第17回より、日本橋へ向け新たなスタートを切ることになる蔦屋重三郎。演じる横浜流星さんに、これまでの「べらぼう」の振り返りとともに、今後の見どころなどを伺いました。
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蔦重とともに生きる楽しい日々
蔦重の人生を歩み始めて、約9か月たちました。共演する先輩方のお芝居から日々さまざまなことを学びつつ、撮影合間にはたわいのない話をして楽しく過ごしています。
出演が決まったときに蔦重の碑がある正法寺や、ゆかりのある地をいろいろと巡らせていただきましたが、つい先日も吉原神社に行ってきました。彼がいた場所に身を置いて、同じ空気を吸い、肌で感じることによって何かお芝居にも影響するはずですし、大切なことだと思っています。
未熟さも愛せてしまう蔦重の人間力
第1回から16回までは視聴者の方がちょっと違和感を抱くくらい、あえてオーバーな演技をしていました。自分の中でもちょっと大げさかなと思うときもありましたが、若くてエネルギッシュな感じを意識しました。第17回以降は、青年期、壮年期になりますので、表現もちょっと変わっていくと思います。
これまで蔦重を演じてきて感じるのは、周りを巻き込む力のすごさです。未熟な部分があるのに、蔦重ならきっと成功するんじゃないかと夢を託せてしまう。みんなの希望の光になるんです。それはおそらく、彼が言葉だけではなく、行動でも示しているからだと思います。親しき中にも礼儀ありと言いますか、仲良くなった人にも失礼のないよう敬意を持って接し、相手の気持ちを大事にする。その人間臭さがたくさんの人に愛される理由だと思います。
たくさん悩んだ蔦重の恋心
瀬川(瀬以)と蔦重のシーンは好評だったと聞きましたが、実は僕が一番悩んでいたのがまさに瀬川への思いに気づく第9回あたりでした。新さん(小田新之助)とうつせみの関係性であればわかるのですが、長年、幼なじみとして接してきた瀬川に対して、蔦重が果たしてすぐに恋心だと気づくのか、その解釈がなかなか自分の中で難しかった。さらに、鳥山検校のもとから戻ってくる瀬川と心を一つにする第14回も、どのように気持ちを表現するべきか悩み、脚本家の森下(佳子)先生ともたくさんお話ししたのを覚えています。結果的に離れることになってしまったのは、2人のため、吉原のためにはいいことだったと僕は思いますが、恋の成り行きを楽しみにしてくださっていた方たちは残念に思っているのではないでしょうか。
蔦重の心に響く先輩たちの言葉
印象的だったシーンはたくさんあるのでなかなか一つを挙げることは難しいのですが、(平賀)源内先生の死はとてもつらかったです。源内先生は蔦重にとって生き方や考え方を教えてくれる存在で、たくさんの影響を受けました。“人を呼ぶ工夫が足りぬのではないか”という田沼(意次)様の言葉で奮起し、“源内さんの本を出し続けることで伝えていくべき”という須原屋(市兵衛)さんの言葉に救われた蔦重ですが、今後は、“書を持って世を耕す”という源内先生の熱い思いを胸に抱きながら、自分が作った本や絵を多くの人たちに届けたいと奔走します。蔦重の中でこれからも源内先生はずっと生き続けるはずです。
つらかったことでもう一つ思い出すのは、クランクイン2、3日目ぐらいに撮影した田沼様とのラストシーンです。渡辺 謙さんともあまりお話しする間もなく、すべてのことにまだ慣れていない中でまさかそんなに重要なシーンを撮るとは、まるで忘八(※)みたいなことをするんだなとびっくりしました(笑)。でもその未完成な感じが逆にいい緊張感となり、役に落とし込むことができたような気もしています。
※忘八:仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌といった八つの徳目を忘れ(捨てて)女郎たちをこき使い、遊客から金をむしり取る女郎屋の主たちのこと。
舞台は吉原から日本橋へ
今後の見どころの一つは、やはり絵師や戯作者、狂歌師と蔦重の交流がたくさん描かれることです。森下先生の描かれる絵師の皆さんは本当におもしろいです。何かを創り出す、クリエイティブにこだわる人たちは、個性豊か。時にはめんどうくさい人もいますが(笑)、そこも含めて魅力があります。ほかにも、歌麿との絆や、ていさんとの関わりも見どころになってくると思います。
蔦重は、吉原の人々、親父様たちの後押しを得て、日本橋に出ます。商売人としても、一人の男としても大きくなると思うので、僕自身も蔦重の変化が楽しみです。今は、たくさんの反響をいただいてありがたいと思うのと同時に、自分がここまで走ってきたのは間違っていなかったと感じられてうれしいです。これからも、森下先生が描く世界での蔦重を生きていくことを大事にしながら、まっすぐ突き進もうと思います。
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