JAL高級クレカ「違和感画像」問題 2回の差し替えに至った経緯とは
日本航空(JAL)ブランドの高級クレジットカード「JAL Luxury Card」のWebサイトに、「違和感のある」画像が掲載され、話題になっています。
JALは対策として画像を2度にわたって差し替えています。その経緯を確認しつつ、何が問題だったのか考えてみました。
中途半端な「ポップコーン修正」が火に油を注ぐ
JAL Luxury Cardは、その名の通りJALブランドを冠したクレジットカードですが、従来の「JALカード」とは異なり、「ラグジュアリーカード」と提携したカードという建て付けになっています(発行会社はアプラス)。
上位カードの年会費は約60万円という高さが目を引くものの、JALの上級会員ステータスがついてくるので、マイル修行に年間何十万円も使う人にとっては「時間をお金で買える」魅力があるというわけです。
JALカードではない、ということを示すためか、JALのWebサイトでは従来のJALカードのページとは別に専用のページが作られています。話題の発端は、ここに掲載された画像に生成AIで作ったものとすぐに分かるような特徴が見つかったことです。
もちろん、JALが自社のWebサイトにどのような画像を使おうと自由ではあるのですが、高額な年会費を誇る高級クレジットカードとのギャップが注目され、週末のSNSで格好のネタになったといえそうです。
日本航空と、ラグジュアリーカードの運営会社であるBlack Card Iの広報担当者によれば、生成AI画像を作ったのはBlack Card Iとその業務委託先とのこと。画像を受け取り、サイトに掲載したのはJALのWeb担当者としています。
JAL側から「生成AIを使ってほしい」といった依頼はしていないそうですが、なぜこのような画像がJAL側に送られることになったのでしょうか。Black Card I側は社内で確認中としており、回答があればこの記事に追記します。
追記:
Black Card Iからの回答として、これらの画像は外部の制作会社と連携して選定・生成したもので、「JAL Luxury Cardの世界観をより正確かつ効果的にお客様へお伝えするために生成AI技術を活用した」とのこと。しかし画像審査の体制やレビュー手順の明文化に不備があり、「本来であれば品質基準に満たない画像を、審査が不十分なまま日本航空側に納品してしまった」と経緯を説明しています。
さて、この問題をさらにややこしくしたと思われるのが「ポップコーン修正」問題です。当初、JALのサイトに掲載された画像には、ポップコーンにストローが刺さっている状態でした。
ネットで話題になる前からJALの担当者はこの問題に気付いており、Black Card I側に修正を依頼。金曜日の夜には、フタをかぶせてドリンクになった画像になりました。これが1回目の差し替えです。
これでポップコーンにストローという違和感は解消されたものの、それ以外の修正は入っていません。つまり「運営側で画像を確認した上で、ポップコーン以外にはOKを出した」ことが強調され、火に油を注いでしまったといえそうです。
差し替え後も残る「違和感」画像
週末にSNSで指摘が相次いだことを受け、月曜日には2回目の差し替えを実施。新しい画像はJAL側が選び、詳細ページにあった小さな画像は削除されることになりました。
更新されたのは「Travel」「Concierge」「Dining」「Lifestyle(一部修正?)」「Security」の画像で、出所はストックフォトとみられます(リンク先は代表的なサイトとしてAdobe Stockのもの)。
一方で、8月7日午前の時点でも「違和感」はまだ残っています。それは「JAL特典」の背景に使われている空港の画像です。この画像もストックフォトなのですが、実はこれもAIで作られたものとみられます。
Adobe Stockには、生成AIで作った画像を登録することができます。こうした画像は「AIによる生成」と明記され、使いたくなければ検索結果から外すこともできます。
気になるのは、AIで作ったかどうかではなく、ここに出てくる飛行機がJAL機には見えないことです。念のため確認してもらったのですが、JAL広報部では「空港利用をイメージした画像であり、他社機でも問題はない」としています。
JAL Luxury Cardの価値の大きな部分を占める「JAL特典」のイメージ画像に他社機が出てくるというのは、何ともシュールではあるものの、JALが問題ないとするのであれば問題ないのでしょう。
全体的に見て、生成AI画像にありがちな違和感がきっかけとなった話題ではあるものの、詳しく経緯を追ってみるとAIは本質とはあまり関係がなさそうです。
むしろ複数の企業がかかわる中で、品質を保つための人手が足りていないとか、そういう体制ができていないことによって起きた事故という印象を受けます。