時のメンテナンスとして雨が降っている時に砂を少し締め固めて、表面で排水できるようにしてあげて、後は排水路をふさがないよう馬場の側溝の清掃を行うようにしています」(東京都競馬㈱) 一方、気になっていたのは維持管理面だ。大井競馬場には開催、非開催時問わず強い海風が吹くうえ、1000近い馬房を抱える〝トレセン〟としての機能も持っている。小林分場や認定外厩に在厩している馬を除いた多くの大井所属馬が、大井競馬場を拠点に調教しており、開催週の毎週金曜朝には能力/調教試験など模擬レース形式の試験が行われている。 「これまでは全面入れ替えの場合はだいたい2~3週間ぐらいで全体的に入れ替えていました。(23年の砂入れ替えから)1年がたって、幅員の内側半分の砂入れ替えを実施しましたが、砂の劣化はあまり見られませんでした。今年に関しては砂の劣化具合や粒の大きさを検査して、劣化が見られないので入れ替えを行っていません。今までは基本的に1年に1回入れ替えるという形にしていたのですが、そこにとらわれず、砂の劣化具合を見ながら入れ替えをしていければと考えています」(東京都競馬㈱) 今後の課題は関係者との砂入れ替えなどのメンテナンス日程の調整。「『調教のない日に終わらせてほしい』との要望もいただいていますが、どうしても入れ替えとなると砂の物量が多いので難しい面があります。しかしながら、競馬関係者と調整していかないといけないと感じています」 1か月のうち1週間以上の開催を行いながら、トレセン機能も有する大井競馬場ならではの課題といえるだろう。人馬に優しく、常に純粋な力比べになりやすい、かつ鍛錬の場としての側面も持つ大井の馬場は、まさに関係者の不断の努力のたまものだ。年末の大一番を前に、改めて大舞台を整える〝縁の下の力持ち〟に畏敬の念を抱かずにはいられない。 ※JRAでは以前から全10場で砂厚9センチに統一。大井は23年以前は8センチだった。
権藤 時大